大型の台風14号の影響で先週末は全滅。それに続いてやってきた15号が昨夜、千葉県をかすめるようにして進み、温帯低気圧に変わりました。一夜明けた今日はまだ快晴とはいきませんが、なんとか晴れ間が見られそうです。
秋の彼岸も終わろうとしているこの日、神奈川県の伊勢原に彼岸花を観にやってきました。日向地区には鄙びた景色があり、そこに彼岸花がたくさん咲くところが何ヶ所もあるのです。彼岸花、ぎりぎり間に合うかな〜
伊勢原といえば大山(おおやま)です。大山は古くから信仰の対象であり、江戸時代には『大山詣り』がとても盛んになりました。
伊勢原の駅前にはその大山の上にある大山阿夫利神社の鳥居が立ち、参道が奥へ延びています。
本企画のタイトルとなっている日向薬師とその周辺にある彼岸花の群生地は、大山から東へ流れる日向川沿いにあります。
そこへはr63-r64と進めばあまりアップダウンはないのですが、私たちは大山の尾根の一つを越えて行くことにしました。ということで、しばらくは大山を目掛けて進みます。勾配は緩いものの、出発からずっと上りです。
r611大山板戸線に入りって新東名高速道路をくぐるとほどなく、r611は新道と旧道に分かれます。旧道は幅員がぐっと狭まっていい空間になります。
子易の這子坂バス停を過ぎ易往寺の角を右へ入ると、道は急に斜度を上げます。
この道は大山の尾根を行く仁ヶ久保林道(にがくぼりんどう)に続きます。
道端には彼岸花が咲き出しました。
その彼岸花を眺めながら上る面々ですが、サリーナはすでにちょっと苦しそう。
緩いカーブの手前に片側が開かれたゲートが出てきました。
ここからが仁ヶ久保林道なのでしょうか。
さらに上って行きます。このあたりはの勾配は10%を超えていそうで、ちょっときついです。
ピンク色のヒラヒラなムクゲが咲くところまで上ると、横のジビエ料理屋の犬がワンワンと騒がしく吠えます。
この料理屋は狩猟もしているようなので、おそらく狩猟犬なのでしょう。
その先にはこんなゲートがありました。こちらは両側とも締まっています。先ほどのゲート付近には林道を示す標識は見当たりませんでしたが、ここにははっきり林道の文字が見えます。
なんだかクラクラするとサリーナが言うので、ここでちょっと休憩です。
サリーナがもう少しだけ進んでみると言うので、リスタート。
仁ヶ久保林道の序盤は竹林と針葉樹林です。コムランはかけ上って行き、サイダーとシュンシュンはマイペースでゆっくり上って行きます。
サリーナはヨタヨタしながらなんとか上ってきましたが、ここのところハードスケジュールで昨夜も十分に睡眠をとれなかったらしく、ふらふらしています。
そこへもってきてこんな坂が現れるから、たまったものではありません。
出発地点から6kmと少々、標高270m地点でサリーナはリタイアすることになりました。
サリーナは予定外のリタイアは今回が始めて。ん〜ん、残念。
サリーナと分かれたサイダー、コムラン、シュンシュンはさらに上って行きます。
このルートの前半にはほとんど眺望はないのですが、一ヶ所だけちょこっと南西に開けたところがあります。
単純な形の大山も、こうして見るといくつも尾根があります。
ヘアピンカーブを廻ってぐぐっと戻るようにして進むと、先ほど眺望が開けたところの上で再び眺望が開けます。
もうほとんど尾根の一番高いところなのですが、道は尾根線上までは達せず、そのすぐ下を廻って進んで行きます。
するとカーブの先に浄発願寺近くに下る道のゲートが出て来ます。
このゲートを過ぎると勾配が穏やかななり、
右手に北東の眺望が開きます。
すぐ下は七沢、その先は町田あたりが見えているようです。
尾根線を跨いで視界の開く方向が変わると前方に大山が姿を表しました。駅付近から見たものと比べるとだいぶ低く見えます。現在地の標高がそれだけ上がったことがわかります。
大山が見えると仁ヶ久保林道の出口はすぐです。
この出口には写真のゲートが設けられています。ここが本日の最高標高地点です。
ゲートの先は日向林道(ひなたりんどう)です。
日向林道は日向川の『ふれあいの森日向キャンプ場』から上り出し、仁ヶ久保林道のゲート前を通って大山ケーブルカーの近くまで進むのですが、その手前を流れる鈴川に阻まれて終わります。
ということで日向林道は単に下るだけ。眺望もまったくなく、さーっと下って行きます。
2kmほど下ると日向林道のゲートです。このゲートの先には小さな滝が落ちています。
滝の横には『日向の水』の採水用のパイプがあり、煮沸して利用しろという看板が立っています。
