今年の冬は寒い。温泉に浸かって暖ったまりたい! と言ったらレイナがさっそく手近な鬼怒川温泉をとってくれました。
その鬼怒川温泉は日光へ向かう杉並木がある街道の一つ、会津西街道にあります。日光の杉並木は、このほか日光街道と日光例幣使街道にもあり、これら三つの街道が今市で一つになり、日光東照宮へ向かうのです。
初日はこれらの杉並木を通って鬼怒川温泉に向かいます。
新鹿沼駅
東京の朝はなんと雪! こんなんじゃあ日光はもちろん雪だよねぇ、などと東武日光線の車内でおしゃべりしつつ一時間半、車窓に雰囲気のいい小高い山々が映るようになると、サイクリングの出発点、新鹿沼駅に到着。
電車を下りると、そこには雪も雨もありませんでした。しかし多くのメンバーはこんな日に自転車では走れないと温泉に直行。集合地点に集結したのはたったの三人だったのでした。
この駅は快速電車も止まるのですが、駅前はがらっとしていてコンビニエンスストアもなし。コンビニもないけど雪も雨もないので、よしとします。
鹿沼の街中を行く
駅のすぐ東側を走るR121が例幣使街道であり、北に7kmほどの地点に杉並木寄進碑があるので、まずそこへ向かいます。
しかしR121は狭く交通量が多いので、裏道を抜けて行きます。
今宮神社
1kmほど行くと、正面に立派な神社が現れました。今宮神社です。
今宮神社はかつては日光今宮大権現と呼ばれていたようで、日光の二荒山神社を祭っています。今宮の名は、二荒山に比べ創建年代が少し新しいことからだそうです。
鹿沼は源頼朝により神領として日光山に寄進された土地であり、古くから日光と深い関係にあるのです。
畑の中を進む
今宮神社からさらに1~2kmも走れば周囲は田畑になり、行く手にはいくつもの山が重なっています。
こうした風景の中、快適なカントリーロードを北上します。しかし道は穏やかながらも僅かに上りで、なかなか前に進みません。
黒川と山並み
黒川を渡るころになると、もう辺りはすっかり田園風景です。
快調ケロガメ
『今日は気温が低いけれど、走れてよかった~』 と、冬眠から目覚めたばかりのケロガメが牽きます。
この御仁がこの日走ると言わなければ、プサンとサイダーも温泉に直行だったのですが・・・
初参加プサン
こちらは普段はロードレーサーで飛ばしている初参加のプサン。
『温泉付きっていうので来ました~ 平地をゆっくり走るのも好きですよ~ でも今日は走るとは思っていませんでした~ ハードなツーリングになりそうですねぇ~』 と、ジオポタ走行に合わせてのんびり行きます。
山並み
ここは広大な関東平野が終わり、日光に上る山々の入口。いつの間にか周りがぐるっと山になってきました。
例幣使街道の杉並木の始点
8kmほど走ったところで進路を変えR121に出ると、そこはかつての日光例幣使街道。日光例幣使街道とは京都から日光東照宮へ金の御幣を奉献するための勅使(日光例幣使)が通った道だそうです。
さて、ここから日光杉並木が始まります。
その入口に目当ての並木寄進碑があります。この碑は徳川三代に使えた松平正綱なる人物がここに杉並木を寄進したことが記されています。現在三つの街道に残る杉並木はこの正綱によって植えられたものなのです。もちろんここの他の二つの街道にも同様の寄進碑があります。
例幣使街道の杉並木はこの寄進碑から今市まで、13kmに渡り続きます。
例幣使街道を行く
R121は狭く交通量が多いので自転車で走るには快適な道ではないのですが、せっかく例幣使街道に出たのだからと、少し先まで行ってみることにしました。
例幣使街道を行くその2
さすがに歴史ある街道の並木だけあり、その存在感は圧倒的です。交通量が少なければこのまま今市まで行きたいところですが、脇を車がバンバン走るので怖い怖い。
そこで1kmほどでこの例幣使街道に別れを告げ、カントリーロードに入り行川(なめかわ)に沿って進むことにしました。
森の中を進む
川は低いところを流れているのでまずは例幣使街道から下り。
神社の脇のちょっと森っぽいところを抜け、
田んぼの中を進む
穏やかな田んぼの中の道に出ます。
ここはまったくといっていいほど車が通らず快適。
お地蔵さま
先に東武日光線の線路が見え出すと、道端にはこんなお地蔵様がひっそりと佇んでいました。
どこまでものどかな風景が続いて行きます。
さらにカントリーロードを進む
下小代(しもごしろ)駅付近で今市まで続く地方道r70に合流。
この地方道の交通量はあまり多くないのでこれを使う手もあるのですが、ジオポタの暗黙のルール、『より細い道を』に法り、さらにカントリーロードを進みます。
きれいな舗装のカントリーロード
カントリーロードといっても、このあたりの道は驚くほどきれいに舗装されていて快適です。
しかし相変わらず緩い上りで思うように前に進みません。
工事中
そのカントリーロードの先には最近ほとんど見かけなくなった火の見櫓が建っています。
しかしその足元の道路は拡幅工事中でした。ここにこんなに広い道がいるのかしら?
