朝起きると、曇り。天気予報では晴れなのにな〜
気温は5°Cほどでしょうか。かなり寒いですが、気持ちのいい朝です。
わたしたちが今回3泊お世話になるのは、長野県大町市平中綱にあるその名も中綱館。この集落のすぐ近くにある湖は中綱湖で、中綱だらけと分かりやすいです。(笑)
定刻に宿の前に集結したメンバーは左より、やるぜやるぜ、おいらはやるぜ!のシンチェンゾー、暴走族のタキスキー、ロートル・サリーナ、電動カッ飛び娘レイナ、北関東の星ベネデッタ、山と言われれば黙ってはいられないマコリン、企て人サイダー、悠々自適な王様レイ、今日もニコニコのシュンシュン。
昨日は雨で安曇野を走ることはできませんでしたが、それは最終日に行ける人だけ行くことにして、今日は予定の通りに白馬三山を眺めに出かけることにします。
宿を出てまずは中綱湖の東岸を北上。中綱湖は仁科三湖でもっとも小さな湖で、10日前までは湖畔に咲く桜が見事だったようですが、この時それはすでに葉桜でした。しかしこの湖は静かで良い雰囲気です。
仁科三湖は地殻変動によって地面が陥没し、そこに水が溜まって形成された構造湖と呼ばれる種類の湖です。ここには糸魚川静岡構造線が走っていますからね。
中綱湖からはそのすぐ北にある青木湖へ向かいます。
一人24インチホイールという私たちの中では少し大きめのホイールを履くのは、夜な夜なお尻を振りつつ首都高をカッ飛んでいるタキスキー。自転車でもカッ飛べるかは?
そのうしろのレイは、最近環境が変わって左ウチワの悠々自適生活。それも飽きてきたので3年ぶりの登場!
青木湖に到着。青木湖は仁科三湖中最大の湖で、湖底から清水が湧き出ているため水の透明度がとても高いです。
この湖にも人気の桜があるのですが、今年は例年よりだいぶ早かったようで、これも葉桜でした。しかし、時期が合えばこの桜を前景にした湖はなるほど絵になりそうです。
青木湖の湖畔はほとんどが私有地のようで、立入り禁止の札が下がっていて思うように水辺に下りられません。道が青木湖を逸れようとするとき、なんとか湖畔に下れそうなところがあったので行ってみました。すると小さな浜に出ました。湖面に浮かぶものは何もなく、まったく静か。写真ではわかりにくいのですが、対岸の山の上に白沢天狗山(2,036m)が白い頭を覗かせています。
青木湖を出てトンネルをくぐり抜けると佐野坂の交差点で、この先はいよいよ白馬村です。
交差点を突っ切ると道は大きくカーブし、下りに。気持ちよく下っていたのですが、あれっ、ちょっと待てよ、このあたりで寄り道するんじゃあなかったっけ。
そうでした。実はこの大きな道の東に鄙びた内山集落と棚田があるので、カーブの入口で曲がらなければならなかったのですが、うっかり失念していました。
幸いその集落へのアプローチは2本あり下からも行けるので、そのまま下って田んぼの中の小径を行きます。
小川の横の素敵な道を進んで行くと、前方にピンク色の桜が見えてきました。まだ桜残っていた!
広い道に出て少し上ると『NAGANO1998 白馬クロスカントリー競技場』の文字が。そうか、ついこの間あったと思っていた長野オリンピックですが、あれからすでに四半世紀近く経つんですね。改めて時が経つのは早いと感じてしまいます。
小さな小さな内山集落はその先にひっそりとありました。そしてこれが目的の茅葺き民家です。建築は1919年(大正9年)で元は養蚕農家だったそうです。このあたりでも茅葺き屋根はどんどん減っていて、材料の茅の入手や職人の調達が困難になってきているそうですが、この家では20年に一度の頻度で葺き替えをしてきたそうです。
この屋根は船枻造り(せがいづくり)という工法でできています。船枻とは大型の和船の両舷に張り出した部分のことで、船枻造りはこの形状を建築に応用したものです。深い軒を作るため、本桁からから梁を突き出して桁を載せ、そこに天井板を張ったものです。この工法は格式ある家や神社などでよく見られます。
道端には水仙が。ここには春は来たばかりのようです。きょうは空に雲が掛かっていて見えませんが、お天気だったらここから白馬三山が見えるといいます。
内山集落の茅葺き屋根に満足したら、棚田の中を下ります。
空の青がだいぶ広がってきて、先にちらっと雪山が見え出しました。その上には山に覆い被さるように白い雲。あの稜線が白馬三山に繋がっていくのですが、まだ三つの頂は雲の中です。お〜いそこの雲さ〜ん、早くどいておくれ〜
田んぼの横のトラクター、絵になる景色ですね。
神城佐野の集落へ下ります。
その上には鹿島槍ヶ岳が聳えているはずなのですが、その頂は残念ながら雲の中。
東佐野まで下って広い道に出ると、白馬三山の尾根が先ほどより長くなっています。その手前に見えるのは、白馬八方尾根スキー場から唐松岳へ上って行く稜線でしょう。
もう少しすればそれらの山頂が見えそうです。
雲が退くことを期待しつつ、白馬三山のヴュー・ポイントへ向かいます。
その途中に小さな池があり、畔に風車(オブジェ?)が立っています。山を覆っていた雲は徐々に退いていっているようです。もうちょっと!
