茨城県ひたちなか市は那珂湊港の日の出。
昨夜、アンコウ鍋でお腹を膨らませた面々ですが、今朝も鱈腹朝ごはんをいだだき、お腹が重くてご挨拶のジャンプはご覧の通り、まったく飛べないのでした。(TOP写真)
さて、今日はここから太平洋岸を南下し、大洗を経て汽水湖の涸沼(ひぬま)を廻り、霞ヶ浦に出て土浦までというコースです。しかしお天気がどうも怪しくて、昼から雨になりそう。というわけで、空とにらめっこしながら行けるところまで走ることに。
昨日は店仕舞いの最中だったおさかな市場は朝早くのこの時間、もう営業を始めていました。
港を出たら那珂湊の街中を抜け、港公園に向かいます。
港公園は那珂湊の真ん中の小高い丘の上にあります。
ちょっとだけえっこらよっこら。
この港公園は水戸藩主の別荘の夤賓閣(いひんかく)があったところで、『湊御殿の松』と呼ばれる樹齢300年以上の黒松12株が残っています。
またここは湊八景の一つに選定さており、『日和山の秋月』の碑が立っています。このあたりでは徳川斉昭が選定した『水戸八景』(1833年)が有名ですが、この湊八景は選者不明ながらそれよりも70年以上前の文献に載っているそうです。
ここはなかなか眺めがいいね〜、と周囲を見渡す面々。
今日は天気が今ひとつなのが残念ですが、ここからは太平洋も見えます。
さて、港公園からの眺望を楽しんだら那珂湊を出て大洗に入ります。
ひたちなか市の那珂湊と大洗町を繋いでいるのは真っ赤な海門橋。
その海門橋が架かるのは昨日水戸から土手を走ってきた那珂川。那珂川はこのすぐ先で太平洋に注いでいます。そしてこのすぐ上流では今日の後半お世話になる涸沼川が流れ込んでいます。
海門橋を渡った大洗側にはアクアワールド茨城県大洗水族館があります。
この水族館は日本でもトップクラスの大型水族館で、サメの飼育種類数は日本一。一時ジンベエザメの飼育に乗り出す方針が発表されましたが、残念ながらこれは白紙に戻ったようです。でもここには日本最大級のマンボウ専用水槽がありますよ。
アクアワールド茨城県大洗水族館の南は海岸道沿いに大きな駐車場が整備されており、一帯が大洗公園になっています。大洗の名のとおりにこの海岸は波が荒いことで有名です。
写真左手に見えるのが本日の出発地の那珂湊。
大洗公園を出て少し行くと昨日お詣りした酒列磯前神社(さかつらいそさきじんじゃ)の兄弟である大洗磯前神社があります。この神社の創建は856年で1100年以上もの歴史を誇り、前の磯にはめずらしいことに鳥居が立っています。
海の中に立つ鳥居としては宮島の嚴島神社それが有名ですが、あそこは非常に穏やかな瀬戸内海なのに対し、この大洗磯前神社のものは荒々しい太平洋の中。
このあたりは日の出の名所で、元旦には宮司以下の神職がこの磯に降り、太平洋に昇る初日の出を奉拝します。
『神磯の鳥居』をうしろに記念の一枚。
神磯の鳥居のすぐ南にはこのあたりでは大洗灯台と呼ばれている磯浜灯柱があります。今日はすでにその役目を終えたちっちゃな灯台ですが、なかなか味があります。
神磯の鳥居と大洗灯台を眺めたら上の道に戻って大洗磯前神社の大鳥居を潜ります。
大鳥居の先は大洗港です。
大洗港は漁港、フェリーターミナル、マリーナなどいくつかの用途から成ります。
フェリーの定期航路はここ大洗と北海道の苫小牧とを結ぶもので、写真に赤い煙突がちらっと写っているのがその船『さんふらわあ』。
大洗港のすぐ北を走るメインロードのサンビーチ通りには松並木があり、その中に気持ちが良い遊歩道が整備されています。
松並木をしばらく進んで行くと通りの名になっているサンビーチ海水浴場があるのですが、今は季節ではないのでこれはパスし内陸へ向かいます。
那珂川の支流の涸沼川に架かる大貫橋を渡ります。
大貫橋のすぐ下の涸沼川ではしじみ漁がされていました。このあたりは涸沼を含めて汽水域で、しじみが名産なのです。しじみはもちろん大和しじみで、このあたりで採れるものはとっても大粒です。
大貫橋の西詰から涸沼川に沿って進んでちょっと行くと、涸沼自転車道になります。
このあたりの涸沼川の辺りは鬱蒼とした葦原で、たくさん野鳥がいますが、なかなかカメラに捉えることはできません。
なにかでっかいものが浮かんでいるな〜と思ったら、それは白鳥でした。よく見ればこれはコブ白鳥なのでどこかから逃げてきてこのあたりに住み着いたようです。
ここの涸沼自転車道は二車線ありますがとっても狭く、対向車が来たらすれ違えなさそうです。でも大丈夫、ここはジオポタ専用自転車道ですからね!
