青葉通り
さあ、みちのく横断!
タイトルに恐れをなしたのか今回の参加者はとても少なく、出発地点に現れたのはたったの三人。しかし空はその三人を祝福するかのように明るさを増しています。
駅前のデッキ上で自転車を組み立てた私たちは、その後仙台の目抜き通り、青葉通りを西へ向かいました。杜の都を代表するケヤキ並木がいい感じです。
大橋
青葉通りが広瀬川に行き着くと、そこには歴史を感じさせる立派な橋が架かっています。大橋です。仙台大橋とかではなく、ただの『大橋』ってのが良いね。
この橋のたもとには、水責めの刑で殺されたポルトガル人宣教師のキリシタン殉教碑が建っています。
大橋を渡り、広瀬川沿いに北へ向かい大崎八幡宮を目指します。
大崎八幡宮
境内に到着するとなんとそこには桜! 満開は少し過ぎたものの、まだまだ美しい花を残した桜の木がたくさん。
伊達政宗によって創建された大崎八幡宮は桃山建築の傑作で国宝。小ぶりの建築ですが、端正な姿の中にも内外とも絢爛たる彩色が施されています。
大崎八幡宮その二
社殿は数年前に保存修理工事が完工したそうで、現在、創建当時の秀麗な姿が見られます。
『今日は80kmで峠越え、なんとか走れますよ~に!』
と本日の安全と完走を祈願するはケロガメでした。
長沼のほとり
大崎八幡宮を後にして、向かうは青葉山公園の仙台城跡。お城のお堀だったと思われる長沼のほとりに着くと、そこは桜の花で埋め尽くされています。水面には桜の花びらがびっしり。
激坂の登城路
その長沼からはかつて武士がお城に上った登城路があります。木々に囲まれたこの道はかなりの激坂で、えんやこ~ら。
仙台城跡から市街を見渡す
半分押しで上った仙台城(青葉城)跡には伊達政宗の騎馬像が建ち、仙台市街への見晴らしが良い。北西方面は白髪山から船形山らしい山並みが望めます。
仙台城跡の石垣の廻りを回るようにして南西に一旦下るも、その後は遊園地までちょっとした上り返しが待っています。遊園地を最高点にして今度は名取川までの下り。
名取川
名取川の先には小高い山々が見えてきました。例年ならこれらの山々にも新緑の芽吹きが見られるころなのでしょうが、今年の春の訪れは遅く、まだ眠っているようです。
このあたりの笹谷街道(R286)は連休のせいか交通量が多く、ちょっと走りにくい。
碁石川
名取川から碁石川が別れると釜房湖はもうすぐです。笹谷街道(R286)を離れ川の北側の道で釜房湖にアプローチします。この道はちょっとした山道という感じで、なかなかいい雰囲気です。
春の雰囲気の中を行く
両側が木々に覆われた山道を抜けると、そこには春の色が。黄色い水仙に赤い花、薄いピンクは満開の桜。
『やっと春の雰囲気ね~』 と笑顔で進むサリーナ。
桜と釜房湖
ちょっとした坂道を下るとそこが釜房湖です。湖の廻りには満開の桜。
釜房湖から蔵王を望む
釜房湖の先には頂部に雪を抱いた山が見えています。方向からするとどうやらあの山が蔵王のようです。今日はこれからあの山の稜線の右に位置する笹谷峠を超えて山形に入るのです。
釜房湖の北岸を行く
釜房湖の北岸を行く道は、まったく車の通らない快適な道です。蔵王を正面に見ながらこの快適な道をどんどん行きます。
満開の桜
釜房湖の西端にある滝見橋の袂には、これも満開の桜です。
『ヤホー、このあたりの桜は最高~』 とルンルン行くケロガメとサリーナ。
カントリーロードを行く
滝見橋から先の道はカントリーロード。田んぼは代掻きはされているものの、まだこのあたりは田植えの前です。こんな田畑の広がる中をのんびり進みます。
しかし道は穏やかながらも上りです。しかも向かい風でなかなか前に進まない!
