ポルト
ビーゴから列車に乗り、国境を越えてポルトガルのポルトに着きました。ポルトのサン・ベント駅で出会ったスウェーデン女子のアスレーゲと同行することになり、一緒にホテルを探し、荷物を置いたら早速2人で街に出かけます。
まずやってきたのは、アリアードス通りの北端にあるポルト市庁舎。1957年築で、中央の塔は高さ70mとのこと。
広場のようなアリアードス通りから南を見ると、両側にはホテルや銀行などの格式を感じる建物が並んでいます。
先ほど到着したサン・ベント駅の前を通ります。(TOP写真)
この駅は1900年に建てられたそうで、内部のアズレージョが見事ですが、それは明日じっくり見ることにして駅前を南東の方角へ。
ポルトの街は坂が多い。坂をどんどん下ります。
坂の途中の細い路地を覗くと、おしゃべりする人たち、そして建物の窓からは洗濯物がぶら下がっています。
私のポルトガルのイメージは、まさにこんな感じ。
エンリケ航海王子の広場に着きました。右奥のペディメントに尖塔が立っている建物はサン・ニコラウ教会。
左手を見ると、インファンテ・ドン・エンリケ通りの奥の高台に白い大きな建物があります。サン・ロウレンソ教会です。その方向へ進みます。
1街区進んだ角の建物の外壁は青いタイル。
雰囲気のあるこのあたりはリベイラ地区(Barrio do Ribeira)といって、川沿いにレストランが集まる賑やかな下町です。
右に曲がると、家並みの先にドゥロ川が見えました。
ポルトはドゥロ川の河口にある港町です。ドゥロ川といえば、スペインのソリアを『ドゥエロ川』の名前で流れていた川ですから、ここでまた再会したわけです。ずいぶん大きな川になっていますね。
そして、川に向かって少し開けているところがリベイラ広場です。
広場には、周りのレストランのテラス席が出ています。もう少し遅い時間になったら大賑わいでしょう。
広場に面した東側には、間口の狭い4~5階建ての細長い建物が並んでいます。色違いの色とりどりで楽しい。
ドゥロ川に出ると、左手にドン・ルイス1世橋が見えました。対岸の高台の上にある丸い建物とそれに続く白い建物は、セラ・ド・ピラール修道院です。
ポルトの中心部と対岸のビラ・ノバ・デ・ガイアを結ぶこの鉄橋は、1886年に完成したものです。
ドン・ルイス1世橋は2層になっており、上を電車が、下を車が通ります。
このポルトのシンボルとも言うべき橋を眺めながら、水辺に人々が集っています。
対岸の川沿いにはレストランやクルーズ船のオフィス、そしてワイン工場が並んでいます。
川辺に浮かぶ小舟はラベロ(Rabelo)といって、ドゥロ川上流でつくられたワインを運ぶ平底の運搬船です。集められたワインはここの工場でブレンドして熟成され、ポートワインとなります。
この手漕ぎのラベロは、現在ではワイン運搬船としての役割を終え、観光客用の渡し船、あるいはポルトの祭りの際のボートレース用として使われているそうです。
ドゥロ川沿いを散策してみましょう。
川に面したリベイラ通りと並行して、建物側にアーチを組んだ1層分上に通路があります。
上の方の通路は生活道路なのでしょうか。建物のバルコニーからは洗濯物が溢れ、花が飾られ、とても賑やかです。
一方、下のリベイラ通りでは、川沿いにマーケットの小屋が並んでいます。
果物や花を売るお店。
隣は八百屋さんですね。たくさん積まれているのはレタスでしょうか。
セーターを売っているお店もありました。これどうかな?とあててみているお客さん。
リベイラ地区を一回りして、再びサン・ベント駅に戻ってきました。
駅舎の南側の通りを覗いてみると、駅の後ろの高台にも建物が密集しており、小さな教会の塔も見えました。
高低差のある土地がつくり出す街の景色は面白い。
