今日も快晴です。やったね! 朝はちょっと涼しいけど、昨日より気温は上がりそうです。
出発準備を整えて、ホテルの前で気合いを入れるサリーナとシロスキー。
まずは十和田市中心部の見所を巡ります。
最初に訪れたのはカトリック十和田教会。この建物はスイスの建築家マックス・ヒンデルによって設計され、1932年(昭和7年)に建てられたもので、内部はロマネスク様式なのだそうです。残念ながら内部を見ることはできませんでした。
続いて十和田市官庁街通りにやってきました。ここは十和田市のシンボルロードとして、長さ1.1kmに渡って桜と松の美しい並木が続いています。
今の時期は桜がゴージャス。多少散りかけていますが、何とか見頃に間に合ったようです。幅員36mの道路は歩道が広く、花壇やせせらぎも造られていてとてもいい感じ。
そして立ち寄ったのは、十和田市現代美術館。白く四角いハコが迎えてくれました。
この交差点を挟んで向かい側にもアート広場があり、お家とか車とかカボチャとかオバケ?とか、展示がとても楽しい。
白く四角いハコはいくつもある展示室です。ガラス面を介して展示を見ながら通りを散策できるのも楽しい。
そして、そのハコの間のスペースにもいろいろな作品の展示があります。
フラワー・ホース(チェ・ジョンファ)の前でサイダーがジャンプ!
カラフルなリキシャの中で、ペパーミント色のリキシャに乗り込むサリーナ!
アッタ(巨大アリ/椿昇)の前でシロスキーがガオーポーズ!
十和田市現代美術館をいろいろ楽しんだあと、官庁街通りを西へと向かいます。
桜の木漏れ日が心地よい。
市街地を抜けると、田園風景の中にいきなり絶景が飛び込んできました。白い雪を冠った八甲田山は、昨日小川原湖で見たときよりかなり大きくなっています。
絶景ポーズはサリーナとシロスキー。
ここからはまっすぐ進むたび、角を曲がるたびに八甲田山が大きくなって見え隠れするので、なかなか目が離せません。
満開の桜とサイダーと八甲田山。
白く美しい頂を見せるのは八甲田山だけではありません。左手に見えるのは、八幡平の山々です。
進行方向の左右に白い山々を眺めながら、広い田んぼの中の一本道を駆け抜けるサイダーとシロスキー。
八甲田山はどんどん大きくなっていき、円錐形の高田大岳が美しい稜線を見せています。
「最高の景色だね〜」とはしゃぐサリーナ。
景色を楽しみながら平らな一本道をしばらく走った後は、少しずつ上り基調になってきました。周囲に山が近づいてきて、道が細くなっていきます。
そんな田舎道の正面に茅葺屋根の家屋が見えてきました。旧笠石家住宅です。
旧笠石家住宅は、18世紀後半に建てられたと伝えられる寄棟造茅葺き屋根の農家で、国の重要文化財に指定されています。
深く茅葺屋根を被った様子がシンプルで美しい。
住居の前面で見上げると、綺麗に葺かれた茅が縄で締められているのを見ることができます。
中に入ってみると奥のかまどに火が入っており、右手には広い土間の厩「まや」があります。上がって左手には囲炉裏のある居間があります。
明かりは正面の障子から入るのみで、写真で見るよりかなり薄暗い感じです。
床板は表面が山形の模様に仕上げられて、とても美しい。手斧仕上げなのでしょう。
この旧笠石家住宅の敷地内には十和田湖民俗資料館があり、地域の生活用具などが展示されています。筵を編む織り機などもあって面白い。
旧笠石家住宅の敷地の日陰部分には雪が残っていました。聞けば、おととい降った雪なのだそうです。八戸では寒い雨でしたが、ここでは雪が降り積もったんですね。
そこからは道端の日陰にも雪が見られるようになりました。
そんな山道を通って十和田温泉郷に近づいてきました。この辺りに明日宿泊する宿『南部屋』があります。
そして、奥入瀬川を渡ります。
十和田湖温泉郷を過ぎ、焼山に到着。ここで『奥入瀬渓流ホテル』にちょっと寄り道です。
ロビーの奥には、岡本太郎によるブロンズの暖炉があります。人や森の木々、鳥などが踊る森の神話を描いたものなんだそうです。
さて、ここからいよいよ奥入瀬渓流に沿った上りに入っていきます。
