稚内を出航
今日は快晴! すばらしい朝日を受けて、あの利尻富士へGO!
早起きした私たちは朝一番の利尻島行きのフェリーに乗り込みました。お盆休みの週に入ったこの日、フェリーは混雑するかと懸念されましたが、団体客もおらず、二等でも問題ありませんでした。
ぼ~っという汽笛とともに稚内港を出航した船は白い航跡を残し、野寒布岬を廻り利尻水道へと向かいます。後方には昨日へこへこ上った稚内公園の開基百年記念塔がすくっと建ち上がっているのが見えます。
フェリーから利尻富士を望む
しばらくすると野寒布岬の影から利尻富士がはっきりとその姿を現しました。
『お~、やった~、利尻富士が見える~』 と感動の面々。今日はほとんど雲がなくその山頂もはっきりと見えます。時が経つにつれどんどん大きくなる利尻富士! このアプローチはすばらしい。
振り返れば北海道本島にはうっすらとした靄が掛かっています。あちらからはもしかすると利尻富士は見えないのかも。利尻島は進行左手に見えますが、反対側にはいつのまにか礼文島も見え出しています。礼文島は標高が低く、利尻島と比べるととても地味に見えます。
ペシ岬
1時間40分の航海はちょっと退屈するかと思っていましたが、利尻富士に見とれ、あっという間でした。
利尻富士がどアップになり、利尻島の鴛泊港に到着です。入港する時、右手に見えたユニークな形の出っ張りはペシ岬です。これは港の北側すぐのところにあります。
フェリーと雲に隠れた利尻富士
下船し準備を整えている間に、なんと利尻富士の山頂付近は雲の中に。他に雲はないのにこの利尻富士の山頂だけが雲に包まれているのです。
私たちを乗せてきたフェリーが出航の時刻になったので、これを見送ってから本日の宿に向かいます。
自転車道へ向かう
鴛泊港のすぐ近くの宿に荷物を置き、時計回りに島の一周に出発します。利尻島は海沿いに道路が走り、50kmほどで島を一周出来ますが、その約半分に自転車道があるのでこれを行ってみることにしました。
まずは鴛泊の街中から山方向へ上ります。利尻山神社の前を通り利尻富士温泉までちょっとだけえんやこら。
自転車道に入る
利尻富士温泉の前からは上ってきた道を外れ、自転車道に入ります。入口には『利尻富士利尻自転車道線ルート案内』の標識があります。
最初はちょっとした森の中を進みます。
橋からの眺め
しばらくは視界が開けないものの、三カ所ある橋からはこんな眺望が得られます。これらの橋はフェリーからも見え、ずいぶん高い所に橋が架かっているな~、となんとなく思っていたそれらでした。
青い空に青い海、そしてペシ岬。
姫沼
一般道に出、それを山へ向かうと姫沼があります。ここは逆さ利尻富士の撮影ポイントだそうですが、残念ながらこの時、利尻富士の山頂はご覧の通り雲に覆われていました。
30分ほどで廻れる小さな沼なのでぐるりと一周してみます。幅60cmほどの木道が設えられており、快適に歩くことができます。時計回りに廻り出すとすぐの所に、とっても冷たい湧き水がありました。
野塚展望台への下り
姫沼からは来た道を引き返し再び自転車道に入ります。このあたりの自転車道は海岸よりずいぶん高い所を通っているので最後は下りです。グワ~ッと下って野塚展望台に到着。
野塚展望台は海岸の道路際に設えられたもので、ペシ岬方面への眺望が良い。ここが自転車道の一方の起点で、時計回りに廻るなら終点となります。
穏やかなアップダウン
野塚展望台からは海沿いの一般道を行きます。利尻島は利尻富士こと標高1721mの利尻山から出来ていると言っても過言ではなく、その海岸道はちょっとした起伏の連続です。
海岸道を行く
左手に真っ青な利尻水道を見ながらどんどこ行くサイダーとケロガメ。海の向こうにはうっすらと北海道本島が見え、きらきら輝く海の中では漁師さんが小舟でなにやら採っているよう。
ならんだならんだ利尻昆布
採っているのは昆布かな? ここ利尻島はその名を冠した利尻昆布の産地。道端のいたるところでこんなふうに昆布が天火干しされています。
沼浦展望台から利尻富士とオタトマリ沼を望む
海岸にぽつんとある観音岩を過ぎ、石崎灯台で一休みした後、鬼脇の集落を通り過ぎ沼浦展望台へと向かいます。ここまでちらちらっと見えていた利尻富士ですが、沼浦展望台への上りでは素晴らしい姿を現しました。
沼浦展望台は下にオタトマリ沼、その先にバ~ンと利尻富士が見えるなかなか良いところです。
利尻富士を背後に
沼浦展望台でしばし眺めを楽しんだあとは一気にオタトマリ沼に下ります。オタトマリ沼は利尻島観光のメジャースポットで、ここも逆さ利尻富士の撮影ポイントとあり、結構な賑わいです。
