ヴィエルヴ・シュール・ヴィロワンの広場
今日は美しい村をいくつか通って、トラピストビールで有名なシメイまで。早めに出発しようとしたのですが宿でカード払いの機械が故障するなど手間取り、出発は9時となりました。
まず昨夜宿泊した『24の美しい村』の一つ、ヴィエルヴ・シュール・ヴィロワンの観光から始めます。丘の上の小さな広場が村の中心です。
石造の建物が並ぶ
広場に面して石造の建物が並んでいます。その多くは18〜19世紀、最も古いものは17世紀に遡るそうです。
アマル公爵のお城
そして広場の最も奥に位置するのが、この立派な門を構えるアマル公爵のお城です。中には入れませんが、広い中庭と赤煉瓦の建物が垣間見えます。
ヴィエルヴ・シュール・ヴィロワンの広場
今日はこの広場で何かイベントがあるようで、テントの準備が進んでいました。この村ではカーニバルも有名なのだとか。
ヴィエルヴ・シュール・ヴィロワンの家々
ヴィエルヴ・シュール・ヴィロワンは30軒ほ小さな村ですが、丘に沿った石畳の道路に面して灰色の石壁の家々が美しいたたずまいを見せています。
牧草地
ヴィエルヴ・シュール・ヴィロワンからまず北へ向かいます。お馴染みの緑の牧草地を走っていくと、
麦畑の広がる丘陵地
刈り取りが終わった麦畑でしょうか。広い空の下に丘陵地が広がっています。
自転車道を走る
ヴィエルヴ・シュール・ヴィロワンから7kmほど北へ進むと、アスティエール(Hastière)とマリオンブール(Mariembourg)を繋ぐ自転車道に出、西へ向かいます。
ファニョルの入口
5kmほど行ったところで自転車道を離れ、少し南に行ったところにあるファニョル (Fagnolle)は、本日2番目の小さな美しい村。石灰岩とスレート屋根の家の間を上っていきます。
サン・マルタン教会
丘の上にはとんがり屋根のサン・マルタン教会があります。16世紀の建物だそうです。
丘の上からの眺め
村には、18世紀からの建物だという伝統的な民家が並びます。
ファニョルの家並み
窓辺に花が飾られている民家の前を通っていくと、
共同の水場
共同の水場がありました。
ファニョル城
そして、村の中心から数100mほど離れた牧草地の中に、12世紀に建てられたというファニョル城があります。現在は廃墟となっています。
自転車道
再び自転車道に戻り2kmほど走っていくと、
マリオンブール駅
鉄道駅に着きました。ここはマリオンブール(Mariembourg)です。週末には観光用の蒸気機関車が45分ほどの道のりを走っているそうで、鉄道好きは要チェックですね。私たちは日程が合わず、そのまま自転車で通り抜けます。自転車道はここで終わり、ここからは一般道を走ります。
ブラセリー・デ・ファーニュ
マリオンブールの中心から1kmほどのところに、風車の建物が特徴的なブラセリー・デ・ファーニュ(Brasserie des Fagnes)があります。ここはビール醸造所でレストランもありますが、まだお昼には早いので残念ながらパス。
N939を走る
両側に牧草地の広がるN939をしばらく走ると、森が見えてきました。
ヴィロワンヴィルの公園
ここはヴィロアンヴァル(Viroinval)で、黒い水(L'Eau Noire)という名の川から引き込まれた水で、池と公園(Les Jardins d'O)が造られています。
シャトー・リコット
ヴィロアンヴァルには16世紀のお城(Chateau Licot)があります。現在は役所として使われているようです。
ニムの教会
ここからニム(Nismes)の街に入ります。ニムは「黒い水」の谷に位置しこの地域の自然保護の拠点になっているところで、観光客の姿もちらほら見えています。
ニムの街と黒い水
黒い水に沿って伸びる街をしばらく西へ走り、プティニー(Petigny)から北へ丘を上ります。この先に、ネプチューンの洞窟があるのです。11時45分のツアー出発時間が迫っているのでちょっとアセアセ。結構きつい上り坂なので、写真はなし。。
ネプチューンの洞窟の入口
ヴィロアンヴァルから5kmほどでネプチューンの洞窟(Grottes de Neptune)に到着。何とかツアー出発時間に間に合った〜!
