今日は群馬県の尾瀬の入口にある片品村の戸倉から鎌田に下り、R120で金精峠(こんせいとうげ)を越えて栃木県に入り、奥日光の紅葉巡りです。
序盤の鎌田から金精峠までのかなり長い上りに加え、奥日光には見どころがたくさんあるので、少々早い朝7時半に宿を出発。
戸倉からR401を下り出すと、ほどなく片品川の谷に続く山並みが見え出します。
遥か彼方の高い山はなんていう山でしょうか。
ぐわ~んと下って、あれ、下りすぎちゃった。。
片品川の左岸を行くつもりが、快適な下りについ橋を渡って右岸に出てしまいました。地図を確認すると、この先で左岸に戻る道が見つかったので、少しの間このまま右岸のR401を進みます。
新井でR401を離脱し片品川の左岸に出ました。
小さな閑野の集落を通り抜け、稲が干された田んぼの横の快適なカントリーロードを進みます。
このカントリーロードをそのまま進むとR401に出て鎌田まで下ってしまうので、位置エネルギーがもったいないと、途中から千明牧場に向かうことにしました。
ところがこの千明牧場に向かう道は、激坂上りでアヘアヘ。おいおい、まだ金精峠への上りに入っていないのに、こんなところで足を使ってどうするの、というブーイングが。
上った先の千明牧場は、緑輝く芝生がきれいなところ。
『うわぁ~、ここはきれいですねぇ~ お馬さん、いないかな。』 と、広い牧場のフィールドに見とれるキルピコンナ。
それまでアスファルト舗装だった道が、この牧場の横になると突然、地道に。
もしかするとここは牧場の私道なのかもしれませんが、柵の外なので通らせてもらいました。
千明牧場からは気持ちのいい林を抜けて、R120に下ります。ここは結局上って下ったから、国道で鎌田まで下り、そこから上った方が楽だったかもしれません。
R120は『日本ロマンチック街道』というすごい名前が付いた道ですが、どこがロマンチックなのかは? ともかく、そのR120日本ロマンチック街道を上り出します。ここから群馬県と栃木県を隔てる金精峠までは、上りっぱなしになります。
道端には所々、茶店のようなものが建っていて、そうした店先には大抵、地の野菜やきのこが並んでいます。
標高は900mほど。ぼちぼち紅葉した木が現れてきました。
しかし、山全体としてはまだ緑が勝っています。
白根温泉を過ぎると、右手に流れていた沢が左手を流れるようになります。このあたりから道の勾配が少しきつくなったように感じます。
標高が1,000mを超えたあたりの赤沢のバス停までなんとか上ってきましたが、ここでジークはバスで丸沼高原へ向かうことに。
ジークとは丸沼高原スキー場で落ち合うことにして、サイダーとキルピコンナはその後も上り続けます。
かなり斜度が上がってきましたが、えっちらおっちとゆっくり上り詰めて行きます。
南の山の木々もここにきて、ようやく赤みを帯びてきました。
道は東に向かっているので、ほぼ逆光です。木々の合間をすり抜けた光が道に影を落とし、真っ黒な幹の先の緑の中に、時々オレンジ色の紅葉が現れます。
標高が1,100mを超えると、ヘアピンカーブを一つ、二つと越えて、覆道やトンネルをくぐります。滝見橋を渡り。緩やかな大きなカーブをいくつか過ぎると、先に丸沼高原の大きな看板が見えてきました。
やっと丸沼高原に到着したようです。
丸沼高原の看板の先は駐車場になっており、その奥にスキー場がありました。この時期はもちろんまだ雪はありませんが、グラススキーの大会が開かれていました。
このスキー場の手前にはレストハウスがあるので、そこで一休み。15分ほどすると小型の路線バスが到着し、輪行してきたジークが下りてきました。
丸沼高原は標高1,400m付近にあり、ここまで来ると周辺の木々の色が一気に鮮やかになります。
