十万山公園への上り
今日から天草の本島ともいうべき下島巡りです。その西海岸は外洋東シナ海に、東海岸は内海ともいうべき八代海に面していて、両者はずいぶん性格が異なります。この日は後者を辿り島の南端の牛深へ。
本渡の宿を出、まず向かうは十万山公園。
十万山は本渡の街外れにあり、街中から見ると標高200mほどのこんもりした山です。ということで、いきなり上り。
十万山公園からの眺め
朝っぱらからの上りはきつい!
木々が鬱蒼と生い茂る道をしばらくえっちらおっちらします。空が見え、平場が現れたので頂上かと思ったらそれは途中の踊り場で、まだまだこの先も上らなければならないのでした。これは精神的なダメージが大きく、その先は足が回りません。
この上りはとても長く感じました。なんとかかんとか上り切った十万山の頂上にはちょっとした展望台がありました。そこからは遥か北に雲仙岳、その手前に島原湾、東には昨日辿った天草上島、そして南に八代海が見渡せます、もし晴れていたら。この日は曇りでそれらの一部しか見えませんでした。しかしまあそれでも、自分の足で上った高みから見下ろすのは気持ちいいですね。
十万山公園からの下り
十万山公園からは上ってきた道ではなく、東に向かう別の道を下ります。
で、早くもやってきました、サイダーのワイルド・コースが。最近のサイダーのコースにはやたらにダートが多く、今回も危ないとは思っていたのですが、どうやらここにそれが現れたようです。
山の中の登山道、歩行者用の道を自転車を押して下ります。自転車コースだと思わなければこれはこれで楽しい道ではありますが…
のぼりと鯉のぼり
なんとか山道を脱してカントリーロードを行けば、時々民家の庭先に鯉のぼりが揚がっています。ここでは豪華な上りが四本も。のどかな景色が続きます。
楠浦目鑑橋
こうした道をしばらく行くと、楠浦目鑑橋(くすうらめがねばし)です。
昨日まで見てきためがね橋(石造のアーチ橋)がここにもありました。そのすぐ脇には新しい道が通り、そこには新しい橋が架かっているので、今はこの古いめがね橋を通る人はおらず、忘れられたただのオブジェのようにただひっそりと佇んでいます。
切り通しを抜ける
楠浦からは小さな丘を越えて八代海に抜けます。
今日のコース、大きなアップダウンはないのですが、このような小さなアップダウンはあちこちに現れます。
八代海を横目に
八代海に下るとあとは牛深までr26の一本道です。
ここの八代海は下島と上島に囲まれた入り江状のところで、小さな島がいくつか浮かんでいます。日差しがないのであまりパッとしませんが、海の水は透明ですごくきれいです。
流合川の大堤防を行く
大宮地橋を渡ると内陸になり、左手に田んぼが広がるようになります。その田んぼの真ん中には流合川が流れ、出口には大堤防があります。この大堤防を進み、東側の山裾まで進みます。
田園風景
周囲を山に囲まれたここはたいへんのどかで、どこかで焚き火でもしているのか、白い煙りがぼ~っと立ち上っています。そんな風景の中、田んぼの中の小径をゆっくり進みます。
田んぼの中を行く
ここで空からパラパラと雨が落ちてきたので、カッパを着込んで再出発。
ちょと怪しげな道を進み、
宮地浦湾
r26に戻り、穏やかな丘を越えて再び海が見えると、そこは宮地浦湾。小さな東屋があったのでここで小休止です。近くには釣り人がいて、対岸近くを小さな漁船が一隻、ゆっくり進んで行きました。
宮地浦湾を行く
宮地浦湾を進むと、その出口には中田港があります。
ここは港とはいってもお隣の獅子島や諸浦島に行くフェリーが出ているだけのようで、その関連の施設はたいへん簡素で、食堂や売店があるかと期待していたのですが、そういったものはありませんでした。
