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ツール・ド・ピレネー 7

大西洋から地中海へ

第7ステージ Luz-Saint-Sauveur ~ Sainte-Marie-de-Campan
開催日 2008.08.07(木)曇りのち晴れ、下界は曇り
参加者 サリーナ/サイダー
総合評価 ★★★
難易度 ▲▲▲
走行距離 36km

ツールマレー峠へ向かうサイダー
ツールマレー峠へ向かうサイダー

コース紹介

今回のツアーの最高峰、ロードレーサーの聖地である超級のツールマレー峠、標高2,115 m、18kmで高度差1,400m、平均斜度7.8%に挑みます。 

頂上は雲の上で、昨日のオービスク峠、スロール峠と同様に、素晴らしい風景が楽しめます。


第7ステージ:リュ・サン・ソヴール(720m) ~ サン・マリー・ドゥ・カンパン(840m) 36km

 峠:ツールマレー峠(超級2,115 m)

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朝のリュ・サン・ソヴール朝のリュ・サン・ソヴール

いよいよ今日は今回のツアーの最高峰、標高2,115 mの超級・ツールマレー峠です。 明け方ごろ雷雨があり、今日は走れないかと思われたものの、朝にはどうにか上がったようです。 しかし向かう山は厚い雲に覆われています。

朝7時、出発しようと思ったら空からパラパラと降ってきました。 厳しい峠の上に雨の中を走るはめになったらどうなる? と不安を抱えつつも出発。 昨日は明るかった時刻ですが今日は薄暗く、道行く車はヘッドライトを点けています。 そんな中をロードレーサーで同じ方向へ向かう方がいました。 さすがにロードレーサーの聖地と言われるだけありますね。

リュ・サン・ソヴールの街の出口は10%超えの激坂でいきなりアヘアヘ、こんなんで今日は峠まで走りきれるだろうかと、早くも不安になります。

いきなり8%いきなり8%

出発時にパラパラした雨は結局降ることなく、明るくなってきました。 2kmほど走るとツールマレー峠までの案内標識が現れました。 そこにはツールマレー峠・標高2,114m、現在地870m、頂上まで16km、この1kmの勾配8%とあります。 すでに150mほど上っているのに、ここからでさえ1,240mの上り、平均斜度7.8%です。 昨日のオービスク峠が12kmで960mの上りなので、少なくとも3割増し。 本当に上りきれるだろうか?

バレージュバレージュ

勾配はほとんど変わることなく7~8%が続きます。 黙々とペダルを廻して8時45分にバレージュに到着です。 ここから先にはもう町はありません。 頂上アタックに備えて少し休憩します。 サイクリストの中にはここまで車でやってきて、ここから峠に向かう人もいました。

谷間の小川を眺める谷間の小川を眺める

バレージュを出ると視界が開けてきました。 緑の小さな谷間にはきれいな小川が流れています。 そんなところでは立ち止まってちょっと一息。

晴れて来た!晴れて来た!

雲が立ちこめている目の前の山と山の間からは、うっすらと日が射してきました。 お天気はだいぶ恢復してきたようです。 ヨタヨタ上り続ける私たちの横を、『ボンジュール!』と挨拶しながらロードレーサーが何台も追い越して行きます。 たまにマウンテンバイクの人やツーリストにも追い越されます。 が、私たちが追い越した自転車は一台もありません。(笑)

上るサイダー上るサイダー

峠まで8~9kmのあたりから、いよいよ峠を上る雰囲気の道になってきました。 重く立ち込めていた雲が薄くなり、あたりの草原には日が照り出しました。 徐々に高度を上げ、雲が手に取れるくらい近くなってきました。

『お~、こりゃぁ気分最高~』 とサイダーがガシガシ行きます。

雲と走るサリーナ雲と走るサリーナ

サリーナは峠道に入り、ややバテ気味。 昨日の峠で少し違和感のあった左足だけじゃなく、膝、腰、背中、お尻、もういろいろなところが痛いんです! 休憩頻度もかなり高くなってきました。 それでも青空が見えてきて、『ひゃー、雲が向かって来る~』 など言いながらヨロヨロ上っていきます。

向かう頂上付近の景色向かう頂上付近の景色

いつの間にか、空には雲はほとんどなく快晴です。 左手は大きく落ち込んだ谷。 向かう先は鋭い歯のような山が茶色い岩肌を見せてそびえています。 頂上はどうやらあの山の左のあたりらしい。

サイダーが行くサイダーが行く

見晴らしはどんどん良くなっていきます。 低速でヨタヨタと走る私たちは次々とロードに抜かれながらも、峠の雰囲気を楽しみながら上っていきます。 このあたりではどこから歩いて来るのか、時々ハイカーにも出会います。

押しのサリーナ押しのサリーナ

走った距離からすれば頂上はもうすぐ、あと2kmくらいのはず。 そこで大きなカーブにさしかかりました。 カーブが近づくと風が強くなり、勾配がぐっと上がります。 『わたしはもおだめ~~』 へなへなと自転車を停めるサリーナ。 もう漕いでも漕いでも先へ進みません。 そしてついにサリーナが押しに。

最後に10%だ!最後に10%だ!