ここは金精峠までの上りの中間点より少し下に位置します。ここから金精峠までは公共交通機関はないので、なんとか自転車で上って行かなければなりません。峠までまだ10km以上上らなければならないと聞いて、ジークはびびりまくり。
しかしとにかく、一歩前に踏み出さなければ峠には永遠に辿り着けません。
重い腰を上げて、丸沼高原から上り出します。
丸沼高原を出るとほどなく、先に高い山が見えてきました。あれが金精峠がある金精山でしょうか。
金精峠はトンネルなのであの頂上まで行くわけではありませんが、それにしてもまだまだ上らなければならなさそうです。
左手に丸沼が見えてきます。
木立に隠れ湖面はあまりよく見えませんが、対岸の山は見事な紅葉です。
この丸沼を横目に進んで行くと、白樺の林です。
高原の象徴的な木である白樺は、いつ見ても爽やかな印象ですね。
標高1,500m。山の紅葉もずいぶん進んできました。
丸沼を過ぎ、菅沼に向かいます。
このあたりは勾配の変化が大きく、少し楽になったかなと思うとアヘアヘ、少し楽になったかなと思うとアヘアヘという状況が続きます。
うねうねのヘアピンカーブを上り、そのピークから少し下ると菅沼です。
標高1,750m。北の山裾はオレンジ色から赤の紅葉です。
丸沼も菅沼も、道脇に展望所のようなものはなく、ゆっくり落ち着いて眺められないのが残念ですが、これら二つの沼の景色はなかなかロマンチックです。
菅沼はどこに下り口があるのか、湖面にたくさんボートが浮かんでいました。
あのボートから見る紅葉は、きっといいでしょうね。
菅沼からは穏やかな下りになります。金精峠まではあと一息なのに、ここで下りとは。
あぁ~、位置エネルギーが失われて行く~
もったいないと思いつつも、こればっかりはどうしようもありません。
下った先に休憩施設のようなものが現れたので、ここで一息入れます。
お休み処の標高は1,750m。金精峠まであと100mほどです。
気合いを入れて、最後の上りに入ります。
まずは白樺の林の横を進んで行きます。そしてうねうねのヘアピンカーブに入ると、上の山から降り注ぐような紅葉が。
ここは見事の一言。
黄色、オレンジ色、赤と揃った紅葉にため息を付きつつ、その下のヘアピンカーブをえっこらよっこらと上って行きます。
ヘアピンカーブを抜けると勾配が穏やかになり、さらに大きなカーブを廻ると、先にトンネルが見えます。やっとこ標高1,860mの金精峠に到着です。金精峠は本来はこの山の上の山道にある峠を指すようですから、本当はここは金精トンネルと呼ぶべきなのでしょう。
とにかくこれで本日の上りは終了。なんとかかんとか上ってきました。
金精トンネルはあまり広くない上に全長755mと少し長いので、車が来ない頃合いを見計らって一気に通り抜けます。
トンネルを抜けると、目の前にドーンと男体山が。
手前の山の紅葉も見事で、この景色は圧巻です。
少し下って振り返れば、金精山の荒々しい笈吊岩(おいつるいわ)が今にも落っこちてきそう。
男体山と笈吊岩に見とれたら、湯ノ湖まで一気に下ります。
といっても、いい景色があれば立ち止まってしまうのでした。
湯ノ湖の畔まで下りてきました。この周辺も紅葉の盛りです。
湯ノ湖は小さな静かな湖で、その周囲には散策路が巡らされており、ゆっくり散策するのにうってうけですが、この日は湖畔の眺めのいいレストハウスで昼食をとるだけに止めました。このあとも見どころがいっぱいあるので。
湯ノ湖のすぐ下には、そこから流れ落ちる湯滝があります。
この滝は水量が豊富で、間近に見られるので、迫力満点です。
湯滝からさらに下り、戦場ヶ原をかすめ、
男体山を眺めながら赤沼まで進みます。
赤沼茶屋の先から、本日のメインイベントが始まります。
