北アルプス展望サイクリングの三日目は晴れ!
初日は雨、二日目の昨日は晴れのち曇り一時雨ともう一つでしたが、今日こそは北アルプスがバッチリ見られそうな天気です。
今日は中綱湖から南へ下り、大町の東側の山際を巡ります。ということで、まずは中綱の集落の田んぼの中を行き、木崎湖へ向かいます。
先頭のレイナは今日のコースで、電動アシストバイクのパワーがどれくらい持つのか試してみるつもり。
木崎湖に差し掛かると湖畔に真っ赤な花が。桃でしょう。その隣には黄色の菜の花。
木崎湖の湖畔には道がないので立ち寄るつもりはなかったのですが、艶やかな色に誘われて行ってみることにしました。
案の定、道はダートで、一人サイダーが進んで行くも、他のメンバーはじっと様子を伺っています。
『あ、サイダー道だ〜 たぶん先に行けなくて戻ってくるからちょっと待っていようよ。』 と誰ともなく言っております。
しかし湖畔にたどり着いたサイダーがこっちへ来いと合図を送って来るので、他のメンバーも渋々湖畔へ下りました。
そこには満開の菜の花が咲いていました。
湖畔には辛うじて自転車でも行けそうな道があったので、この先はこれを行ってみます。しかしまたもや後続は、
『そのうち戻ってくるから待っていようよ。』 と。
しかししばらく経ってもサイダーは戻ってこないので、後続も仕方なくこの道を行きます。
湖畔のこの道は、道ともそうでないとも言えるようなもので、いや、かつては道だったのだと思いますがもはや歩く人がほとんどいないので、道と呼べない状態になったのでしょう。
とにかくそんな道をなんとか進んで道と呼べるところまでやってきました。
その先は水が張られた田んぼで、トラクターが田植えの準備をしていました。
やはり水が入った田んぼはきれいですね。
大糸線の稲尾駅の横に出て、稲尾沢川に沿って美麻(みあさ)の新行(しんぎょう)へ向かいます。
先頭を牽くのは3年ぶりにツアーに参加した左うちわの王様レイ。
木崎湖から新行までは標高差100m以上の上りなので、えさこらさっさとはいかずに、ゆっくりゆっくり上り詰めて行きます。
途中には、ミズバショウやザセンソウそしてリュウキンカなどが咲く居谷里湿原(いやり しつげん)があり、時間が許せばここを散策しようかなとも思ったのですが、今回はちょっと難しそうだったのでこれは次回に。
この上りで電動アシストバイクのレイナがその実力を発揮し、あっという間にみんなを引き離してしまいます。
それになんとか付いていこうと踏ん張るのは、レイナのとは形は似てるけれどあたしのバイクにはモーター付いていないのよね〜、のベネデッタ。おいらの足にはモーター入っているぜ、のシンチェンゾー、あたしもそろそろモーターほしいかな〜、のサリーナ。
左はしんがりでみんなを守るシュンシュン。シンチェンゾーはベネデッタの尻を追いかけ回して、命じられたしんがり役をおそろかにしているので、シュンシュンが仕方なくフォローしているのでした。ごら==シンチェンゾー、仕事せんかい!(怒)
うしろに見えてきたのは唐沢岳(2,633m)。この様子なら今日は素敵な北アルプスが見られそう。
しばらく上ると勾配が緩くなり、民家が現れ出します。どうやら新行に入ったようです。
道脇の田んぼの横は菜の花畑。
交差点に出ると、その向こうに桜が咲き、水車小屋がありました。振り返れば北アルプスが。水車小屋のうしろにあるのは爺ヶ岳(2,670m)のはずなのですが、その頂は見えていないようです。
このあたりは新行高原と呼ばれるところで、現在は蕎麦で有名らしく、この水車小屋はソバの実を挽くためのものだったそうです。しかしかつては麻の栽培が盛んだったようで、この近くに『麻の館』という資料館があります。
水車小屋からr31長野大町線でその南にある山を廻るようにして少し上ると、すぐに中山高原に到着。ここは本日の見どころの一つです。
中山高原はキャンプ場になっており、この時もキャンパーが大勢やってきていました。キャンプをするには少し寒そうではありますが。
みんなが見下ろす視線の先は、窪地の池というか水たまり、その先に桜の木が一本。
桜の木の足下は菜の花の絨毯。
池の横を通って東へ進めば、お〜ッ、見えた〜アルプス! 蓮華岳(2,799m)!!
