近場の白濁の硫黄泉に浸かってまったりしたい。。そんなことでネット検索したら、那須湯本温泉がヒット。天気予報がよかったので、自転車企画にすることに。
那須塩原駅に到着したのはサイダーとサリーナの2人。東京から新幹線で1時間少々と、かなり気軽な旅です。駅前にあったちょっと不思議なモニュメントから駅を眺めて、いざ出発。
予報通り、天気は快晴で気持ちいい。そして、駅前の広い通りのはるか前方には中腹から白い雪を被った那須連山がどーんと姿を見せています。
『いいね、いいねー』と、走り始めからテンションが上がります。
駅前の一区画を過ぎると、あたりはすぐにのどかな景色になります。
そして畑の先には那須連山。今日の目的地の那須湯本温泉は、あの中腹あたりにあります。
最終目的地は山の中腹ですが、このあたりはまだほぼ平地。いい景色だね~、とのんびり走るサリーナ。
そして、ちょっと開けたところからは那須連山の素晴らしい姿が見えました。思わず停まってゆっくり眺めます。
サリーナの手のちょっと左が白笹山、中央手前が黒尾谷山、後ろが南月山、そして最も高い右側の頂きが茶臼岳(1915m)です。
前方やや左手に目を向けると、こちらは黒滝連山です。
広い空の下に白い山並みが連なる景色の中を、爽快に走ります。
田畑の間の脇道に入ってみましょう。広々とした景色はさらに素晴らしく、那須連山が次第に大きくなっていきます。
そんな景色の中を気持ちよく走るサリーナ。
黒滝連山を見ながら田んぼと雑木林の間を駆け抜けていきます。
宇都宮共和大学に出てきました。大学前のまっすぐな道を通ります。
この広い那須キャンパスには、様々な運動施設や温泉の源泉もあるそうな。
続いて緑の美しい牧草地の中を行きます。那須は酪農が盛んなところですね。ときどき牧草ロールも見かけるようになってきました。
車道を外れて、ちょっとダートに入ってみましょう。
すると、いたいた。牛舎の牛さんたちがのんびりこちらを見ています。
『なんだ、あんたら~』と近づいてくる牛さんも。
脇道から出て、県道369号に入りました。
この道は『板室街道』といって、那珂川上流にある板室温泉へと続いています。
時刻は13時に近く、そろそろお腹がすいてきました。この板室街道と県道30号の交差点付近にはいくつかお店があるので、このあたりで昼食にしましょう。
県道30号は、栃木県北部の主要な観光地である塩原温泉郷と那須高原を結ぶ道路で、通称『横断道路』と呼ばれているそうです。
というわけで、交差点の近くで入ったお蕎麦屋さん『山月』。盛りのいい天ぷらそばを美味しくいただききました。
昼食を終えて、再び板室街道を北へ向かいます。
那須連山は随分近づいて大きく見えてきました。
昼食の交差点から3kmほど板室街道を進んだら、右折して那須高原方面を目指します。
すぐに那珂川にぶつかり、那珂川に沿って橋までちょっと下り。
おっと、下る前にちょっと待った。そこからは、右手に那須高原と那須連山が一望に見渡せました。『おお、素晴らしいね~』とここで記念撮影。
那珂川を渡る橋までは、さーっと気持ちのいい下り。下りを楽しむサイダーです。
那珂川にかかる阿油沢橋を渡ります。
那珂川は那須岳山麓を源流とし、板室温泉、黒磯を通って栃木県を南へと流れ、茨城県を横切り太平洋に注いでいます。全長150km、関東随一の清流として知られているそうです。
阿油沢橋を渡り終えると、ついに上りが始まりました。今日の目的地は山の中腹なので上りだとは分かっていたのですが、ここまではせいぜい1~2%でほぼ平坦。
いきなりの上り坂で、特に最初の500mは10%を超える激坂が続き、ヨロヨロと上るサリーナ。
『きついよ~』とサイダー。
上り坂と呼応するように、道の両脇に雪が現れ始めました。
上るにつれて、道路脇の雪はどんどん高くなっていきます。
『こんなに雪があったんだ。。』と、那須湯本まで自転車で走れるのか心配になるサリーナです。