ここから弓張峠を経て千手ヶ浜へ向かう日光市道1002号線は、一般車両進入禁止のすばらしい道なのです。
ここは歩行者と自転車、そして低公害バスしか通れません。
歩行者の多くはこの奥の小田代ヶ原(おだしろがはら)あたりから奥を訪れることが多いようで、入口からしばらくはだれにも出会いません。
森はミズナラやカラマツでがいい具合に紅葉していて、はっとするほどきれい。
『日光にこんなところがあるなんて知りませんでした~ ここは最高ー』 と、キルピコンナ。
小さなせせらぎを渡ります。
この流れは先に見た湯滝から続く湯川で、戦場ヶ原戦を通り抜け、この先で竜頭ノ滝となる流れです。
この快適な道はごく僅かな上り道。それをどんどこ行くと、
戦場ヶ原の奥にある小田代ヶ原に出ます。戦場ヶ原はこの時期は結構な人出ですが、この小田代ヶ原までやってくる人はあまりおらず、ひっそりとしています。草もみじはかろうじて最後の残照。
小田代ヶ原を過ぎると弓張峠。ここから周囲の森はがらりと様子を変え、針葉樹が多くなります。そして道は下りに。
弓張峠で引き返そうかどうしようか迷ったのですが、勢いで下ってしまった。どんどん、どんどん道は下って行きます。この帰りは大変そうだな、と思いつつも、まあなんとかなるだろうといつもいい加減なサイダーでした。
下った先は千手ヶ浜。ここもほとんど人気がなく、ひっそりとしています。この紅葉シーズンの日光にあって、この静けさはまったく信じられないほどです。
前に広がる湖は中禅寺湖です。その先にはあの男体山がドンと構えています。しばしここでゆっくりしたいところですが、そうもいきません。ジークは今日、関西に帰らなければならないのです。
『さっきの坂を上り返すの、きつそうやな。今日帰れんかったらどないしょ。』 と、弱気になるジーク。
とにかく来た道を引き返します。千手ヶ浜の一つ先のバス停に低公害バスが停車しています。ダメもとで自転車を載せてもらえるか聞いてみると、ん~ん、と考えた運転手さんからOKが出ました。本来はどうも自転車は載せられないようなのですが、この日は空いていたから運転手判断でOKとなったようです。ラッキー。
これで坂道を上らなくて済みました。バスで赤沼茶屋のうしろの赤沼自然情報センターまで行き、そこから再び走り出します。
すでに国道は渋滞をし始めています。数珠つなぎの車の横をどんどこ下り、竜頭ノ滝の上までやってきました。ここも紅葉真っ盛りです。しかし先ほど見た湯川がどこでどうしてこんな大きな流れになるのでしょう。
さらにぐわ~んと下って、竜頭ノ滝の下へ。もう紅葉は充分堪能したのでここはパスしても良かったのですが、通り道なのでちょっとだけ覗いてみました。
二手に分かれた流れが紅葉に囲まれて、ここもなかなかでした。
さて、これで本日の見どころは終了。あとは日光駅に下るだけです。
竜頭ノ滝を出るとすぐ、中禅寺湖の畔を行くようになります。ここの車はぴくりとも動きません。その横を軽快に進んで行くのは、ちょっと楽しい。
華厳の滝の入口を横目に、この滝はパスし、第一いろは坂に入ります。もちろんここも車は大渋滞。私たちはその車を置き去りにして、どんどんいろは坂を下って行きます。
いろは坂は紅葉はまだ序盤と聞いていましたが、すでに見頃といっていいようです。その中に小さな般若の滝が落ちているのを眺め、この先もぐわ~っと日光駅まで下り続けました。
ロマンチック街道R120は、特に紅葉のこの時期は車が多く、決して自転車に快適な道とはいえません。しかし、その周辺にある紅葉は、さすが日光といえるものがあります。特に小田代ヶ原までの日光市道1002号線は、自転車には最高のところです。ここは春の新緑の季節もいいですね。混雑していても、また来たくなる日光でした。