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マラケシュ、アスニ

モロッコ 2

開催日 1991.07.24(水)-07.25(木)

マラケシュのスーク
マラケシュのスーク

旅の紹介

◆  マラケシュのスークで絨毯屋や化粧品屋を覗き、子どもたちと遊ぶ。路地の奥に突然現れる神学校や宮殿、霊廟の透かし彫りやタイルの装飾に感嘆した後は、アトラス山脈の麓の村を訪ね、乾いた大地に根付いた伝統的な暮らしに触れます。

地図:Googleマップ

マラケシュ

朝のプール朝のプール

ホテルの朝はとても静かです。朝食のレストランへと向かう途中、プールの脇を通ります。

青い水面が、緑の屋根の建物をきれいに映し出しています。

ヘビ使いヘビ使い

朝食を食べ終えたら、早速3人で外へ。まずは昨日も行ったジャマ・エル・フナ広場へ出かけます。

広場が活気づくのは夕方近くからです。まだあまり屋台などは出ていませんが、そんな広場に何と『ヘビ使い』がいました。笛やタンバリンの音と共に鎌首をもたげています。うぎゃー。。怖くてあまり近づけないサリーナ。

のんびりした雰囲気の広場のんびりした雰囲気の広場

路上で1枚の絨毯を売っている男性。袋に入れた果物を前にして座っている女性。楽しげに歩く若い女性たち。

まだ本格的な商売の始まっていない広場では、のんびりとした時間が流れています。

豆屋さん豆屋さん

たくさんの種類の豆を積んだ店があったので覗いてみました。

炒ったソラマメなどつまみで食べるようなものもあれば、煮込み料理に使う緑の豆などもあります。モロッコ料理は豆のスープや煮込みなど、豆料理がとてもおいしいですね。

スークに入るスークに入る

そして、ジャマ・エル・フナ広場から路地の奥のスークに入ります。細い路地の両側の建物の屋根から、日除けが渡してあります。(TOP写真も)

『スーク』とは市場のことですが、各路地に密集して同種の商品を売る店がたくさん集まっています。ここでは、絨毯や衣類が集まっていますね。

アーチを抜けて奥へアーチを抜けて奥へ

路地は、時にこんな馬蹄形アーチの門を抜けていきます。

民族衣装ジュラバの人たちが行き交う路地に、私たちも分け入っていきましょう。

絨毯屋さん絨毯屋さん

店の壁にも屋根にも、これでもか、とばかり絨毯が広げてあります。絨毯が日焼けしてしまわないかなあ。

ベン・ユーセフ・マドラサベン・ユーセフ・マドラサ

そんな路地を抜けてたどり着いたのは、ベン・ユーセフ・マドラサです。『マドラサ』とはイスラムの神学校のことだそうで、隣にあるベン・ユーセフ・モスクに付属しています。

このマドラサの創設は14世紀ですが、ベニメリン王朝からマラケシュを奪ったサアード朝のスルタン、アブダラー・アル・ガリブによって16世紀に再建されました。

中央のパティオ中央のパティオ

ここでは、最盛期には800人以上もの神学生が学んでいたといいます。

マドラサは、木造に漆喰壁、そして美しいタイルで構成されています。建物の中央には大きなパティオがあります。その壁に施された繊細な装飾には目をみはるばかり。これぞアラブ・アンダルシア建築。

