グルノーブルの宿1
明日の朝早くパリを発つので、今日はフランス旅行の実質最終日。半日をグルノーブルで過ごし、午後は列車を乗り継いでパリCDG空港近くのホテルへと移動します。
グルノーブルで2泊したこの部屋は、静かで便利、設備も充実していて楽しく過ごせました。
グルノーブルの宿2
こちらがキッチン設備。オーブン、冷蔵庫、洗濯機がコンパクトにまとめられています。
フランス旅行の間は、9泊がいわゆるホテル、14泊が個人経営の宿でした。個人経営の民泊は、立地やキッチン付き等の選択肢が増えるし、どこも概ね快適でした。最近のインターネットでの情報提供はかなり充実しているので、事前に十分検討できるのもいいですね。
宿を出発
今日は雲が垂れ込めて、いつ雨が降り出してもおかしくない空模様です。
リアキャリアの荷物には、念のため防水カバーを装着して宿を出発。
角のミニスーパー
宿の前の路地を曲がって、角のミニスーパーの前を通り過ぎます。
近くて便利、何度もお世話になりました。
サン・ローラン考古学博物館に到着
まず最初に到着したのは、サン・ローラン考古学博物館。もともと教会だったのですが、考古学遺跡として1986年に博物館となったそうです。
1979から1995年にかけての発掘調査を経て、現在は4世紀から19世紀までの墓地や教会の歴史をたどれる博物館として公開されています。
考古学博物館の建物とアート
こちらの門を入りますが、建物の壁面を覆うのは洗濯物か?
実は、これはアート作品で、この後内部の展示の中にも何度か現れます。若干違和感がないでもありませんが、ともかく中へと進みます。
旧サン・ローラン教会の内陣
入口受付はスロープを上った上階にあります。ところで、この博物館を含め、イゼール県にある11の県立博物館は全て無料。英語のオーディオガイドも無料で貸してくれました。さすがフランス、文化大国です。
さて、中に入るとまず旧サン・ローラン教会の内陣を見下ろすテラスに出ます。12世紀のロマネスク教会は6世紀の墓地の上に建てられたもので、内陣の地下の墓所が見渡せます。青い照明は、壁に映し出された歴史を解説する映像と連動したもの。
12世紀の聖職者の像
遺跡を巡る途中のスペースには、発見された歴史的な遺跡の一部が展示されています。
これは、12世紀の聖職者の像。
二重になったアーチ
そして内陣のレベルに降りてきました。アーチが二重になっていますが、古いアーチを埋めて作り直したのでしょうか? 上のアーチの下部分に模様が見えています。
柱頭の展示
こちらに展示されているのは、11~12世紀の柱頭。植物や、想像上の動物の頭、馬上の人の姿などがあります。
写真は人か動物の顔ですね。
地下の墓所
その先に進むと、ここは旧教会の回廊を発掘したところです。
これらの墓地からは、4世紀から18世紀にかけての暮石と1500体以上の埋葬者が発見されています。調査研究の下、埋葬された人の性別、年齢その他のプロフィールが紹介されていました。
6世紀の地下神殿
そして、これは6世紀の地下神殿。1803年に発見されたそうです。フランスでも他に類を見ないほど保存状態が良好な考古学的遺跡とのこと。
なお、中央の赤い布地は一連のアート作品です。
地下神殿の柱頭
オリジナルかどうかわかりませんが、柱頭には複雑な植物模様が刻まれています。
キリスト教の歴史の知識に乏しい私たちですが、1700年にわたる歴史が積み重なったこの土地に思いを馳せることができました。
旧教会内陣の墓所
最後に訪れたのは、旧教会内陣の地上レベル。発掘された墓所を間近に見られます。
そして、私たちが近づいたことを感知してか、壁面に映写される映像とオーディオガイドが連動して解説してくれます。博物館の歴史的な価値もさることながら、このデジタル技術による展示方法にも驚かされました。
イゼール川沿いを走る
今日のメインの観光はこの考古学博物館。あとは旧市街を少し散策して、フランス旅行『最後の晩餐』ならぬ『最後の昼餐』を楽しんでパリへ向かう予定です。
というわけで、イゼール川に沿って進んだら、橋を渡って旧市街へ入ります。
サント・クレール広場
トラムの走る賑やかな通りにやってきました。ここはサント・クレール広場。
