今日は快晴の中、ビニャーレス渓谷の気ままなポタリング。とりあえずビニャーレス(Viñales)から20kmほど西にある『サント・トマスの大洞窟(Gran Caverna de Santo Tomás)』を目指します。
宿の前に出ると向こうからお馬さんがパッカパッカ。日本ではほとんど見ることがなくなった風景が、ここにはまだ日常としてあります。
朝の空気は清々しく、どこまでも澄み渡っています。サント・トマスの大洞窟までは幹線道路の一本道ですが、キューバは車が少ない上このあたりには小さな村しかないので、車はほとんど通らずサイクリングロード状態です。
ビニャーレスを出るとすぐに、これぞビニャーレス渓谷という風景が現れます。モゴーテ(mogotes)と呼ばれるぽっこりした小山が続く景色が広がります。
『モゴーテってポコポコと不思議な形よね〜』 と、この風景をとても珍しがるサリーナでした。
モゴーテは石灰岩が侵蝕されてできた地形ですが、この畑は赤茶色ですから、石灰岩の上に堆積した層があるのでしょう。
向こう側の荒々しい岩肌のモゴーテにはドス・エルマナス(Dos Hermanas=二人姉妹)という名がつけられているようです。あのあたりは面白そうなので、帰りに寄ってみましょう。
上の写真の畑を耕したのはこんな牛さんかもしれません。キューバの農業はあまり機械化が進んでおらず、動物は大事な労働力なのです。
牛のうしろのモゴーテが面白い形ですね。これはかなり侵蝕が進んだあとの姿なのでしょう。
ドス・エルマナスを過ぎると、先にモゴーテになる前のまだ山と言えるものが見えてきます。
あの山も石灰岩でできているので、これから長い年月を経たあとには先ほど見たドス・エルマナスのようなモゴーテになっていることでしょう。
ビニャーレスを出て1時間ほどでサント・トマスの大洞窟に到着しました。
この洞窟も昨日訪れたインディオの洞窟やサン・ミゲルの洞窟などと同様に、石灰岩の地層にあります。洞窟は写真のモゴーテのように見える小山の中にあるのですが、これはまだ山から完全に分離していないので、モゴーテとは呼ばないかもしれません。
この洞窟は壮大なもので見学コースも1時間半! ところが本日は正月休みのため入れないことが判明。残念!
しかしせっかくここまで来たので、洞窟の入口まで散歩することにしました。この入口は少々奥まった高いところにあり、ちょっとしたワイルド・ハイキングになりました。
これが辿り着いたサント・トマスの大洞窟の入口です。
洞窟の内部は何層にもわたっていて距離は46kmもあるそうですが、見学が可能なのはそのうちの1kmで、鍾乳石や石筍の他に先住民の壁画が見らるようです。
このへんでちょっと休憩を、と思ったのですがここには施設がないので、サント・トマスの大洞窟からさらに西へ向かってみました。
ポンス(Pons)という村に着いて、『レストラン』と書いてある建物に入りました。カウンターで飲み物を頼もうとしたら、『ここにはない。隣の店で買いなさい。』って。
あれ、このレストランは休みなのかなあ? でもおじさんたちは店内のテーブルでダベっているのです。私たちも隣の店で飲み物を買って、ここで飲ませてもらうことにしました。しかしどういうシステムなんだろう? 隣の店とここは同じ経営者??
