カタルーニャのバルセロナから地中海沿いを南下し、アンダルシアへ向かいます。途中、バルセロナから200kmほどのところにある、バレンシアのペニスコラに寄ることにしました。ペニスコラは江ノ島のように出っ張った半島の上にある旧市街と白いビーチが美しいところだそうです。
夕方バルセロナの駅で列車を待つも、これがなかなか来ない。2時間近くも遅れてやってきた列車ですが、とにかくこれに乗れば一安心。ペニスコラへはベニカルロという駅で下車します。そのベニカルロに到着したのは真夜中の0時ごろで、なんと辺りは真っ暗。日本と違ってこの鉄道駅は街の中ではなく、そこからずいぶん離れた所にあります。
下車した人々はいたのかいなかったのか、とにかくまわりには誰もいません。無人駅ではないと思うのですが、駅員も見当たりません。駅の外に出てもバスはおろかタクシーさえ、それどころか車も人も全く見当たりません。暗くて街がどちらにあるのかさえわからないので、歩いて行くわけにもいかない。困った!
その暗闇のなかに突然車のベッドライトが一筋。やってきた車から下りたおじさんは駅の中をちょっと覗いて、助手席のおばさんに首を振るとそのまま立ち去ろうとします。私たちは走ってこの車に近づき、なんとかおじさんに話しかけました。
『すみません、街に行きたいんですが、どうしたらいいですか?』
『やあ、君たち、さっきの列車で来たの? ずいぶん遅れたね。まあここではしょっちゅうだけれどね。私たちは知り合いが来るっていうんで迎えにきたんだけれど、今のには乗っていなかったみたいだ。そうそう、今の時間だと街には歩いて行くしかないよ。よかったら送ってあげるよ。』
ということで、小さなセアットという車に乗せてもらいました。泊まる所は決めていないというと、おじさんとおばさんが相談して、適当なホテルに連れて行ってくれました。感謝。
翌日はちょっと朝寝坊をしてゆっくり朝食を済ませ、昼ごろタクシーでペニスコラに向かいました。
タクシーを下りるとそこはビーチでした。
ビーチ近くに宿をとり、まずはリゾートをと海岸に出ました。
ジリジリと焼き付けるような太陽はこれぞスペイン! 海の色は深い紺碧。水はやっぱりしょっぱかった。
強い日差しを反射した砂はほとんど真っ白に見えます。ここのビーチにはトップレスの女性が沢山いて目を楽しませてくれました。(笑)
砂浜の先には海に突き出た高台があり、そのてっぺんにお城が立っています。この高台がペニスコラの旧市街で、陽の光を受けた真っ白な家々が輝いて見えます。そもそもペニスコラという語は、ラテン語の半島を意味する言葉から来ているのだそうです。
ビーチでチャパチャパしたあとは旧市街を散策します。
旧市街は城壁で囲まれていて、下の方は公園になっています。この公園に上れば、今朝までいたベニカルロ方面が一望に。
ビーチもよく見えます。
公園からはお城へ向かいます。
お城と城壁は積まれた石がそのまま表わしになっていますが、家々はみんな白く塗られています。
光が強烈で、目が痛い!
公園付近は比較的穏やかな階段が続くのですが、これはすぐに急勾配になっていきます。
急坂や急な階段を上へ上へとどんどん上って行きます。
下を見れば、レストランや土産物屋の前に観光客の姿が見えます。
ペニスコラはそれなりの観光地で、特に北ヨーロッパからやって来る人たちが多いようです。
路地は狭く、両側から民家が押し迫ってくるようです。
ここの民家はどれも古く、岬の上にあり塩風を受けるためか、あちこちで外壁が剥がれ落ちているところをよく目にします。
建物はいずれも2階から3階建ほどで、ほとんどの外壁は白い漆喰で塗り固められています。
写真の建物はピンクがかって見えますが、おそらく白なのです。ところどころで顔を出す空は見事な紺碧。
そうそう、こんな迷路のようなところをぐるぐる廻っていると、思いがけない所から海が現れてびっくりすることがあります。
ここはそんなところの一つで、狭い路地の先に紺碧の海、横には小さなバルがあり、上にはこのバルのマークなのか、箒に乗る魔法使いのかわいらしい看板がぶらさがっていました。
バルは日本にあるバーとはかなり異なり、喫茶店と居酒屋と食堂とファミレスとキオスクがいっしょになったようなものと思えばいいでしょうか。
朝はコーヒーを、夜はタパス(小皿料理)をつまみながらお酒が飲めます。そして昼にはビールかワインが付いた定食をいただけます。もちろんここは港町だけあり、レストランでもおいしい新鮮な魚介類が結構安くいただけます。
強烈な光と熱を受けながらも、花々は元気です。
えっこらよっこら上って、お城に到着。
城壁の上には白い鳩が二羽。
ペニスコラ城は14世紀にテンプル騎士団によって建てられたものだそうで、15世紀にはアヴィニョン教皇のベネディクトゥス13世が住んでいたとか。
内部も見学できるようになっていて、ぐるっと一廻り。このお城は中庭がとてもきれいです。
お城からは周囲360°が見渡せ、古い街並を通してビーチが、そしてその反対側には漁港が見えます。
この港からは遊覧船が出ているので、半島の周囲をぐるっと一回り。断崖絶壁の上に建つ要塞のような旧市街はなかなか見応えがありました。
この時期、ここはものすごく暑いので、ビーチ近くでは男たちは上半身裸。
道端では八百屋や果物屋が店を出しているので、ここでフルーツをGET。 南国のフルーツは安くておいしいです。
広場では牛追いだか闘牛だかの冊を設置していました。
スペインの夏はお祭りシーズンで、ここペニスコラでももうすぐお祭りだそうです。この旅ではあちこちでお祭りに出合いました。
ビーチリゾートを楽しみ、古城を巡り、古い街歩きを楽しんだペニスコラです。日本ではまだあまり有名ではありませんが、ここはとてもすばらしいところでした。
そのペニスコラを後にし、今度は本当の夜行列車でアンダルシアのグラナダに向かいます。