今日は2019年GWツアーの最終日。大湊の朝は快晴です。
今日はここ大湊から陸奥湾を西へ進み、脇野沢から船に乗って青森に戻る予定でしたが、クッキーから尻屋崎に行かないかと提案がありました。浅虫温泉でお会いした美佐子さんが尻屋崎はとてもいいと言っていたそうなのです。
尻屋崎までは往復80kmあり、帰京する列車の時刻を考えると自転車ではちょっと厳しい。すでにバスの時刻を調べていたクッキーはバスを提案。尻屋崎に行ってみたいな〜と内心思っていたメンバーが大多数だったので、すんなりこの案に決定です。
自転車と不要な荷物を宿に預け、大湊駅前からバスに乗ります。
このバスでむつ市の中心部へ向かいます。
大湊には海上自衛隊の母港があり、大湊駅はJR大湊線の終着駅となっているのですが、むつ市の中心地はその一つ手前の下北駅の周辺なのです。
JRバスを柳町で下車し、そのすぐ横にある下北交通の『むつバスターミナル』から尻屋崎行きのバスに乗り換えます。
バスターミナルと言うのでどんなものだろうと思っていたら、それはこんなでした。結構渋いです。(笑)
ここで自転車の三人組に遭いました。彼らはこれから恐山に行くそうなのですが、自転車で上るのはしんどそうなのでバス輪行に決めたそうです。ローカルバスはほとんどの場合、空いていれば自転車を車内に持ち込むことができますからね。私たちは昨日恐山に上ったので、その時の様子を伝えてさしあげました。
彼らと雑談をしているうちに、私たちの尻屋崎行きのバスがやってきました。
尻屋崎はそれなりの観光地ですが、このバスに乗っているのは数人。このあたりは車での移動が基本なのでしょう。
バスは市街地を抜け、牧草地をかすめて、津軽海峡に出ました。
凪。一昨日はもの凄い白波が立っていたのに、この日はべた凪でこれまで見られなかった漁船もたくさん浮かんでいるのが見えます。
津軽海峡の先にうっすらと見えるのは北海道。一番右に見えるのが亀田半島の恵山(618m)ですから、函館はちょうどこの正面あたりに位置しているはず。
尻屋で開閉式のゲートをくぐったバスは尻屋崎に向かいます。
このゲートと尻屋崎の間には寒立馬(かんだちめ)と呼ばれる馬が車窓から見えました。
尻屋崎に到着。ここは下北半島の北東端で、尻屋崎灯台と『本州最涯地尻屋崎の碑』が立っています。
尻屋崎灯台はこの時改修工事中で足場が架かっており、ちょっと残念。碑の方ですが、最涯地ってなんだろうと思ったのですが、『涯』には『はて』という意味があるので、本州のはてという意味でしょう。本州の最北端は大間崎、最東端は岩手県宮古市の魹ヶ埼(とどがさき)なので、ここはうたうべきものがなかったから『涯』としたのでしょう。
青く広い海と空。これだけでもここに来て良かったと思えます。この海は太平洋ですよ〜
完全な外海の太平洋はもっと波が高いかと思いましたが、こちらも津軽海峡同様にかなり穏やかです。
場所をちょっと移動し、岬の北側、津軽海峡側にやってきました。
先に見えるのは北海道かと思いましたが、あれれ、この形はどこかで見たような。
そう、これは昨日上った恐山です。
一番左に見えるのが下北半島の最高峰の釜伏山(879m)で、この一帯の山を恐山と呼びます。
視線を右にずらしていくと山はなだらかになり、陸地は海にすっと落ち込んでいます。この一番右あたりが大間崎でしょう。
とすると北海道は? これは数枚前の写真にある恵山あたりが見えるだけで、他は残念ながら見えないのでした。
ひとしきり海を眺めたら、お馬さんを見に行きます。このあたりにはバスの車窓から見えた寒立馬という馬が放牧されているのです。
バスでやってきた側にちょっと戻ると、いました、いました。小柄でずんぐり、短足のお馬さんが。
江戸時代の南部地方には南部馬という大柄な在来馬がいたそうです。ここ下北地方(南部地方の一部)の沿岸にはこの南部馬の血を引く田名部馬という、小柄だけれど寒さと粗食に耐え、持久力に富む馬が放牧されていたそうです。
しかし明治時代になるとこれらの馬は軍用馬とするために外来馬と交配させられ、より大型に改良されます。この結果、南部馬も田名部馬も純血種はいなくなってしまったそうです。
軍用としての利用価値がなくなると農耕馬として使われますがその需要も減ると、フランス産の大型肉用馬ブルトン種との交配が進められます。これが現在の寒立馬だそうです。足の太さがすごいね。
私たちが比較的良く知っている馬は気性が荒く神経質なものが多いと思いますが、この寒立馬はすごくおだやかです。それでいて人なつこいというわけではなく、だた我が道を行く、といった感じ。
短足お馬ちゃんの足下に咲くのはアズマギク。薄紫色のきれいな花ですね。
とりあえずお馬さんが見られたので、灯台の前にある売店で休憩です。ここで貸し自転車を発見。それもなんと無料! これは乗らないわけにはいきますまい。
しかし自転車は三台しかなかったので、まずサイダー、ジーク、マージコの三人でポタリング開始。
尻屋崎には一周10kmほどの周回路があるので、これを時計回りに廻ることにしました。
真っ青な太平洋を眺めながらどんどこ行くと、前方に小さな岬が見えます。あれは藤石崎と言うようです。
その藤石崎付近は坂道で、上って下り。ビューンと楽しい。