蓮華岳の左は北葛岳(2,551m)、右はスバリ岳(2,652m)。
針ノ木岳(2,821m)は蓮華岳に隠れているようです。
この景色に感動する中山高原のジオポタは左から、自称クライマーのタキスキー、自称いい女のベネデッタ、自称キングなレイ、自称女王なレイナ、自称カメムシスキーなシンチェンゾー、自称女帝サリーナ、自称多摩のエースなシュンシュン、他称大王様なサイダー、カメラは自称迷カメラウーマンなマコリン。
左に爺ヶ岳(2,670m)、中央のコブは布引山(2,683m)、右に鹿島槍ヶ岳(2,889m)。
双耳峰の鹿島槍ヶ岳の南北両峰がきれいに見えました。その隣、写真の右端は五竜岳(2,814m)でしょう。
北峰に雲が掛かってしまいましたが、中央が鹿島槍ヶ岳。
菜の花は例年よりだいぶ少ないそうで、まだ咲き切っていないものもありますが、とにかくここはダイナミックな景色に感動。
中山高原の景色を堪能したら大町の三日町へ下るのですが、ここでポタリング組(P組)は美麻珈琲でコーヒータイムのあと県道を使い、スーパー・スペシャル・スパルタン・サイダー組(S組)は森の中の地道を行くことに。
S 組の序盤は上りで針葉樹が多かったのですが、下りになるとそのうち広葉樹が現れ出し、桜もちょっと残っていました。さすがにこのあたりは下の町より、だいぶ気温が低いようです。
このルート、序盤から中盤にかけてはそこそこ乗車できましたが、後半はガレていて押し歩き。乗車率70%ほどでしょうか。
県道に出て少し下ると居谷里貯水池があります。ここでP組の到着を待ち、
全員揃ったところで三日町へ下ります。
三日町に入るすぐ手前にある三日町トンネルは迂回しようと思っていたのですが、ついトンネルの入口まで来てしまったので歩道を使って抜けました。この時は交通量は多くなかったので、あまり不安感はありませんでした。
この三日町トンネルを抜けると、北アルプスがバーン!
『おお〜〜っ!』 と全員感嘆の声を上げます。
中山高原から見た時よりさらに大きくなった北アルプスは迫力満点です。
中央左に鎮座するのは蓮華岳、中央右の三つのピークがあるのが爺ヶ岳、右端が鹿島槍ヶ岳。
町に下ったのでお昼には少し早いのですが、ここで昼飯処へ向かいます。
今日の昼飯処調査隊は王様レイ。そのレイがみんなを引き連れてどんどこ。
北アルプスを背景に並んだ並んだ。
この景色が見られるのはこの時期だけですね。
レイが予約してくれたレストランは三日町の北の平というところにあり、農具川と大糸線の線路を渡って北アルプスへ向かいます。
のどかな景色の中を行きます。
国道沿いにそのレストランはありました。
外観は大屋根の民家風で、内部もちょっと洒落た古民家風。
レイによると彩り御膳と天ぷら御膳が選べるそうですが、ここは全員彩り御膳を。
胡麻豆腐、鯖の煮付け、豚ヒレの西京焼、出汁巻玉子、トマトとエンドウ豆の新玉ドレッシング、白魚の紅梅和え、海老のおかき揚げ、竹の子の天ぷら、豆腐のふき味噌田楽、そしてデザートに桜餅。
おいしゅうございました。あっ、シュンシュンとシンチェンゾーはごはん大盛りおかわりいただきました。(笑)
さて、おいしい昼食のあとは試練です。これより鷹狩山に上らなければなりません。三日町と鷹狩山の標高差は約400m。ということで P 組はジャンボタクシーで輪行です。
S組は田んぼの中を三日町まで戻って公民館の横の激坂を登り出します。ここはいきなりこれか〜っ、という坂でした。
さらにそのあと、薄暗くてげんなりする1kmも続く蝮坂スノーシェルターを上らなければなりませんでした。鷹狩山へ向かうルートは、この坂道の途中から霊松寺方面へ向かう道となり、シェルターの下は200mほどしか通らなくて済んだのが幸いでしたが、ここの斜度は12%もあって最初からアヘアヘものです。
シェルターを出てもかなりきつい坂道が続きます。この道は林道霊松寺線で道脇に桜が咲いていました。赤みが強い桜で、これはおそらく昨日中綱湖で見た品種のオオヤマザクラだと思います。
えっこらよっこらと上り詰めて行き、霊松寺の鐘楼までやってくると右手の視界が開き、下に大町が、その向こうには北アルプスが見え出します。