沼の廻りには遊歩道がありますが、ここのは木道ではなく周囲の草が覆い被さってきており、歩くにはあまり快適ではなかったので、ほんのちょっと散策しておしまいに。
メヌウショロ沼
散策するならオタトマリ沼よりこちらのメヌウショロ沼がお薦め。オタトマリ沼から海岸道を少し南に下ったところにあり、観光客はほとんどおらず、ひっそりとしています。
この沼はオタトマリ沼より小さいものの、周囲には木道が整備されており、この時期でも何種類かの花々を見つけることができました。
利尻富士山頂のアップ
ここで利尻富士の山頂付近を取り巻いていた雲が薄れ、ようやく山頂が顔を出しました。アップで見るこの山頂付近はとても険しく、こんなところに上れるのかと思うほどです。
美しい海岸線
あまりメジャーではないけれど美しいメヌウショロ沼と南浜湿原の散策を楽しんだあとは、利尻島の南端にある仙法志御崎公園を目指します。美しい海岸を眺めながらどんどこ行きますが、道はここでもアップダウン。
仙法志御崎公園から利尻富士を望む
仙法志御崎公園はなんとも公園らしからぬ公園でした。本当に小さな岬をぐるっと道が廻っているだけ。まあその先端でゴマフアザラシが二頭飼われていましたが。
しかしここでは利尻富士が噴火した折りの溶岩が、海の中や海岸沿いにたくさん見られます。そして利尻富士への眺めもなかなかよろしい。
仙法志御崎公園から5kmほどのところには麗峰湧水があります。激冷! ボトルに水を汲んでいる間にも、手が痺れるほどに冷たい。そしてすばらしくおいしい!
人面岩付近
麗峰湧水で喉を潤した後は沓形へと向かいます。その途中にあるのが『北のいつくしま弁天宮』、熊岩、そして人面岩です。この三つは一カ所に固まってあり、弁天様は赤い鳥居があるのですぐに判ります。熊岩と人面岩は溶岩がそれぞれそれらしい姿に見立てられたもののようです。先の仙法志御崎公園からこのあたりまでは溶岩の彫刻が見られるということです。
沓形が近づくと、総合体育館のところに自転車道入口の表示がありました。島を半周する自転車道のもう一方の起点です。しかしケロガメによれば、このあたりの自転車道は視界が悪く、あまりお薦めではないとのことなので、自転車道には入らず海岸道を進みます。
沓形岬から礼文島を望む
どんと岬とも呼ばれる沓形岬へはメインロードを離れ、海側へ向かいます。岬の先を廻る道の中央に沓形岬公園はありました。ここは夕陽の見どころとのことで、北に礼文島、近くにはその礼文島へ行くフェリーが見られます。もちろん利尻富士も。
沓形からは役場の角を山方向へ向かいます。この道をまっすぐ上れば見晴らしの良い見返台園地展望台に辿り着きますが、そこまではかなりの上りとなるのであっさりパス、途中から自転車道に入りました。ところがこの自転車道、1kmも行かないうちに下のメインロードへ出てしまいました。沓形から時計回りに自転車道を行くならメインロードを進み『会津藩士の墓』から入る方が良さそうです。ちなみに『会津藩士の墓』から少し上った所にある天望山公園からの見晴らしもそれなりに良いらしいのですが、へこたれジオポタはここにも寄らず、まっすぐ自転車道を進みます。
北部の自転車道
沓形以降の北部の自転車道はすばらしい! 利尻富士は後方に見ることになりますが、その前に平原と林、そして行く手には青い海。細やかなアップダウンとうねうねしたコース取りも変化に富んで楽しい。しばらくすれば海に浮かぶお隣の礼文島が見え出します。
北側の利尻富士を背後に
今日はとにかく利尻富士、利尻富士、まだまだ利尻富士の一日!
海に浮かぶポンモシリ島
この自転車道は一部車道と並走するところがあるものの、その区間も歩行者自転車道なので安心です。島の北端をぐるりと廻ると富士野園地、ポンモシリ島に到着。
海の中に浮かぶ帽子型の島がポンモシリ島です。オオセグロカモメの営巣地があり島はカモメだらけ。
夕日ケ丘展望台
その少し南にあるのは夕日ケ丘展望台。富士野園地から見るとペシ岬にそっくりなここは、近づけばかなり急峻な上り。展望が良さそうなので上ってみました。北にはポンモシリ島から礼文島、南には本日の出発地鴛泊港の北にあるペシ岬が見渡せました。足元にはピンクのノコギリソウや薄紫のツリガネニンジン、見知らぬ黄色い花が咲いています。
夕日ケ丘展望台からペシ岬を望む
夕日ケ丘展望台は自転車道からほんの少し離れた所にあります。ここからは海岸道で鴛泊の宿に向かいました。
お天気に恵まれたこの日は利尻富士を堪能。どこでもここでも利尻富士の一日でした。自転車道は快適この上なく、海沿いの一般道も変化に富んでなかなか楽しい。東海岸にはちょっとアップダウンがあったけれどね。