今朝も気持ちのいいお天気です。おいしい朝ご飯をたっぷり食べて、とても快適に過ごさせていただいた宿を出発します。
まずは宿のすぐ近くにある春日神社に立ち寄って、旅の安全祈願。樹齢を重ねた杉の大木が神社をこんもりと覆っています。
この神社には大国主命ほか八神が祀られているそうで、平安時代に荘園の鎮守神として創建されたとのこと。境内には、万葉の歌人、大伴家持が能登で詠んだ万葉歌碑があります。
今日はここから宇出津まで海沿いに走り、そこから内陸へ上るコース設定です。
神社から南に向かうと、R249は2つに分かれ、旧道の海側のルートを進みます。黒い瓦の家並みやお寺の並ぶ横を通っていきます。
1kmほどで山側に右折すると、丘の緑をバックに田畑が広がって、のんびりと開放的ないい雰囲気です。
その先にあったのは『倒さ(さかさ)スギ』。枝が地を這うように逆さに垂れているから、そう呼ばれるようになったそうです。
水を張った田んぼにどっしりとした影を映しているこの大木、樹齢は何と900年だとか。
幹の周長は8〜9mはあるでしょうか。倒さスギにパワーをいただくジオポタ。
倒さスギをあとに、田んぼの中のあぜ道を走ります。水路を越えたり小さなトンネルを抜けたりと、なかなか楽しい。
そして再びR249に出ました。水を張って空を映す田んぼの先は海です。ちょこっと上りの道を、レイナを先頭にわっせわっせと上る。
海側の視界が開けると砂浜の先に鵜飼漁港、そして、軍艦島とも呼ばれる『見附島』がぽっかりと浮かんでいます。
その見附島を目指し、鵜飼川を越える。河口に近い川には釣り船が浮かんでいます。
見附島に最も近い対岸の『フレッシュライン見附公園』に到着。見附島は先ほどより幅が狭く感じられます。ちょうど軍艦のような形の島は、見る角度によってかなり形が違うのです。
見附島は能登のシンボルとも言われ、観光客の姿も結構見られました。島はマンホールの蓋にも描かれています。
見附島までは、岸から100mほど岩を並べた遊歩道がつくられていますが、島まであと数mというところで途切れていました。潮の干満の関係なのかな?
島は白っぽい珪藻泥岩の絶壁。遊歩道からみると軍艦をちょうど斜め前から見た形ですね。
見附島をあとに、公園の松林の中を海岸沿いに進みます。キャンプ場もあり、テントがいくつも張られていました。
さらに海岸沿いの遊歩道を進みます。見附島が再び幅の広い形になっていきます。『気持ちいい道ですね〜!』とキルピコンナ。(TOP写真)
しかし、しばらく行くと遊歩道は消えてしまいました。
『すまんすまん、行けると思ったんだけど』とは、先導していたサイダー。このあと少し戻り、民家の畑の脇を通らせてもらって何とか道路にたどり着いたのでした。
さて、海岸に並行して家々が建ち並ぶ道路を走っていくと、
ほどなく恋路駅に到着。この駅、ちっちゃな『奥のとトロッコ鉄道』の駅です。田んぼを見渡す土手の上に軌道があります。
『奥のとトロッコ鉄道』は、2005年に廃線になった『のと鉄道能登線』の一部を使って300mほどのトロッコ鉄道を運営し、地域振興を図っているものです。
スタッフの方に案内されて、さっそくトロッコに乗り込むジオポタ。
恋路駅から宗玄トンネルを目指し、仲良く足踏みトロッコを漕ぐシロスキーとマサキン。どちらもテッチャンなのか、とても満足そう。『もっと速く速く!』とムチを入れるはサイダー。
青空と緑の中、田んぼと海を眺めながらのんびりと進むトロッコは楽しいね〜
300m先の宗玄トンネルで攻守交代、今度はキルピコンナとサリーナがペダルを回します。宗玄トンネル内は1年中温度が12度に保たれ、地元の酒蔵『宗玄酒造』が隧道蔵として活用しています。普通は入れませんが、貯蔵酒のオーナーになると見学可能だそうです。
戻ってきて恋路駅で記念撮影。運転手にはご褒美に帽子を貸してくれました。似合うでしょ!
トンネルの貯蔵酒をつくっているのがこちら、宗玄酒造。『のトロ』からはちょっと北に戻った道路沿いにあります。1768年創業で、日本四大杜氏に数えられる能登杜氏発祥の蔵と言われているそうです。
宗玄酒造で日本酒をゲットして自宅に送り、ご満悦で恋路海岸を疾走するシロスキー。
恋路の小さな岬を巡ると、突然激坂が現れました。前進あるのみ!