ヘアピンカーブを廻って下の道に出ると『ふれあいの森日向キャンプ場』の駐車場に車がずらり。キャンプ場には人はいなさそうですが、ここから渓流釣りなどに行くのでしょうか。ちなみにこの駐車場の端に日向林道起点の標識が立っていますから、正式な日向林道は先ほどのゲートからではなく、この駐車場のところからということになります。
さらに下って行くと『クアハウス山小屋』です。ここには自動販売機があるので補給します。
この道沿いを流れるのは日向川で、このあたりは日向渓谷と呼ばれています。そしてこのあたりを日向地区と言うようです。
その日向渓谷を下って行くと浄発願寺です。このお寺には三重塔があります。
ここでサリーナから連絡があり、今、彼岸花の群生地近くの諏訪坂下バス停にいるといいます。伊勢原に戻る途中で日向地区の彼岸花群生地が意外に近いことに気付いたのでやって来たのだそうです。ということでここからは寄り道をせずに諏訪坂下に向かうことにしました。
浄発願寺からさらに下ると、ちょうど稲刈りが行われている最中の田んぼが現れます。畔の彼岸花の赤と稲の緑色の対比が良いですね。
この田んぼの先から日向川の左岸を行く日陰道をちょっと覗いてみるつもりでいたが、昨夜の大雨で足下が悪そうなのと、サリーナのところに向かう都合があるのとで、これはまたの機会にしました。
日陰道の入口の橋のちょっと先に彼岸花が群生していました。
里で見る彼岸花の多くは先ほどの田んぼの畔のようなところに、農作物をモグラやネズミなどから守るために植えられたものらしいですが、ここは小さな畑と民家の間の斜面です。
その先の角は垂直に近い高い擁壁ですが、彼岸花で覆われています。こんなところには自然には生えないでしょうから、人の手によって植えられたのでしょう。
ここから左へ入って行く道が薬師林道でこれを行くと日向薬師がありますが、日向薬師はあとで。
このあたりは始めてというコムランは、『ここはいいところですね〜 伊勢原にこんなところがあったなんでまったく知りませんでした!』 と感心しています。
このあたりには彼岸花の群生地がたくさんあるのですが、それらをぜんぶすっ飛ばして諏訪坂下へ向かいます。
諏訪坂下のバス停でサリーナと合流し、そこから細い道の奥にある彼岸花の群生地に行きました。
彼岸花はそろそろおしまいなのですが、まだまだ元気なものもたくさん残っています。
群生地は基本的には畑や田んぼで、ここには紫色の小菊が植えられていました。ブラキカムの園芸種の姫小菊でしょうか。
ここには蓮池もあります。蓮の大きな葉っぱが陽の光を透かしてきれいです。
その先の田んぼとの境には彼岸花がびっしり。
本日のメンバーは左より坂はダッシュで上るコムラン、今日の上りはブロンプトンでちょっときつかったシュンシュン、体調復活?のサリーナ、カメラはいつものサイダー。
この群生地は入口部分は広くはなく、見える彼岸花の数も多くないのですが、奥行きがあってびっくりしました。
彼岸花を堪能したら昼食処へ向かいます。
うしろには大山が見えていますが、その手前の尾根を先ほど私たちは走って来ました。
昼食処はr64伊勢原津久井線に何軒かあるので、そこへ向かいます。
道脇は畑でここの土手にも彼岸花が咲いています。
r64に出て最初に現れたレストランは普通の民家のような『オリーヴの樹』でした。
この庭先にはヤギさんがいました。
鬚が生えていますが女の子ですかね。ヤギのチーズでも作っているのでしょうか。
小さいレストランなのですが運良く入れました。そしてここは意外とおいしかったです。スープ、パン、パスタ、それに飲み物付きでリーズナブルです。
しかしご夫婦だけで切り盛りしているようで、サービスには少々時間が掛かり、予定より30分も余計に過ごしてしまいました。
昼食後、今日は無理をせずに帰ると言うサリーナと別れ、日向薬師へ向かいます。
メインの道に出るまではどこにでもあるようなカントリーロードで、民家の庭先にはコスモスが咲いていました。
先ほどお伝えしたように日向薬師へは薬師林道を行くのが一般的ですが、本来の参道は日向神社から入ったところにあります。今回はこの参道を行きます。
本来の参道は山道で、急な階段が続きます。
比較的新しく整備された石の階段を上って行くと山門(仁王門)があり、これをくぐると今度は勾配はそれほどではないものの、苔むした古い石段になります。
そして最後に再び急な石段を上ると、
茅葺き大屋根の本堂(薬師堂)に辿り着きます。
前回ここに来たのは2017年で、350年ぶりの大修理が終わって1年ほどした時でしたが、それから5年経ち、新しく葺きかえられた大屋根の茅もだいぶ馴染んできました。
日向薬師にお参りしたら元のところに戻ります。
それにしてもこの石段、転げ落ちそう!
