2001.08.25 (土) 晴れ Connemara 周遊開始 Galway~Oughterard
地図:Googleマップ/gpxファイル/GARMIN Connect/Ride With GPS
発着地 | 累積距離 | 発着時刻 | 備考 |
---|---|---|---|
Woodhaven | START | 発09:30 | 泊:Larchill House/£50 |
Galway | 5km | 発11:15 | Cathedral/Lynch's Castle Saint Nicholas' Collegiate Church |
Rosscahill | 25km | 着12:20 発13:00 |
一軒だけのパブでギネス/オーストラリアンフットボール |
Aughnanure | 29km | 着13:20 発14:10 |
Aughnanure Castle |
Oughterard | 33km | 着14:20 発16:20 |
昼食:シーフードレストラン/ギネス/牡蠣/Brochette(フランスパンにチーズとオリーブ)/蟹・小エビ・スモークサーモンのオープンサンド+サラダ |
Oughterard B&B | 34km | 着16:00 発16:20 |
Camillaun House |
Lough Coriib | 36km | 着17:00 発18:00 |
コリブ湖クルーズ/大人6人+子供2人でなんとか成立 フットパスで帰る |
街 | 41km | 着20:00 発22:00 |
夕食:ギネス/マッシュルームとフェタチーズの白ワインソース+カスケット(パイ)/サーロインステーキ/音楽はエレキ |
Oughterard B&B | 43km | 着22:10 | 泊:Camillaun House/£40 |
為替レート:1IR£=147円 |
ここからアイルランド周遊の第三部の始まり。これまでの "Ring of Kerry" と『モハーの断崖』に続くのはコネマラ(Conamara,Connemara)周遊。その出発地となるゴールウェイ(Galway)は、ダブリン、コークに次ぐアイルランド第三の都市で見どころは多い。
ゴールウェイ大聖堂
アイルランドは宗教的にはカトリックが大勢を占める。石灰岩でできた巨大な建造物で一般にゴールウェイ大聖堂と呼ばれるローマ・カトリックの大聖堂はかなり新しく1965年の竣工で、ヨーロッパで最後に建てられた石造の大聖堂となっている。
リンチ家の城その1
ゴールウェイはアングロ・ノルマン期には14の部族により支配されていた。そのうちの一つであるリンチ家の城(Lynch's Castle)が繁華街のショップ・ストリート(Shop St.)に残っている。
リンチ家の城は14世紀の建造だが19世紀に改修されオリジナルからは少し姿を変えたようだが、アイルランド・ゴシック建築の典型とされている。
リンチ家の城その2
元々は5階建以上であったと考えられているが、現在は4階建でジョージアン様式の窓が取り付けられている。
石灰岩の外壁にはリンチ、ヘンリー7世、キルデアのフィッツジェラルドの紋章が彫られ、頂部には雨樋がいくつも突き出ているのが見える。
聖ニコラス教会
アイルランド教会の聖ニコラス教会(Saint Nicholas' Collegiate Church)はゴールウェイ大聖堂とは対照的に1320年設立という歴史を持つ。この教会はアイルランドに現存する一番大きな中世の教区教会だといわれ、子供たちと船乗りの守護聖人である4世紀の大司教聖ニコラスに捧げられた。ゴールウェイは港町だ。
前の写真で紹介したリンチ家ともう一家族により16世紀にこの教会は拡張され、今日見る正方形の内部と珍しい3つのトンガリ屋根の外観が誕生した。
この教会を訪れた人の中でもっとも有名なのはクリストファー・コロンブスだろう。1477年、コロンブスはリスボンからアイスランドまでの航海の途中にここに立ち寄り、祈りを奉げている。
聖ニコラス教会付近の青空市
聖ニコラス教会の周辺では週末にゴールウェイ・マーケットとして知られる市が立つ。この市は活気があり賑やかで魅力的だ。
しかしこれ以上この大きな都市に長居は無用と、コネマラへ急ぐことにした。コネマラはゴールウェイより西に飛び出た半島で、入り組んだ海岸があり美しい湖を抱いた穏やかな山地でもある。荒涼とした美とアイルランドの原風景が残る風光明媚な場所と言われており、コネマラ国立公園がある。
