今日は本ツアーの最終日。いよいよ鳥海山アタックだ! 待った甲斐があった。快晴!!
早朝の6時半出発でもみんな元気だ。三川町の宿からまずは藤島駅へ向かい、そこから秋田県の象潟(きさかた)駅まで輪行する。
庄内平野の北に鎮座する鳥海山! いい姿だ。
あの五合目の標高1,150m地点をこれから私たちは目指す。
象潟駅までワープしたら、さっそく鳥海山へ向かう。象潟駅はほぼ標高0mだから、今日は少なくとも1,150m以上を上ることになる。
すぐに正面に鳥海山が見え出した。三川町から見た時はだいぶ小さかったが、ここからはかなり大きく見える。
東北地方の最高峰は尾瀬沼の北に位置する福島県の燧ヶ岳(標高2,356m)だが、この鳥海山は標高2,236mでそれに次ぐ高峰だ。
その五合目までは『鳥海ブルーライン』が通っているので、まずその入口を目指し県道象潟矢島線に入る。
台風一過、今日ばかりは、暑い暑い。
企て人のミワプッチが牽き、ヴェネーノ、サリーナと続く。
徐々に高度を上げて行くと、うしろに真っ青な日本海が見えるようになってきた。
この道は最近整備されたようで路面がきれいでとても走りやすい。
鳥海ブルーラインへと続く観光道路なので交通量がどうかなと思っていたが、車はかなり少なくストレスはない。
鳥海山の頂が二つに分かれているのが見える。左が七高山(しちこうさん 2,229m)、右が新山(2,236m)。
この山は活火山で、近いところでは1974年に水蒸気爆発を起こしている。
鳥海山の山容は遠目ではシンプルに見えたが、こうして近づいてみると意外と複雑で、特に右側にはたくさんの山が重なっているのがわかる。
突然、
『え〜! まだ150mしか上ってないよ〜』 と、高度計を見て驚いたミワプッチ!
こっちがびっくりするよ〜
『ってことは、まだ一合目まで到達していないんだ〜!!』
と、顔を上げて前方に聳える鳥海山に目をやる。
象潟町の小滝浜道までやってくると、ついに鳥海ブルーラインの標識が現れた。
これまで走ってきたのは県道58号の象潟矢島線だが、それはここで左へ折れ、直進すると県道131号の鳥海ブルーラインとなる。
象潟矢島線はここまでずっと上りだったが、鳥海ブルーラインに入ると平坦から下り基調となる。
鳥海ブルーラインはかつては有料道路だったが、これは2001年に無料化されており、現在は料金所も何もない。当時と変わらないのは鳥海山の姿と、鳥海ブルーラインがその五合目まで上っていることだ。
だが山に近づいたので、鳥海山の山頂が手前の山に隠れて見えなくなってきた。
鳥海ブルーラインを2kmほど行くと上りになり、さらに1kmほど進むとヘアピンカーブが現れる。
ここからが本格的な上りだ。
二合目は410m地点で、ゲートと『一の清水』がある。ひとまずこの清水でほてりを冷まして休憩。
ここからはそれぞれのペースでアタック。ヴェネーノのカプレオのギアは異常に軽い、犯罪だ! でもそのおかげでバシバシ皆の写真を撮ってくれた。
上るにつれて道の勾配はきつくなってきて、カーブも頻繁に現れるようになる。このルートの最大勾配は10%だ。
やがてところどころで視界が開け、日本海を望む絶景が広がる。
上るたびにどんどん視界が広がっていく。
青い海の彼方に見えるのは男鹿半島の寒風山だろう。
標高600mを超えた。まだようやく半分だぞ〜
暑いぞ〜、でも気持ちいいぞ〜!
標高700m。下に見えるのは小砂川あたりだろうか。
いい眺め! 標高800m超!
このあたりからヘアピンカーブが連続するようになる。つまり、きつい!
標高900m。よいいよクライマックスゾーンだ。
前に見えてきた頂は、おそらく稲倉岳だろう。
うしろには真っ青な海!
ここからは絶景絶景のオンパレード。
きつい上りもこの美しい景色が応援してくれる。
これが楽しくなくて何が楽しいのだ! と、ミワプッチ。
しかし上り勾配は10%が続いてヨロヨロ。
振り返れば下に、これまで上ってきた道が芸術的なカーブを描いているのが見える。
そしてついに標高1,000mを超えた!
ここまで来れば目指す鉾立まではもう一息だ。
鳥海山五合目へ至る鳥海ブルーラインはもちろん山形県の吹浦からも上れるが、秋田県の象潟から上るこのコースが、景色や交通量から言って正解だろうと思う。
『あと150mだ〜!』 と、高度計を見て喜ぶミワプッチ。この辺りの山といえば鳥海山ばかりが目立ってあまり気がつかなかったが、うしろにはその周辺の小高い山並みが見えている。
『もうちょっとだけど、ここでこの景色を眺めながら一息つきましょう。』 と、絶景に見とれるサリーナ。
標高1,100m超。もうすぐ鳥海ブルーラインの最高点に到着する。
目の前には鳥海山のふたつの頂があり、その手前に迫力のある奈曽渓谷が口を開けている。
奈曽渓谷の横にある深いひだを刻んだ山は稲倉岳。
その向こう側に続く尾根は蟻ノ戸渡と呼ばれているもので、ここからはわからないが名前からしてナイフエッジなのだろう。
ほどなく鳥海山の五合目、鳥海ブルーラインの最高地点である標高1,150mの鉾立に到着。
いや〜、よく上ったよ〜
どうだ、この眺めは!
自分の脚で上った人でなければ味わえない感動。それにしてもいい天気だ。
鉾立展望台のレストハウスで昼食を食べ、たっぷり景色を楽しんだあとは、しっかり着込んで吹浦へ下り出す。
上りが10%なら下り勾配も10%。
青い日本海へダイブするような豪快なダウンヒルだ。
吹浦までは20kmほどの長い下りが楽しめる。
吹浦に着いたら温泉『あぽん西浜』で汗を流し、酒田まで電車で移動。
酒田で、コインロッカーに預けた荷物取り出し&買出し班、『きらきらうえつ』ラウンジカー場所取り&『きらきらうえつ弁当』確保班に別れ、この旅は完璧なフィナーレを迎えた。
きらきらうえつの車窓の向こうでは、先ほどまで上っていた鳥海山が私たちを見送ってくれている。
そして今日もすばらしい夕焼けが最後まで私たちを楽しませてくれた。