中田湾
中田港から観音崎を廻ると中田湾に入ります。
ここには小さな漁船が停泊する港があり、人々の暮らしを垣間見ることができます。何十年も変わらないような漁村の風景。漁船を眺めながら中田湾をのんびり廻ります。
真珠の養殖
このあたりは様々な養殖が盛んで、沖に浮かぶ黒い数珠のようなものは真珠を養殖しているところだそうです。真珠以外にも、車エビやはまち、鯛などの生簀があちこちに見られます。
産島の対岸を走る
船津の集落の中を抜け、本郷の丘を越えると先に変わった形の島が浮かんでいます。
産島
その島とは産島です。このあたりの山や島は丸っこいのが多いのですが、この島はなだらかで山頂が尖っています。
平への下り
産島からは平に抜けるちょっとした山道になります。ここの標高はせいぜい30mほどしかありませんが、意外とヘコヘコしました。
平の集落
その山道をサーっと下ると平の集落です。この集落の中を細い道が続きます。ちなみにこの道も本渡から続く r26です。
キヨタノ鼻から深海湾を望む
平からはまたまた一上り。キヨタノ鼻を廻れば下に深海湾が見え出します。
この湾には赤や青や黄色といった、まるで幼稚園のプールのようなものが浮かんでいます。これらが鯛やはまちの養殖場なのです。こうしたものを眺めつつ深海へ下ります。
この日のルート上には本渡と牛深を除けば街らしい街はないのですが、その中で深海は郵便局や学校といった施設がある集落なので、食堂があるかと思って探しますが見当たりません。出会った人に聞いても、このあたりにはね~、とのことで、諦めて先へ進みます。
深海から浅海へ
またちょっと山っぽいところを抜けて浅海の集落に入りました。
この集落で民宿併設の食堂を発見。しかし残念ながらこの日はお休みでした。ここでまた雨が降ってきたので、お寺の軒先をお借りして、雨宿りに軽食休憩です。
小松崎付近より勝崎を望む
浅海からは細かなアップダウンを繰り返して久玉浦に到着。久玉に入る手前では、くさやでも作っているのか、ものすごい臭いの煙りが立ちこめているところがありました。
久玉のR266に出たところで食堂を見つけたので、ここで遅めの昼食。
牛深港から牛深ハイヤ大橋を望む
久玉浦から牛深はすぐです。牛深港に到着すると、その向こうに優美な牛深ハイヤ大橋が見えます。
この橋の袂で、バス移動のケロガメと待ち合わせですが、まだ小一時間ほどあるので一旦今宵の宿に荷を置きに行き、戻ってきました。橋の入口となる道の中央には牛深ハイヤ節を踊る娘の像が建っています。ハイヤとは西日本で南風のことをさす言葉ハエが訛ったものとのことで、牛深ハイヤ節は各地に広がるハイヤ節の大元なんだそうです。
牛深ハイヤ大橋
ケロガメが合流し、牛深ハイヤ大橋を渡り下須島(げすしま)に渡ります。
牛深ハイヤ大橋から分岐するループ橋を下ると下須島です。ここから島の東岸を辿って先端にある鶴葉山展望台に向かいます。このあたりは蛸の水揚げも多く、港には蛸壺がたくさん積み上げられています。昨日食べた蛸ステーキを思い出しました。
エメラルドの海を眺めながら進む
このあたりの海は海中公園になっていて、亜熱帯のきれいなサンゴや魚が見られるそうで、ちょうど牛深港から出ているグラスボートとすれ違いました。海上からはすばらしいエメラルドの海を見ることができます。
下ノ倉から下須島の南端を望む
東海岸の車道の終点、下ノ倉に辿り着きました。ここからは海岸沿いをしばらく行き、鶴葉山展望台に上がる遊歩道があるのですが、なんとその遊歩道は落石かなにかのため、通行禁止になっていました。
がび~ん、とショックを受けます。
下ノ倉の鯉のぼり