周囲を木々に覆われた道路を上ります。渓流と遊歩道は進行方向右手にあります。
ここは最初の見所『紫明渓』。広がりのある河原を水が流れていきます。
県道102号をさらに上っていきます。シロスキーが引き、サリーナが追いかける。
『三乱(さみだれ)の流れ』に着きました。豊かな水が岩の上を流れていきます。
ここの見頃は5月中旬で、岩の上にムラサキヤシオ(ミヤマツツジ)が咲き乱れるのだそうです。今は木々がようやく芽吹き始めたところですが、あと2〜3週間もすれば緑と花に覆われるのでしょう。
そしてすぐに石ヶ戸休憩所があります。ここには休憩所があり駐車場もあって、ここに車を停めて遊歩道を散策する人も多いようです。道路は随分混雑しています。
私たちはここはパスして上っていきます。途中の道路沿いには小さな水の流れもあって涼しげ。
そして、足元に咲いていた白い花はキクザキイチリンソウ(キクザキイチゲ)。
イチリンソウの仲間ですが、花形がキクに似ているのでこの名前がつけられています。
奥入瀬を代表する景観と言われている『阿修羅の流れ』にやってきました。岩の間を白い飛沫を上げながら水が激しく流れていきます。観光客にも人気のスポットで、写真を撮る人たちで賑わっています。
私たちもここでちょっと休憩して写真を撮ったら、持ってきたおにぎりを頬張ります。
休憩を終え、続いてやってきたのは『千筋の滝』。
10mほどの落差で水量は少ないものの、何段にも分かれて幾筋もの細い流れが静かに落ちていきます。
この後も道の両側に色々な滝が現れ、それらを眺めながらどんどん上ります。歩行者がいなくなったところでは、木々の間を走るのも気持ち良い(TOP写真)。
川の流れが少し穏やかなところで、流れの近くを走るサイダー。いつの間にか半袖になっていますね。
川の向こうに見えてきたのは『白糸の滝』。落差30mを一筋で一気に落ちる滝です。
この付近は他にも『玉簾の滝』『白絹の滝』『不老の滝』など、滝が続いています。
それらの上流にあるのが『銚子大滝』。他の滝は奥入瀬川に流れ込む滝ですが、この銚子大滝は奥入瀬川本流にあり、幅広く水量も豊富な大滝です。
魚がこの滝を上れないので、別名『魚止めの滝』とも言われているそうです。
そして、ついに十和田湖が見えてきました。十和田湖は奥入瀬川の源で、奥入瀬川は十和田湖から流出する唯一の河川だそうです。
奥入瀬川の源にかかる子ノ口橋から見ると、奥入瀬川に澄んだ水が吸い込まれていくようです。
そして、遊覧船の船着場へ。青空の下、十和田湖の豊かな湖面が広がっています。
「やった〜到着!」とはしゃぐのはサイダーとシロスキー。
「広くていい気持ち〜」と深呼吸するのはサリーナ。
十和田湖は青森県と秋田県にまたがるカルデラ湖です。日本で12番目に大きい湖沼だそうですから、順位は昨日の小川原湖の次ですね。最大水深は326.8mで、こちらは第3位だそうです。ちなみに1位は田沢湖、2位は支笏湖。
時刻はもう午後2時近く、ここ子ノ口で遅いお昼にしましょう。
「せっかくだから十和田名物を」とサイダーが注文したのは、最強B級グルメ『十和田バラ焼き』定食です。「タレと玉ねぎの甘みが絡まって美味しい〜」だそうです。
ゆっくり食事を終えると、子ノ口を出て十和田湖沿いに南の宇樽部を目指します。
右手に湖、そして雑木林に覆われた県道103号は緩やかなカーブを描いて続きます。
ふと道路の脇を見ると、キクザキイチリンソウが群生していました。
前に見た花は白かったのですが、ここで咲いている花は薄紫色をしています。
ほどなく宇樽部に到着。桟橋に下りてみると観光船が停泊していました。
桟橋を颯爽と走るシロスキー。
宇樽部にやってきたのは、グリランドの運営する『リブツアー』に参加するためです。船底はFRPなどで作られ、周りはチューブ状になっている『リブボート』に乗って、十和田湖のいろんなスポットを巡ろうというものです。
基本的には『濡れない』らしいのですが、高速で運行するため寒さ対策にポンチョを貸してくれて、その上に救命胴衣をつけます。いくぞ!のポーズはサリーナ。あれ、シロスキーは心配顔でどうしたの?
