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スペイン 巡礼の道 6

ブエルタ・ア・エスパーニャ観戦記 サラマンカ

開催日 1999.09.08(水)- 09.10(金)
参加者 サリーナ/サイダー

タイム・トライアル中のドイツ・テレコムの選手
タイム・トライアル中のドイツ・テレコムの選手

コース紹介

サンティアゴ巡礼の道とリアス式海岸を自転車で巡る旅を終え、いよいよ第3ステージへ。カステーリャ地方のサラマンカで、世界有数の自転車レース『ヴエルタ・ア・エスパーニャ』と合流。中世の雰囲気にあふれ、しかも学生の街らしい明るさも兼ね備えたすばらしいこの街には見どころが多い。貝の家とクレレシア教会、マヨール広場…

貝の家とクレレシア教会貝の家とクレレシア教会

サラマンカはマドリードの北西約200kmのカステーリャ地方にあり、中世の雰囲気にあふれ、しかも学生の街らしい明るさも兼ね備えたすばらしい街で、見どころが多い。

貝の家は外壁をサンティアゴ(聖ヤコブ)を象徴するホタテ貝の模様で埋め尽くされた15世紀後期のゴシックの建物で、巡礼者を守る騎士団のうちの一人の家だったそうだ。

マヨール広場マヨール広場

街の中心にあるのがこのマヨール広場。チュリゲラ一族により広まったスペイン・バロックの様式の一つチュリゲラ様式の建物に取り囲まれている。広場の北にある一際目に付く建物が市庁舎。

音楽隊の進行音楽隊の進行

この広場は観光客や地元の人々でいつもいっぱい。マドリッドのマヨール広場よりこじんまりしていて、街の大きさに見合ったスケールでいい雰囲気だ。

新カテドラル新カテドラル

サラマンカには新旧二つのカテドラルがある。古い方は12世紀のロマネスク、新しい方は16世紀から18世紀のゴシック。新カテドラルのファサードはプラテレスコ様式の傑作とされる。

カテドラルの塔カテドラルの塔

そして街の建物はみな古く、味がある。

サラマンカ大学の中庭サラマンカ大学の中庭

サラマンカは学生の街。スペイン最古の大学であるサラマンカ大学の創設は13世紀と大変古く、オックスフォード、パリ、ボローニャに次ぐ四大大学の一つとされる。その正面玄関にはプラテレスコ様式の装飾が一面に施されている。中庭はムデハール調。

サン・エステバン修道院サン・エステバン修道院

ドミニコ会の修道院で16世紀から17世紀にかけて建造。ファサードはプラテレスコ様式。内部にバロックの傑作といわれるチュリゲラ様式の中央祭壇がある。

ラス・ドゥエニャス修道院ラス・ドゥエニャス修道院

こちらもドミニコ会修道院で15世紀前半創設、16世紀前半に再建。中庭廻りのプラテレスコ様式の回廊は、装飾の彫刻が微妙に異なり楽しい。


CUARTA ETAPA(第4ステージ) 1999.09.08(水)Las Rozas 〜 Salamanca 185.5km

ヴエルタ・ア・エスパーニャの会場へ向かうサイダーヴエルタ・ア・エスパーニャの会場へ向かうサイダー

今日のヴエルタ・ア・エスパーニャのレースはゴール地点がサラマンカ。早速インフォメーションでゴールの場所を尋ねる。2・3人が地図を前に『知ってる?』『確かこっちだよ…』と心許ない。グランツールが街に来るというのに、インフォメーションで知らないの?  何とかこっちらしいと意見がまとまり、通りの名前も書いてもらって自転車で出発。

何度も迷ってやっとテレビ中継車などの大型車が群れている通りを発見。まだ観客はまばらで、ゴールでは一生懸命ゴールラインをペイント中。何時に来るのか聞くと、4時半頃という。今は午後1時過ぎ。そこでまずバルで1杯。次にレストランでゆっくり昼食。

ゴール前のサリーナゴール前のサリーナ

META(ゴール)前で4時近く、ゴール付近はさすがに人が増え、柵の周辺に人垣。もうすぐゴールインかと思ったら、実はその前に…

4時頃、フェスティナウォッチ等の宣伝車がコース内を行進し、回りをミニスカートのレースクイーンたちが大きなバッグを抱えて歩き始めた。そのとたん、おじさんや子どもたちが『ワー!!』 と身を乗り出す。彼女たちは宣伝グッズを配っているのだ。ボールペン、カード、アメ…次第に競争が激化。ついに目玉商品がやってきた。フェスティナやポルティのキャップだ!

レースクイーンレースクイーン

おじさんも子どもも『こっちこっち!』 『姉ちゃん頼むよ!』と絶叫。私たちも必死で手を伸ばす。やった! フェスティナのキャップをゲット! ポルティのは隣のおじさんにむしりとられてしまった。それでも気がつくと、私はキャップ2ヶとボールペン。

サイダーは何とキャップ4ヶとひげそり、ボールペン、アメ多数、ポルティのボトルまでゲット。隣のおじさんはキャップを5ヶ以上。まあこれで性格がわかろうというものだ。

ゴール・スプリントゴール・スプリント

観客による前哨戦も終わり、いよいよ選手ゴールインの雰囲気に。ラジオではどうやらアンドレア・タフィが先頭らしい。『あと1000m!』『500m!』 私たちも興奮しながらカメラを構えてスタンバイ。

ケルメの選手ケルメの選手

ついに選手の姿が! と思うまもなく目の前に。一団となった集団が一瞬のうちに“ザーッ”と通り過ぎ、後方グループの選手たちもまたたく間に通過。

一体誰が1着だったのか? 誰も確認できないまま、興奮の渦に包まれ、気がつくとレースは終わっていた。初めてのヴェルタ観戦は数10秒のうちに終わったのだった。

第4ステージ Las Rozas 〜 Salamanca 185.5km
1位 WUST, Marcel GER FES 4:21:42
2位 LOMBARDI, Giovanni ITA TEL st.
3位 IVANOV, Sergei RUS TVM st.
21位 OLANO, Abraham ESP ONC st.
38位 ULLRICH, Jan GER TEL st.