ゴールウェイ郊外の景色
ゴールウェイを出るとすぐにまたこれまで見てきた美しい田園風景が戻って来た。
穏やかな緑の丘陵地に白い壁の民家がポツポツとある。こころ和む景色だ。
オーナニュア城
ゴールウェイから25kmほどのところでたまたまこんなものを見つけた。オーナニュア城(Aughnanure Castle)。
14世紀にオフラハティ家(O'Flaherty's)によってコリブ湖(Lough Coriib)の畔に建てられた、がっしり、どっしりとした6階建の城塞。『幸運は強い者を好む』をモットーにしたオフラハティ家はこの塔を中心として、ほぼ4世紀の間コネマラを支配し続けた。
小川のある風景
ゴールウェイのリンチ家の城もこのオーナニュア城もタワーハウスと呼ばれる高層建築で、ゴールウェイ州にはこうしたものが200以上残っているという。
城の側には小川が流れ、その向こう岸では牛が静かに草を食んでいる。
オーターアード中心部
オーターアード(Oughterard)に今宵の宿を確保し、コリブ湖へ向かう。
この地方には湖がとても多いが、中でもゴールウェイの北に位置するコリブ湖はこの地方で最大のものだ。
コリブ湖その1
そのコリブ湖をクルーズしてみた。
クルーズといってもここには日本の観光地にあるような極彩色の観光船といったものはなく、小人数が乗れる目立たぬボートがあるだけ。これはある程度の人数が揃ったら出発するというもので、私たちの他に大人4人と子供2人がやってきて、なんとかクルーズが成立した。
コリブ湖その2
ここにはこうした小型クルーズ船と釣り人用の小舟、そして岸辺に立つ小さな民家があるだけで他には何もなく、ただ静かな湖と静かな森が広がるだけだ。
その湖には小さな低い小島が無数に浮かんでいる。
コリブ湖付近の川
私たちの B&B はコブリ湖に流れ込む小川の近くにあり、その小川に沿ってフットパスがあるので帰りはこれを行ってみた。
こうしたフットパスは当然地道で押し歩きになることもあるが、なかなかに楽しい。
2001.08.26 (日) 快晴 Connemara 周遊2日目 Oughterard~Clifden
地図:Googleマップ/gpxファイル/GARMIN Connect/Ride With GPS
発着地 | 累積距離 | 発着時刻 | 備考 |
---|---|---|---|
Oughterard | START | 発10:00 | 泊:Camillaun House/£40 |
“The Quiet man” Bridge | 10km | 着10:50 | ジョン・フォード監督『静かなる男』のロケ地 |
Maam Cross | 24km | 着11:45 発12:30 |
パブ:ギネス/ビリヤードを見る |
Recess | 38km | 着13:20 発14:45 |
昼食:一軒だけのパブ/ギネス/手長エビのフライ/サーロイン・ステーキ+フライドポテト TVでゲーリックフットボール:球は球形だが重いらしい |
Clifden | 59km | 着16:15 | 泊:Crofden House/£36 夕食:Fogerty's Restaurant/白ワイン/生牡蠣/ダックレバーアプリコットソース/オレンジラフィ+パンにアンチョビのせ/茹で野菜/アイリッシュ・コーヒー/£51 |
為替レート:1IR£=147円 |
小川と草原
コネマラ周遊の二日目は、オーターアードからコネマラの中心的な街クリフトン(Clifden)まで。
湖が多ければまた川が多いのは当然。あちこちにきれいな小川が流れている。そして野原が美しいことといったらない。丘の斜面は輝くばかりの緑に埋め尽くされている。
“The Quiet man” Bridge 付近の湖
そんな美しい景色を眺めながらのんびり走れば、行く先々で大小さまざまな湖に出くわす。
ただただのどかな風景が広がるばかりのここでは、時がゆっくり過ぎて行く。
『静かなる男』の石橋
この地方はジョン・フォード監督の映画『静かなる男』のロケ地となったことでも有名だ。
しばらく走ると“The Quiet man” Bridge の標識が。これはいかなくちゃ、と映画好きのサリーナ。
枝道に入りダートをしばらく走ると、
『あった!』
『静かなる男』の石橋から
小さな石の橋。その下にはきれいな川が流れている。
快調にサイダーが行く
『静かなる男』の橋からダート道を先へ進んでみたがこの道は行き止まりで、元の道に戻った。
相変わらず美しい湖が現れては消えていく。