そして、サン・ベント駅のすぐ横にある建物は、1703年築のサント・アントーニオ・ドス・コングレガードス教会です。
駅前通りのちょうどつきあたりにあるファサードは、青と白のタイル、そして石の装飾が印象的です。
駅の北側のデ・ジャネイロ通りを上っていくと、今度は正面に斜め向きの教会が見えてきました。サント・イルデフォンソ教会です。
サント・イルデフォンソ教会はバロック様式で、塔以外の建物が1730年の完成、その後1739年に2つの塔が据えられたそうです。ファサードと塔の側面はアズレージョで飾られています。
日が暮れてきたので、今日の散策はこれでおしまいです。明日の午前中はポルトの街歩きを続け、その後リスボンへ移動します。
翌日、今日は日曜日です。サン・ベント駅の近くを通りかかったら、露店がたくさん出ていました。よく見ると、鳥かごに鳥が押し合いへし合い。
たくさんの人たちが集まっています。
このマデイラ通りにはずっと露店の鳥かごが並んでいます。どうやらペット市のようですね。
『鳥が人気あるのね~、かわいいね』と、ついついペット市に沿って歩いていく私たち。前を行くのがポルトを一緒に過ごしたアスレーゲ。
かわいいワンちゃんもいて、お客さんの輪ができていました。子どもがなかなか離れようとしませんね。
駅前をやっと通り過ぎて南へ。
左の緩い坂を上がったところに見えるのがポルトの大聖堂です。
大聖堂への坂を上っていきます。奥の方の道は激坂で、車がずり落ちそう。
さらに坂を上ります。ポルトは本当に坂が多い。
そして、大聖堂の建つ高台に到着しました。高台からは、家並みの屋根の向こうにポルトの中心部の景色がよく見えます。
ひときわ高い塔は、クレリゴス教会の塔。
クレリゴス教会は1779年に完成したバロック様式の教会です。その高い塔は、ポルトの街のランドマークとなっています。
そして、もう少し西を見ると、右の黄色い壁の建物はポルトガル写真センター。立派な官庁のような建物ですが、かつては監獄だったそうです。
その左の2つの丸い塔がある建物は、サン・ベント・ダ・ヴィトーリア修道院。
この大聖堂の見晴し台、すぐ下を見てもとても面白い。
間口の狭い建物が壁を共有して寄り添って建ち、その前の路地には覆いを広げて露天が店を開いています。
路地の脇の階段では、八百屋が店開き。赤ちゃんを抱いたお母さん、新聞を買ってきたお父さん、犬を散歩させるおじさんなど、近所の人たちが行き交っています。ふだんの生活の一コマなのでしょう。
そして、家々のバルコニーでは洗濯物干も始まっています。空中にも路地生活が溢れている感じがします。
そんな建物の密集する濃密な路地空間が、丘の斜面に沿ってずっと続いています。
大聖堂から南にある司教の館の方に歩いてみました。
見晴し台からは、目の前にはサン・ロウレンソ教会の塔が建ち、その向こうにポルトの中心部西側の風景が広がっています。
司教の館の脇の石畳の道を下っていくと、今度は南にドゥロ川と対岸のガイア地区のワイナリーが見えてきました。
さて、サリーナはそろそろサン・ベント駅へ向かうので、アスレーゲとはここでお別れ。
ポルトの大聖堂は12〜13世紀のロマネスクの時期に建てられ、その後ゴシックの礼拝堂や回廊が追加され、さらに18世紀にはバロックのファサードに変更されるなど、さまざまな様式が見られる建築です。時間があればゆっくり見たいところですが、またの機会として駅へ向かいます。
大聖堂を北に下りていくと、その前の広場にはサン・セバスティアン市場がありました。時間帯のせいなのか、あまりお店は開いていませんでしたが。
サン・ベント駅に到着。この駅舎は20世紀初頭のフランス風建築で、ジョゼ・マルケス・ダ・シルバの設計です。
内部は、ポルトガルの歴史などを描いた2万枚ものアズレージョで飾られています。作者はジョルジェ・コラソとのこと。ガラスの明るい構内に、白と青、あるいはフルカラーのアズレージョが優美です。