タイルと漆喰の浮き彫りタイルと漆喰の浮き彫り

植物の文様と文字でしょうか。下はタイル、そしてその上は漆喰の浮き彫りです。そんな装飾がパティオの壁をぐるりと覆っています。

小さいアーチの装飾小さいアーチの装飾

壁面を飾る小さなアーチはプチ鍾乳洞のような天蓋、そして壁には繊細なレースのような模様。

パティオの中央に沐浴場パティオの中央に沐浴場

アーチに囲まれたパティオの中央には、沐浴のためのプールがあります。学生たちは、お祈りの前にここで身を清めたのだそうです。

建物内部の壁建物内部の壁

建物の中へ入ってみましょう。

薄暗い建物内部ですが、天井近くに並ぶ窓から漏れ入る光で、その壁にも繊細な装飾が一面に施してあることがわかります。

立体的な装飾立体的な装飾

そして、こちらの壁にはかなり立体的な漆喰の装飾。イチゴ、じゃないかな? 何かの実のように見えますね。

2階の吹抜け通路2階の吹抜け通路

2階に上ってみました。木の手すりの吹き抜けを挟んで、学生たちの寄宿舎だった小部屋が設けられています。このこぢんまりした吹抜けの回りを歩きながら瞑想したのでしょうか。

このマドラサは、1956年まで実際の学校として使われてきたのだそうです。

2階から眺めるパティオ2階から眺めるパティオ

かつて、学生たちもここから眺めていたであろうパティオ。

窓の光窓の光

2階の学生たちの部屋は簡素なものですが、アーチの窓、その下半分を覆う木の格子柵が、外の光を切り取ります。

透かし扉透かし扉

こちらは1階の建物の透かし扉を介して見たパティオ。

光と影と繊細な装飾がつくりだす光景に、時の経つのを忘れて浸ったベン・ユーセフ・マドラサでした。

再びスークへ再びスークへ

そんな静寂のマドラサを一歩出ると、たちまちスークの喧噪に包まれます。

路地を走り回る子どもたち、揺れるように歩くジュラバの人々。この先の路地を曲がると何に出会えるのでしょう。

パン屋さんパン屋さん

まず遭遇したのはパン屋さん。丸いパンを長い棒で大きな深いかまどに入れて焼いていきます。

路地の子どもたち路地の子どもたち

そして、細い路地は小さな子どもたちの遊び場です。珍しそうにこちらを見ている子どもたち。

駆け出す子どもたち駆け出す子どもたち

家の扉からは、子どもたちが弾けるように次から次へと駆け出していきます。

大きなモスク大きなモスク

そんな路地が突然開けて、大きなモスクが姿を見せました。

狭い迷路のような路地の世界、それに大きなモスクが混在しているのが面白い。

黒い衣装の女性黒い衣装の女性

モスクの前を行く女性。目だけを出している黒い衣装。

伝統的歯磨き伝統的歯磨き

店先で面白いものを発見。このショーウインドウに飾られたものは何でしょうか。実はこれ、伝統的な歯磨き・歯ブラシなんだそうです。

ちぎって、噛んで、シャカシャカ歯をこするもののようですが、詳細は不明。

化粧品化粧品

お店の棚にはたくさんの瓶が。これらは化粧品だそうです。

粉のもの、固形物、色とりどりです。世界中どこに行っても、女性たちの美への関心は高いものですね。

サッカー少年たちサッカー少年たち

おっと、危ない。路地では少年たちがサッカーに夢中。でもカメラを向けたらちゃんとポーズしてくれました。

路地の奥で密談?路地の奥で密談?

どこへ抜けるのか先が見えない路地。その暗がりで密談(?)する男性2人。

近所のおじさんたちの四方山話なんでしょうが、こんな路地のかげだと、何となく怪しげな雰囲気が醸し出されますね。映画の見過ぎ?

少し賑やかな通り少し賑やかな通り

賑わいのある通りにたどり着きました。

買い物客が行き交っています。大きな袋を2人で運ぶ女性たち。重い根菜類を買ったのでしょうか。

お店が並ぶお店が並ぶ

アーチをくぐるとさらに賑やかになり、通りの両側にお店がたくさん並んでいます。

そして、左側にあるお寺のような雰囲気の入口はというと、、

公共の水場公共の水場

ここは公共の水場のようです。水を汲みにやってきた男性たち。柱や天井の装飾はなかなか凝っています。昔からある水場なのでしょう。

ミント屋さんミント屋さん

こちらのお店では、緑の葉っぱが山と積まれ、袋詰めにされていました。この葉っぱはミント。フレッシュでさわやかな香りが漂います。

モロッコでは、お茶といえばミントティー。大量に入れた生の葉っぱのちょっと青臭くスッとする香り、そして甘いミントティーは、日差しが強く乾燥しているモロッコの街歩きではやみつきになります。