霊松寺は1404年(慶永11年)に開かれており、これは信濃国で最初の曹洞宗の寺院だそうです。
霊松寺を過ぎると道が狭くなり、鬱蒼とした針葉樹の中を行くようになります。そのうち周囲が明るくなり、広葉樹が現れるようになってきます。この道は途中にあった看板からすると林道霊松寺山線と言うようです。たぶんスノーシェルターから霊松寺までが『霊松寺線』で、霊松寺以降が霊松寺『山』線なのでしょう。ちょっと分かりにくいですね。
『シンチェンゾーがブロンプトンで来ると言うのであたしもそうしたんですが、ここはちょっときついですねぇ〜』 と、ブロンプトンで来たことをちょっと後悔し始めたシュンシュン。
乗越峠(のっこしとうげ)で大町山岳博物館のところから上ってくる道に合流しますが、そのあとも道は上りです。ただしここからは勾配がぐんと下がり、走りやすくなります。
そのうち右へ分岐する道とともに鷹狩山山頂の案内標識がでてきます。この道に入ると再びきつい上りになり、左手に南東の視界が開きます。ここまでで視界が開けたのは霊松寺のところだけだったので、そろそろ山頂という気分が高まります。これをえっこらよっこらと上っていくと、下から上って来る道に合流。
そして一漕ぎすると山頂下の駐車場が現れました。P 組はそろそろタクシーから自転車を降ろしている頃だろうと思ったのですが、ここにその姿はありません。あれ、まだ来ていないのかな、と思いつつ先へ進みます。
この駐車場からも結構な勾配の上りが続きます。200mほど行くと上からジャンボタクシーが下りてきて、運転手が、
『早いですね〜! 自転車ならあと1時間くらいは来ないよ、って言って、今上で皆さんを降ろしてきたところです。』 と。
このタクシーと分かれて100mほど上ると、ようやく鷹狩山の展望台に到着しました。へろへろ。
P組はタクシーの運転手の言う通り、つい先ほど到着したところだそうで、ちょうど自転車の準備を整えたところでした。
ここは『恋人の聖地』だそうで、展望台の下にはハート形のオブジェが置かれています。そのオブジェからの北アルプスの眺めは下の通りで、これは見事。
鷹狩山展望台は5〜6階建の建物に相当する高さがあり、ここまで上ってきてへ〜こらな身には、この屋上に上るのはちょっときつく感じたのですが、せっかくだから登ってみました。
下のハート形のオブジェのところからの眺めだけで十分に満足できると思いましたが、さすがに展望台に上ると近景の邪魔ものがまったくなくなり、より壮大な北アルプスが望めました。
鷹狩山からの眺望に満足したら、池田に下ります。
先頭で下るは今朝方、白馬岳の猿倉登山口まで愛車をカッ飛ばして行った暴走野郎タキスキー。それを追うのは、ギアが一組しかないので下りはちょっとつらいレイナ。
相川までの下りの途中でシュンシュンがパンク。普段ならみんなで修理を見守るのですが、この日はマコリンとベネデッタが安曇沓掛駅から電車輪行するので、時間に余裕がありません。そこで先行グループと後続グループに分かれて行動することに。
相川からは上りがあり、これがちょっとしたものでハヒハヒでした。
大峰高原の七色大カエデに到着。この道は尾根道で西には北アルプスが、東には美ヶ原や浅間山が見えます。
後続グループはパンク修理で大きな問題が発見されたようですが、ついさっきなんとか修理を終えこちらに向かっているそうです。ということでまだ追いつくまで時間が掛かりそうなので、先に池田へ下ることにします。
七色大カエデからはガーッと下って安曇平の池田に到着。
またあの美しい田んぼが出てきました。
池田からは田んぼの縁を通って仁科神明宮へ向かいます。
ここで私たちのすぐ前を、小学校低学年の男の子と6年生くらいのそのお姉さんが自転車で駆け抜けていきました。この2人の速いこと速いこと。あっという間に見えなくなってしまいました。
2人を追いつつ仁科神明宮に到着。すると案の定2人もここで休憩していました。このお姉さんの話を聞いてびっくり。
『ダイエットのために走っています。』
ひょえ〜、あんた、まだ小学生でしょ!