畑から蔵王を望む
まだへこへこするほどの上りではないし、周囲は相変わらずのどかな景色で心をなごませてはくれるのですが、向かい風の影響が強く一苦労です。
笹谷街道
今宿でカントリーロードが終わり笹谷街道に合流です。ここまで来ると国道の交通量はぐっと減り、あまり車に気を使わずに走れるようになります。
一乃湯という国道沿いにある風呂屋を横目に進むと笹谷峠手前の最後の集落、笹谷に入ります。玄関の前に大きく張り出した雪よけ庇が架かる民家を眺めながら集落を抜けます。
まさかの通行止め!
集落を出てほどなくすると、なんと通行止めのゲートが。
『ありゃ~、通行止めじゃあないかサイダー、ちゃんと調査したの?』 とサリーナのつっこみ。
『この国道の通行止めは解除されたはずなんだがな~』 とサイダー。実はサイダーが確認したのは山形県の情報だったのです。なんとここの県境には宮城側と山形側と両方にゲートがあり、それぞれに管轄があるようです。
笹谷峠へ向かう
時は16時半過ぎ。エスケープするにはこれまで来た道を引き返し仙台に戻るしかない。これは50km近い道のりだ。ここから仙台に戻り列車で山形に入るのはかなりしんどい。
ゲートの表示には山形側は通行可とある。そして宮城側の通行止めの理由は雪崩の為とある。山の頂部を見渡すと、ごく僅かな雪は見受けられるものの、雪崩で行けないほどとは思えない。頂上まであと7km。ここはゲートを突破させてもらって行けるところまで行くことにする。
笹谷街道は、山形自動車道と並走する区間が終わり山形自動車道がトンネルに消えたところから、急に細くなりうねうねとした山道になりました。
小さな流れ
通行止めで車がまったく来ない道は快適です。徐々に山深くなる道の脇には小さな川が現れます。しかしまだ雪は現れません。
気温は低く、上りだというのに上着を着ないと寒いくらいです。
残雪の中を行く
徐々に高度を上げて行くと、山の中に白いものがちらほらし始めます。残雪です。道の勾配は5~6%でほぼ一定。上りにはちょうどいい勾配です。
頂上付近の景色
道には雪はまったく残っていませんでした。しかし高度を上げるにつれ、周辺はまだ結構な量の雪が積もっています。その中をちょっとヨタヨタしながら進みます。(TOP写真参照)
いくつもいくつもペアピンカーブを越え、最後のカーブを過ぎると勾配が急に穏やかになります。しかしそこはもの凄い風。ビューという風音が劈き、とても乗車しては前に進むことができません。押してのろのろと進みます。
県境・笹谷峠にて
近くに木々がない平原のようなところが山頂の笹谷峠です。ここまで雪崩のところはありませんでした。よかった~
宮城県から山形県側に渡り、ガッツポーズのケロガメとサリーナです。
笹谷峠の夕陽
予定時刻を大幅に超過するも、なんとか日没前に峠を下りはじめることができました。どんどん沈んで行く太陽を目掛けてダウンヒルの始まりです。
山道のダウンヒル
夕陽が落ちるのは早い。下り始めて間もなく、ほのかな赤みを残して日は沈んで行きました。
ここからはうねうねとした山道のダウンヒルが続きます。僅かな残照に照らされた路面を注視しながらどんどん山道を下ります。気温が低く寒くて凍えそうです。
ぐわ~、ぐわ~っと20km下り続け、山形市内の馬見ヶ崎川のほとりに出ると、そこにはライトアップされた桜並木が延々と続いていました。街の中に入ると、旧県庁・文翔館のライトアップされた姿が。こうして予定の最終パターン(日没後一時間)で、なんとか無事に宿に到着しました。