五井駅近くのSL
レイナ企画のこの日のタイトルはなんと房総半島横断! この壮大なタイトルにも負けずに五井駅に集まったのは、少々多めの10名。
五井駅のすぐ近くには小湊鐡道の鐡道部車輛課があり、そこにはクラッシックなSLがあるというので、まずこれを見に行きます。古い木造の工場風の建物の奥にそれらはひっそりと置かれていました。
左のB104はイギリスのベイヤーピーコックが1894年に製造したもので、残りの二台はC型でアメリカのボールドウィーンが1924年に製造したもの。五井駅から上総中野駅まで二時間、往復2tの石炭を消費したそうです。
五井駅から大通りを進む
D51やC62といった有名なものではなく、こうした外国製のSLを見るのは初めての私たちはみな感激。中でも鉄道マニアのアトムちゃんは、これはああであっちはこうで、と解説をしてくれます。
ゆっくりSLを味わったあとは、駅前から延びる大通りで南東に進みます。
『今日は快晴でよかったですね~』 とお天気に感謝しつつ、企て人レイナが先導します。
上総国分寺跡の薬師堂
市原市役所が近づくとその西には、こんもりした木々に覆われた上総国分寺(かづさこくぶんじ)跡があります。ここは上総国。
『国分寺は、天平13年(741年)聖武天皇の詔によって全国60余国に造営された僧寺(金光明四天王護国之寺)と尼寺(法華滅罪之寺)とからなる国立の寺院』と説明書にありますから、ここも奈良時代の中頃造られたのでしょう。かつてここは繁栄を極めていたようで、その規模は武蔵国分寺に次ぐものだったといいます。
国分寺って国境にあるものだと思っていましたが実はこの『分』は分けるという意味ではなく、○○のための、という意味、つまりここでは上総国のためのお寺ということのようです。
上総国分寺跡を行く
現在ここで目立つ建物は薬師堂(称徳5年(1715年)頃の建立)ですが、かつては七重塔も建っていたようです。
進行左手はその薬師堂がある現在のお寺の境内で、右手にも広いスペースがありますから、この辺り一帯が国分寺だったのでしょう。
奈良時代に思いを馳せながらこの中を進み、市役所の東に出れば、そこには上総国分尼寺(かづさこくぶんにじ)跡があります。
上総国分尼寺跡
国分寺には僧寺と尼寺があり、こちらは尼寺、そして先ほどのお寺は僧寺なのです。
尼寺跡には中門と回廊が復元されていて、芝生のようにきれいな緑の中にそれはひっそりと建っています。
回廊が途切れたところには金堂があったはずですがこれは復元されなかったようで、現在はそこが入口のようにも見えますが、中門はその反対側にあります。
この大きな敷地の入口には展示館があり、周辺で発掘されたものや、かつての伽藍配置の模型が展示されています。
山倉ダム湖畔を行く
国分二寺のあとはそこから程近い山倉ダムに向かいました。
このアースダムは珍しくも工業用水専用で、おそらく東京湾にずらりと並ぶ工場群のためのものなのでしょう。
ダム湖の周辺の緑地は環境保全地域になっていて、半周ほどは車の通らない管理用通路を走れるので快適です。
海士有木駅付近
湖をぐるりと半分ほど廻ったあとは、養老川に向かいます。
このあたりは密集した市街地が終わり農地に変わる境目で、ゆったりした敷地の民家と畑の間を行きます。
田んぼの中を行く
R297大多喜街道を渡り市原の市街地が先に見えると、周囲は田んぼとなり、道は地道に。
今日のコースは70kmと初級者にはちょっと長いので、走り切る自信のないニコちゃん、ポチちゃん、レイナ、そしてレナールはここから海士有木駅に向かい、高滝湖駅まで輪行することにしました。
田んぼの中を行くケンちゃんとレイ
残りの面々は、進行右手に養老川、左手に田植えが済んだきれいな田んぼを眺めながら進みます。
最初はどうなることかと思われた地道ですが、これはすぐに舗装路に変わり、日本の田園風景の中をどんどこ行きます。
『ここは気分いいですな~』 とケンちゃんが飛ばし、
養老川の土手を行く
サリーナもレイも快調。
養老川がよく見えるようになると土手の道は誰も通らない自転車道のような雰囲気になり、ここは快適快適。
しかしこの道、巾が狭まり両側から生い茂った薮が迫ってくる、というところもちょっとだけありますよ。
