ブルドのバヤン・ゴビ・ツーリスト・キャンプの朝の目覚めは壮快。
今日もどこかの彼方から動物の鳴き声が聞こえてきました。でもその動物はここからは見えないんですよね。
私たちのテントにボロルマと彼氏がやってきて、朝ご飯に行きましょうと言います。
食堂に移動です。
この施設の食堂は巨大なゲルです。これ、宿泊棟ゲルの何倍も大きいです。
一般のゲルの装飾は簡素ですが、ここは木々が鮮やかな色に着色されていて、その他の装飾もきれいです。
ここで四人で朝ご飯をゆっくりいただきました。
さて、今日は適当に寄り道をしながらウランバートルに戻ります。
モンゴルには草原しかありません。
そしてそれを取り巻く小高い山。時折その中に白いゲルが現れます。
ここには音というものがありません。時折吹く風の音以外は。
草原を突き抜ける道路はほとんどまっすぐです。何もないのでうねうねと曲がる必要がないのです。
ここの路面は比較的良好ですが、実際はかなり凸凹したところが多いです。
そんな道端に、なんだかよく分からないものが置かれています。
低い台のようなもの、南京袋を被せられた何か、棒に括り付けられた紙切れのようなもの。
突然道脇から飛び出してきた女の子は看板らしいものを置き、南京袋を取り去ると、あっという間に去って行きました。
ボロルマによると看板にはアイラック(馬乳酒)と書いてあるそうです。南京袋から現われたのは牛乳缶のようなもので、この中にはたぶんアイラックが入っているのでしょう。ロード・サイドの一杯飲み屋といったところでしょうか。
女の子が去ったほうを見ると、放牧された羊たちの群れの先にゲルが見えます。
今日は特に予定はないので、あのゲルにちょっとお邪魔してみることにします。
ここには五つのゲルがあります。寄り添うようにして立つ二つのゲルが二組。少し離れて一つだけのものが一組。
そして家畜の囲いや、外回りの道具などの倉庫らしきものが見えます。
このように近いところにあるゲルは大抵、一つの家族か、その親戚がいくつか集まって構成されているそうです。
道路から走り去って行った女の子のゲルはこちら。
『サェン バェ ノー(こんにちは)』と声を掛けると、中から少女のお姉さんらしき人が出てきました。ボロルマが、おじゃましていい? と聞くと、今度はお母さんが出て来て、どうぞどうぞ、と招き入れてくれました。
真ん中の青い服の少女が、さっきアイラックの南京袋を取っていった子です。
昨日教えてもらったようにゲルの内部には決まった席があり、入口から見て正面は主人席で、左側が客人と男の席なので、私たちは左側に通されました。
主人席の横にはきれな飾り棚があります。そこには家族の写真や美しい陶器などが飾られています。馬乳酒や食器類は女の席である右側の入口側に置かれています。ゲルの中央付近にはストーブが置かれ、見上げればトーノ(明かり採りの輪っか)から干し肉がぶらさがっています。
ボロルマの通訳でひとしきり話を聞いたのち、外で記念撮影をどうですか、と言ったら、なんとみんな着替えをしたり髪にリボンを着け出したりしました。
モンゴルでは写真は、やっぱりまだ大切なものなのです。
ある村で少女達が馬に乗り、先を急ぐところに出会いました。
『どこいくの〜』 とボロルマ。
『今日は村のお祭りなの。この先の広場でやっているのよ。』 と先頭の少女。
じゃあ私たちも行ってみよう。ということで少女達の後を追うと、すごい人だかり、というか馬だかり。
後ろから見ると馬のお尻ばかりが、ずらっ〜。(笑)
みんな馬に跨がり、熱心に前方を見つめています。
いったい何をやっているのだろうと、間をすり抜け前へ出ると、やっていましたモンゴル相撲。
2人の力士がそれぞれもう一人の介添人と共に現われました。介添人が力士の帽子を取ると力士はなにやら踊りを始めました。
『あれは鷹が舞い降りる仕草なの。』 とはボロルマの解説。
力士はみんな引き締まったマッチョな人ばかりで、日本の力士というよりレスラーに近い感じです。草原のあちこちの複数箇所で取り組みは行なわれています。
『あれ、土俵がないね。』
『モンゴル相撲には土俵はないの。だから押し出しはナシで、倒されたら負けよ。』
『ブーツ履いているし、胸の方だけないチョッキみたいなのも着ているね。』
『チョッキを掴んで投げてもいいのよ。手は地面に着いても負けにならないの。』 と少し日本の相撲とは違います。
ああそうなんだと思っていたら、正面の取り組みで豪快な投げ技が決った。迫力あるぅ〜! 最後の儀式は負けた方はチョッキの紐を解き、相手の腕の下を潜るというものでした。
モンゴル相撲はかなり面白く、いつまで見ていても飽きないものでしたが、小腹が空いてきました。
ここでちょっとおやつ休憩を。
ブルドから300kmほど走ってウランバートルに入ると、モンゴルではここだけが別世界のようで、現代的な高層アパートメントがあちこちに立ち並んでいます。
まったくの草原地帯から突然こんなところにやってきたら、きっと頭がおかしくなるに違いありませんね。