八重桜の咲く林の中の坂をガシガシ上るマサキン。追走するキルピコンナは余裕の笑顔です。
さらに南下し松波漁港を越えて、赤崎の岬の先端に向かいます。赤崎にはイチゴ園があり、家族連れが大勢イチゴ狩りに訪れていました。ここでイチゴを買って食べたかったのですが、イチゴ狩り専用とのことで残念。
赤崎の先端近くまでやってきました。海岸には赤茶色の岩礁が広がっています。この岩の色から『赤崎』というのでしょうか。
先端には東屋があり、しばし休憩です。岩礁の先には白い灯台がすっくと立っています。岩場の間で磯遊びも楽しそう。
赤崎を出発して南下していくと、内浦総合運動公園に出ます。公園内を進んでいくと、前方に背の高い建造物が見えてきました。
それは、大キリコをモチーフにした斜張橋『ふる里キリコ橋』でした。『おっきいね〜』と見上げるジオポタの面々。
九里川尻川にかかるこの橋の長さは59.5m、そして高さは23.8mです。車は通れません。
キリコ橋を渡り、ちょっと早いけどお昼処に向かいます。高台にあるのでここは上り。よっこらしょとサリーナが引き、追うシロスキー。
たどり着いた所は『日本海倶楽部』。地ビール工場、レストラン、牧場などからなるリゾート施設で、高台のレストランからは内浦の入江の景色が美しく広がります。牧場には白いお馬さんがいました。
レストランの2階で入江の景色を眺めながら、鶏の丸焼きなどの昼食を終え、再び海辺の道へ。
昼頃から、空は白い雲に覆われてきました。海辺のr35を疾走するレイナとレイ。
内浦長尾では海沿いのr35の陸側に入江があり、そこにいくつかの舟小屋が見られます。舟小屋は、文字通り船を収納するための小屋で、冬場の雪や雨が多い日本海側にみられ、丹後半島の『伊根の舟屋』が有名です。
ここ内浦長尾の舟小屋は数軒ですが、入江に並んで独特の家並み風景をつくりだしています。
さらに先へ進み、五色ヶ浜を通り過ぎ、九十九湾をめざしてどんどん走ります。
九十九湾の東側入口にある城ヶ崎に到着。九十九湾園地野営場(キャンプ場)の芝生の脇からは、『九十九湾遊歩道』が始まっています。
この遊歩道は、浅瀬の海に並ぶ飛び石を巡る海の上の散歩道となっています。澄んだ水の中をよく見れば、『お、アメフラシがいる!』
城ヶ崎を回り込むと、対岸には小木港が見えます。景色を愛でたり海の生き物を探したりと、楽しい遊歩道です。
その対岸の小木港から何やらお囃子が聞こえてきました。目を凝らすと、高い幟が湾の中を高速で移動しているように見えます。これは行ってみなきゃ!
というわけで城ヶ崎を出発。r35へ戻る道の左手には小さな入江と黒い瓦の家並みが見えます。九十九湾は、こんな入江がいくつも連なる複雑な地形が美しい景観を生み出しています。
湾をぐるっと回ってr35を離れ、トンネルを抜けると小さな港には幟を持つ人たちが並んでいます。そして集落入口には御神輿とその担ぎ手たちがスタンバイ。写真の左にちらりと見えるのが御神輿。
さらにもう一つ、小さなトンネルを抜けるとそこが小木港です。お囃子の音が鳴り響き、その中を、背の高い幟を掲げた船が何艘もかなりのスピードで港を周回しています。
よく見ると、幟を掲げた船には子どもたちが乗り込み、その船を漁船が曳航しています。
これは『とも旗祭り』で、今年は5月2・3日に開催されています。パンフレットによれば、その由来は『明治中期、子ども等が大漁と安全を祈願し、紙で継いだ小さな旗に船名を書きそれを伝馬船に見立てて遊んでいた。後に神輿の港内渡御に運航することが慣例となり、現在のとも旗祭りとなった』とのこと。
お祭りに遭遇するとはラッキー!と盛り上がるジオポタ。
今日の午前中は九十九湾内を巡航し、午後は小木港内巡航、そして午後3時半には接岸して御神輿を乗せ、その御座船を先頭に小木港内を巡航するとのことです。
船の巡航をしばらく楽しんで出発すると、集落の中ではちょうど御神輿が練り歩いているところでした。これから港に向かい、船に乗るところなのでしょう。
御神輿が通る道の真ん中には塩が盛られ、清められていました。
時刻は午後2時をまわっていますが、今日はまだ予定距離の半分しか走っていません。