田んぼは造成中
数百mで工事区間は終わり、その先に細い道が続いています。
以前は田んぼだったろう道の脇は、道路建設のためなのか造成中です。
行き止まり
この道の先はまたまた道路建設中で通行止め。後で地図を良く見ると、この通行止めの手前に入る道があったようなのですがこの時は気付かず、迂回路を探します。
谷間の反対側にも道路を造っていたのでこれを進んでみるも、こちらも行き止まり。この谷間、とにかく谷全部を埋め尽くしそうな勢いの造成工事です。いったいなにができるのかしらん。
高台の森を進む
しかたなく谷間を進むのは諦めて、東側の高台に上がります。
そこはちょっとした森で気分よし。しかしこの森の中の道はすぐに下りとなり、例幣使街道に向かってしまうのでした。
例幣使街道に沿って
先に例幣使街道の杉並木が見え出します。
そのすぐ手前に田んぼの中を行く細道があったのでこの道で例幣使街道に並走。
再び例幣使街道
しかし残念ながらこの細道はすぐにおしまいとなり、再び例幣使街道に入りました。
狭い例幣使街道
寄進碑のあるあたりの例幣使街道はかろうじて二車線でしたが、ここは一車線しかなく、ぐっと道幅が狭い。
並木の足元は石積みできれいです。この石積みの部分は、波形スレートや木でできているところもあります。
追分地蔵尊
2kmほど例幣使街道を走って今市に入ると、街道の終点にあるのは追分地蔵尊です。この名の追分はここが日光街道と例幣使街道の追分にあたることから。
ここのお地蔵様は巨大。石で出来ていて、高さ2m、重量は8tもあるとか。言い伝えではこのお地蔵様、洪水の時に日光の神橋の上流にある含満ヶ淵から大谷川(だいやがわ)をゴロゴロと流れてきたそうです。そんなわけで現在このお地蔵様は、日光を向けて安置されています。
左日光街道、右例幣使街道
航空写真で見るとここから杉並木が二本、東と南東に延びているのがはっきりわかります。
写真の右手がやってきた例幣使街道R121、左手がR119で、その脇に旧日光街道の杉並木があります。
旧日光街道の杉並木を進む
追分地蔵尊からはいよいよ旧日光街道の杉並木に入ります。この並木はここから16kmほど続きます。
旧道は今市側から宇都宮側への一方通行で、車のほとんどはR119を通るため、滅多に車が通らず快適です。
数百年の歴史を持つ杉並木は圧巻。この大木の中をのんびりゆっくり進みます。
このあたりには、四人くらい泊まれるほどの大きな洞がある並木ホテルというちょっと変わった名の杉の木や、杉の木に宿った桜の種が芽を吹き、そのまま居着いてしまった桜杉と呼ばれる木があるそうですが、場所がはっきりせず、見つけることはできませんでした。どうやらこれらは追分から500mから1kmほどのところにあるようです。
いまいちの水
『並木ホテル見つかんないね~』 と言っている間に森友の交差点に出てしまいました。
この交差点のすぐ北に『いまいちの水』があるというので寄ることにしました。『いまいちの水』は今市市のあちこちにあるそうで、水道水だそうですが、成分がなんとかでおいしいんだって。
『ん~ん、普通かな? いまいちかな。。。』
特別保護地域
『いまいちの水』のあとも杉並木は続きます。ここは特別保護地域となっており、未舗装路が700mほど続きます。
この特別保護地域を楽しんだあと、旧日光街道を離れ進路を北西にとり、鬼怒川温泉を目指します。
立派な田舎道を行く
鬼怒川温泉方面へ向かうにはr279大桑大沢線が分かりやすいのですが、この道は交通量が多そうなので一本西側の田舎道を行くことにしました。
予想ではこの道はかなり狭いと思っていたのですが、どうやら最近拡幅されたようで、立派なきれいな道になっていました。しかし車はまったくといっていいほど通らず、快適快適。道は小さなアップダウンを繰り返しながら、大谷川を渡り、日光北街道R461を越え、5kmほどで古大谷川の東、大桑のR121バイパスに突き当たります。
R121バイパス
R121はこのバイパス以外にもう一本あり、そちらは日光杉並木街道の一つ、古大谷川の西側を通る会津西街道です。その並木は大桑から6kmほど続いているようですが、もう二つの街道の並木を見たのでこれはパスし、バイパスで北上を続けます。このバイパスはとても交通量が多いのですが、しばらく歩行者自転車専用ゾーンがあるので安心です。
道はすぐに鬼怒川の流れに出合いますが、川とは若干距離があり、川面は見えません。
新大瀞橋から見る鬼怒川
小佐越(こさごえ)の交差点を右折し新大瀞橋を渡ると、初めて鬼怒川が姿を現します。
このあたりの鬼怒川は渓流といっていい流れで、その両側は岸壁。そこにいろいろな樹木が生え、紅葉のころならばとてもきれいだと思われる景色です。この景色の中を小舟で下る鬼怒川ライン下りもあるそうです。先に見えるのは細い吊橋で、自転車ならあの『おおとろ橋』を渡った方が楽しそう。
お宿に到着
この鬼怒川の流れを横目に進めば、すぐに鬼怒川温泉の少し手前にある本日の宿に到着です。
宿からの眺め
一休みしてから露天風呂に浸かり、
アプ~ぅ
とすれば、一日の疲れは吹き飛び、まだまだ続きそうなこの冬の寒さもなんとかやり過ごせそうな気分に。
今日は穏やかなからも一日中上りでしたが、明日は鬼怒川に沿って宇都宮まで下ります。