コース紹介
南モラヴィア地方の自然豊かなポディイー国立公園を走ります。 南モラヴィア地方はワインで有名で、このあたりからぶどう畑が現れるようになります。
森の中を行く自転車ルート48のグリーンウェイは、ここでは、荒れた路面あり、砂利の舗装あり、地道あり、激坂ありと変化に富んでいて、今回のチェコの中では難易度の高いコースです。
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発着地 | 累積距離 | 発着時刻 | ルート | 備考 |
---|---|---|---|---|
Vranov nad Dyji | START | 発10:00 | 48 | |
Satov 昼食 |
36km | 着14:15 発15:25 |
その他 |
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Znojmo | 50km | 着16:30 | 泊/Hotel Morava 1190Kc | |
Vranov nad Dyji公式ペイジ |
ヴラノフ・ナト・ディイーのお城を後ろに
朝起きると外はしとしとの雨。 ここまではお天気に恵まれましたが、昨日の夕方から降り始めた雨が一晩中降り通し、まだ上がりません。 しかし天気予報によれば昼には晴れそうなので、雨が上がるのを待って出発することにします。
10時、ようやく雨が上がったので出発です。 外気温は16度と低く肌寒いので、上着を着込みます。
ヴラノフ城の前の坂道を上る
今日はポディイー国立公園の自然を楽しみ、ぶどう畑の中のワイナリーを巡る予定ですが、その前にヴラノフ・ナト・ディイーの地図に載っている博物館に行ってみることにします。
昨日訪れたヴラノフ城への上りを今度は遊歩道ではなく、車道でえっちらおっちら。
掩蔽壕の博物館
森の中を上って、ちょっとうろうろしてようやく見つけたのがこちら。
この博物館、実はどんなものなのか良くは分かっていなかったのですが、これは昨日までもたくさん見てきた冷戦時代の遺物である掩蔽壕(えんぺいごう)で、それを時の記憶として保存しようというものらしく、外壁を現代アート風にペイントしてあるものでした。
ちょっとした平面図と解説があるだけで、博物館としては拍子抜けだったのですが、こうしたものは先ほど上ってきた道脇にもいくつか見かけることができるし、とにかくこのあたりのオーストリアとの国境付近には無数といっていいほど残されているのです。 かつての西と東がどういった関係にあったかという一端が垣間見られるという意味では、これも一つの博物館の形なのかもしれません。
ヴラノフ湖の端っこ
ちょっと変わった博物館を見たあとはヴラノフ・ナト・ディイーの街に戻り、昨日見たヴラノフ湖に向かいます。
この日は平日の雨上がりとあって、昨日賑わっていたヴラノフ湖はひっそりとしていました。 ここはそのダムで塞き止められてできたヴラノフ湖の尻尾のようなところで、湖岸には小さな別荘がたくさん建ち並んでいます。
森の中を行く
その尻尾に沿って進むと、道はいつしか静かな森の中に。 森はきれいに手入れされていてその中を舗装された細い道がまっすぐに続いて行きます。
レスナー
この森がずっと続くのかと思いましたが1km少々で抜け、レスナーの街を通過。
荒れた舗装を行く
レスナーから一般道をヴラノフ・ナト・ディイー方面に少し戻ってから入った道がこちら。
ここからいよいよポディイー国立公園です。 この道は細く、路面は舗装はされていますがごつごつとしていてちょっと走りにくい。
森の中の不思議な舗装路
畑の中を行く道はすぐに森の中へ。
ここも舗装路ですが、その舗装はちょっと変わっていて、アスファルトの上に砂利を軽くくっつけたような感じで、走るとその砂利がちょっと動き、ジャリジャリします。
池の脇の地道
しばらくこのアスファルトとも砂利道ともつかぬ道が続きますが、それはいつの間にか地道に変わります。
この地道は池の脇を通り、ひっそりとした森を抜けて行きます。 このあたりは雨が降らなかったのか、ぬかるんでいなかったのが幸いです。
シングルトラック
森の片側が開けると、これまでダブルトラックだった道はシングルトラックに。
この道、本当にグリーンウェイ? と思えるような道ですが、このルートが間違いなくグリーンウェイの本線なのです。
地道の上り
試練はまだまだ続きます。
森の中にも細かなアッップダウンがあります。 ここは湿った重い土の上りとあってついにギブアップ。 えっこらえっこら自転車を押し上げます。
畑の中の地道を行く
森を抜けると、麦畑と牧草地が広がります。
畑の先には道路が通っているのか、街路樹とおぼしき木々が立ち並んでいます。
ルコフ近く
地道はルコフの街が見えるとようやく舗装路になりました。
しかしこの舗装路はひび割れた路面の上、穏やかながらも上りでなかなかスムースに進みません。
マーガレットと白樺
道脇にはきれいなマーガレットが咲き、畑との境には白樺。
再び森の中に
白樺の道はそのまま森の中へ入って行くと地道になり、あらぬところで方向転換すると、谷に落ちて行くような急な下りとなりました。
ここは本当に道を間違えたのかと思いましたが、どう考えても一本道なのでした。 恐る恐る下った先には水道ができていて、道を横切っています。
森の出口付近
そこからの上り返しはきつくて押しましたが、すぐに舗装路になってくれて助かりました。
直線の穏やかな下りが120度ほど方向を変えると、森が開けてきたのか空が広くなり、こんどは結構な勾配で下り出します。
下にディイー川
すると右手に視界が開け、下にあのディイー川の流れが見え出します。
その背後は深い森。 あれがこれまで走ってきたポディイー国立公園の森です。
ぶどう畑
なおも下ると、ついに有名な南モラヴィア地方のぶどう畑が現れます。
ここ南モラヴィア地方はワインの生産で有名なのです。
ぶどう畑の脇のワイン販売所
そのぶどう畑の先には小さな小屋があり、ワインの販売をしています。
ここではワインの試飲もできます。 当然みんなこのワイナリーの畑で穫れたぶどうから作られたもので、リースリングはこの斜面、ピノ・ノワールはあそこの斜面で穫れたものと説明してくれます。
ディイー川を渡る
ワイン販売所で休憩したあとのグリーンウェイは、ちょっとの間ではありますが、なんと石畳の階段! ん〜ん、本当にこれがグリーンウェイ?