これは『ジョアン1世とランカスターのフェリーパのポルトへの入場』。1387年のポルトガルの王とイギリスの王女の結婚を表したものだそう。
こちらは農村の生活を描いたアズレージョ。
さて、サリーナは列車でリスボンへと向かいます。この駅からリスボンへの直通はなく、ポルト・カンパーニャ駅で乗り換え、そこからリスボンまで4時間半ほど。
リスボン
そんな列車の旅を終え、ポルトガルの首都リスボンにやってきました。
テージョ川に面した古都リスボンは、レコンキスタ完了後の1249年にポルトガルの首都となり、大航海時代には繁栄を極めたといいます。七つの丘の街と言われ、街には市電が行き交っていますが、急な坂道にはケーブルカーもあります。
というわけで、まずはケーブルカーに乗りましょう。こちらはレスタウラドーレス広場の北にあるラブラ線(Lavra)のケーブルカー。ここが下の駅(Largo da Anunciada)ですが、全く駅っぽくはないですね。この細い路地を上っていきます。
ケーブルカーを運転するおじさんが、『お、写真かな。どうぞどうぞ』と笑顔を向けてくれました。レトロな車内にピカピカのハンドル、いい感じです。
ケーブルカーの横を歩いて上ることもできますが、かなりの激坂!
では出発。ゴトゴトと上り始めたと思ったら、あっという間に到着です。水平距離にすると200m少々か。
それでもリスボン名物に乗れてかなり満足なサリーナ。上の駅(Rua Câmara Pestana)を降りたところからは、はるか向こうにテージョ川も見えました。
ここからは、徒歩で南の方へ下りていきます。
歩き出してすぐの何気ない建物にも青いタイルが貼ってあって、ポルトガルっぽいですね。
そして、カルサーダ・サンタナという通りに入りました。
建物が両側から迫る通りを下っていきます。
建物のバルコニーには洗濯物や植木が溢れていて賑やかです。こんな石畳の道を歩くのはとても楽しい。
道の突き当たりの屋根のさらに向こうにはテージョ川が見えています。
通りの突き当たりからは路地が重なって、ちょっと迷路のよう。
迷路を抜けたら、そこは立派な建物に囲まれたフィゲイラ広場でした。16世紀にはここに病院があったそうですが、1755年の大地震で被害を受け、その後青空市場になったそうです。
1949年には市場が廃止されオープンスペースとなり、1971年にブロンズの騎馬像『ジョアン1世像』が設置されたとのこと。
そして、ここから東にあるサン・ジョルジェ城へ上ります。お城の周りを南に回って入口へ。ここにはケーブルカーはないのね(笑)
わっせわっせとお城の丘に上ったら、素晴らしい景色が広がっていました。南西を見れば、テージョ川に隣接したコメルシオ広場、そして広大な川を挟んで対岸にうっすらとキリスト像が見えます。
南東に目を向けると、丘を埋め尽くす赤い屋根と白い壁の住宅が建ち並んでいます。
東を向いてみると、丘の上の高台に白いドームが見えます。これはサンタ・エングラシア教会で、国立のパンテオンでもあり、ポルトガルの歴代大統領や著名な作家などが埋葬されています。
この教会、以前建っていた建物が嵐で被害を受け、1682年に建て替えが始まったものの遅々として進まず、284年後の1966年にやっと完成したそうで、『サンタ・エングラシア教会』はなかなか進まないことの代名詞になってしまったとか。
リスボンの街の景観を楽しんだら、今日の街歩きはここで終了。ポルトとリスボンだけ、しかも2日ほどの駆け足のポルトガルでしたが、スペインとはまた違う柔らかな雰囲気を感じることができました。さて、明日からはモロッコの旅に出かけます。10日間のモロッコの旅のあとアンダルシアのカディスに入り、そこからまたスペインの旅が再開します。