2人と別れたのち、私たちは仁科神明宮にお詣りしました。この地は古くは伊勢神宮の荘園で御厨(みくりや)と呼ばれるものの一つでした。仁科神明宮はそれを守るためにこの地方の豪族の仁科氏が、今から1,000年ほど前に創建したと考えられています。
この森は長野県の天然記念物に指定されていますが、その中でも入口にある三本の杉は樹齢800年を超えるとされ、驚くほど立派。三本杉をあおいで眺め、その横を行くと参道は90°左に曲がります。すると正面に石段があり、その先に中門が立っています。一般的に神社でお詣りするところは拝殿ですが、ここには拝殿はなく、お詣りはこの中門で行います。
仁科神明宮は日本最古の神明造りだそうです。仁科神明宮も伊勢神宮同様に20年に1度の式年遷宮が行われていましたが、本殿と中門は江戸時代初期の建造で、それ以降は部分修理のみになったため、日本最古の神明造とされているようです。
電車で輪行するベネデッタはわずか5分しか時間がなく、大急ぎでお詣りし、安曇沓掛駅へ向かいました。ベネデッタと反対方向へ向かうマコリンは予定より一本あとの電車に乗車することにして、ここはゆっくりお詣りし、横に廻って本殿を見学。
後続グループは先ほど七色大カエデを出たと連絡があったのですが、まだ姿を見せないので先へ進むことにします。
マコリンは一本前の電車に間に合うかもとカッ飛んで安曇沓掛駅に向かったのですが、それが功を奏し、自転車を秒で折り畳んで、ぎりぎり間に合ったそうで、ベネデッタに見送られ帰宅。
仁科神明宮で本日のイベントはほぼ終了。あとは中綱湖の宿に向かうだけです。
ここからは田んぼと北アルプスを眺めながら山辺の道を行きます。このあたりの田んぼは田植えの準備はまだこれからのようで、作物なのか去年の切り株から出た二番穂だかで緑色をしています。
予定ではしばらく山辺の道を行くつもりでしたが、この道は意外とアップダウンがきつくてへ〜こらしたので、田んぼの中を行ってみました。
しかしこれはうまく続かずいつの間にか高瀬川の土手に出てしまい、この土手道も県道に突き当たっておしまいに。結局、元の山辺の道に戻ることになってしまうのでした。ありゃりゃ。
それに懲りずに二度目の挑戦をすると、まずまずの道を見つけました。
やっぱりこういう道がいいよね。
このすぐ先で面白いものを発見。小さな用水路が流れる道端に廃材で作られたロボットがひっそりと立っています。
この頭は反対側から見ると何かの信号機でできているようで、胴体はプロパンガスのボンベ。うしろには『安全』『防災』の文字もあります。
信濃大町に入ると田んぼがなくなり市街地に入ってしまったので、ここは広い道を一気に行きます。
仁科三湖を繋いでいる農具川ですが、このあたりは河岸が農具川河川公園となっており、この時期はシバザクラが見事だというので行ってみました。するとピンク色や白のシバザクラが土手と河川敷を埋め尽くしています。その鮮やかさにびっくり。
農具川河川公園で後続グループに連絡を試みるも応答がないので、宿へ向かいます。
昼食をいただいた三日町を通過。先に見える山合いに木崎湖と中綱湖があります。
信濃木崎駅の横をすり抜けて入った県道から分かれた道は、ちょっと面白いところを通ります。
こんもりした林の中にひっそりと稲荷神社が立っています。この道はあの千国街道『潮の道』です。昔は日本海でとれた塩や海産物を、こんな道を使って運んでいたのですね。
稲荷神社の林を抜けると、ほどなく木崎湖です。
ここまでくれば宿はもうすぐ。あと6kmだよと後続グループに連絡すると、な、なんと奴らはすでに宿に着いているといいます。およよ〜 どこで追い抜かれたのかな。
陽が翳ると急に気温が下がってきました。その上向かい風でここからがきつかった。実は仁科神明宮からは緩いもののずっと上りだったのです。
宿に着いた時にはもうへろへろ。一人、電動アシストバイクのレイナは、バッテリーも最後まで持って楽勝でした。電動、恐るべし!
さて、今日はもくろみの通り、中山高原と鷹狩山展望台から素敵な北アルプスが眺められて満足です。体力がない人はそれを補う方法を探し出すことで、体力がある人と同じように楽しめます。車や電車や電動アシスト車を使ってもまったく問題ありません。これらを賢く利用することで人生が豊かになるなら、それに越したことはないでしょう。
さて、明日は帰宅日でそれぞれ別行動になりますが、メイングループは中綱湖から北アルプスを振り返りながら、長野へ抜けます。昨日、今日と眺めた北アルプスとはまた違った景色が観られると期待しています。