高鶴山荘の朝は快晴で、とてもいい気持ち。
でも今日の天気は夕方頃から怪しそうなので、少し早めに8時前に宿を出発。
宿からまずは高鶴山の方面への上りです。
この小道はすぐにダートの激坂となって早くも押しに入るジオポタの面々ですが、周囲は水仙が咲くのどかな雰囲気です。
ほぼ上り終わったところは水仙が満開。あざみも加わって、とてもいい感じの小道となっていました。
今年の房総は、水仙の開花が遅れているのかどこも今ひとつ寂しい感じでしたが、ここは美しく咲いています。
というわけで、水仙と一緒にポーズ!(TOP写真も)
日差しも暖かく、着込んでいた上着を脱いで出発です。
両側に水仙が続く道を楽しく走っていきます。
農家の脇を抜けたところで、朝の作業に取りかかっていた女性からエールを送られます。『あら大学生? 頑張って~!』
ジオポタ若づくり集団が行く。
小道は少し大きめの道路に合流。左手には菜の花畑が広がっています。
そういえば、今年は菜の花もあまり見かけませんでした。やっぱり台風の影響でしょうか?
しばらく走ると右手に真っ赤な鳥居が見えてきました。熊野神社です。
車の少ない道路をさらに西へと進みます。丘陵地に広がる田んぼが山里のいい雰囲気を見せています。
『今日は暖かくて快調ですね~』とゴキゲンなクッキーが飛ばします。
ほどなく、布野林道の入り口に着きました。
ここは、春は桜、夏はアジサイ、秋は紅葉を楽しめるハイキングコースになっています。1月初めの今は、さすがに桜はまだですね~
両側に木が生い茂り、苔むした岩場が迫る静かで薄暗い林道を走っていくと、
岩に穿たれた穴に、ひっそりとお地蔵様が祀られていました。
杉林の間を黙々と進むシロスキー。
林道の脇には、台風で倒れた木々を伐採した太い幹の丸太や木の枝が積まれていました。
林道の終点の和田町黒岩に着きました。広めの道に入り、三原川に沿って海岸を目指します。
みんなを引くシロスキー。空には薄い雲がかかってきました。
広い道を行くのは許さん、といつものサイダーがすぐに脇道に入ります。そしてありゃ、行き止まりという道も。
『サイダーさん、今日のコースミス1回目ですよ!』と、サイダーの迷走を厳しく数えているクッキー。
ひなびた道は水仙が咲き、蘇鉄も植わっています。
このあたりでは蘇鉄の畑もよく見られます。
そして、激坂を上るとついに海が見えました。白渚というところです。前の内房線の線路をちょうど列車が横切っていきました。
海辺に白い斜張橋が見えます。これからあの橋を目指して下りていきます。
海辺に到着し、三原川にかかる斜張橋を渡ります。
橋の名前は「和田サーフ橋」。サーファーが多いからってことでしょう。
橋から海側を見ると、静かな河口付近にはカモメがたくさん休んでいます。
そしてその先の海辺は白い波しぶきがあがっています。
白い波の間には、いたいた。サーファーが大勢波と戯れています。
くるくると器用に波に乗る姿にしばらく見とれてるジオポタでした。
ここからしばらく海岸沿いの自転車歩行者道をまっすぐ進みます。
サーファーのエリアがしばらく続き、その後釣りの人々が現れます。エリアがちゃんと分かれていますね。
丸山川の手前で海辺の道は終わり、房総フラワーライン(r297)に入って川を渡ります。
すぐにローズマリー公園に到着し、ここでトイレ休憩。
ここには農産物直売所があります。目を引くのは、ずらりと並べられた花の苗。さすがフラワーラインですね。
ローズマリー公園から少し走って内房線の線路を渡ると、しばらく線路沿いの道を走ります。そこをちょうどすれ違った列車の車体には、自転車の絵と B.B.BASE という文字が書かれています。
『何だろう、この列車』とクッキー。これは、BOSO BICYCLE BASE というサイクリスト用列車です。自転車をそのまま乗せてラックに固定して運べるもので、週末や祝日に運行されています。