観光案内所や郵便局、図書館などの公共施設も近くにあります。そして正面は高校。
サント・クレール市場
私たちのお目当ては、サント・クレール市場(Halles Sainte-Claire)です。
1874年に建てられたこの美しい建物は、鋳鉄の柱に支えられた構造で、壁の上部は明るいガラス、下部は赤と白の2色のレンガが用いられています。
正面中央の泉
建物正面中央の泉の水は、イルカの口から噴出。また、建物ファサードの鋳鉄の装飾や柱頭の顔の彫刻なども、建設された時代の優雅な雰囲気を纏っています。
早速中へ入ってみましょう。
市場の内部
市場の内部は、高い屋根の下、細い路地の両側に、チーズ、肉類、惣菜、その他のお店が所狭しと並んでいます。
各店舗の手前のショーケースを覗くのはワクワクします。
臓物屋のショーケース1
こちらは看板に『トリペリー』(triperie)とあるから、臓物のお店ということか。
手前は子羊の内臓、右は豚肉、上は生ソーセージ。
臓物屋のショーケース2
同じお店で肉類を使ったサラダとかテリーヌなども売っています。
ツマミに買っていこうかな~
子羊の脳
これは『子羊の脳』だそうです。各部位を余さず美味しく使い切る肉文化ということですね。
そういえば、日本でも魚はいろいろな部位を食べるので、アラ煮だの白子だの外国人にビックリされた覚えがあります。
総菜屋1
総菜屋です。下は牛肉のラザニア。上はトマトのファルシー。
総菜屋2
こちらは様々な豆やマカロニ、アーティチョークなどのサラダ、ハム類。
ハムも種類はたくさんあります。
鶏屋?
こちらは、右は『鳩』と書いてありますね。左は何でしょうか。
とにかく日本ではあまり見ない肉類や部位がいろいろ並んでいます。
ウサギのテリーヌ
そして、本日の夜のツマミ用に私たちが買ったのは、ウサギのテリーヌ。
パテ1つ分はずっしりと重い。どんなお味でしょうか。楽しみです。
屋外の果物屋
市場の建物の外にも、パラソルの下でお店が出ています。
ここは果物屋。ベリー類やイチジク、あんずにバナナ、パイナップル。
メリーゴーランド
トラムの線路に沿って、次の目的地へと向かいます。ここはフェリックス・プラ通り(Rue Félix Poulat)。
サン・ルイ教会の手前で、またメリーゴーランドを発見。値段表を見ると、1回2.5€也。10回は15€、30回は40€と、回数券なら割安になりますよ。
サン・ルイ教会
さて、サン・ルイ教会(Eglise Saint Louis)です。
この教会は、ルイ14世の守護聖人である聖ルイに捧げられたものだそう。1688~1689年の建築ということで、年代的にはバロックの時代ですが、外観はとてもシンプルでルネサンスのような印象を受けます。建築家は古典的なフランス様式に従って設計し、経済的理由から簡素なものになっているのだとか。
教会の内部
教会の内部はコンパクトな十字形の平面です。
正面奥の半円形の聖歌隊席には18世紀の祭壇、そして上部は1680年頃に描かれた宗教画が飾られています。
パイプオルガン
入口上部にはパイプオルガン。
元は17世紀のオルガンでしたが、1980年に有名なオルガン製作者のバルトロメオ・フロメンテッリによるものに置き換えられたそうです。
ヴィクトル・ユーゴー公園
教会を出ると、ポツポツ雨が降り出していました。急いで公園を通り過ぎます。
ここはヴィクトル・ユーゴー公園といって、かつて兵舎や城壁があったところに19世紀末につくられたもの。中央に噴水、周囲に木々が茂り、イベントなどでも賑わうそうです。
La Belle idée
そして、予約していたグルノーブル駅近くのレストランに到着しました。フランス『最後の昼餐』として選んだのは、La Belle idée というレストラン。
オーニングの赤い色、外壁の La Belle idée の文字、テラスのテーブルと椅子。落ち着いた雰囲気の中でとてもオシャレ。
レストラン内部
レストランの中もいい雰囲気で期待が高まります。サービスは気さくで感じがよく、ランチコースも比較的リーズナブルです。
私たちは普段は2人で2皿を頼むのが定番なのですが、今日は『最後の昼餐』ですから前菜+メイン+デザートのコースを2人前いってみましょう!
