ゴテロン橋からフリブールに別れを告げる
朝は美しいフリブールの旧市街を散策です。 ゆっくり街歩きを堪能して、10時半にサリーヌ川に架かるゴテロン橋からフリブールに別れを告げました。
今日は野を越え丘を越えて、スイスの首都ベルンまでです。 途中、ベルナー・オーバーラントの名山がきっと望めるでしょう。
ブルギヨン付近
ゴテロン橋からお隣のブルギヨンまでは上りです。 いきなりの上りにちょっとあへあへして、頂上で早くも一息入れます。 その後は穏やかな下りとなり、珍しくも道端に咲く野草を眺めながらのんびり下り始めます。
カントリーロードを行く
ブルギヨンの先で枝道に入れば、車はまったく通らない快適な下り。 ぐお〜っと下って、曲がり道を通り越してしまいました。 上り返すのが面倒なので、先まで行ってぐるりと廻り、元のコースに復帰です。
上りあり
ターファースを過ぎると今度は上りです。 このあたりは、首都ベルンとフリブールの間だけあり、村がたくさん。 それもこれまでのように数が数えられる程度の村ではなく、そこそこの大きさです。
下りあり
丘陵地が続き、先には山並み。 道はアップかダウンかどちらか。 スイスって、本当に平坦なところが少ないな、って思います。 ここは下り。 途中、子供を3人連れた親子サイクリストを追い越します。 スイスでは至る所に子供からお年寄りまでのサイクリストがいます。
木造の屋根付橋
下り坂の先は川です。 シュヴァルツェンベルクの手前の川には、こんな木造の古い屋根付きの橋が架かっていました。
11%の上り
橋を渡り、大きく右にハンドルを切ると道端には勾配11%の標識。 ここは力を込めてペダルを廻します。 ところがこの坂、途中から工事中で砂利道になり、アヘアヘ。 いや〜、きつかった〜
シュヴァルツェンベルクからの下り
坂を上り切ったところに水場があり、その冷たい水をごくごく。 この泉で、みんななんとか息を吹き返しました。 しかしこの坂のダメージは結構大きかったので、すぐ先のシュヴァルツェンベルクの街中でお昼にしました。
牛の行列
シュヴァルツェンベルクの先でカントリーロードに突入すると、川まで豪快な下り。 こんなに下ったらあとが大変だな、と思っていると案の定、川からは森の中の上りになりました。
丘を上る
この上り、すぐに終わるだろうと思っていたら、なんとも終わりません。 森を抜け、緑の丘陵地をずっと上り続けます。
遠くにはアルプスの山々が。 あの山はアルプスの一番北の端にあたるのです。 今日のフリブールからベルンへのコースは、ちょうどアルプスの一番端っこの裾野ぎりぎりのところを行く感じなのです。 グーグルマップの航空写真を見ると、アルプスとの位置関係が良くわかって面白いです。
丘陵を行くサイダー
『スイスに平地はないのか〜』 と叫びつつ、丘陵を行くサイダー。
緑の丘陵
芸術的ともいえる起伏が続きます。
農作業車とサリーナ
道端の牧草地で牧草の刈り入れをしているところに出くわしました。 刈り入れとはいっても、この日は『入れ』の方です。 刈られた牧草はその場で天日干しにされ、しばらくお天道様の栄養を吸収するのです。 そして十分にその栄養が蓄えられたところでトラックに積み込まれるのです。
見えた!
アップダウンを繰り返しながら緑の丘陵をどんどん行きます。 どうやらピークに辿り着いたようで、道は穏やかになりました。 ここまで白い雲でしばらく気が付かなかったのですが、遥か彼方に、ついにあのベルナー・オーバーラントの白い山々が現れました。 写真の左半分にうっすら写っているのがわかるでしょうか?
『お〜、あれあれ、あれがインターラーケンのあたりの山だよね〜』 とサリーナ。
雪山を背後に
『アイガーはどれ? メンヒやユングフラウは見えているのかな〜』 とサイダー。 しかし私たち3人はまったく山のシロート。 せっかく見えている山も、まったくどれがどれだか分からないのでした。
草原を快走!
