◆ コース紹介
バリ島の最大の都市デンパサールから程近い村チャングー。 その小さな村の小さなヴィラに居を構えた私たちがライス・フィールドに踏み出した一歩。
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『クォケクォックォー、クォケクォックォー』
早朝、あちこちから聞こえるニワトリの声で目覚めヴィラの前のデッキに出てみると、田んぼの向こうの小路を男の子や女の子が大勢走って行くのが見える。 その道を今度は馬に跨がるおじいさんがのんびり行く。 小さな子が自転車で駆け抜けて行く。
空を見上げるといくつもの凧が揚がっている。 尻尾が長いのやら短いのやら、黒いのやら赤いのやら… いつまで眺めていても飽きない風景だ。
そうだ、この休暇はのんびり過ごそう。
昨夜スーパーで買い求めた果物、マンガ(マンゴー)やマンギス(マンゴスチン)とバリ・コーヒーで軽い朝食を取ったあとは小さなプールに浸かり、プールサイドの長椅子に寝転べば、また新しい凧が揚がっている。 ここはバリだ。
午前中をこうしてだらだら過ごした私たちですが、お昼も過ぎてずいぶん時が経つとさすがにお腹が減ってきました。 私たちのヴィラにはレストランは無く、広いキッチンがあり自炊が原則です。
食材を買わなかった私たちは昼食を兼ねて散歩に出かけることにしました。 ヴィラのスタッフに一番近いレストランの場所を聞くと、
『歩いてはちょっと~』 と言うではありませんか。
『ひょえ~、歩いて行けないの…』
そのレストランはビーチにあるということなので、水着を着て自転車で出かけることにしました。
ヴィラの周辺の田んぼには、まだ青々としているところもあれば、ほぼ収穫が終わったところもあります。 ここバリでは一年中、好きな時に田植えがされ、好きな時に収穫がされるのだそうです。
ライス・フィールドの中の小路をビーチ目指して進めば、凧上げに熱中している少年や農機具を担いだ農民、そして笠を被り自転車をのんびり押して歩く人等とすれ違います。
わずか1~2kmほどで海岸に着きました。
『な~んだ、歩いても来られたね。』
と囁き合うものの、ここでは幼い子供と農民を別にすれば歩く人はほとんどいません。 村にはなにもないからなのか小学生なら自転車、高校生ならモーターバイクなのです。 そんなんで一般の人にはあまり歩く習慣がないのかもしれませんね。
ここチャングーの海は波が荒いことで有名だそうでサーフィンのメッカなのだとか。 背中に入れ墨をしたサーファー達が少しだけやってきていましたが、ほとんど人気が無い静まり返ったところです。
ビーチのレストランでソト・アヤム(鳥と野菜のスープ)などの定番で昼食の後、海に入ってみます。 しかしこの海はやっぱりサーファー御用達のよう。 浜から数mのところでさえ激しい波が。 10mも行けばもみくちゃにされ、再び浜に帰り着けないのではと恐怖を感じるくらいでした。 そんなんで子供のようにほんのチャパチャパ海に浸かり、早々に退散するしかありませんでした。(笑)
ビーチのあとは近くを適当にぶらぶらして帰ることにしました。
田んぼの中でなにやら白いものがうごめく気配。 近付くとアヒルのよう。 ガチョウ? アヒルとガチョウって違うんでしたっけ?
畦には痩せこけた犬が、見張りをしているのかうろうろしています。 その向こうには農作業に勤しむ農民の姿があります。
ここにもボ~ッと眺めていて飽きない風景がありました。
刈り取られた田んぼの縁の一本の木の周りに子供達がたむろしています。 小さな子は木登りに御心中。 そして年上の男の子は凧上げに夢中の様子。 地面に広げられた青字に赤のストライプのものは凧です。 大きい! 大人の背丈の倍くらいあります。 空に揚がったらちっちゃく見えるのに、本当はこんなに大きかったんだ。
サリーナが近寄り写真を撮ろうとすると、みんな寄ってきて大変な騒ぎに。 一枚撮って見せると、これまたキャーキャーワーワーと更なる騒ぎとなるのでした。
チャング-通りまで出てヴィラへの枝道を確認したあと帰路に付きます。 これが私たちのヴィラの通り。 民家がポツポツとあるだけの本当になんにもないところです。 小さな雑貨屋が一、二軒と美しい花以外には…
いえいえ、犬がいました。 犬が多いことと言ったら凄い。 一軒で十匹は飼っているのではないかと思うほどで、道端に寝転んだまま動かないやつらや、民家の脇を通ると道までしゃしゃり出てワンワンやってくるやつらもいる。 噛んだりしないから大丈夫だけどね。 みんな痩せているけれど平和そうな顔をしています。 こいつら、いじめに合ってないね。(笑)
日が傾くころから沈むまでは、またプールサイドでだらだらと過ごし、夜はデッキで満天の星空を眺めながら過ごします。 あ~、あしたはどうしようかな~ と思いつつ眠りにつきます。
『タッタッタッタッタッ! ゲッコー、ゲッコー、ゲッコー』
突然眠りを脅かした驚異の音! な、なんなんだ~? ? と思うが一度だけなのでまた眠りにつく。
『タッタッタッタッ ゲッコー、ゲッコー、ゲッコー』
飛び起きたサイダーとサリーナは顔を見合わせ、『クックッック』 と笑う。
『あ~、こいつがあの“ゲッコー”ってやつか! オペラ歌手なみのテノールだね~。』 と感心するサイダー。 ヤモリは“チチャック”と呼ばれこちらは小さく『チャッチャッチャッチャッ』と鳴きますが今晩のはこいつではありません。 “ゲッコー”の正体は体長20cm位のトカゲなのだそうですが、あまり姿を現わさないそうです。 小屋裏のどこかに潜み、とにかく驚くほど大きな声で鳴くんですね、これが。 まるでマイクを握っているよう! でも本当に笑えますよ、この声は。 そして明け方にも、
『タッタッタッタッ ゲッコー、ゲッコー、ゲッコー』