線路沿いの道を離れ、また脇道に入っていきます。
竹林のトンネルを抜けて颯爽と進むシロスキー。
小さな踏切で再び内房線の線路を渡ると、千倉駅に到着しました。
今日はここからがいよいよメイン。ここ千倉駅から南へ林道をつないでぐるっと一周したら、千倉駅に戻って帰路に着くという行程です。
幹線道路を離れ、田んぼの中の道を進みます。
広い空は雲に覆われていますが、当面雨の心配はなさそう。
このあたりには神社がいくつか集まっています。こちらは高家(たかべ)神社。
料理の神様が祀られており、毎年5月、10月、11月には「庖丁式」が執り行われ、庖丁とまな箸で古式に則り魚を調理するのだそう。
そろそろこのあたりの特徴的な風景の「千両の畑」があるはずと思っていると、ありました。
けれど、細く割った竹を組んで覆われているはずの畑は秋の台風の被害を受けて、屋根の一部が壊れていました。それでも、可憐な赤い実をつけた千両を見ることができました。
さて、しばらく行くとその先に二股の分かれ道がありました。この左手の道が千倉林道です。
サリーナ、クッキーが林道に入っていきます。
『いよいよ林道ですね! 噂の『地層の浮き出たトンネル』ってどんなのかな。楽しみ〜』とワクワクのクッキー。
噂のトンネルはまだ先の畑林道ですが、千倉林道にもいくつかトンネルがあります。
まず最初のトンネル。こちらは素掘りではなくコンクリートで固められています。
でも、林道に設けられた小さなトンネルは何とも言えない雰囲気を持っています。
千倉林道は川尻川に沿って、蛇行しながら南西へと上っていきます。
その川で、小さな滝を見つけました。
ここは何度か通っているのですが、これまで気がつきませんでした。
落ち葉を踏みしめながらさらに上っていくと、
また小さなトンネルです。コンクリートで固められていますが、手づくり感がありますね。
『これが噂のトンネルですか〜』とクッキー。『まだ先だよ〜』とサイダー。
そして、道の周囲は竹林に囲まれるようになり、
視界が開けると、畑の集落に出てきました。
竹の柵と屋根に覆われた千両の畑がつくられています。
さらに進むと、木の根元に木箱が置かれているのを発見。養蜂です。
千両の畑と古民家の道をどんどん行きます。
農作業中の方が、『この先は行き止まりだよ』と声をかけてくれました。
そうなんです。道のつきあたりにはダートの激坂があるだけ。でも、雰囲気のいい道なのでダートのところまで走って小休止。
『この先は細い道だけど、上をぐるっと回って戻れますよ』と、自転車で通りかかった地元の女性が教えてくれました。『じゃあ、次からはそっちを通ろうかな』と、新たなサイダー道情報に嬉しそうなサイダー。
少し引き返したら、細い分かれ道に出ました。
いよいよ、ここから畑林道に入ります。
畑林道に入ると、路上に枯れ葉や小枝、小石が散乱してこれまでとはちょっと様相が違います。
そんな障害物を避けながら、慎重に前へと進みます。
小さなトンネルが現れました。削った壁面には地層が見えます。
『これが例の噂のトンネルですか?』とクッキー。これもまだ違います。
でも、これもよく見ると素掘りで削った跡が壁や天井に残っています。
そして、大胆な地層の縞模様が斜めに走り、このトンネルもなかなか凄い。
畑林道は、トンネルを抜けるとすぐに新しくつくられた道路「安房グリーンライン」にいったん合流。
30mほどで安房グリーンラインを離れ、再び林道に入ります。
そこからは、先ほどよりさらに路面が荒れています。
それでも、最初のうちは自転車に乗って進むことができたのですが、
しばらくすると枯れ葉や枝で路面がすべて埋まってしまい、もはや自転車に乗ることができません。
自転車を押して進むシロスキー、サリーナ、クッキー。