再びジャマ・エル・フナ広場再びジャマ・エル・フナ広場

再びジャマ・エル・フナ広場に出てきました。ちょうどお昼どき、眺めのいいレストランでお昼にしましょう。

昼どきの広場は人もまばらで、食べ物屋台などもまだ出てきておらずのんびりしたもの。

モスクに集う人々モスクに集う人々

広場に面したモスクには人々が集まっています。お祈りの時間なのでしょう。

豆スープと野菜豆スープと野菜

昼食の一コマ。食事はいつも大盛りで驚かされます。この日の最初のメニューは豆のスープですが、サラダのような付け合わせがずらりと並べられました。

野菜がたくさんですね。基本的には野菜リッチでとてもおいしいです。

ラクダたちラクダたち

さて、昼食を終えてホテルに戻って休憩したら、午後はプールでまったりと過ごします。

そして夕方は城壁外で食事。その途中の路上にはラクダたちが佇んでいます。ラクダの背に乗って散歩する観光客を待っているんですね。

明日は街の南部を観光後、車で南のアトラス山脈の麓まで足を延ばします。

バヒア宮殿バヒア宮殿

翌日。今日はまずメディナの南側にある建物を訪ねます。

最初に訪れたのは、バヒア宮殿。19世紀の終わりに建てられたこの豪華な宮殿は当時の大宰相の私邸であり、宮殿の名前は妻の一人の名に因むのだとか。

この大きなパティオを囲むのは24人の側室の部屋なのだそう。

装飾アーチ装飾アーチ

そして、4人の妃たちのスペースは、特に見事な装飾に覆われています。繊細な装飾アーチ。

部屋の入口部屋の入口

部屋の入口には美しい木の扉と透かし彫り。彫刻、彩色された木の天井も美しい。

緑のパティオ緑のパティオ

緑溢れるパティオもあります。

室内室内

また違ったデザインの美しい部屋。透かし彫りから光が漏れ入ってきます。

この宮殿は、どの宮殿よりも大きく、そしてイスラムとモロッコの芸術の粋を集めたものを意図したそうで、庭園の面積は8,000㎡にもなるといいます。

アグノウ門アグノウ門

バヒア宮殿を出て、サアード朝の墳墓群を目指して西へ歩いていくと、そのすぐ近くの城壁にアグノウ門がありました。

これはマラケシュにある19の門の一つで、ムワッヒド朝時代の12世紀につくられました。馬蹄形アーチに縁取り模様が美しく、外側にコーランが記されているこの豪華な門は、スルタンが使うものだったといいます。

サアード朝の墳墓群サアード朝の墳墓群

アグノウ門のすぐ近く、サアード朝の墳墓群は、サアード朝のスルタン、アフメド・アル・マンスール(1578〜1603)の時代の霊廟です。

この霊廟は、アラウィー朝のスルタン、ムーレイ・イスマイルによって17世紀の終わり頃から壁で取り囲んで閉鎖されていましたが、その後1917年にフランス人によって再発見され、修復されたのだそうです。

墳墓群の入口墳墓群の入口

浮き彫りの美しいアーチの入口を入ってみましょう。

12円柱の間の入口12円柱の間の入口

最も有名なのがこの部屋。イタリアのカッラーラの白大理石を使った12本の柱で支えられたこの『12円柱の間』には、アフメド・アル・マンスールとその息子、後継者たちが埋葬されています。