まずは桟橋まで移動。8角形の浮き桟橋に渡ると、そこには前の回のツアーから帰ってきたリブボートが停泊していました。
これがリブボート。8人ほどが乗り込めます。
「わ〜い、行くぞ〜」と盛り上がるサイダー。
前から2列目の3人席に乗り込んだ私たち。出発前に記念撮影です。
ボートが走り出したら帽子やカメラは注意してね。十和田湖の水深は深いですから、落としたら終わりですよ。
というわけで、いざ出発! いきなりの高速走行にビックリ。風圧でサングラスが飛びそうです。
後からやってきたリブボートを見ると、前方がずいぶん上に持ち上がっていますね。知らんかった〜
まずは十和田湖の2つの半島のうちの一つ、中山半島にやってきました。水を飲みにくる熊などの動物に遭遇することもあるという入江を見物。残念ながら熊はいません。
続いて十和田占場へ。この上には十和田神社がありますが、占場は神社の奥の崖地から鉄の梯子を下りたところにあり、ここからお金やお米のお捻りなどを投げ、願いが叶うときには水底に引き込まれるのだとか。鉄の梯子が壊れたため、現在は陸側から近づくことはできないそうです。湖面すれすれのところに大きな杉の御神木がありました。
2つの半島に囲まれたここは、十和田湖の中でも中湖(なかのうみ)と呼ばれるところです。
十和田湖の中でも最も水深の深い中湖の水辺は切り立った崖になっており、陸側からは近づけません。火山の創り出した独特の地形です。
荒々しい岩肌を見せる崖がありました。マグマが冷えて固まった柱状節理が見えます。
突き出た小さな岬。水辺の近くの岩は白い地衣類で覆われています。
見上げると、崖の表面に赤い部分があります。鉄分を多く含んだ地層なのだとか。
そして不思議スポットも。東日本大震災後、この水辺の洞窟に現れたとされる石像。写真右の洞窟の中右手にうっすらと見えるものです。
キリスト像じゃないかとも言われているそうですが。。
そんな見所を巡ったら、高速艇はビューンと方向転換して出航した港を目指します。このGがかかる感じがたまりませんねえ。
野生動物に会えなかったのは残念ですが、リブツアーは少人数でなかなかできない体験ができて盛り上がれました。
というわけで、桟橋でリブボートとともに記念撮影です。
ところで今日の宿は、先ほどボートで訪ねた中山半島の向こう側の休屋にあります。そこまでは約180mを上り、湖を眺める見晴台『瞰湖台』を経由する行程で、ちょっとキツそう。このリブツアー運営会社は希望すれば宿まで送ってくれるそうですが、それでは見晴台は通りません。
悩んだ末、やっぱり自分で上ろうかということになりました。そんなわけで、日暮れの静かな道をわっせわっせと上るサリーナとシロスキー。
ヨロヨロ上って何とか瞰湖台に到着。十和田湖に夕陽が沈んでいきます。
左手から突き出ているのが中山半島の先端です。
そして、瞰湖台から今度は下り。上りにかかった時間に比べるとあっという間ですね。
休屋に到着し、宿へ行く前に十和田神社に立ち寄ることにしました。杉並木の参道を進むと、鳥居の奥に重厚な拝殿が姿を現します。梁の端部の木鼻や懸魚はゾウさんや獅子などの彫刻で埋め尽くされています。
神社の奥に行けば、先ほどリブボートで湖側から見た占場に至るわけですね。
参道を戻り、今度は湖側のウッドデッキを通って進むと、ちょうど夕日が湖に沈むところでした。
さらに進んでいくと、
そこには高村光太郎の『乙女の像』がありました。
力強い女性美に溢れたこの乙女の像は、1953年(昭和23年)に完成した高村光太郎最後の彫刻作品だそうです。
乙女の像のある浜辺から見た中山半島西側の西湖(にしのうみ)は、美しい弧を描いています。
日が沈み、暗くならないうちに宿へと急ぎます。もうお腹すいちゃったよ〜
今日の宿は温泉付き民宿です。
到着してお風呂に入った後、早速夕食です。十和田湖の名物は何と言ってもヒメマスでしょう。
オレンジ色のヒメマスの刺身は、とろりとして何とも美味です。甘みがあり、全くクセはありません。
そしてヒメマスの塩焼き。焼きたてを出していただきました。ふっくらとアツアツで最高〜!
ところでずっと青森県を走ってきましたが、この民宿は秋田県にあります。といっても休屋の集落の大部分は青森県で「小学校はすぐそこの青森県の小学校に行ったんですよ」とおかみさん。「ところで3人はご家族ですか?」など盛り上がり、美味しい食事と楽しい会話で夜は更けていきました。
さて、明日は十和田湖の残りを走って一周する予定ですが、天気予報ではどうやら雨模様。どうしましょうか。