すると、今度は道に根こそぎ倒れてきた木と土が覆いかぶさり、ついに行く手を阻まれてしまいました。
上ってみたサイダー、『何とか行けそうだ』と宣言。そんなわけで、自転車を担いで木をまたぎ、さらに進みます。
路面には次第にさらに大きな枝や石が積もり、その下はぐちゃぐちゃの泥だらけ。『ほんとにまだ行くの〜』とかなりイヤそうなサリーナです。
担いで押して、担いで押して。その先に、やっと噂の「地層の浮き出たトンネル」が姿を見せてきました。
『うわ〜、これが地層トンネル。凄い!』と、足元を泥だらけにしながら盛り上がるクッキー。確かに凄い存在感ですが、入口は深い泥に埋まっています。
最初にトンネルに足を踏み入れたシロスキー、『泥に埋まって足が抜けなくなった〜』とあわてています。
そこでサイダー、『まずワシが偵察に行ってくる』と自転車を置き、ライトを持ってトンネルに入ります。
トンネルの反対側まで行ってみたサイダー。入口の近くは泥が深いところもあるけど、中に入れば障害物はなく通れるということで、みんな自転車を持ってトンネルの中へ。『ぎゃあ、埋まる〜』などと叫びつつ進む。
トンネルの中は確かに大丈夫でした。
トンネルを抜けてみると、こちら側の路面も大きな木の枝に覆われています。
そして、その先に見えたものは。。
この地層トンネルを抜けたあとは、以前は両側の急斜面から斜めに伸びる木々に覆われて、幻想的な雰囲気の中を走れるステキな道でした。
しかし、その両側の急斜面の木々がかなり倒れており、道に覆いかぶさっています。これではとても通れません。先の偵察に行ったサイダーも、さすがに『撤収〜』。
泥まみれになり、木の枝をまたぎながら、来た道を引き返します。
自転車を担ぎ、押し、担ぎ、押しでみんなへとへと。すでに時刻は13時を過ぎてお腹もぺこぺこです。
何とか安房グリーンラインまでやってきました。そして1.1kmほどの安房白浜トンネルを抜ければ、海辺の白浜に行くことができます。
白浜に入ると、一面に花畑が広がっています。緑の葉っぱの間から、オレンジ色のキンセンカがちらほら。
そして、途中の自販機で飲み物を買っていたところで商店の店先に水道蛇口とホースを発見。お店の方にお願いして、泥まみれの自転車をざっと洗わせていただきました。本当に助かりました。
快適になった自転車で、塩浦に到着。砂浜が弧を描いて広がっています。
ここからは、お昼処を目指して海辺をひた走ります。すでに午後2時半。お昼といってもかなり遅くなりそう。
『早くお昼ご飯が食べたいよ〜』と言いつつ安房白浜港を過ぎるクッキー。
このあたりの白浜海岸は、岩礁が続き荒々しい景観を見せています。岩肌には斜めに入った地層も見えます。海女さんもいるようで、道路沿いには「海女のとった魚介料理の店」といった看板も見られます。
そんな海辺の景色を眺めながら走るサリーナとクッキー。
岩場の向こうにレンガ色の建物が見えてきました。ようやく「潮風王国」に到着です。
ここは道の駅で、魚介や野菜など地元の食材やお土産が購入できるほか、カフェやレストランがあります。
私たちは海鮮料理のお店「はな房」へ。午後3時、ようやくお昼にありつきました。
海辺の見える窓際の席で、大盛りの海の幸を『いただきま〜す!』
海鮮丼は、いろんな種類の厚切りのお刺身が山盛りです。
こちらは穴子天丼。大きな穴子天が器からあふれています。どれも大満足でゆっくり食事を終えたあとは、6kmほど走って千倉駅に到着し、房総の旅のフィニッシュです。
今日は何とかお天気ももって、少しだけ春の気配も感じながら房総を走ることができました。走る先々に昨年秋の台風の爪痕が残り、私たちのイチオシだった地層のトンネルは倒木と泥に埋もれていました。房総の復興、そして再び地層のトンネルを通れることを願って帰路につきました。