そしてその先で、ポディイー国立公園の豊かな森の源泉であるディイー川を渡ります。
シャトフ
ディイー川の先でようやくまともな道に出ると、そこがポディイー国立公園の終わりです。
その先にはシャトフの街があり、ここで昼食にしました。
ハヴラニーキからのカントリーロード
シャトフからは本日の終着地、ポディイー国立公園を外れたところにあるズノイモへ向かいます。
一旦出たポディイー国立公園に再び入ると、ハウ゛ラニーキからはぶどう畑の中を行く地道になりました。
ズノイモ郊外
この道を行けばズノイモへの近道なのですが、コニツィから先も森の中を行く地道のようなので、これを回避、一般道に出ることにしました。
このあたりでズノイモはちょっとした街なので、そこに向かう道も立派です。
ズノイモのディイー川沿いを行く
道がディイー川にぶつかったところからは、川沿いの地道を進みます。
ここは人通りもほとんどなく、静かでいい感じです。
上にズノイモ
ズノイモは、ディイー川左岸の切り立った露頭の上にあり、その斜面を見上げればこんな感じ。
ズノイモの街へ上る
ということで、最後は激坂上りが待っています。
聖ミクラーシュ教会の塔を目指す
その激坂の先はお決まりの石畳で、ここも上りでへろへろ。
先に聖ミクラーシュ教会の塔が見えてきました。 ミクラーシュは英語ではニコラスです。 聖ミクラーシュ教会は最初ロマネスク様式で建てられた後、ゴシック様式で建て替えられたようです。
聖ミクラーシュ教会内部
教会内部のエントランス付近にはパンのマドンナと呼ばれる絵があり、その前には30年戦争の間でもいつでもたくさんの食べ物が置かれていたそうです。
この教会でもう一つ有名なのは、正面左手に見える地球の形をした説教台です。
市庁舎の塔
聖ミクラーシュ教会近くに予定していた宿は二軒とも満室だったので、観光案内所で紹介してもらうことにしました。
観光案内所は街の中心を成す二つの広場を繋ぐオブロコヴァ通りにある市庁舎に入っています。 その市庁舎にはモラビアの後期ゴシック建築を代表する、15世紀中旬建造の高い塔が付いています。
マサリコヴォ広場
オブロコヴァ通りの南にあるのがマサリコヴォ広場。
広場の真ん中には例によって柱像が建ち、その先には聖ヨハネバプティスト教会が見えます。
マサリコヴォ広場北側を見る
この広場の下には地下都市があります。 これは地下4階建、深さ30m、総延長27kmに及ぶトンネルで、14世紀に外敵の侵入に備え、街の人々が地下に隠れて住む為に掘られたものだそうです。
広場をぶらぶらしているとお姉さんが寄ってきて、観光ですか?どちらから? と声を掛けてきました。 はい、日本からと答えると、手にしていた小さな篭から飴を取り出し、はい、これ、どうぞ、旅行楽しんでね。 と言って、くれました。 へ、どうして? このお姉さん、観光案内の人? と思いましたがどうやらそうではないらしく、その後やってきた彼氏とどこかへ。 どうして飴をくれたのかはわかりませんが、とにかくこれはおしくくいただきましたよ。
ホルニー広場
マサリコヴォ広場の反対側、オブロコヴァ通りの北にあるのはホルニー広場。
観光案内所で紹介してくれたホテルはこの広場に面した、写真のピンクの建物です。 この広場には珍しいことに塔や噴水といったものがなく、この時は一軒の仮設の飲み屋が出ているだけでした。
ズノイモではモラヴィアワインと決めていたのですが、それは夜にとっておき、まずはビールで喉を潤します。 ここの地ビールはHOSTAN。 このビールのグラスには1363の数字があるので、14世紀から続くブルワリーなのでしょう。 飲んだラガータイプはブドゥヴァルをよりすっきりさせたような味わい。
聖ミクラーシュ教会と聖バーツラフ教会
街の西の端には眺めのいいところがあるというので、出かけてみました。聖ミクラーシュ教会からさらに先に行くとその展望所です。 聖ミクラーシュ教会の脇に建つのは一階部を聖マルチナに、二階部分を聖バーツラフに捧げられたチャペルです。
ロトゥンダ付近から南東を臨む
南東を見れば、下にディイー川、そしてその右手にはポディイー国立公園へと続く森が広がっています。
ロトゥンダ
この展望所の先にはズノイモ最大の見どころがあります。
それは11世紀前半のロマネスク様式のロトゥンダ(円形礼拝堂)です。 この内部には貴重なフレスコ画があり、空間的には祭壇が付加されたことがわかっており、教会建築の先駆けとされています。 一時は家畜小屋やビアホールとして使われ、フレスコ画はペンキで塗りつぶされていたこともあるそうですが、大規模な調査修復が行われ、現在は15分だけ内部の見学が許されています。
19:30のズノイモ
ロトゥンダ周辺の散策が終わると19時半と夕食にちょうど良い時刻となり、モラヴィアのワインを楽しみにレストランへ向かいました。
そうそう、チェコはビールもワインもおいしいですが、プラムからつくられるスリヴォヴィツェという蒸留酒も、とてもおいしいです。