前菜とサリーナ
まずやってきました、前菜2品。さすがフランス、2皿の美しい色使い。白ワイン片手に幸せ感いっぱいのサリーナです。
滅多にないことなので(笑)、1品ずつ紹介しましょう。
緑の前菜
緑の前菜は、グリーンピースの冷製ソースにトロトロのポーチドエッグが乗っかり、ハーブオイルが回しかけられています。
赤い前菜
赤い前菜は、トマトのタルタル(刻んだトマト)のバルサミコとローズマリー入り山羊チーズのソース。イチジク、クルミ、蕎麦の実が添えられています。
主菜とサイダー
そして主菜がやってきました。うまいぜ!と盛り上がるサイダー。
主菜にはサイドディッシュが付きます。頼んだ2品をご紹介。
子牛のブランケット
こちらは子牛のブランケット(クリーム煮込み)。人参やマッシュルームがアクセント。
サイドディッシュはズッキーニやナスなどの焼き野菜がとても香ばしい。
メルルーサのフィレ
メルルーサのフィレ。ディル入りレモンクリームソースが爽やかです。
サイドディッシュは野菜のグラタン。
デザート2種
すでに普段の倍くらい食べていますから、ほぼ満腹。『ここまででよかったかな』と呟くも、デザートが来ると目が釘付けに。
奥はアプリコットのタルト。手前はモモのヴァシュラン。ヴァシュランは、もともとサヴォワ地方の円盤形のチーズのことですが、デザートの場合はメレンゲやアイスクリームを円盤形の容器に入れたものを指します。このヴァシュランは桃のコンポート、メレンゲ、アイスクリーム、たっぷりの生クリームの上にイチゴ。美味しいです。ああ、これぞ『別腹』。
どのメニューも工夫が凝らされて美味しかったのですが、私サリーナとしては、特に『赤い前菜』が出色でした。ヤギのチーズのソースとの組み合わせが完璧で、見た目も本当に美しい。
お店の昼のコースメニューでは、主菜のみ、前菜+主菜または主菜+デザート、前菜+主菜+デザートという選択ができます。隣のグループでは年配の女性たちは主菜+デザートを選んでいました。
グルノーブル駅到着
大満足でレストランを出たら、雨は止んでいました。グルノーブル駅まではまっすぐな道路を500mほど。
駅に到着して『ヤッター』とポーズのサリーナ。これで今回のフランス旅行の自転車はおしまい。
リヨン行き列車
自転車を折り畳んで、リヨン行き列車のホームへ向かいます。
これが14:21発のリヨン行き列車。バッタ顔ですね!
自転車を乗せる乗客
私たちは自転車を折り畳んだけれど、自転車をそのまま乗せる人たちもいました。いろいろ荷物も積んでいるし、そのまま乗せられれば言うことなしですね。
自転車マークの車両
到着した列車を見渡すと、端に自転車マークの車両がありました。私たちもここに乗せましょう。
自転車置場
車両内は一部の客席が折り畳み椅子になっていて、その上部にはタイヤを引っ掛けるフックが備えてあります。自転車そのままであればここに引っ掛けて置きますが、小径車はちょっと難しそう。
私たちは折り畳み状態なので、折り畳み椅子の前にそのまま置きました(写真手前)。自転車にやさしい鉄道、素晴らしいですね。
リヨン駅TGV切符売り場前
ところがです。列車が20分ほど遅れ、リヨン駅に到着したのは16時ちょうど。降りた時には乗り換え予定の16:00発のTGVは発車した後でした。
どうするの!と騒いでいたら、さすがIDで乗客を把握しているフランス国鉄、遅れが見込まれた時点で、次の1時間後のTGVの提案がサイダーにメールで送られてきていたのでした。
TGV切符売り場に行って持っていた切符を見せると、すぐに次のTGVの切符に取り替えてくれました。
TGVの車両
早めにTGVのホームで待っていると、やってきた列車は私たちの前まで来ない。え~車両番号が違うの?とホームで待っている人に尋ねたら、ここで大丈夫、と言ってくれます。
連結する車両
しばらく待っていると、逆方向からもTGV車両がやってきました。どうやらここで別の方向から来た車両が連結するようです。
実はもう17時ちょうどの出発時間を5分過ぎていてちょっと不安だったのですが、ともかくよかった~
荷物置き場に自転車を置く