ピークを過ぎて下り基調に変わるも、アップダウンはしばらく続きます。 道が西を向き、前に丘が見えなくなるとようやくアップがなくなり、穏やかな下りになりました。
アーレ川を行く人々
ケーニウまで下ってようやく平坦になると、もうベルンに入ったも同じです。 さすがにスイスの首都だけあり、ケーニウからはずっと家並み、街並が続いて行きます。 フリブール同様に車道際の自転車レーンを通り、街中を進みます。
アーレ川沿いにアプローチしていると、ついにその川面が現れました。 川の土手を水着姿の大勢の人が歩いて行います。
芝生のビーチ
良く見れば、川には水浴びをする人々が勢い良く流れていました。 おっと、あんなに急な流れなのに大丈夫かな、と思いましたが、そこはスイス、きちんと入水のゾーンがあり、川から上がるために手すりが設えられた、離水ゾーンもあるのです。
そしてこちらはその川辺の芝生の上。 ほとんど、ここはビーチ? という感じでした。 海のないスイスでは、川や湖が水遊びの場なのです。 丘の上には日本の国会議事堂に当たるブンデスハウスが見えています。
アーレ川と大聖堂
ベルンは、この人々が泳ぐアーレ川の風景から始まりました。 川の上の旧市街の中に、大聖堂の塔が一際高く聳えています。
ベーレンプラッツ
翌21日はベルン散策です。 国会議事堂に当たるブンデスハウスからベーレンプラッツに出ると、そこは露天市になっていました。 ベルンには100カ所あるといわれる彫刻付きの噴水、その先に牢獄塔という一際目に付く建物があります。 この塔は13世紀半ばの建造で、当時の街の拡張に伴い、それまで街の西の門だった時計塔の変わりに、新たな西の門として作られたものだとか。 牢獄塔の名は17〜19世紀に牢獄として使われていたからだそうです。
ベーレンプラッツの八百屋
この広場の露店は様々で、ひまわりなどを売る花屋、屋台の中華屋、チーズとオリーブの店、きれいな色の八百屋といったところが並んでいます。
旧市街のトラム
日本では一時ほとんど絶滅した市電ですが、ヨーロッパの古い町にはその市電が残っているところが結構あります。 ここベルンもその一つで、赤いかわいらしい車両があちこちに走っています。
クラムガッセから時計塔を望む
ベーレンプラッツから旧市街のメインストリート、マルクトガッセに入ると13世紀に作られた有名な時計塔が見え出します。 毎時56分から仕掛けが動くようになっていて、時計の脇の人形が太鼓を叩いたりします。
道の真ん中には例の彫像付きの噴水が一つ、二つと建っています。
旗がひらめくクラムガッセ
時計塔を過ぎると通りの名はクラムガッセに変わり、両側の建物からたくさん、スイス国旗とベルン州旗が突き出ています。 このあたりは東京でいえば銀座通りで、世界の有名店も見受けられますが、一方では庶民的な雰囲気の店も結構あります。
パラレル自転車
ここでとっても珍しい自転車を発見。 二人乗りのタンデムはわりかし良く見るし、寝そべったポジションのリカンベントも最近はけっこう見かけるようになりました。 三輪の自転車はリカンベントに多い。 車体を風防で全部覆った自転車は写真でその存在を知っています。 でもこれは初めて。
三輪の二人乗りのリカンベントで、タンデムではなくパラレル、しかも全身を風防が覆っています。 しかも車体の後ろにはちゃんとしたナンバープレートが付けられています。 世の中にはいろいろな自転車があるものですね。
地下の入口ハッチ
もう一つ変わったものを。 ベルンの街中では、建物の足下から道に出っ張った三角の妙なものを良く見かけます。 たいてい上部は木の扉のようなもので覆われています。 これは一体何かな〜、と思っていたら、なんとそれは建物の地下への出入口だったのです。 雨が降ったら中に入ってしまうこと間違いなしですが、どうしているんでしょう?
ニーデック橋から大聖堂を望む
ぶらぶらのんびり歩いていると、半島状に突き出た一番先端まで来ました。 良く考えると今朝出たフリブールも半島のように突き出たところがありました。 ここと良く似ています。 もっとも規模はベルンの方が一回り大きく、フリブールの半島の先端は二手に分かれ、その一方にベルン橋が架かっていましたが、ここでは道は真っすぐ対岸に延びて行きます。 その対岸に渡るニーデック橋からは、穏やかに大聖堂の方に向かって盛り上がってゆく街並が見えます。
大聖堂へ
ここで見どころの大半はおしまいなので引き返し、大聖堂に向かいます。 スイスで最も高いといわれる塔は改修中で、一部は足場と覆いで囲われています。
大聖堂の塔からベルンを望む
ミュンスターと呼ばれるベルンの大聖堂は15世紀着工の後期ゴシック建築で、入口の上部には最後の審判、内部には見事なステンドグラス、100mもある塔と、首都ベルンにふさわしい大建築物です。
塔に上ればベルンの街が360度、見渡せます。 赤茶の瓦屋根がびっしり連続する旧市街には新しい建物はまったく見当たらず、15世紀からの古い建物がほとんど建設当時のまま残っているのがわかります。
旧市街と新市街の対比
旧市街を取り巻くように流れるアーレ川の向こうは新市街なのでしょう。 緑が美しく、建物の密度が旧市街とは全く違うのがおもしろいです。
キルヒェンフェルト橋
さらに郊外に目をやれば、ところどころに高層の建物が建ち、街がずっと伸びて行くのが見えます。
パウル・クレー・センター
午後は郊外にあるパウル・クレー・センターへ。 クレーはこのベルン近郊の生まれだそうで、クレーの作品の半数近くを収蔵する大コレクションを持つこのセンターは、2005年にオープンしたものです。 建築はイタリアのレンゾ・ピアノによるもので、旧市街の建物とはまるで違う超現代的なもの。
大聖堂の塔からの眺め