うねうねとした養老川に沿う道もまたうねうねとうねり、これがまた視界に変化をもたらして楽しい。
大多喜街道から養老川を臨む
赤い鉄橋の下を潜りR297大多喜街道に出ると、その潜り抜けた鉄橋がいい具合に見えます。
レイナたちが乗った電車がもうすぐこのあたりを通過するはずなので、橋の袂で一休みしつつそれを待ちます。
鉄橋を渡る小湊鐡道の電車
ガタゴトと音をたててやってきたのは、このかわいらしい二両編成の電車。
その先頭車輛には懐石料理列車のヘッドマークが。そして後ろの車輛ではレイナたちが手を振っています。
馬立駅近くの春らんまん
この電車を見送ったあとは、それが停車した光風台駅に向かいます。
この駅は小湊鐡道でもっとも新しい駅だというので寄って見ることにしたのですが、駅舎はプレハブ的な建物でがっかり。
そこから隣の馬立駅まで線路に沿って進みますが、この道は意外に交通量が多く、ちょっと走りにくい。
馬立駅
ピンクに赤に黄色と、春の花が咲き乱れる花壇を脇目に進めば、こちらはかわいらしい木造の駅舎の馬立駅。
小湊鐡道の駅舎の多くは、これに似たものです。
緑の中を行く
馬立駅からは養老川に戻ります。
このあたりは駅周辺にはいくらか建物がありますが、ほんの少し離れるともうなにもない、そんなところです。
養老川沿いの新緑がまだ残る木々の合間を進んで行きます。
再び養老川沿いを行く
下流の養老川周辺は開けた田んぼでしたが、ここに来ると先には小高い丘が現れ、視界が狭まります。
道もそれに合わせるようにやや狭く、ちょっと砂利道になったりも。
八幡神社
少し薄暗く、あやしい雰囲気のところを通り、出たのはこの八幡様。
周囲には田んぼか畑しかないのに、こうした神社やお寺がポツポツとあるのがなんとも日本的です。
三たび四たびと田んぼの中
川、田んぼ、ダート、川、田んぼ、田んぼ、田んぼ、、、
ちょっと建物が出てきたな、と思ったら、そこは牛久の街です。
上総牛久駅は沿線で一番利用者が多い駅とのことなので、その駅舎はさぞかし立派だろうと想像していたら、先の馬立駅とほとんど同じものでした。
上総鶴舞駅(関東の駅百選)
上総牛久駅の前に『関東の駅百選認定 上総鶴舞駅』の看板が立っていたので、その上総鶴舞駅を覗いてみることにしました。
R297大多喜街道から少し奥まったところにある上総鶴舞駅は無人駅で、寂しいくらいにひっそりと建っています。
なぜここが関東の駅百選に認定されたのか、その理由はわかりませんが、駅舎は馬立駅や上総牛久駅とほとんど同じで、特にここのが古いとか優れているということはなさそうです。
高滝湖へ向かう
上総鶴舞駅は期待が大きかったがため、少々拍子抜けの感がありましたが、ひっそり度という点からすればここが一番でしょう。
前半の小湊鐡道駅舎巡りはこれにて終了、一路レイナたちが待つ高滝湖へ急ぎます。
田んぼの中を行く道は問題ないのですが、このあたりのR297大多喜街道と上総久保駅から高滝湖へ向かう道はやたらにダンプカーが多く、ちょっと奇妙な印象を持ちました。これはこの先で大きな道路を建設しているからで、この工事が終われば、そう走りにくい道ではないと思います。
高滝湖を行くアトムちゃん
高滝湖は灌漑と治水のための人工湖で、湛水面積は千葉県最大、総貯水容量でも亀山湖に次ぐ大きさだそうです。
その畔を廻って高瀧神社に到着。
まずは腹ごしらえをと、神社の向かいのそば屋で昼食としました。ここのそば、なかなかおいしいです。
高瀧神社
午後の部は高瀧神社から。
見るからに立派なこの神社は、『日本三大実録』(901年撰集)という由緒ある歴史書に載る古社で、673年に出来たようです。
境内の森は県の天然記念物で、これも見事。
高滝ダムへ
次はダムフェチのレイナの企画だけあり、高滝ダムへ。
高滝ダムは高滝湖からくびれて出た川状の先にあるので、そのくびれ部分を廻ります。
高滝ダムの堤を走る
重力式コンクリートダムで四つのローラーゲートを持つ高滝ダムの完成は1990年と比較的新しく、近くにはダム記念館やレストランがあります。
堤の長さは379m。その堤の上をのんびり進みます。
高滝湖
さすがに湛水面積千葉県一!