山へ向かって田んぼの中をどんどこ。
きもちいい〜! ジオポタ専用道!!
水が入った田んぼが現れました。そこに写り込む雪山。
やっぱり田んぼは水が入っているときれいですね。ちむどんどん してきたぁ〜
八方尾根を背景に田んぼの中を行くジオポタ。
r33姫川美麻線に出るとそこを流れるのは姫川で、その川に沿った道は結構広いのですが、これは姫川自転車道です。
しばらくは快適にこの自転車道を進んで行ったのですが、小さな橋を渡った先で農場に入ってしまい行き止まりに。戻って大糸線の線路を渡り、国道148号線を行きます。
するとほどなく平川橋を渡ります。
下を流れるのは平川。西には八方尾根が正面に見えます。雲がなければその右に白馬三山が見えるはずなのですが・・・ 先に見えている橋は、長野オリンピック道路に架かる白馬オリンピック大橋。
平川橋を渡ったところで白馬グリーンスポーツの森に入ります。
ここでトイレ休憩をして、東を流れる姫川の畔へ。
姫川沿いの道は白馬グリーンスポーツの森から先、下河原大橋までの約1kmは砂利道ですが、これは固く締まっていて問題ありません。
下河原大橋から先はアスファルト舗装の広い道になります。
振り向けば八方尾根の奥に五竜岳(2,814m)が見えています。
その山頂のすぐ下には、有名な武田菱が見えます。
この山はこうしてズームアップしてみると、もの凄い急斜面の岩場であることがわかります。今、穂高に行っている我らがペタッチだったら、こんなところも登るんじゃろか・・・ そしてマージコは、なんとあそこから飛んだことがあると言うからびっくり! おっとろし〜
後日送られてきたペタッチからの写真。
ここは雪があってまだ上りやすそうですが、岩場のもの凄い写真もありました。そっちは心臓に悪いのでお見せできませんが。(笑)
姫川がうねりを見せるところに架かる蕨平橋で振り返れば、白馬の山々が壁になっているように見えます。
蕨平橋から北野社天満宮へ上る坂は最近は天神坂と呼ばれるようになったようで、そこからの眺めが良いと言うので上ってみました。
晴れていればここからは白馬三山が見えるようなのですが、今日はその姿はなし。先ほどまで見えていた五竜岳も隠れてしまって残念です。しかし正面に長野オリンピックのスキージャンプに使われた白馬ジャンプ競技場が見えています。もう少し経って田んぼに水が入り、晴れていたら、ここからはさぞかし素晴らしい景色が見られることでしょう。
天神坂から下って国道に出ると天神宮橋を渡ります。この橋のすぐ下流には大出の吊り橋が架かっています。
その向こうに見えるのは大屋根の民家。
吊り橋の東側は大出公園になっており、そこからは姫川、吊り橋、北アルプスという素敵な眺めが得られます。
白馬三山は依然雲の中ですが、北アルプスを背景に流れる姫川がなんとも良い姿です。
先ほど内山集落で見たように、このあたりの民家は少し前までは茅葺き屋根のものが多かったようです。このお宅の屋根は『兜造り』と呼ばれるもので、寄せ棟屋根の一部を竪に切り落とすことで2階部分の採光と通風を確保し、居住性を向上させたものです。兜造りはこの地方以外にもありますが、それらの多くは妻側が切り落とされたもので、このように桁側が切られるのは珍しいと思います。
刀のように反った棟は『雪割り』と呼ばれるもので、雪が屋根にへばりつかないように割って落下しやすくするためのものです。最近は断面形状が三角形のものが主流ですが、かつてはこのような姿のものが一般的だったのでしょう。この形状は渡来人の船の形から来ているとする説もあるようです。
このお宅の屋根も兜造りですが、茅葺きから鋼板に葺き替えられています。
茅葺き屋根の葺き替えには数百万円かかるため、多くの茅葺き屋根がこのように鋼板で葺き替えられています。
大出の吊り橋からはまず野平(のだいら)集落へ、そして次に青鬼(あおに)集落へ向かいます。