『那須高原スカイライン』(r266)を黙々と上り、白笹山から流れる沢名川にかかる橋までやってきました。
すぐ近くに『乙女の滝』があるはずです。
しかし、滝に行く階段や遊歩道は雪に埋もれています。
『どうしよう。。』と躊躇しましたが、看板に『滝まで30m』とあったので行ってみることにしました。
滑りそうになりながら何とか滝の前までやってきました。
サリーナの視線の先に『乙女の滝』。
これが『乙女の滝』です。幅は5m、高さは10数m程度のかわいい滝でした。
ちなみに乙女の滝駐車場の横に公衆トイレがありますが、冬季(12月中旬~3月中旬)は閉鎖されているので要注意。
乙女の滝からさらに那須高原スカイラインを上っていきます。この周囲はゴルフ場のようですが、雪に埋もれてよくわかりません。
道の両側は雑木林に覆われ、少しずつリゾート感が漂ってきました。
と言ってもこの雪では、まだシーズンオフで車もほとんど通りません。
あたりはほぼ雪の回廊。ハヒハヒと上るサリーナです。
小沢名川を越えて、ようやく那須塩原市から那須町へ入りました。上りはまだ続きますが(笑)
と、その時。『キキー!』と慌てて道路脇の擁壁を駆け上っていった姿は、お猿さんでした。
車もほとんどいなくて、のんびりしていたんですね。
ここは『那須ハイランド』。ゆったりと別荘やペンションが並ぶリゾート地ですが、まだほとんど人はいないようです。
道路脇に風力発電の風車が建っていましたが、写真は撮り損ねました。
ヘロヘロ、ヨロヨロ、もうだめ~、というところで、ようやくピークに到着したようです。
かなりキツかった~
ここは、コナミ研修施設の前。南西には那須町中心部方面への扇状地の景色が広がっています。
さて、ここからは4kmほど下りが続きます。久しぶりのスピード感に歓声をあげたくなりましたが、積雪もある場所ですから下りは当然凍える~
下りはあっという間に終わり、南ヶ丘牧場まで下ったら、いよいよ最後の那須湯本への上りです。
残り2km、白濁の硫黄泉を心に描きながら黙々と上ります。
そしてついに、那須湯本に到着しました。小さな温泉街の佇まいです。ほのかに硫黄泉の香りが漂います。
今宵の宿泊は、こちらの中藤屋旅館。約1400年の歴史ある『鹿の湯』から引湯した硫黄泉の宿です。ああ、楽しみ~
その前に、まずは元湯の『鹿の湯』へ。宿からは、石畳の『元湯通り』を歩いて上ります。温泉気分が高まってワクワク。
途中には、奥の細道の旅の途中に立ち寄った松尾芭蕉の宿泊地という看板もありました。
続いて『滝の湯』という建物の前を通りました。地元の方専用の共同浴場のようです。
こちらは『弘法大師社』。1858年の山津波の数十年後、湯治客が河原で弘法大師像を見つけて、里人と共に社を建立したそうです。
民宿の並ぶ小道の先に、川の両側にかかる木造の建物がありました。これが『鹿の湯』です。
この川は、その名も『湯川』。白く濁った硫黄泉が川に流れ込んでいるようで、硫黄泉大好きのサリーナのテンションが上がります。
『鹿の湯』の入口はこちらの階段を上ったところ。
この鹿の湯は7世紀前半に開湯されたと伝えられ、鹿が温泉で傷を治していたことがその名前の由来だそう。古くから湯治場として人気を集め、前述のように松尾芭蕉も立ち寄りました。
木造の建物は昭和16年に改築されたものだそうで、鄙びたいい雰囲気を出しています。
温泉はご存知白濁の硫黄泉。温泉に浸かる前に、まず『かぶり湯』を行うのが心得だそう。かぶり湯とは、浴槽の縁で温泉を柄杓で頭から被ることで、大人は200回が目安とか。私はかぶり湯はパスしましたが、温泉は本当に素晴らしくリラックスできて、体が芯からポカポカになりました。
大満足で宿に帰れば、豪華な夕食が待っていました。牛ヒレの陶板焼き、柔らかくて美味しかった。
そして、宿のお風呂も鹿の湯と同じ硫黄泉。ああ、最高です。がんばって自転車で上ってきてよかった~