TGVの車内には大きめの荷物置き場があって、そこに折り畳んだ自転車を収めることができました。これで安心、とサリーナ。
TGVでは、原則自転車をそのまま乗せることはできず、折り畳むか分解して輪行袋に入れる必要があるとのこと(カバーのサイズは130cm x 90cm以下)。
ところで今更ですが、TGVとはフランス国鉄(SNCF)が運行する高速鉄道(Train à Grande Vitesse)のこと。フランス版新幹線で、最高時速は320km/hとのこと。
車両内部
私たちの車両は2席+1席の構成です。広々として新幹線のグリーン車のようです。
ゆったりした座席
ゆったりした座席に『これは楽チンだね~』と喜ぶサリーナ。
この座席は背もたれを倒しても、座席が前にズレるので後ろの人の邪魔になることはありません。また頭部分が斜めになっていますが、これは、本を読む時は中央寄りの照明の下が都合がよく、寝るときは反対側にもたれやすく設計されているということでしょう。
座席回りの設備
そして、座席ではUSB充電ができてスマホを置くホルダーもある。もちろん飲み物のホルダーとか照明、ゴミ箱もちゃんとおさまっています。素晴らしく快適な座席に大満足。
実は、あとでわかったことですが取り替えてもらった座席のここはファーストクラス。本来のチケットのセカンドクラスは2席+2席でもっと狭い座席だったのです。
軽食の車両
隣には飲み物やスナックを提供する車両もありました。立ち飲みバルのような場所ですね。
セカンドクラスの車両
これが、本来乗るはずだったセカンドクラスの車両。
我々がなぜファーストクラスになったのかは不明です。リヨンまでの列車の遅延で乗り遅れたので、ごめんなさいね~という意味なのでしょうか?
TGVは牧草地を走る
TGVは丘陵地帯を進んでいます。車窓の景色は夕陽を浴びる牧草地。
このあたりは、今回の旅の前半に滞在したブルゴーニュ地方でしょう。
白い牛たち
牧草地では白い牛たちが草を食んでいます。のどかな景色が続きます。
この後、突然空が黒い雲に覆われ、横殴りの雨が降り出したりもしましたが、それも長続きせず、リヨンから2時間ほどでパリCDG空港駅に到着です。定時から15分ほど遅れたけれど。
CDGVALのPARKING PX駅
時刻は19:15。今日の宿は旅行初日と同じ空港近くのホテルです。さてここでサイダー、空港から自転車で走ってホテルに行こうと言い出します。自転車はグルノーブルで終わりと思ったのになあ。でもまだ明るいし、距離も5kmほどということなので、サリーナも同意。
TGV駅からエアポートシャトルCDGVALに乗って、PARKING PXという駅で下車し、建物の外に出ました。ところが、周りの道路は自動車専用道路ばかり。通りかかった人に尋ねてみると、『自転車か。。うーん、ここをあっちに行ってこっちに行ったらいけると思うけど、かなり難しいよ。グッドラック!』とのこと。自転車大国フランスですが、パリCDG空港から自転車で走る人は想定していなかったようです。早々に諦めて、ターミナル3出口のホテルシャトルに乗ることにしました。
ウサギのパテ
シャトルの停車場までは自転車で何とか到達。こんなすったもんだの結果、シャトルに乗ったのは20:30、15分後にホテルに到着となりました。ちょっと疲れた~
しかし、これから明日のフライトに向けて準備をしなければいけません。近くのミニスーパーへ夕食と明日の朝食の買い出しに出かけ、ホテルで預けていたスーツケースを受け取り、シャワーを浴びた後、自転車を折り畳んで収納。
バタバタと準備しながらの夕食のメインは、グルノーブルの市場で買ったウサギのパテ。ハーブで味付けされたパテは濃厚な味で食べ応え十分。パン、サラダと共に美味しくいただきました。
結局ベッドに入ったのは真夜中過ぎでしたが、翌日は早朝のシャトルに乗って空港へ向かい、無事日本に帰ってくることができました。
さて、これでフランス3週間の旅は終わりです。久しぶりの海外自転車旅行でしたが、自転車にやさしい環境があり、フレンドリーな人々にも助けられ、美味しいチーズやパン、ワインを楽しみながら歴史ある美しい町や村、絶景のフランス・アルプスを巡ることができて、とても印象深いステキな旅でした。