ここには釣り船が泊められていました。ある時期を境に首都圏の川はほとんど死んだも同然になってしまい、同時に漁業人口も低下の一途を辿っているので、最近は特に川で漁船や釣り船を見かけることは少なくなりました。しかしこのあたりでは先ほどしじみ採りの船を見たように、まだいくらか漁業もされているようでレジャーとしての釣りも盛んに行われています。
この自転車道でちょっとびっくりしたのは、釣竿が何本も並べてあるのにそこに釣り人の姿がないことがかなり多かったこと。
その筋の方からあとで聞いたのですが、これは釣り人は近くに車を停めてその中に滞在し、釣竿に設置したセンサーによって魚が掛かったことがわかったら出動する、という釣り方をしているからだとのこと。
へ〜、そんな釣りもあるんだね〜
進むにつれ涸沼川は徐々にその幅を広げ、涸沼になっていきます。
川幅がずいぶん広がってここはもう涸沼かなというところで、道下にアヒルだかガチョウだかを飼っているところが出て来ました。アヒルとガチョウはよく似ているので遠目では判断が付きかねるのですが、おそらくこれはアヒルでしょう。ここは茨城町。大葦原のあたりで大洗町が終わり、いつの間にか茨城町に入っていたようです。
アヒルを眺めて進めばいつしか自転車道は終わり、広浦公園に到着。
ここはキャンプ場になっており、釣り宿が数件並んでいます。
ここはまた徳川斉昭が選定した水戸八景の一つ『広浦の秋月』で、静かな景色が心を慰めてくれます。天気が良ければ西には筑波山が望めます。
今は秋ではなく、月も筑波山も見られませんでしたが静かな波の音を聞いて広浦公園を後にし、湖岸道路を西進します。
広浦から西は基本的に一般道ですが、すぐにこんな自転車道のような道が出て来ます。湖面が近くて気持ちいい!