しかしここからは山へ向かう道があったはず、と少し手前の民家まで戻ります。民家の前にはたくさん鯉のぼりが揚がっていてにぎやかです。しかしあると思った道は見当たりません。よ~く探すと、民家の脇からその後ろの畑の脇をかすめて山に登る階段が見つかりました。階段は延々と続いているようで、とても自転車を担いで登ることは無理そうです。
時間も時間なので、鶴葉山展望台は諦めて引き返すことにします。
砂月海水浴場へ
途中まで引き返えし、島の西側にある砂月海水浴場に抜ける道に入りました。
この道もちょっとした丘越えで、下り出すと正面に三日月型の白い砂浜が見え出します。あれが砂月海水浴場でしょう。
砂月海水浴場
ぐわ~んと下って砂月海水浴場です。
きれいな砂浜に穏やかな波が打ち寄せています。ここから西の凸先の小森に向かえば、その沖合にはかつて岩礁に抗口を作り石炭を掘っていた場所があり、現在もその跡を見ることがでるのですが、これも時間切れで叶わず。
砂月海水浴場から春這への山道
砂月海水浴場から春這へ抜けるルートは、なんじゃこりゃ! というような山道でヘコヘコ。海を見るのにこんなにのぼるなんてねぇ。。
通天橋
黒島を眺めて牛深と下須島の間を西から回り込むように進むと、上に赤い通天橋が見えてきます。牛深と下須島は、先の牛深ハイヤ大橋とこの通天橋の二本で繋がっているのです。帰りはこちらの通天橋を渡って牛深に戻りました。
今日はお天気は今一つでしたが、それでもここの海の透明度を感じることができました。そして複雑な海岸線の織りなす風景と、意外にも多い山っぽいアップダウンを楽しみました。お天気だったらさぞ素晴らしいコースとなるでしょう。
と、これで本日終了といきたいところですが、実はここから本日最大のイベントが、、、
今宵の宿にショック! 温泉付き旅館ってことだけど、まあ民宿程度だろうと思ってはいました。だからここで宿泊施設については語りません。
しかし、温泉ってのは、
な、なんとそれは銭湯だったのです。温泉付きの宿というより宿泊も出来る銭湯というほうがふさわしいような、ほんまもんの銭湯。地元のおじちゃんやおばちゃんがやってきていています。
中に入ると番台にいるおばちゃんが石けん箱を渡してくれます。で、服を脱ごうとするとな、なんとそこに高齢のご婦人がいるではないですか。こ、混浴? と一瞬思ったのですが、どうやらそうではないらしい。でもこのご婦人は銭湯の人ではなく、普通の客なのです。さすがに服はきていたけれど、いったいど~して男湯に?
これは序の口。二段目は、、
洗い場の水栓は古いタイプの混合栓で、お湯と水の二つの回転ハンドルがあるやつ。水を出し徐々にお湯を出して適温に。シャワ~っとシャワーを浴びていると突然、ドバーッと熱湯が噴出。ぎゃ~、と叫びつつ水の水栓をひねると、今度は冷水に早変わり。このシャワー、二度と適温になることはないのでした。
そして三段目は、、、
奥へ進み湯船にジャボッ。つ、ツメテー。。なんで水なんだよ、コンチキショー!
と、良く見ればこの湯船の脇に小さな湯船が二つ、そっちがお湯だって。ふつー、正面のでっかいのがお湯だろーが。てめー、なめてんのかー!
そして、幕の内ともなれば、、、、、
銭湯内でサイダーとジークに話し掛けてくる人あり。
『縺ゅs縺溘←縺薙°繧峨″縺溘・縲∵擲莠ャ縺九i縺昴l縺ィ繧ょ、ァ髦ェ縺九i・・』
"すみません、もう一度いってくれませんか。"
『縺ゅs縺滓擲莠ャ縲∝、ァ髦ェ・・』
"すみませ・・・" (汗)
天草語か牛深語か、はたまた・・・ とにかくここで話された会話は英語よりずっとむずかしくてチンプンカンプン。何度聞いても、何度聞いても、本当に分からない。これ、本当の話!
あ、温泉はちょっと濁った黒っぽい湯で、それなりによかったですよ~