桜が咲きました。都心ではお彼岸の中日、春分の日に桜が開花したそうです。もう一週間もすると満開で、花見に忙しくなりそうです。
東京近郊でソメイヨシノとほぼ同じ時期に咲くのがカタクリです。ということで今回は、埼玉県は比企郡小川町の仙元山(せんげんやま)に咲くカタクリを見に行きます。
東武東上線の終着駅小川町駅を出るとすぐ、仙元山が見えてきます。カタクリはあの山の北斜面の裾野に咲いているのですが、まずはお山の上にある展望台に上ることにします。
写真左のピーク付近に展望台はあるのですが、写真ではあまりはっきりしませんね。
槻川(つきがわ)を渡るとほどなく仙元山の上り口に到着します。
これを入れば入口付近の勾配はきつくて、最初からハヒハヒのミルミル。
それをものともせずに飛ばすは、いつもはローディーなシンチェンゾー。
シクロクロスもやるシュンシュンがそれを追い、あとの面々はゆっくり上り詰めていきます。
15分ほどアヘアヘしたら仙元山見晴らしの丘公園に到着です。
ゲートの上に見えるのは巨大滑り台で、先に見える黄色は満開のサンシュユ。
呼吸を整えたらこのすぐ左手にある展望台に上ります。
ここのところずっと暖かかったのですが、今日は寒の戻りで気温が低い上に曇り空。果たして眺望はどうでしょうか。
展望台からの眺望は北に開けており、晴れていれば北関東の有名どころの山がほとんど見えます。この日はどうかと言うと、お、見える見える。
上って見え出す順番に並べると、まず東に関東平野の中に佇む筑波山。
そして北に日光の男体山。
視線を左にやると群馬県の赤城山。
西には榛名山。
そしてさらに西には雪を被った浅間山。
展望台からの眺めを楽しんだら、仙元山の奥へ向かいます。
すると道端に桜が。花びらが小さく細い品種で、この時すでに八部咲きになっていました。この隣にはすでに葉を出した桜も咲いています。
見晴らしの丘公園から奥は砂利道ですが、勾配が緩いので乗って上って行けます。
道が槻川の谷に突き当たってなくなると、横の小高いところに小さな東屋が建っており、そこから奥に仙元山の山頂へ向かう散策路が延びています。
槻川はここで大きくうねって手前の山裾をぐるりと廻り、物見山(ものみやま)の裾野へ続いています。物見山はこの仙元山の山頂から続く尾根で、私たちはあとでその先にある小倉城跡に上ろうと思います。
さて、ここからはカタクリを見に西光寺に向かいます。
やってきた道をほんのちょっと戻ったところから、八幡神社に下るシングルトラックに入ります。
この入口は狭い上に激坂なので慎重に下ります。
序盤は勾配がきつい上にガレ石で走りにくいのですが、次第に勾配が緩くなり、石ころもなくなってなんとか自転車に乗って進むことができるようになります。
このシングルトラックは途中で分岐し西光寺方面にも抜けられたはずなのですが、どうやらその道はなくなったらしく、見つけられませんでした。それで『カタクリとニリンソウの里』に出ようとしましたが、これも失敗。結局八幡神社のところに出てしまいました。
八幡神社の横の大きな桜の木は満開です。
その足下では春の花が咲き乱れています。
八幡神社からは槻川に沿って西光寺へ。
途中に『カタクリとニリンソウの里』がありますが、これはあとで。
西光寺は鐘楼が正面にあり、そのすぐうしろでしだれ桜が咲いています。
この寺はカタクリとともに、この桜でも有名なようです。
一瞬、有名だというほどに桜の木は大きくないなと思ったのですが、よく見ると幹はかなり太く、老木のようです。
幹の上部は折れたのか枯れたのかして成長が見られず、現在花を付けているのは幹の中腹から延びている枝です。
その枝も下から支えなければならないほどのようで、つっかえ棒が何本も立っています。
満開。
花の色はソメイヨシノよりだいぶピンク色が強いです。
『
さて、しだれ桜を眺めたらカタクリです。このあたりには『カタクリとオオムラサキの林』、西光寺付近、『カタクリとニリンソウの里』と、三箇所カタクリが咲く場所があります。まずは『カタクリとオオムラサキの林』へ。
歩き出すと足下にそこそこカタクリが見られるようになります。昨日は暖かかったのでたくさん花が開いていたそうですが、今日は気温が低い上に日差しがないので、みんな花を閉じています。某天気予報では9時から晴れマークが付いていたのに。ショック!