横のテーブルで盛り上がっているおじさんたちの内のひとりがやって来て、『これ、あげる。食べなよ。』と差し出されたのは、小さな箱に入ったメントールキャンディーでした。つまみにありがたくいただきました。(笑)
これが飲み物を買った雑貨屋さん。
1996年にキューバに来た時には商店の棚はほとんど空っぽだったのですが、今日はこんなふうにたくさん物が並んでいます。
今日は1月2日で大人も子どもも休日のようです。この村には外国人はあまり来ないのか、私たちを珍しそうに眺めていた子どもたちがちょっとずつ集まってきました。
その中の1人が勇気を奮って近づいてきて、『どこの国から来たの?』と聞いてきました。
『日本だよ!』と言うと、『へえ〜〜!』 と。それからああだこうだとみんな人なつこい。あ、恥ずかしがりやさんもいるね。
『おいでよ!』と、サイダーがみんなを集めて記念撮影です。
子どもたちとひとしきりおしゃべりしたら、ポンス村から戻ってドス・エルマナスの辺りを巡ってみることにします。
サイダーの後ろにある小山はモゴーテではなく、普通のごく低い小山のように見えます。ここは山塊が途切れて低くなっているところです。
あの山は地質的には石灰岩でしょうから、もしかするとずっと昔はモゴーテだったのかもしれません。
道脇を行く黒牛さん2頭と牛使いの少年2人。
よく見ればこの牛は角と角が結ばれて二頭立てになっており、ドラム缶を乗せた橇のようなものを引っ張っています。荷車を引く牛は比較的良く見ますが、橇を引く牛を見るのは始めてです。
前方にドス・エルマナスが見えてきました。向こう側の大きな塊は谷のモゴーテ(Mogote de Valle)という名で、ドス・エルマナスはその手前の小さな方です。
ドスは二つ、そしてエルマナスは姉妹という意味ですから、ドス・エルマナスは二人姉妹となります。よく似たモゴーテが二つ並んでいるということでしょう。
やって来る時に見えた特徴あるモゴーテのところまで戻ってきました。
うしろには行く時は正面に聳えていた低い山脈。
朝とは空気がだいぶ違うので、山がパリっと見えます。
朝もいた牛さん〜 ほとんど同じところでずっと草を食んでいたんですね。
丸みを帯びた巨大な岩の塊が近づいてきました。あの左に見えるのがドス・エルマナスです。
時は13時半。ドス・エルマナス・キャンプ場のレストランで昼食にしましょう。
朝食をしっかりいただいたし、夜は民宿のティタさんのおいしいごちそうが待っているので、ここは軽めにパスタとサンドイッチにしました。
昼食を済ませたら、ドス・エルマナスの周囲を廻ってみましょう。
ここはダートの道が4kmほど続きます。
キャンプ場のそばのピタ・モゴーテ( Pita mogote)には『ビニャーレスの先史時代の壁画(Viñales Mural de la Prehistoria)』というアートがあります。先史時代とありますが先史時代のものではなく、現代のアートです。
幅120mというとてつもなく巨大な岩壁に、初期の軟体動物、古代の海の生物、恐竜といったものを経て人間の時代までの世界史が描かれています。
丸い山々とその麓に散らばる家。くねくねと曲がる道を、土ぼこりをあげて進んで行きます。
すると、道のまん中に牛が寝そべっていたり、とおせんぼをしていたり。
モゴーテの変化がとても楽しい道です。
『この道いいね〜、こんなところが大好き〜』 と、このダート道に喜ぶサイダー。
もったいないほどあっという間の4kmでした。
ドス・エルマナスの周囲を廻ったら、丘の上のホテル・ラ・エルミータ(Hotel la Ermita)に向かいましょう。
幹線道路を外れてしばらく行くと、ホテル・ラ・エルミータが見えてきました。ここからはちょっとえっこらよっこらしないといけません。
ホテル・ラ・エルミータからはビニャーレス渓谷が一望にできます。その写真は昨日紹介したのでそちらをご覧いただくとして、この日再びやって来たのはプールがとても良さそうだったからです。このプールは宿泊客はもちろん無料ですが、ビジターも3ペソで利用できるのです。
『うわ〜、最高!』 と、着替えるなり早々にプールに飛び込んだサリーナ。
人泳ぎしたらプールサイドのバルで休憩です。
昨日ここでいただいた生オレンジジュースのカクテルが素晴らしかったので、今日もそれを。これ、本当においしいです。
一時間ほどパチャパチャやったら街へ戻りましょう。
民宿に戻ってシャワーを浴びたら一服を。小さなバーカウンターがある休憩コーナーに行き、ビールで喉を潤します。
この民宿の食材はかなりのものが自家製です。裏庭がありそこではパイナップルやバナナ、パパイヤ、そしてコーヒーも栽培しています。
写真はグアバ。大きな木にたたわに実が生っています。
今晩のメインディッシュはポークらしい!(笑)
ニワトリももちろん飼っていますよ。昨日いただいたチキンはここで飼われていた鶏だったかも。
これはたぶん食材ではないと思います。(笑)
夜にやってきたカエルさん。アマガエルよりちょっと大きいかな。
さて、明日はこの美しいビニャーレス渓谷に別れを告げ、温泉保養地サンディエゴ・デ・ロス・バニョスに行って一風呂浴びようと思います。