松川大橋で姫川の支流の松川を渡ると、ここからの北アルプスもなかなかの眺めです。
松川大橋からは、野平も青鬼も高度で100mほど上らなければなりません。ということでこれはちょっときついので、このあたりでお茶をするポタリング組(P組)を設定したのですが、電動アシストバイクのレイナはやる気満々で青鬼へは行きたいと言います。ということでP組はお茶はせずにここから直接青鬼へ向かい、その他の面々は野平へ上ってから青鬼へ向かうことに。
野平への坂道は本ツアー初のまともな上り坂でへ〜こら。これはきつかった。
よろよろしつつもヘアピンカーブを三つ廻り、緩いカーブを一つこなすと、なんとか野平の集落が見えてきました。
その手前には緩い棚田が築かれています。山に囲まれた中、僅かに開けた斜面地のこの空間は独特です。
ここには『野平の一本桜』と呼ばれる桜の木があります。
この写真の中央左に写っているのがそれで、この時花はすでに終わっていましたが、うしろに展開する北アルプスとこの空間のコラボレーションは一見の価値があります。(TOP写真)
桜は終わっていましたが心を満たして野平の集落から下り、P組が待っている青鬼へ向かいます。
青鬼への上り口は姫川に架かる朱色の通橋(かようばし)で、その横には大糸線の第一姫川橋梁が架かっています。
通橋のすぐ横は姫川第二ダムで、青鬼へ上って行く途中で下を見ると、そのダムで塞き止められた姫川がいつの間にか川幅を広げたように見えます。
青鬼への上りは序盤は緩かったのですが、後半は路面がノンスリップ仕様のコンクリート舗装になり、アヘアヘ。
野平への上りよりこちらの方がうんときついです。
激坂を押し上げてなんとか青鬼の集落に到着。
青鬼の集落には江戸時代後期から明治時代にかけて建てられた茅葺き屋根の家が15棟ほど立っています。
このお宅は屋根こそ鋼板に替えられていますが、建具その他の外廻りはかつてのままのようです。
集落の奥には棚田が広がっています。
もう少しすると、きれいな水が一面に張られるでしょう。ここはその時にまた来てみたいと思わせるところです。
目をつぶったの誰だ〜、おっと顔半分切れちゃった、すまん。
青鬼のあとは観音原の石仏群や切久保あたりを散策するつもりでしたが、予約した昼食の時間に遅れそうなのでこれはカットして八方へ向かいます。
一時は空に青い色が広がっていたのですが、ここに来てそれは薄い雲に覆われてきてしまいました。青空ならここからは正面に白馬三山が見えたはずなのですが、残念。
八方へは松川を遡って白馬大橋を渡ることにしました。松川沿いの道は僅かに上りの上に風が出てきて、一向に進みません。
そして、ここに来てなんだか天気がだいぶ怪しくなってきました。
白馬大橋に辿り着くも、白馬三山は影も形もなし。ありゃりゃ。。。
八方の街に入り、昼食です。今回は参加者が9名と大人数なので、食事処は予約して伺いました。そこは最近できたらしいきれいなレストランでした。
ここは山の中なので肉系をオーダーする方が多かったのですが、わたしは鮮魚のカルパッチョを。これはなかなか美味で、他の方々もそれぞれおいしくいただいていました。
昼食を終えるとなんと外は雨。え〜、天気予報では晴れと言っていたのにな〜 しばらく降り止まないようなので、近くのコーヒーショップに移動して雨雲が去るのを待ちます。
雨雲レーダーではこのあとは降ったり止んだりのようなので、各自の判断で宿まで移動ということにすると、ベネデッタとシンチェンゾーは白馬駅から電車輪行、輪行袋を宿に忘れてきたタキスキーは最短ルートで宿に直行、残った面々は予定ルートを走ることになりました。
走行組が向かったのは白馬ジャンプ競技場です。どうやら雨はあがったようですが路面は濡れており、気温はぐんと下がっています。
ジャンプ競技場に到着。
テレビでした見たことのないジャンプ台ですが、間近で見ると凄いです。リフトであの上まで上って下を見下ろせるようなのですが、足がすくみそう!