『自転車、最高〜』 と、マージコ。
藤石崎を過ぎると磯の先に、天辺に鳥居が立つ岩の小島が見えます。
この島、その名も岸島! そのまんまですね。
磯では磯漁が行われています。こんぶ、わかめ、鮑などが採れるようです。
この磯漁は鮑はともかく、こんぶやわかめは打ち上げられたものを拾うだけなので、生態系にほとんど影響を与えない良い方法ですね。
岸島を横目にどんどこ行くと、
尻屋漁港です。尻屋の集落は岬の先端ではなくこのあたりなのです。
尻屋漁港で道が方向転換し北に向かうと、内陸を行くようになります。
この尻屋からはちょっとした上り坂が続きます。
尻屋崎公園ビジターハウスまでやってくると来ると尻屋崎方面の分岐があり、今朝バスが通り抜けたゲートがあります。このゲート、自転車はどうかと思ったら自動でオープン。しかし足下は馬が通れないように巨大なグレーチング状になっているため、自転車を降りて通過します。
尻屋崎に向かうと、交通渋滞が発生しています。一体なんだろうと思ったら、なんとお馬さんがとおせんぼ。
白いお馬さんがいましたよ。
こちらのたてがみはふっさふさ〜
海辺でムシャムシャ。おいしいです〜
こうしてまたまたお馬さんを眺めて、尻屋崎一周完了。
灯台を眺めながら食事をしていたクッキーによると、ここでまた下風呂温泉でご一緒した美佐子さんに遇ったそうな。これで三度目。二度はあっても三度はなかなかないですね。美佐子さんからはむつ市まで車で送ってくださるとの申し出があったらしいのですが、もう少しここにいる予定なので丁重に辞退したとのこと。ありがとうございます、美佐子さん。
クッキーとシロスキーに自転車を渡す段になると、シロスキーは自転車より酒がいいというので、サイダーが再び自転車に股がり、クッキーと出発。
クッキーはまずお馬さんを見たいと言うので、陸奥湾沿いを西へ。
先ほどいたお馬さんたちは少し移動して、沼に近づいています。
水を呑んだかと思ったら、次の瞬間、沼の中にザッパーン。
お腹をぐりぐりと池の底にこすりつけて、穴を掘っているよう。そこに寝転んでジャブジャブ遊び。
『お馬さんの水浴び、始めて見ました〜』 と、この様子に大満足のクッキー。
お馬さんからはいったん灯台に戻り、太平洋沿いを行ってみることにします。
やっぱり真っ青な海は気持ちいい。
『自転車、ちょっとでしたが走れてよかった〜』 と、尻屋崎のサイクリングに満足げなクッキーでした。
クッキーとサイダーがサイクリングから戻ってくると、ちょうど帰りのバスの時刻です。
いや〜、尻屋崎、よかった〜
バスで大湊まで戻ったら、宿で自転車と荷物をピックアップして大湊駅に移動。プラットフォームに停車している列車は、やって来た時と違って窓が大きなしゃれた車両です。
これでもう安心と思いきや、この直後、とんだハプニングが。改札口は出発の数分前にしか開きません。時間がやってきて改札が始まりいよいよ私たちの番になると、改札係の方は、この快速列車は全席指定席なので指定券がないと乗れないといいます。慌てて切符売り場に駆け込んだマージコですが、なんだか窓口で揉めているよう。
数分してようやく戻って来たマージコはともかく列車に向かえと言います。ドタバタと列車に乗り込み、自転車置場を確保して・・・ 一番うしろの席に駆け込みました。
なんでもマージコによれば、八戸までの指定席は売り切れと言われたらしい。そこで立ち席でもいいから売ってくれと言うと、隣駅の下北駅までなら空きがあるから、それ以降はデッキに立っていてくれと言われ、なんとか乗車できたと言うのです。
マージコが去ろうとした時、切符売りの方は、車両の最前と最後尾の座席はフリーの展望席なので、そこに座ることができるだろうと教えてくれたとのこと。機転をきかせてくれてありがとです、JRさん。そんだけど、全席指定の快速列車ってあるんですかねぇ。。少なくとも私たちは誰一人、そんなものがあるって知りませんでしたし、本当にデッキに立っている、私たちと同じ境遇の方たちが何人もいましたよ。
この列車に乗れなかったら東京まで帰れなかったのです。危なかったぜよ〜
ともかくもなんとか展望席も確保でき、これで一安心。と思ったら・・・ いや〜、とことんやってくれるぜJRさん。今度は車両点検だかなんだかで、どこかの駅で停止してしまったのです。八戸の乗り換え時間はたったの19分。12分も遅れてようやく出発です。これは本当に危ういよ・・・
まあ、結果としては八戸にはほぼ当初の予定時刻に到着できたのですが、この旅、最初から最後までハラハラドキドキのしっぱなしだったわい。終わってみればそれもまた楽しいか。
◆ひとこと by クッキー
初めての青森県。今回GW後半から参加しましたが、弘前城に大間崎・霊場恐山、浅虫温泉で知り合った美佐子さんのお陰で立ち寄った尻屋崎etc…(お馬さん可愛かった〜!) 念願の場所へジオポタの皆さんと回れて、最高のGWになりました^ ^
それにしても忘れ物にハプニングに、今思い出すとなにかに憑かれていたかのような毎日でした(笑)。それも後には大笑いネタで、特に今回は伝説級の忘れ物大魔王事件に遭遇できて、いまだに思い出し笑いします^ ^
ジオポタ、本当に楽しい!