小山と湖その1
昨日のゴールウェイからオーターアードまでは丘陵地で山と言えるほどのものはなかったが、ここに来て穏やかながらも低い小山が続くようになってきた。
コネマラ地方の山地が近づいているのだろう。
小山と湖その2
そうした山の麓には必ずといっていいほど湖がある。
小山と湖その3
そしてその湖の畔には狭いながらも草原があり、時々そこに羊がいる。
道を行く羊たち
この辺りは車が少なく、羊ものんびりと道端で草を食んでいる。
道をのんびり渡る羊たち
ところがこうした羊たちは繋がれておらず、しばしばこんなふうにいきなり道を横切ったりするから注意しないといけない。
羊の群れにおろおろのサイダー。
『おい、おまえら、渡るんなら渡るし、じっとしているならそこにいろよ!』
きれいな川がたくさん流れる
羊と牧草地、それに数々の川と湖がこの一帯の景色。小山の間をうねうねとアップダウンするたびに、新たな美しい湖に出会う。
地図には街の名前が書いてはあるのだけれど気がつかずに通り過ぎてしまったり、その街があるはずの場所には1軒のパブがあるだけだったりと、ここは人より羊の方がはるかに多い。
そんなパブにはたいてい常連客が1人か2人いて、ゆっくりとビールを飲んでいる。その横の壁に掛けられたテレビではよくフットボールをやっているのだが、日本ではなじみのないルールのものを二つ見た。ゴールポストが4本でオーヴァル形の競技場で行われるオーストラリアン・フットボールはラグビーより少し小さい球を用い、手に持ったボールをもう一方の手で打つのが特徴だ。そしてフットボール発祥時の形にもっとも近い競技であるとも言われるゲーリック・フットボールは、サッカーボールより若干小さい球形の球を用い、4歩までは持って移動できるというのが面白い。球があまり転がらないようなので地元の方に聞くと、サッカーボールより重いからだそう。砂でも入っているんだろうか。
クリフトンの民家
クリフトンが近づいてきたようで、道脇に民家が増えてきた。
このあたりの伝統的な民家はシンプルな形状の石造で、屋根は大屋根。写真の建物はそれほど古いものではなさそうだが、雰囲気は伝統的なものに近い。
ケルト十字の石碑
クリフトンに到着。
街角に佇むのはケルト十字。この形はアイルランド独自のもので墓標にも良く使われている。
アイルランドでは一般的には英語が使われているが、コネマラではゲール語が今日でも使われているという。ここはアイルランドの中でもケルト文化が今日まで色濃く残っている地域だ。
2001.08.27 (月) 晴れのち曇り Connemara 周遊3日目 Clifden~Leenane
地図:Googleマップ/gpxファイル/GARMIN Connect/Ride With GPS
発着地 | 累積距離 | 発着時刻 | 備考 |
---|---|---|---|
Clifden | START | 発09:20 | 泊:Crofden House/£36 |
Sky Road | 海沿いの美しい道 | ||
Connemara National Park | 26km | 着11:30 | 40分コースのハイキング |
Letterfrack | 27km | 着13:00 | 昼食:ポテトスキン(くり貫いたポテトにベーコンとジャーマンポテトをのせチーズを掛けて焼く)+サラダ/ラムのカツレツ ウイスキーソース+茹で野菜 |
Kylemore Abbey | 33km | 着14:40 発15:45 |
湖の畔に立つ美しい19Cの邸宅で現在は修道院/£3.5/人 ネオゴシックの教会と城、アイスクリーム休憩 |
Leenane | 48km | 着16:40 | 泊:Portfinn Lodge/£45 夕食:同上/白ワイン/シーフドカクテル/ビスク(シーフードスープ)/ホタテのソースかけ/茹でポテトと野菜 |
為替レート:1IR£=147円 |
Sky Roadから見たクリフトン湾
コネマラ周遊の3日目はその核心部とも言えるところを巡る。クイフトン湾を見下ろす "Sky Road"、コネマラ国立公園(Connemara National Park)、そして湖の畔に立つ絵に描いたようなカイルモア修道院(Kylemore Abbey)。
クリフトンから西へ延びる半島には "Sky Road" と呼ばれる美しい道がある。'Sky'って、やっぱり高いところを通るので、まず上りだ。森の中のつづら折りを黙々と漕いでこれを抜けると、クリフトン湾のすばらしい眺めが現れた!