QUINTA ETAPA(第5ステージ) 1999.09.09(木)Bejar 〜 Ciudad Rodrigo 160km

BANESTOのメカニックとサイダーBANESTOのメカニックとサイダー

今日のレースは、サラマンカから80kmほど離れた山岳コース。私たちは、サラマンカの街を観光し、昼過ぎからテレビ観戦と決めた。どこを歩いても茶色い石づくりの街角は美しい。歴史ある建物が、歴史の標本ではなく現在も大学や図書館に使われ、活きている。

こんな街歩きは楽しいが、11時を過ぎると急激に暑くなる。そろそろどこかで1杯… と坂をおりていくと、1軒のホテルの前に白いバンが停車中。ボディには『BANESTO』の文字! ひとりのメカニックが、黙々と自転車の整備をしているところだった。

タイムトライアル用マシンタイムトライアル用マシン

一番奥の赤いマシンがzulle用主要なメンバーはレースに行き、彼は明日のタイムトライアルに備えマシン整備を行っているのだった。バンに立て掛けてある自転車には、ツェーレやヒメネスの名前が書かれている。しばらく彼の仕事を眺め、手を振ってバンを後にした。

BANESTOのチームカーの内部BANESTOのチームカーの内部

滅多に見られないチームカーの内部にも問題なく入れてくれた。半分くらいの自転車は出動中のよう。TT用のバイクやホイール、各種の工具などが整然と並ぶ。

その後、ハム屋で生ハム、ソーセージ、チーズ、赤ワインを買い、パンとビールも仕入れてホテルでテレビ観戦(ビールとワインで途中ウトウト)。勝負は最終スプリントまでもつれ込み、ウルリッヒがオラーノを敗る。しかしオラーノは総合1位に躍り出た。

第5ステージ Bejar 〜 Ciudad Rodrigo 160km
1位 ULLRICH, Jan GER TEL 3:52:56
2位 OLANO, Abraham ESP ONC st.
3位 VANDENBROUCKE, Frank BEL COF st.

SEXTA ETAPA(第6ステージ) 1999.09.10(金)Salamanca 〜 Salamanca (タイムトライアル) 46km

今日も晴天。早々にホテルを出てスタート地点に向かうが、またまた道に迷う。いつの間にか市街地からはずれ、何とか自転車コースらしい道にたどり着いた。

対向車が近づいてから気付く。『えっ、ヒメネス?』 バネストのヒメネスが足慣らしをしていたのだ。すれ違いざま、我々の折り畳み小径自転車を珍しそうに見ていた(と思う)。興奮してUターンし追いかけるが、もちろん離されるだけ。

ウォームアップする選手たちウォームアップする選手たち

やっとスタート地点にたどり着く。付近の道路は締め切られ、人々は押し合いへし合い歩道を行く。途中途中にチームカーが停車し、選手がアップしたり談笑したり。サエコチームを発見。さすがイタリア男たち、沿道の美女をチームカーに誘っている。私はというと、子どもやおじさんとともにスタッフからサエコチームのポスターをもらっていた。

TTスタートTTスタート

選手は1分おきにスタート。下位選手順なので、お目当てはまだまだ先。11時、暑さでたまらずバルへ避難。ここは公団みたいな住宅団地だが、さすがスペイン、バルだけは絶対ある。道路封鎖にかり出されたおまわりさんたちもビールで休憩中。

再びスタートを眺め、ツールで活躍したサエコのコンメッソを確認後、ゴール地点へ移動。ゴール付近はさすがにスプリントを競う選手たちで大迫力。歩道に張り出したレストランでゴールインを眺めつつ昼食とは、いかにもスペイン的ゴージャス。ワイン片手に、ボビー・ジューリックやジャラベールの姿をちらと確認。

今日の目玉は何と行っても『オラーノが首位を守るか、ウルリッヒが逆転するか?』 スペインっ子たちは、まだステージ勝利のないオラーノに熱い期待を寄せる。残念ながら我々は4時のバスでマドリードへ。しかし長距離バスではラジオがヴェルタを中継中。いやこれは『中』」か?

“オラーノ! 行け行け行け行け!” “いいぞいいぞいいぞ!” と叫ぶばかり。中間点ではウルリッヒより30秒も早く、アナウンサーの絶叫は最後まで続いた。翌朝の新聞1面トップのオラーノは、この日の大ヒーロー。私たちは翌日帰国したが、しばらくするとオラーノの名は消えていた。第15ステージでリタイアしたそうだ。

結局1999年のヴェルタは、ウルリッヒの総合勝利で終わったのだった。(サリーナ)

第6ステージ Salamanca 〜 Salamanca (タイムトライアル) 46km
1位 OLANO, Abraham ESP ONC 53:32
2位 ULLRICH, Jan GER TEL +0:57
3位 CASERO, Angel ESP VIT +2:17
1999 ヴェルタ・ア・エスパーニャ 総合最終成績
1位 ULLRICH, Jan GER TEL 89:52:03
2位 GLEZ GALDEANO, Igor ESP VIT +4:15
3位 HERAS, Roberto ESP KEL +5:57
4位 TONKOV, Pavel RUS MAP +7:53
5位 JIMENEZ, Jose Maria ESP BAN +9:24

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