ヘアピンカーブを曲がるとものすごい風。 頂上付近で遮るものがないからでしょうか。 ちょうどそこに現れた残り1kmの標識には、ついに斜度10%が登場!

押しのサイダー押しのサイダー

『わしも、もうだめじゃ~~』 目下にたなびく雲を眺めながらサイダーも押しに。 風はどんどん強くなっていますが、高度が上がり、放牧されている羊の群れや遠くの山並みがくっきりと見えるようになってきました。

オクタヴ・ラピーズの記念碑の前でオクタヴ・ラピーズの記念碑の前で

こうして最後の1kmはほとんど押して上ったものの、ついにツールマレー峠に到着です。 ちょうど正午なので5時間もかかってしまいました。 さすがに高度差が1,400mと大きかったせいか、時間当たりでは300mを切り、280mしか上れなかったことになります。

最近では毎年のようにツール・ド・フランスのコースに組み入れられるこの峠が、最初にツールに登場したのは1910年で、ここにはその時の総合優勝者でありかつこの峠を最初に通過したオクタヴ・ラピーズの記念碑があります。 その廻りは記念撮影するのに順番を待っているサイクリストでいっぱいです。

ツールマレー峠のバー・レストランツールマレー峠のバー・レストラン

この峠にはサイクリストはもちろんあとからあとからひっきりなしにやってくるのですが、それ以外にも一般の観光客がたくさん来ています。 強風で寒くなった私たちはこの頂上にあるバー・レストランに避難して休憩です。 ここの内部には昔のツールの写真などが飾られていて、ツ-ルマレーにふさわしい雰囲気です。

ツールマレー峠からツールマレー峠から

峠からの眺めはこんな感じです。 風が強くてあまり景色を楽しむ余裕がありませんでしたが、低いところの草原の緑と山頂付近の荒々しい岩肌、そして雲の織りなす風景が広がっています。

ヘアピンの下りヘアピンの下り

しばらくバー・レストランで休憩したあとは、サン・マリー・ドゥ・カンパンまで一気に下ります。 この下り出しが凄かった。 風は依然としてビュービューで飛ばされそう。 ずっと連なる山々の下に雲。 そこに向かって凄い斜度のヘアピンカーブが幾重にも重なっています。 こんな狭いヘアピンの穴にも、のどかに草を食む羊たちがいるのにちょっとびっくりしつつ、オーバーランしないように慎重に下ります。

路面には今年のツール・ド・フランスで総合優勝したサストレなどの名前がペイントされています。  今年のツールは私たちとは逆向き、つまりこの今下っている側から上ってきたので、こちら側に真新しいペイントがたくさんあるのです。

高速の下り高速の下り

ヘアピンの次は緩いカーブでどんどんスピードが上がります。 連なる山々が次々と後ろに飛んで去り、下にあった雲がどんどん近づいて来ます。 しばらく下ったところで、路上ペイントにツール・ド・フランスの応援で有名な『悪魔おじさん』のマークを発見!

雲の中を下る雲の中を下る

あっという間にラ・モンジーまで下ってきました。 しかしここで雲の中に突入、まったく何も見えなくなり、気温が下がって寒い寒い。 ここからはさらに慎重に、ゆっくり下ります。 視界はほとんどなくなっていますが、レーサーたちが次々に下ってきて私たちを追い抜いていきます。

下界は曇り下界は曇り

標高1,000mを切るとようやく雲の下に出たようで、視界がもどってきました。 下り勾配は緩くなり、そしてほぼ平坦になってきました。

サン・マリー・ド・カンパンサン・マリー・ドゥ・カンパン

13時過ぎにサン・マリー・ドゥ・カンパンに到着しました。 ここの街角の標識には緑色でツールマレー峠『OUVERT』、つまりツールマレー峠は通行可と書かれていて、その下をこれから峠に向かうサイクリストが通って行きます。 今日はここで昼食をとった後、パヨーユまで行くつもりでしたが、あまりに寒かったのと目の前に現れたホテルの名前が気に入ったのとで、ここに泊まることにしました。 そのホテルの名前はLes Deux Cols、つまり『2つの峠』。 今日上ってきたツールマレー峠と明日上ることにしたアスパン峠のことですね。

サン・マリー・ドゥ・カンパンは、このホテルがやっているレストランと、もう1軒のカフェ、雑貨屋、そして教会があるくらいの小さな村です。 レストランで昼食をとりながら『さすがにツールマレー峠は厳しかったね~』と振り返っていると、『日本には峠はないの?』などと宿のマダムが尋ねてきてちょっとおしゃべり。 明日は予定では休養日、久しぶりに朝はのんびりしようかな。

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