先にこんもりした丘が見えて来ました。あそこは涸沼自然公園で、キャンプ場や見晴台があります。
小さな桟橋に繋がれたボートはレジャー用ではなく漁業で使われているものですね。その横に白鳥が二羽。
これは先ほど見たものとは違いコハクチョウですから、越冬のために北からやって来たのでしょう。もう3月も半ばですから、そろそろシベリアへ帰らなければならない頃ですね。
親沢公園に到着。
ここの地形は涸沼に三角形に飛び出しているので親沢鼻と呼ばれています。決して広くはないのですがキャンプ場でもあり、近年のキャンプブームで週末は賑わっていることが多いのですが、今日は天気が良くないので利用者はおらず。
先ほどの広浦公園もそうですが、ここは小さな小さなビーチがあり、夏には子供達がパチャパチャやるのに最適なところとなっています。
面白いことに親沢鼻の向かいにある陸地も三角形に出っ張っていて、向こうは弁天鼻と呼ばれています。
親沢鼻は元々は自然の地形でしたが、侵食で鼻がなくなってきたのか、その先端部分は自然石で護岸が築かれています。
親沢公園のすぐ先から再び涸沼自転車道が始まります。
親沢公園のすぐ西には小さな水路があり、小舟が数艘浮かんでいました。
涸沼の自然はかなり豊かで、魚はもちろんのこと、鳥類もかなり多くの種が飛来するようです。この時は猛禽類のなんとかいうやつがやってきていて、鳥好きの方々が大勢カメラを据えて狙っていました。
そうそう、この前来た時はチュウヒという猛禽類を見ました。
今日は何が飛んでいるのかなとカメラマンが指差す方向をじっと見つめる面々でした。
涸沼大橋に出るとその先の自転車道は砂利道に。
しかしほどなく舗装が復活。涸沼大橋のすぐ東側の自転車道はやりかえられたばかりだったので、先ほどの砂利道は補修工事中だったのかもしれません。
川がだいぶ狭くなったなと思ったら、いつの間にか横を流れているのは涸沼川から涸沼前川に変わっていました。
先に水色の旧国道6号線の長岡橋が見えてきました。涸沼自転車道はあそこまでです。
天気予報によればそろそろ雨が降ってくる時刻です。空はだいぶ前から怪しい雰囲気なので、ここで予定を変更し笠間市のJR常磐線岩間駅に向かうことにしました。
旧国道6号線を渡り茨城町の小鶴集落に入ります。この通りは先ほど渡った旧国道6号線のさらに旧道で、江戸時代は水戸街道でした。
岩間駅は涸沼川に沿ってまっすぐ西へ向かうと到着するはず。
ところが土手上も土手下も砂利道になってしまったので、涸沼川を渡って適当な道を探すことに。
今日大貫橋からお世話になった涸沼川とはここでお別れ。
沈下橋を渡った先はなかなか良い感じの田んぼの中を行く道があったのですが、これはすぐに終わってしましました。
田んぼから上がるとそこは県道の茨城岩間線。茨城岩間線は面白いことに同名の道がもう一本あり、こちらは北線でそれなりに古くからあるらしく、伝統的な造りの家が道沿いに立ち並んでいます。
ここで空から冷たいものが。これはヤバイ! 目的地の岩間駅まではまだ10kmほどあります。急げ!
雲の色はずっしり重くなっています。本降りにならないうちに岩間駅に着けるかな〜 と焦るマコリン。
このすぐ先で茨城町から笠間市に入りました。
道が水戸岩間線に合流すると常磐高速道をくぐります。さらに進んで国道355号線を渡ると、西にうっすらと天狗伝説がある愛宕山が見えてきました。岩間駅はあの山の麓にあるはず。
道脇は相変わらず畑でなかなか街らしいものは現れませんが、あと1kmほどです。小さな畑の中で巨大なコブシの木が真っ白な花を付けていました。
ようやく住宅が立ち並ぶようになってきたなと思ったところで岩間駅に到着。ちょっと降られましたがなんとか辿り着きました。
時は12時半。昼飯に丁度よい時刻ではあります。スマートフォンで食事処を探しますが、駅の反対側のかなり離れたところにしか見つかりません。岩間の中心は駅から西に400mほど行った県道沿いのようです。
雨は本降りになっているのであまり動きたくないのですが仕方ありません。決心してそっち方面へ向かって歩き出すと、なんと駅のすぐ前に『喫茶』の文字が。あ〜助かった〜
このお店は普段はあまり大勢で押しかけることはないのか、私たち7人が入ると女将がびっくりしていました。それで食材が足りないとか、ビールは缶が3本しかないとか、まあいろいろありましたが、なんとか食事にありついたのでした。ごちそうさまでした〜
今日は雨で予定の通りには走ることはできませんでしたが、涸沼あたりの穏やかな景色が見られたので良しとしましょう。
また来年もアンコウ、行きましょう。