12円柱の間12円柱の間

大理石の柱は漆喰や木でつくられた美しい繊細な彫刻のアーチを支えています。

そして床には幾何学模様のタイル、壁にはタイルと漆喰による緻密な模様が描かれています。

王族の墓王族の墓

こちらはサアード朝の王族の墓。鍾乳洞風の細かい装飾アーチの重なりに惹きつけられます。

このサアード朝の墳墓群には、サアード朝時代の王族約60名が埋葬されているそうです。

アスニ村

アトラス山脈とロバアトラス山脈とロバ

午後、私たちは車をチャーターして、マラケシュから南へ約50kmのアスニ村までドライブすることにしました。アトラス山脈の麓まで行って、ベルベル人の村を訪ねてみようと思います。

アスニ村は、アトラス山脈の最高峰ツブカル山(4,167m)への登山の拠点でもあります。マラケシュを出ると次第に山が近くなってきて、途中でちょっと小休止。

井戸井戸

そこには井戸があり、水汲みの人が休んでいます。

羊飼いの女性羊飼いの女性

周囲は荒野、そして羊を追う女性。

途中の集落途中の集落

途中、丘の斜面に家々が建ち並ぶ集落がありました。

泥で固めた家は周囲の土と同じ赤い色をしています。

丘を下る牛たち丘を下る牛たち

車を停めてもらい周囲を見回してみると、壁のように立ちはだかる赤い丘の斜面を斜めに横切る道があり、牛たちが下ってくるのが見えました。

丘を越えて、こちらの川沿いの草場まで食事に来たのでしょうか。

村の少女村の少女

あたりに見える緑の多くはウチワサボテン。いかにも乾燥地です。

村の女の子がいたので写真を撮らせてもらいました。

集落の家々集落の家々

斜面に並ぶ家は、日干しレンガを泥で塗り固めてつくっており、開口部だけは補強のためでしょう、白い石灰が塗られています。それが窓や入口を際立たせて、ちょっとユニークな景色を見せています。

緑の大部分はサボテンですが、作物としての利用もしているのでしょうか。

アトラス山脈とアスニ村アトラス山脈とアスニ村

再び車を走らせると、次第にそびえ立つ壁のようなアトラス山脈がはっきり見えてきて、回りに緑も増えてきました。アトラス山脈から流れ出る川沿いにはトウモロコシ畑などもあります。

そして、丘の中腹にアスニ村が姿を現しました。

アスニ村アスニ村

『ベルベル人の村』ということですが、そもそもベルベル人とは?

ベルベル人は北アフリカ一帯に昔から住んでいた人々で、モロッコでは人口の半数を占めるそうです。ということは、モロッコではかなりメジャー。あとの半数はアラブ人。

11〜13世紀のムラービト朝、ムワッヒド朝はベルベル人が興した王朝で、この時代にイベリア半島に入ったのも彼らだそうです。

赤い壁赤い壁

ということで、伝統的な集落を訪問します。石を積んで泥で固めた赤い土の壁面。

土の家土の家

土壁は、石や日干しレンガに藁と泥と水を混ぜてつくった泥を塗ります。屋根には木が渡してありますが、そこにも泥を被せます。

こうした土壁は分厚く断熱性能がいいので、外が暑くても中は涼しいのだそうです。

住まいの中へ住まいの中へ

村の女性に導かれて、生活の場へと足を踏み入れさせてもらいました。

作業場作業場

収穫した作物の選り分け作業をしたり、洗濯物を干したりする作業場でしょう。

台所台所

そして、煮炊きする台所。中央にはとても簡単な竃。そして素焼きの壷、鍋が並んでいます。伝統的なシンプルな生活が続いていることがうかがえます。

丘を越える道丘を越える道

短い滞在を終えてアスニ村をあとにしました。

曲がりくねった道でいくつもの丘を越えると、マラケシュまでは赤い大地をほぼ一直線に進みます。

タジンタジン

さて、今日の夕食はモロッコの代表的な料理を。

有名な煮込み料理のタジンは、肉と豆などの野菜の旨味が凝縮されていて、文句なくおいしい。右はひき肉とスパイスを混ぜて焼いたもの。アラブな香りがしますね。

明日はマラケシュを離れ、首都のラバトへ移動します。

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