チェスキー・クルムロフのブジェヨヴィツェ門
神聖ローマ帝国の首都であったプラハの宿を朝8時半に出発、街中の火薬塔などを眺めてからフローレンツ・バスターミナルへ向かいます。 ターミナルに着けば、ちょうど空からパラパラと雨が落ち始めました。
自転車を折畳み、チェスキー・クルムロフ行きのバスの荷物室に動かないようにくくり付けて、乗車します。 荷物室に入れる荷物代は10Kc(40円)/個で、これは自転車でも同じです。
バスはE55を南下し、タボール、チェスケー・ブジェヨヴィツェを経由、三時間ほど走ると、下り坂の脇を流れるうねった細いヴルタヴァ川の向こうの緑の木々の間に赤茶色の屋根が見えだします。 チェスキー・クルムロフに到着です。
ブジェヨヴィツェ門の内側
チェスキー・クルムロフはプラハ同様、神聖ローマ帝国に深く関わる都市で、13世紀の後半からお城や街が造られ出したようです。
バスターミナルで自転車を組み立て、とんがり帽子のブジェヨヴィツェ門から街に入ります。 この門の内側が旧市街で、その外側をヴルタヴァ川が流れています。
こうした門はかつては10あったそうですが、現在残るのは17世紀初めに造られたこの門だけです。
もう一つの門
門の近くの宿に荷を解き、街歩きの開始です。
ヨーロッパの旧市街はプラハのような大都市を除けば大抵とても狭く、自転車で廻るほどの大きさではないのです。 そして道はほとんどの場合石畳ですが、ここもその例外ではありません。
少し行くと門のような、アーチを持つ城館の渡り廊下が見えてきました。
フラデークの塔
この街のどこからでも見えるのが、お城のカラフルなフラデークの塔。
お城入口の赤い門
そのお城の入口にあるのがこの赤い門です。
チェスキー・クルムロフはプラハから近いこともあり、観光客でいっぱい。 その中でもお城周辺は一番の見どころなのでこのあたりは大賑わいです。
お城の見学は後回しにして、スヴォルノスティ広場へ向かいます。
旧聖ヨシュト教会とスグラフィットの建物
街中の建物は三階建てほどのこじんまりしたものが多く、スグラフィット技法による壁が多く見られます。
スグラフィットは16世紀にボヘミア全土に流行したイタリアからもたらされた装飾技術で、下に色漆喰を、その上に白漆喰を塗り、上の白漆喰の一部を掻き落とすことで立体感のある表現を可能としたものです。 多くはだまし絵的な使い方がされ、最も多い表現は外壁を石積みに見せるものです。 写真右の建物の外壁がそれです。
スグラフィット
もちろん、こんなものもあります。
ここでは黒漆喰の上に白漆喰を塗り、白漆喰を掻き落として下地の黒を出しています。
賑わう通り
この日のお天気はバスの中で雷に遭遇したものの、チェスキー・クルムロフに着いてからは晴れでヨーロッパの6月らしく、清々しく暑い。
ブジェヨヴィツェ門から続くラトラーン通りは、大きなカーブを描いて進んで行きます。
ヴルタヴァ川と聖ヴィート教会
石畳の道をてくてく歩いて行くと、ヴルタヴァ川の流れに出会います。 チェスキー・クルムロフの旧市街はこのヴルタヴァ川を境に大きく二つに分れ、手前が王宮があるゾーン、そして川を渡った向こう側がスヴォルノスティ広場のあるゾーンです。
岸辺にはレストランのテラスがいい感じで並んでいます。 この一つでランチにしました。
お城
ちなみにチェコは一人当たりのビール消費量世界一だそうで、どこにでも地ビールがあり安くておいしい。 この地のビールはヴルタヴァ川の川辺にあるエッゲンベルクで、500mlで25Kc(100円)。 水よりもコーラよりも安い! エッゲンベルクは17世紀にこの地を支配していた貴族の名で、この醸造所の建物もそのころ建てられたものだとか。 このブルワリーはおそらくその貴族が作ったものでしょう。
ヴルタヴァ川から見上げれば、そこにはお城があり、あのカラフルなフラデークの塔が建っています。
スヴォルノスティ広場
ヴルタヴァ川を渡ってさらに進むとスヴォルノスティ広場です。
柱は18世紀初頭にペストの収束を祝って建てられた聖母マリア柱像。
この広場は16世紀のルネッサンス様式の市庁舎と、淡い色使いの建物で取り囲まれています。
広場近くの家々
広場のまわりとその近くの家々はみな妻入りで、建物ごとに微妙に異なる破風が付いています。
このあたりの建物はバロック様式ですね。
ヴルタヴァ川の南側
ここのヴルタヴァ川はへびのようにのたうっていて、スヴォルノスティ広場の南にもそのヴルタヴァ川は流れています。
ここで街は終わり、向こう側は郊外という雰囲気ですぐ先には森が見えます。
ヨーロッパの旧市街は大抵どこでも小さく、しかしそれがはっきりと都市であると認識できるところが日本の街と大きく異なるところでしょう。
連続するスグラフィット装飾の建物
ここはスグラフィット通り?
いえ、このスグラフィットの建物はかつてのイエズス会の大学で、チェコ国内ではプラハに次いでに設立されたものだそうです。
ヴルタヴァ川対岸からお城を臨む
その大学の前は空き地になっており、お城の眺めが素晴らしい。
カラフルなお城の塔
最後にそのお城見学を。
第二の中庭
先の赤い門を潜リ抜けると、かつて家畜が飼われ従僕などが住んでいた第一の中庭に出、さらに奥の石橋の先のにある城館のアーチを潜り抜けると、円形の噴水のある第二の中庭に出ます。 このお城には中庭が五つあるのです。
中庭を取り囲む建物の壁はどこもかしこもスグラフィットです。 よくもまあ、こんなにやりましたねぇ。
塔からの眺め
第二の中庭の端にはフラデーク(小さな城?)という13世紀に起源を遡るこのお城でもっとも古い部分があり、そこにあのカラフルな塔が建っています。 もっともこのカラフルな装飾は16世紀に改修された時のものらしいのですが。
この塔に上れば、チェスキー・クルムロフの街とそれを取り巻く丘までが一望にできます。
塔のあとは第三の中庭に移動し、内部見学ツアーで宮殿部分を巡りましたがここは撮影禁止で写真はなし。 ま、普通の宮殿ですね。
さらに第四の中庭から洞窟ギャラリーの前のトンネルを潜りプラーシュチョヴィー橋の上に出ます。 この橋の下は深い谷になっており、お城は大きく分断され、先には第五の中庭と劇場、庭園といったものがあります。
さて、明日はこの美しいチェスキー・クルムロフに別れを告げ、いよいよチェコ・サイクリングの始まりとなります。