アルデンヌは水が豊富で石灰岩が多いため、鍾乳洞となる洞窟があちこちにあります。この洞窟では、鍾乳洞の中を流れる川を徒歩とボートで巡るツアーが設定されています。
洞窟の入口
運営する自然保護団体の担当者が解説しながら案内してくれます。石灰岩の地層がいつ頃どのようにできたのかという太古からの歴史、そしてこの洞窟は「黒い水」の支流が流れ込み今でも成長しており、貴重なコウモリが住んでいることなどを教えてくれました。この時間のツアーは、私たちの他はオランダ人カップルのみと少人数でラッキー。
鍾乳石
洞窟の至る所で鍾乳石が成長を続けています。この洞窟は19世紀後半に発見され、観光開発されてきましたが、観光客が入れるのはこれまでに発見されている1.6kmほどのうち300mくらいとのこと。
洞窟の中の池で行われる音と光のショー
徒歩のエリアを案内し解説してくれた女性はここまで。ツアー後半はボートに乗り込み、水の中に浮かんでいる石筍などを見ながら進むと、少し大きな空間に出ます。ここで突然音楽が響き渡り、音と光のショーが繰り広げられ、最後に岩の間からザザーっと滝が流れてきてフィナーレを迎えます。
ボートを降り出発地点に戻ってみると、前半を案内してくれた女性がいたので『あの音楽と滝は何だったのかな』と聞いてみました。すると、私たちの団体が運営する前からやっている観光用の人工的なショーなのよ、と教えてくれました。
Super des Fagnes
洞窟見学に1時間ほどかかってもう昼過ぎになっていたので、入口にあるテラス席で持ってきたパンとチーズを食べることにしました。ここの売店には先ほど通り過ぎたブラセリー・デ・ファーニュのビール、Super des Fagnesがあった〜 というわけでブロンドとブリューネを写真に。
小さな村
さて昼食を終え、洞窟をあとに小さな村を抜け、
森の小道
森の中の小道をゆくと、
ロンプレ
洞窟から10kmほどで教会の塔が見えてきました。本日第3の小さな美しい村、ロンプレ(Lompret)に到着です。
ロンプレの教会と白い水
ここは、今度は白い水(L'Eau Blanche)という名の川が蛇行したところに位置し、明るいグレーの石灰岩で造られた18世紀から19世紀の家々が並びます。
ロンプレを出発
ロンプレを出発すると、すぐに牧草地です。ここから本日の宿泊地シメイ(Chimay)までは5kmほど。
雲が広がる
空には黒っぽい雲が広がってきました。先を急ぎます。
風車が並ぶ丘を走る
刈り取りの終わった麦畑の向こうには風車が並んでいます。こういう見晴らしのいい丘は風が強いのです。
学校に隣接した右の建物がB&B
そしてシメイの街に到着。立派な教会や学校の間にカフェやいろいろなお店が並び、とても美しい街です。今宵の宿はB&Bシメイというところですが、なかなか見つかりません。近くにいたおじさんに尋ねてみると『ああ、それはウチだよ!』 看板は別の名前(Le Petit Chapitre)になっていて、どうりで見つからないはずです。
B&Bシメイ
15時チェックイン。B&Bはアンティーク家具や古い写真が飾られ、おしゃれな雰囲気です。今日は他に泊まり客はいないということで、1番いい部屋に通してくれました。ラッキー!