表参道の入口で自転車をピックアップし、このあとのスケジュールを検討します。昼食で少し時間を使ってしまったので時間に余裕がなくなったのと、最後に予定していた半原越はちょっときついので、どうしようかと。上りはこのあとの薬師林道もあるので半原越は止めて、この周辺をもう少し散策することにしました。
日向神社の前にも彼岸花の群生地があるので覗いてみることにしました。『彼岸花の里』という名が付けられているここは、緩やかな勾配の棚田です。
珍しいことにこの田んぼでは稲架掛け(はさがけ)がされていました。
稲架掛けはこのように稲を棹に掛け天日で干すことですが、最近はコンバインが刈り取りから脱穀までしてしまうので、稲架掛けを見る機会が少なくなったのです。
やはり彼岸花には田んぼの畔が良く似合います。
棚田の段々が雛壇になっています。
上の方は畑になっていました。この農家では稲はもう作らなくなったのですね。
手前に咲くのは彼岸花ではなく、あのなつかしいサルビア。
花を引っこ抜いてその根元に付いている蜜をすすったのは小学生の頃でした。
白花曼珠沙華(しろばなまんじゅしゃげ)も見えます。
白花曼珠沙華は彼岸花と黄色の彼岸花ショウキズイセン(鍾馗水仙)の自然交雑種らしいですが、現在は観賞用として栽培されています。
『彼岸花の里』の田んぼの作業風景。
『彼岸花の里』を堪能したら薬師林道に入ります。
薬師林道は先ほど紹介した角から日向薬師の横を通り、七沢温泉(ななさわおんせん)の観音寺付近までの約3kmです。前半は上りで、日向薬師の少し先でピークを迎え、あとは下り。このピークが伊勢原市と厚木市の境界で、これより厚木市になります。
七沢温泉の少し手前には七沢展望台があります。
これは小さな展望台であまりパッとしませんが、厚木方面の眺望があります。
七沢展望台からの下り。
七沢まで下ったらr64は避けて川沿いの道を北へ向かい、七沢自然ふれあいセンター方面へ。その七沢自然ふれあいセンターから先はこんな鄙びた道です。本日唯一のダート!
ゴルフ場の間をすり抜けるようにして進み、r64に下ったら半原越とは別のルートで橋本へ向かいます。
まずr60で東へ進み、R412を北上することにしました。
荻野地区に入り西を見ると、高取山、華厳山、経ヶ岳と見えてきます。最初の予定で行くことにしていた半原越はあの経ヶ岳の向こう側を上るコースです。
ここでR412に出てコンビニでアイスクリーム休憩。
愛川町に入ると半原越をして来る予定していたルートに戻り、三増合戦場跡碑の横を通り抜けてどんどこ行きます。
ここはうしろの山並みがいい感じ。
高田橋に出ると、相模川は昨夜までの大雨で濁流と化していました。
このあたりを縄張りにしているシュンシュンは、高田橋から橋本までは上りだからきらいと言っていましたが、そのとおりで、まず相模川の河岸段丘をガーッと上ります。
でもそのあとの畑の中を行くコースは、なかなかいい感じで好きです。
小さな鳩川を渡ったら県道を行けば良いものの、いつもの調子で裏道を進んだら、住宅地の中に20%近い超激坂があってコムランは足がつってしまいました。
そこを凌ぐと先に超高層マンションが何本か見え出します。なんとか橋本に到着です。
今日は半原越をカットしたにもかかわらず、かなり疲れました。まだコロナ疲労から脱し切っていないのかもしれません。以前の体力に戻れるのかちょっと心配です。
彼岸花の花期は2週間ほどと短くはありませんが、なかなかタイミングが合わずに毎年見に行くというわけにはいかないのですが、今年はなんとか間に合ってよかったです。日向はいいところです。