Sky Roadから見たクリフトン湾その2
左手には入り組んだ湾とその中に浮かぶ島々の景観が彼方まで広がる。
ここには木はほとんど生えておらず、岩と牧草に覆われた斜面の中に道がへばりつくように通っている。
『う〜ん、最高!!』
止まっては眺め、眺めてはまた止まり、景色を楽しみながらの、ゴージャスなのんびりポタ。
Sky Roadを行くサリーナ
まさに 'Sky' へと向うサリーナ。
Sky Roadを行くサイダー
気持ちよい道に満足、満足と快調に飛ばすサイダー。
Sky Roadのピーク付近
Sky Road もピークを迎えたのか、果てしなく上るように見えた道の先に水平線が見え出した。
クリフトン湾と牧草地
すばらしい青空に青い海、そして緑のパッチワークの牧草地が続く。
色とりどりの花が咲き乱れる
そして足元には野草が小さな可憐な紫や黄の花を付けている。
ここにあるのはまるでおとぎ話に出てきそうな景色だ。
きれいな入り江で休憩中のサリーナ
美しく快適な Sky Road を今度は半島の反対側に下って海に出る。
海といってもアイルランドの海岸線はとても複雑に入り組んでいるので、それはたいてい入り江になっており、ごく近くに対岸が見える。
Sky Roadはこの入り江の奥まで続いて行く。
コネマラの山々
Sky Road が終わると国道に出、次の目的地のコネマラ国立公園を目指す。
山々に向って爽快な長〜いダウンヒル。あの正面に見える山々の周囲がコネマラ国立公園だ。
ダイアモンド・ヒル
コネマラ国立公園ではガイドツアーに参加したかったが、残念ながらそれは午前の1回のみだったので叶わず、1.5km40分のハイキングコースを行くことにした。
ビジターセンターの前には池があり、そこに特徴的なとんがり帽子のダイヤモンド・ヒル(Diamond Hill)が映っている。
コネマラ国立公園
私たちのトレイルはダイヤモンド・ヒルの裾野を軽く廻るもので、紫色の花やボグと呼ばれる泥炭が堆積した湿地が見られる程度だが、頂上まで行く4km3時間コースだと、このあと訪れるカイルモア修道院を含む360°を見渡せる壮大な景色が期待できるという。
コネマラ国立公園のトレイル
コネマラ国立公園のほとんどの部分が、かつてそのカイルモア修道院の敷地であったというから驚く。
この公園の面積はなんと20 km²にも及ぶのだから。
カイルモア修道院
コネマラ国立公園を出てそのすぐ北にあるカイルモア修道院にやってきた。ポラカパル湖(Pollacapall Lough)の畔に佇むこの建物は富豪の館として19世紀に建てられた。
まさに『絵に描いたような』館が目の前に現れた。うしろの小高い山の深い緑と手前の黒い色の湖が、石灰岩の白い外壁の修道院をより美しく演出している。
ここは観光客が多く、珍しく日本人の団体ツアー客も来ていた。
カイルモア教会
修道院の奥には19世紀にゴシック様式で建てられた教会がある。
驚いたことにこの教会は、館の主が亡くなった妻のために建てたものだという。
礼拝所
ここで主に使用されている石は砂岩だが、妻が好きだったというアイルランドの4つの大理石の産地、コネマラ、キルケニー、コーク、タイロンのそれぞれから、緑、黒、赤、白の美しい石が集められ、柱に用いられている。
修道院と教会の見学を終えたらアイスクリームを食べながらひと休み。ここは宗教施設だから?ギネスは置いていないのだった。
ピート採掘場
カイルモア修道院を出るとそのすぐ近くに地面に溝が作られたところがあった。
始めは排水管でも埋める工事をしているのかと思ったが、どうも様子が違う。
ピート
周囲をよく見れば、掘った土がきれいに並べられている。これはピートを採掘しているのだ。
ピートは日本語では泥炭とか草炭と呼ばれるもので、寒冷地の沼地などで植物が十分分解されずに堆積し炭化したものだ。これはかつては燃料として使われていたが、今はそうした用途に使われることはなさそうだ。そうそう、スコッチ・ウイスキーにはピート香があるが、アイリッシュ・ウイスキーではいくつかの例外を除けばモルトにする時にピートは使われない。はて、何に使っているのだろう。
リーノーン
ギネス禁断症状に耐えられず次の街リーノーン(Leenane)で、
『今日の旅はもう終わり、ここでパブタイム!』
と宿探し。
B&Bの快適な居間
シーフードレストランがやっているとてもきれいなB&Bを見つけた。
マスターでシェフのおじさんが、『自転車で来た人は初めてだね〜』と言いつつ部屋に案内してくれる。
オシャレな居間は宿泊客用だ。
B&Bのレストラン
外のパブで1杯やった後、夕食はこのレストランですばらしい海鮮料理を堪能した。