小木から宇出津方面へと走り出すと、しばらくはアップダウンの連続です。ヨロヨロと上り道をゆくジオポタ。
それでも上ってみれば、入江や漁港が見渡せて楽しい。ここは真脇港です。
真脇には北陸最大級の縄文時代の遺跡がありますが、今回は時間の関係で通過となりました。
真脇を過ぎると、道路はほぼ海岸沿いの平地となります。
『よかった〜』の声をよそに、『もう上り坂はないの?』とは上りの帝王マサキン。あとでたっぷりありますから、ご心配なく。
羽根の集落を過ぎ、田ノ浦の先に遠島山公園のある岬が見えてきました。
このあたりまでは、海のすぐ横を走れていい気持ち。
晴れていれば遠島山公園に立ち寄って、対岸にあたる富山県の立山連峰を眺める予定でしたが、あいにくの曇り空なのでそのまま宇出津に向かうことにしました。
宇出津に到着すると、空にはかなり暗い雲が広がっていました。今日は夕方から雨の予報になっているので、宇出津ではコンビニに立ち寄っただけで先を急ぎます。
さて、ここからが本日一番の上り。標高差200m、平均勾配は7%ほどですが、ところどころに超激坂あり。『待ってました!』と林の中をマサキンがカッ飛ばす。
上りの途中、田んぼがつくられた箇所ではやや勾配が緩み、ほっと一息。『何とか上れそうです〜』と笑顔のレイナとレイ。
しかし最後に、短いながら超絶的な激坂が待っていた。標高差80m、平均勾配12.8%。
みんなヨロヨロしながら、それぞれのペースで上っていきます。もちろん『押し』あり。
ヘロヘロ、ヨロヨロと何とか上り終えたところは『やなぎだ植物公園』です。広い敷地内にはさまざまな季節の植物が植えられ、宿泊施設やレストランもあります。
一息入れた後、芝生広場の横を通り抜けるジオポタ。
ここからしばらくは、基本的には下りの一般道です。
車はほとんど通らず、静かで気持ちのいい道をサイダーが引く。
おっと、上り。ときどきは上り返しなんかもあったりします。一般道ですから。
飛び出すサリーナと、追うキルピコンナ、マサキン。
柳田温泉口に到着すると、そこから終点までは県道26号を走ります。
周囲には田んぼが広がり、木の格子に白い漆喰が美しく威厳のある民家が並んでいます。
美しい家々、そして道の正面に現れたお寺の背の高い杉林や森が、町並みのいい雰囲気をつくりあげています。
道ばたには、ときどき色とりどりの衣装の案山子が出現します。案山子って、普通は田んぼの中にあるのに道路脇に並んでいるのはどうしてでしょう?
あとで民宿の方に聞いてみたら、この地域で行われるマラソン大会の応援団として案山子が立っているのだそうです。
五十里という集落を通ると、ある家の前に小さな幟が立っていました。このお宅は、庭の『のとキリシマツツジ』を一定期間公開する『オープンガーデン』の活動に参加されているのです。
正面の庭には、赤とピンクの『のとキリシマツツジ』の大木が満開の花を咲かせ鮮やかです。このピンク(紫)の『紫霧島』は樹齢400年を超える古木だそうで、紫霧島の大木は珍しく、石川県指定天然記念物となっています。
美しい紫がかった花が満開の『紫霧島』。
五十里のあとは、少し寄り道して北河内ダムに上る予定でしたが、雨の心配もあったのでそのまま宿に向かうことにしました。
17時過ぎ、到着したのは本日の宿『ともしび庵』です。ここは、地域の特色を活かしたグリーンツーリズムに取り組む『春蘭の里』に参加する民宿で、春蘭の里事務局に紹介していただきました。立派な民家で温かく迎えていただき、ほっと一息です。
まずは国民宿舎能登やなぎだ荘の温泉まで送迎していただき、ゆっくり温まって体をほぐします。その間にかなり強い雨が降り始め、『早めに着いてよかった〜』
そして民宿に戻ると豪華な夕食の始まりです。いろりではエビとタイが香ばしい香りを漂わせています。
ほどよく焼けたかな?とガブリ。う、うま〜!
そして、隣室でおかみさんが揚げてくれるイカやしいたけ、野菜などのアツアツの天ぷらの美味なこと!
お刺身、塩辛、酢の物、いろりで焼いた魚介、天ぷらと、海の幸と山の幸が溢れるすばらしい夕食でした。そして古民家に包まれるような温かい雰囲気で、夜は更けていきました。