ジャンプ競技場を出たら途中の酒屋で今宵のための酒を仕入れ、白馬オリンピック大橋を渡ります。
橋は遮るものがないため山の眺望ポイントとしてはかなり良いスポットになるのですが、この日は雲が手の届くところまで下りて来ているので、川しか見えませんん。
雨宿りで1時間も余計に時間を費やしてしまったので、予定していた白馬五竜に上るのは止めて平地を行くことにしました。
r33白馬美麻線に出ると、そこからふらっと姫川の支流沿いに入ってしまいました。するとその先はしばらく田んぼの畦道状態。ん〜ん、これもなかなかいい気分です。(笑)
なんとここに来て青空が広がりました。山の天気は変わりやすいですね。
田んぼの中をごちゃごちゃっと進んで、なんとか予定していた姫川沿いに出ました。この道も姫川自転車道なのですが、午前中に見たそれとはずいぶん様子が違いますね。
ここの姫川は護岸が固められおらず、自然のままの川の姿をしていて気持ちがいいです。
そのうちこの自転車道は地道になりました。地道の自転車道はかなりめずらしいんじゃあないでしょうか。
先頭のレイナの電動アシストバイクはダートもスイスイ。うらやまし〜(笑)
姫川が流れ出す地点は姫川源流自然探勝園で、この自転車道もそこまで続いて終わります。
道脇に水仙が咲きだし、先にこんもりした森が見えてきました。あそこが姫川源流自然探勝園です。
姫川源流自然探勝園に到着。良く見るとこの水底から水がぶくぶくと湧き出ているようです。これが姫川の流れの元ですね。雪解けの季節ですから湧き出る水も多いのでしょう。
もう少しするとここには水中で咲く白い小さな花、バイカモが見られるそうです。
この時期はミズバショウが咲いていましたが、すでに終わりかけでした。尾瀬などに比べるとかなり早いですね。
咲きそろってきたのはジオポタの花ニリンソウ。ニリンソウは一本の茎から二つの花を開かせます。二輪で二輪草。
この他、薄紫色のカタクリも。
湧き出た湧水が集まって一つの流れになっています。
それが姫川です。
姫川源流自然探勝園を散策したら、山越えをして中綱湖の宿へ向かいます。
その入口は佐野坂スキー場です。この激坂をものともせずに上って行くは電動アシストバイクのレイナ。恐れ入りました。
この道はかつての千国街道(ちくにかいどう)で『塩の道』でした。
ここは2012年のツアーの時は雪で埋もれていて引き返さざるをえなかったところ。今回はそのリベンジです。
序盤は暗い針葉樹の中を行きますが、周囲が薄明るくなると木々は広葉樹に変わります。
道が再び針葉樹林の中を行くようになると、そこに『千国街道西国三十三番観音像』の解説板が立っています。
ここから青木湖までの約400mに観音像が33体並んでいるのですが、これらは解説によると、江戸時代の後期に佐野村の人々が高遠の石工に彫らせたもので、道しるべや道中往来で亡くなった方の供養を兼ねて立てられたものといわれるとあります。
これは解説板の横に立っている一番観音さまです。
今から約200年前に彫られたものですが、保存状態はとても良いです。
観音さまを眺めながら佐野坂峠から青木湖に下り、中綱湖までやってきました。
中綱湖は冒頭で述べたように赤味が強いオオヤマザクラで有名ですが、それがこれです。残ったごく僅かな花が木をほんのりと赤い色に染めていました。
本日の走行組は左から、佐野坂峠越えた〜のサリーナ。電動アシストバイクの威力を見せつけたレイナ、今日もニコニコのシュンシュン、ワタシこの中で一番若いわよのマコリン、3年ぶりに復活したレイ、なんとか上れた〜のサイダー。
別働隊は全員すでに宿に到着しており、夕食のあとはお決まりの宴会に突入。手前のVサインは雨に当たらなくて良かった〜のベネデッタ、その右は雨男でカメムシ大好き野郎のシンチェンゾー、正面は身体によくないものばかり好んで食することが判明したタキスキーでした。
今日は結局白馬三山は見られませんでしたが、まずまずの景色が見られて良かったです。明日は今日とは逆に南部の大町方面を巡ります。