クック・ド・ディナンをかじる
そういえば今日の昼食はパンとチーズのサンドイッチだけ。ちょっとおなかがすいちゃったね〜 そこで思い出したのが、昨日ディナンで買ったお魚形のクック・ド・ディナン。これを食べよう、とかじったサイダーですが『か、堅い!なかなか割れない!』と四苦八苦。やっとかじったかけらは堅いけど小麦と蜂蜜のしっかりしたいいお味でした。
サン・ピエール&ポール教会
さっそく街歩きに出かけます。街の中心の広場はグランプラス、そこに堂々とそびえ立つのはサン・ピエール&ポール教会の塔です。
サン・ピエール&ポール教会内部
教会の建物は16世紀に完成したようですが、最も古い部分は13世紀に遡るゴシック様式です。
内陣のステンドグラス
また、内部には1527年に亡くなったシャルル・ドゥ・クロワの霊廟があります。
奥にシメイのお城
グランプラスから西を見ると、中世にドゥ・クロワ一族の居城であったシメイ城が見えます。1935年に火災があったそうですが、修復され近年ガイドツアーで見学することができるようになりました。
シメイ城
でも、ツアーの最終は15:45発。間に合わなかった私たちは、お城の前で記念写真だけ。
グランプラス
シメイの街の中心グランプラスは教会の高い塔の下、カフェのパラソルが並んでいます。ここで休憩しつつ、当然トラピストビールのシメイ、レッドとホワイトのを2種いただく。(TOP写真)
雨のあとのグランプラス
と言っている間に雨が降ってきました。短い雨でしたが、早めにシメイに着いてよかった〜
スクールモン修道院の入口
宿に戻って一休みした後、19時過ぎに頼んでいたタクシーが宿にお迎えに来ました。シメイの街から9kmほど離れたところにあるスクールモン修道院を眺め、その近くにある公式ホテル&レストラン(l'Auberge de Poteaupre)に行くためです。
スクールモン修道院は、1850年にベルギー北西部にあるウエストヴェーテレンからやってきた修道士たちが、シメイの王子から与えられた近郊の土地で設立したものです。この修道院では1862年からビールの醸造を行っており、1876年からはチーズの製造も始めています。修道院は午前8時から午後8時まで教会や中庭などを見学可能ですが、醸造所を見ることはできません。
公式レストランのカウンター
修道院は外観だけを見て、1kmほどシメイの街方面に戻ったところにある公式レストラン(l'Auberge de Poteaupre)にやってきました。もちろんスクールモン修道院でつくられるトラピストビール『シメイ』がありますが、その中にはかつては修道院内のみで提供されていた黒ラベルのドレー(Dorée:ゴールデン)が含まれています。
レストラン内の展示
レストラン内にはシメイビールにまつわる展示がずらり。
年代ごとのグラスやコースター
年代によって形を少しずつ変えているグラスやボトル、コースターなどが展示されています。
シメイ・ドレー
ではまず、ここでしか飲めないシメイ・ドレー。これは修道士用のビールで4.8%。ん、軽いですね〜
グラン・レゼルヴに満足
そしてこちらはシメイ・グラン・レゼルヴ9%。数年の熟成保存を行う味わい深いビールで通称ブルーと呼ばれるものですが、容量が大きいものは味が安定しているとされており、ビンテージの入ったラージボトルのものを特別にグラン・レゼルヴといいます。
合わせる食事は修道院のチーズをたっぷり使ったエビのトマトフォンデュにしてみました。
トラピストビールが勢揃い(オルヴァル除く)
『トラピストビール』とは、修道士コミュニティの管理および責任の下で、トラピスト修道院内で醸造されたビールをいいます。『トラピストビール』の名称の乱用を防ぐため1997年に国際トラピスト協会(International Trappist Association)が設立され、そのロゴが印刷されたラベルを使用する許可を得ている修道院はこれまで8箇所と紹介してきましたが、シメイの資料によると現在は次の10箇所が認定されているようです。Achel, Chimay, Orval, Rochefort, Westvleteren, Westmalle(以上ベルギー)、 La Trappe, Zundert (以上オランダ) 、Engelszell (オーストリア)、Spencer (USA) 。
ところで、写真右から3番目のラベルのない瓶はWestvleteren。このビールは生産量が限られ修道院の売店でしか売っておらず、電話予約が必要で個人利用限定。しかも一度に買えるのは3種類のビールのうち1種類のみだとか。一度行って飲んでみたいものです!