オーバンの朝、またまた雨が降っている。予報では今日は一日雨だという。今日の自転車走行は早々にあきらめた。
さて、B&Bの朝食だ。2泊目なので、別メニューのパンケーキにしてみた。いちごなどベリー類が添えられ、蜂蜜をかけて、なかなか美味。ハギスやブラックプディングが苦手な人もいるらしく、別メニューを準備している宿も少なくない。
マル島に渡ってからはバス移動に決めたので、時間はたっぷりある。フェリーに乗る前に、町の真ん中にある 'War and Peace Museum' に立ち寄ってみた。
ボランティアによって運営されているこのミュージアムには、2つの世界大戦とその前後の時代のオーバンの歴史を紹介する写真や展示、鉄道や飛行機の模型、その他、さまざまなものが所狭しと並んでいる。
スコットランドの軍服は伝統的なキルトだった。
いろいろな展示は手作り感いっぱいで、誰でも何かしら面白いものが発見できそうだ。
昨日同様、オーバンの港から対岸にあるマル島のクレイグヌアまでフェリーで渡る。
大型フェリーは静かに出航した。マル島に近づくと、左手にデュアート城(Duart Castle)が見えてきた。13世紀につくられたこのお城は内部の見学可能だが、クレイグヌアから少し離れているのでフェリーから遠景で眺めるだけにした。
クレイグヌアから出航したフェリーとすれ違い、そろそろ港に到着する。
クレイグヌアの港に着いた。雨はやや小降りになり、一瞬自転車で走る気持ちもよぎったが、天気予報を思い出して12時のバスに乗った。
バスはマル島の東岸を北上する。周囲には牧草地(ボグ)と丘陵地が広がっている。
バスの走っている道はマル島の幹線道路のはずだが、車一台分のシングルトラックだ。対向車はほとんどいない。
10分ほど走ったところでバスは右手の枝道に入った。そこは、フィッシュニッシュ(Fishnish)の港で、対岸のロッカライン(Lochaline)とを結ぶフェリーが行き来している。
フェリーが到着し、自転車の旅人が降りてきた。バスに乗るのかと思ったが、このまま走り続けるらしい。軟弱な我々とは違うのだった。ファイト!
バスはフィッシュニッシュ港を出発。
すぐに右手にケルトの墓地が現れた。ここにはケルト十字の墓石がある。
そして、クレイグヌアとトバーモリィの中間地点、サレン(Salen)に到着。サレンの町は小さいけれど、レストランや郵便局、小学校もある周辺地域の拠点の町だ。
バスはさらに北へ向かう。羊が草を食む牧草地、そして丘陵地。
13時に島の北端のトバーモリィに到着。バスでわずか1時間の道のりだった。
トバーモリィはマル島最大の町で、住民は1,000人ほど。港をぐるりと囲む家並みは鮮やかな色に塗り分けられ、水面にその姿を映し出している。
とりあえず、無事到着してよかったね〜、とサリーナ。
ここにはレストランやお店も揃っている。バスの到着した湾の南端に感じのよさそうなレストランMacgochansがあったので、入ると広い2階に通された。
このお店のウリは、地場産の肉や野菜、とれたての魚介類を使った料理と、そしてエール。早速エールで乾杯だ。
店内の広いフロアではライブ演奏やダンスも行われるという。きのこのリゾットと焼きホタテのサラダを楽しむ。
サービスしてくれた女の子はチェコから来ているとのこと。「自転車で旅しているなんて、すご〜い!」と言ってくれたので、「チェコを走ったこともあるよ」と話したら嬉しそうだった。
食事を終え、とりあえず湾の北端まで行ってみることにする。そこには、明日対岸のキルチョーン(Kilchoan)に渡るためのフェリー乗り場があるので、確認しておきたい。
湾を囲む建物の1階はレストランや店舗が並び、上の階はB&Bになっているところもある。
お土産品店もあれば、薬局など普通のお店もある。その先に見える教会は Tobermory Evangelical Church だ。
湾に沿って少し右手に折れたところのクリーム色の建物は、マル博物館(Mull Museum)。私たちは入らなかったが、この博物館、小さいながらもマル島の歴史が詰まっているという。
雨が結構降ってきた。観光客で賑わっているエリアのはずだが、その姿をあまり見かけない。こんな雨の中、クルーズに出ているのだろうか。
ここトバーモリィからは、昨日私たちが参加したスタッファ島や、他のヘブリディーン諸島の島々を訪れるツアー、そして鯨やイルカを見るツアーなどの船が出ている。
その先には、鮮やかに塗り分けられた建物が。ここはミッシュニッシュ(The Mishnish)というレストラン・バーで、古いパブの雰囲気をつくり出している。
レストラン・バーを過ぎると、港の入口に着いた。カラフルな街並みの中でも、先ほどのレストラン・バーがひときわ鮮やかだ。
その脇には、帆船が接岸している。フェリー乗り場はもう少し奥にある。
トバーモリィの町は、湾に面したメインストリートに建物が並んでいるが、その背後は丘陵地となり、急坂を30mくらい上った高台に家並みが広がっている。
私たちの今宵の宿は、南側の高台の上にある。そんなわけで、再びバスを降りた広場まで戻り、そこから坂上りとなった。
この時期のトバーモリィには大勢の観光客が訪れ、湾沿いはどこのB&Bも満杯。それでもなるべく中心部に近いところを、と探し出したのがこの宿「キャッスルクロフト」だ。
先ほどの広場からは600mほどの距離だが、雨でグジョグジョ、激坂でハヒハヒ、ダートの小道でヨレヨレになりながら、ようやくB&Bにたどり着いた。とても小さなB&Bだが、日本びいきのマダムが温かく迎えてくれてほっと一息。
しばらくは部屋でダラダラと休憩して過ごす。そして19時、夕食のため出かけることにした。相変わらず雨はやまない。
高台の上の住宅地を北に向かい、海側に折れると教会(Parish Church)に出る。
教会の前の道は丘陵地の端になっていて、そこからはトバーモリィが面する湾全体が見渡せる。右手の小高いところはマル島の陸続きの岬、中央の平べったい陸地はカルブ島(Calve Island)だ。
そこから湾に向かって激坂を降りていくと、お昼に通ったカラフルなレストラン・バーの横に出た。
高台の上の教会や家並みと、湾沿いの下の町はこんな感じ。
さて、本日の夕食候補はシーフードのはずだったが、お目当ての店は満杯。カラフルなレストラン・バーも観光客で溢れ、立錐の余地もない。何軒か覗いてみたが、夕食どきでどこも満員だ。やっぱり観光客は多かった!
しばらくうろうろしたあと、ピンク色の壁のインド料理店を発見。何とか入れそうだ。聞けば、昨日まで中華料理店で、今日インド料理店として開店したばかりだという。
スコットランドでは、小さな町でも結構インディアン・レストランを見かける。イギリス全体でインド料理の伝統があるということだろうが、私たちにとって困るのは多すぎるメニューだ。『カレー』などというメニューはなく、マドラス風野菜の煮込みだの何だの、どんな味なのやら想像できない品名が100くらいは並んでいる。熟考の末、サモサとボンベイ風チキンカレー(卵、じゃがいも、赤パプリカ、チキンのやや甘みのあるカレー)にした。予想とやや違ったが、それなりに美味です。
今日は一日中雨で、バス移動の上、トバーモリィの散策もあまりできなかったため★一つの評価になったが、マル島一の街並みは華やかだった。晴れたていたらきっと高評価になったことだろう。明日は雨がやむといいなあ。