高滝湖から東へ向かう
高滝ダムのあとは一宮目指して東へ向かいます。
このあたりは地形が入り組んでいるので、広大ではないものの、あちこちに田んぼが現れます。
先には工事中の道路に架かる巨大な橋が見えてきます。
森の中を行く
高滝湖に架かるピンクの加茂橋から続く道に出ると、ここはダンプカーが通るのですぐに回避。
ところがその先は森の中に。
最初はなんとか乗って進めたものの、道は上り出し、積もった落ち葉や枝で下はふかふか。
こうなると全員押しです。
森を抜けたレナール
あげくの果て、この森の中の道は工事中の道路のために寸断されていて、通り抜けが絶望。
かと思ったら、森のさらに中へと続く道があったのでこれを行ってみると、なんとか舗装された道に出ることができたのでした。
『うわ~、やっとこ抜けたよ~~』 とダート嫌いのレナール。
田んぼの中を行く
抜けた先は養鶏場でちょっと臭かったのですが、とにかくほっとしたのでその門の前で一休み。
養鶏場から下って小高い丘を廻るようにして進めば、ここも田んぼで、のどかな風景。
再びダート
のどかなところの道は地道です。
この地道の区間は短いのであまり問題はないのですが、今日はこうしたところが多い。
『ダートは苦手です~』 といいながらも、なんとか進んで行く先頭ニコちゃん。
埴生川沿いの田舎道
田んぼの中の地道が終わるとr148に出ます。この道はごく普通の道で、穏やかに上ってトンネルを潜り抜け、今度は穏やかな下りとなります。このトンネルから一宮まではずっと下り基調です。
道の脇には埴生(はぶ)川が流れているようです。r148はちょっと単調なので、茗荷沢の交差点を過ぎ、小沢からはこの埴生川沿いを進んでみることにしました。
きれいな田んぼと房総の山
この道は狭い田舎道で気分よく走れます。
辺りは田植えを終えたばかりの田んぼで、その向こうに低い房総の山が見えます。
埴生川の土手
埴生川のすぐ脇には道はありませんが、なんとなく続いている道を進んで行きます。
川のほうに向かう道があったのでそれを進んでみると、土手上は舗装されておらず、こんな感じに。
『今日は試練の連続ですね~』 といいながらも、企て人レイナはにこやかに進みます。
一宮近くの埴生川
きれいな田んぼとこんもりした山を眺めながら進めば、いつしか埴生川の流れは大きくなり、土手に自転車道が続くようになります。
一宮川左岸の田んぼの中を行く
埴生川が一宮川に合流すると、その先の右岸は工事中だったので左岸に渡ります。
ところがなんと左岸も工事中で、仕方なく下の田んぼの中をどんどこ。
一宮川
一宮の街中でようやく土手に復帰。
まずは細い自転車道が続き、次にそれが車道と並走、最後に自転車道がなくなり車道を行くようになります。
こうなると、川の出口、海はもうすぐそこです。
一宮の海岸
太平洋ではサファーが小さな波乗りを楽しんでいました。
私たちはそのサーファーたちと青い海を眺めつつ、房総半島横断を祝いました。
海岸線を行く
『わ~、なんとか完走することができました~』 と右、笑顔のポチちゃん。
『企て人の役、なんとか果たすことができました~』 と左、ちょっと安心顔のレイナ。
さて、ここからは海が見える今宵の宿に直行。露天風呂で汗を流し、おいしい夕食にありつきました。