仕方がないので『カタクリとオオムラサキの林』にある蝶の展示館に入ってみることにしました。ここではオオムラサキの他にも世界各国の珍しい蝶を見ることができます。
巨大な蛾や、とてもこの世のものとは思えない美しい蝶が並んでいますが、中でも南米のものは大きく一際カラフル。
これはブラジルの蝶で、開帳15cmくらいあります。
デカくてきれい。こんなのを見ると、リオのカーニバルの華やかさもうなづけるというものです。
カラフルということで言うならシジミ蝶もなかなかのものですが、これはなにせちっちゃい。
その倍くらいあるのがオオムラサキ。
この蝶は色もそこそこきれいですが、なんと言っても大きさが際立っています。国内の蝶としてはね。
カタクリは残念でしたがこの周辺ではレンギョウやユキヤナギが咲いていました。
ユキヤナギは白い花しか知りませんでしたが、ここでは赤いものも咲いています。
西光寺まで戻り遊歩道を行くと、カタクリの群生がありました。
雑木林の中にかなりの数のカタクリが花を付けています。
ここでもほとんどの花は蕾んだままですが、ごく僅か開いているものも。
その中に一輪だけ、あの花がくるっと丸まったものが。(TOP写真)
この遊歩道は『カタクリとニリンソウの里』まで続いています。
『カタクリとニリンソウの里』でもカタクリは見られるのですが、ここは数が少なく、しかも少し離れているのであまりぱっとしません。
ジオポタの花、ニリンソウ(二輪草)がちょっとだけ花を付けていました。まだ二番目の花の蕾は小さく、一輪草状態。(笑) あ、本当に一輪しか花を付けないイチリンソウという名の花がありますよ。
『カタクリとニリンソウの里』からは物見山方面へ向かいます。
槻川を渡って、
田んぼの中をどんどこ。
周囲には遅い梅と真っ白なコブシが咲いています。
坂下の集落の外れから物見山に上ります。
これは完全な山道で、えっこらよっこらと自転車を押し上げます。
この道端にも少しカタクリが咲いています。
ここも花は少しだけ開いた状態ですが、見ようによっては、くるっと反っくり返った姿より上品と言えるかもしれません。
300mほど押し上げると勾配が緩くなり、仙元山から青山城跡を経て物見山山頂を通る尾根道から下ってくる道に出会います。
ここは十字路になっており、このまままっすぐ南東に行くと舗装路に出て小倉の集落に抜けますが、私たちはここから北東に向かいます。
十字路からごく僅かに進むと小倉城跡です。ここは戦国時代の山城で、遠山氏のものと伝わります。
ここには何段にも郭が造られており、石積みがあちこちに残っているようです。写真は本丸に当たる郭1と書かれたところで、この端からは南東の眺望があります。
写真では良く見えませんが、超高層ビルが何本も立っているのが見えます。どこでしょうか。新宿あたりが見えているのか、それとももっと手前の所沢あたりか。
小倉城跡からはさらに北東に道が続いているので行ってみることにしました。
北の虎口(こぐち)からは細い急な下りになるので、慎重に進んで行きます。そのうち勾配が落ち着き、右手に日枝神社が見えてきます。
道はまだ先へと続いていますが、日枝神社に素晴らしいしだれ桜があったのを思い出したので、神社の前に出て見ることにしました。
しかし残念ながらここのしだれ桜は咲き出したばかりで、見頃はもう少し先のようです。
さて、小倉城跡付近のハイキングを楽しんだあとは、すぐ前に見える大平山(おおひらやま)に登ります。
ところが、もうハイキングはたっぷり楽しんだから大平山には登りたくない、というものが続出。(笑) まあ今日は登ってもあまり眺望が期待できないしね。
ということで、その下を流れる嵐山渓谷沿いを行くことに。
嵐山渓谷は槻川が大平山のところで大きくうねるところにできたもので、岩畳と清流が楽しめるのですが、なにせこの日は寒く、川に降りて散策する気になれず、ささっと先を急ぐのでした。
嵐山渓谷の東には菅谷館跡(すがややかたあと)があります。
ここには桜の大きな木が何本かあり、いずれも満開です。かなり赤みの強い色の花です。
今日はカタクリはちょっと残念でしたが、桜がかなり良好で、都心より一足早い花見となりました。
菅谷館跡は鎌倉時代の武士・畠山重忠の居所と伝わるもので、現在の遺構は戦国時代に整備拡大されたものらしく、土塁や空堀などが良く残っています。
寒いな〜、と思っていたら空からパラパラと白いものが。あられ! うわ〜〜〜
天気予報の晴れマークはいったいどこへ行ったんだ!
ちょうど昼飯時だったので、菅谷館跡近くのレストランに避難。なんとか霰は切り抜けました。
さて、午後の部はまず笛吹峠まで上ります。
学校橋で槻川を渡り、将軍澤に入ります。
将軍澤はこのあたりの地名ですが、このすぐ近くには沢が流れているようなので、もしかしたらこの地名はその沢と関係があるのかもしれません。
学校橋から笛吹峠に至る笛吹通りには少し車の通りがありますが、こちらは皆無で快適。
この将軍澤で先頭のサイダーがパタリと停止。
『このままだと時間が余っちゃうから、笛吹峠に向かうのはやめて、このあたりをちょっと探検しましょう。』と言います。他の面々はもちろんただポカンとしているだけ。(笑)
サイダーが入って行った道はすぐに地道になり、かなり怪しい雰囲気に。
それでも序盤はなんとか道らしきものがあり、ピンクのリボンがあるから行けるはずやろ、と暢気なサイダー。
しかし他の面々は、いやいや、このリボンは道しるべじゃあないかも。。。 と内心思っていたのでした。
道はいくつかに分かれており、最初に選んだ道は沢に下っておしまいになりそうなので、戻ってやり直し。
次に選んだ道は、まあ案の定、、 笹に阻まれ進行不能! およよ〜
仕方がないのでさらに戻ってまたやり直し。写真が通りから入って最初に現れた分岐点で、さっきはここを左に行ったのですが。。だってどう見ても左の方が行けそうじゃんよ。
右は笹のトンネルから始まりますぞ。行くんかいな本当に、これを。
で、行きますよ〜
『おい、サイダー、これ、本当に行けるんかい?』 と、シンチェンゾー。
『そんなのわかんね〜ぞなもし。だから探検なんだっぺ。』 と、サイダー。
この道、やはり先ほどと似たような経過を辿り、入口付近はそこそこの幅員があったものの徐々にそれは狭まり、足下の笹を払いのけるようにして進まなければならなくなります。
しかしその状況を脱すると、少し道幅が広がるではありませんか。で、で、な、なんと、誰も行けないと思っていたこの道、ついに立派にこんなに広くなったのです。
結局この薮道は、笛吹峠から岩殿観音へ続く『観音巡礼の道』に出たのでした。『観音巡礼の道』は砂利道ではあるのですが、先ほどまでの道に比べればこちらはちゃんとした道であることがはっきりと伺える、ニュアンスとしてはそれくらい異なるもので、みんなホッ。
以上にて探検終了。ちょっとは時間つぶしになったかな。(笑)
『観音巡礼の道』を辿り県道に出たらそこから再び小径に入り、JAXAの地球観測センターに向かいます。
谷津の奥へと向かっていた道は谷津がなくなると極細道となり、山の中に吸い込まれていくようになります。
案の定、この道もまたそのうち砂利道に。
ちょっとへこへこして辿り着いたのがJAXAの地球観測センターで、巨大パラボラアンテナが見えます。
このアンテナは直径11.5mあるそうで、地球観測衛星が観測したデータを受信するもののようです。
地球観測センターの巨大アンテナを眺めたら、岩殿観音です。
坂東三十三箇所の十番札所になっているここには巨大イチョウがありますが、この時はそのすぐ横の桜が咲き出していました。
真っ白なコブシも満開です。
ここの鐘楼からはまっすぐに延びる参道がよく見えます。
岩殿観音からその参道を下り、弁天沼までやってきました。
ここからはしばらく九十九川沿いを行きます。
道はこども動物公園付近から自転車道になります。
これは誰も通らない自転車道です。
R407東松山バイパスの手前でこの自転車道を下り、田んぼの中を進んで西を見れば、
外秩父の山々がきれいに並んで見えます。
ここまで天気予報は外れに外れ、晴れのはずがずっと曇りでした。しかしここに来て、雲が明るさを増しています。
越辺川(おっぺがわ)の沈下橋・島田橋を渡ります。この橋は2014年に大雨で流失しましたが、その後ほぼ元の姿で架け替えられました。
ここはロケでたびたび使われており、最近ではNHKの大河ドラマ龍馬伝にも登場しました。
『やっぱりこの橋はいつ通っても素敵ね。』 と、ゆっくり橋を渡ってきたサリーナ。
島田橋からはしばし越辺川の自転車道をどんどこ。
ローディーのシンチェンゾーはジオポタが走らないことを忘れていたようで、この日はロード仕様に近いお召し物だったので、とても寒く感じているようで、一人カッ飛んで行くのでした。
越辺川が都幾川に合流すると土手上の道は砂利道になるので、これを下りて田んぼの中をどんどこ。
空にはうっすらと青い色が見えてきました。
小畔川の沈下橋・鎌取橋を渡って入間川の土手に上れば、
どうやら半日遅れで日差しが戻ってきました。遅いぜよ〜
まあそれはともかく、日差しを浴びて走る入間川自転車道は気分よし。
陽の光を反射して輝く入間川。
本日の終着地は川越です。
30年と少し前、ここはかなり寂れた商店街でしたが、とある事業をきっかけに蔵のまちは少しずつ手入れされだし、まつり会館ができ、当時は確か飴屋横町と呼んでいたあたりは菓子屋横町として整備され、今ではここ一番街は大観光地になりました。
その川越のシンボルとも言えるのがこの『時の鐘』。
昔はこの近くの刃物屋のご主人がこの鐘を鳴らしていましたが、だいぶ前に電動になったと聞いています。この鐘は今でも鳴り続けているのでしょうか。
今日は気温が低くて日差しがなかったため、カタクリはちょっと残念でしたが、桜をはじめとする春の花々がきれいでした。時間調整の探検もちょっと面白かったし(笑)、まあ、まずまずだったでしょうか。