キヨフの朝市
キヨフの広場は朝市で賑わっています。 日除け傘の下に色とりどりの花や野菜が並び、大勢の人々がそれらを買い求めて行きます。
賑やかなこの市を眺め、村役場の前を通ってキヨフを後にします。
キヨフを出る
キヨフの北には南モラヴィア地方最大の丘、シュィビィの丘が迫っています。 この丘の中には難易度の高いマウンテンバイクコースをはじめとして、様々なサイクリングコースがあります。 これらをゆっくりと楽しむのも良さそうなのですが、旅もほぼ二週間が過ぎ少々疲れてきたのでこれはパスして、クロムニェジーシュでゆっくりすることにします。
ということで、今日はシュィビィの丘の一番低いところを越え、クロムニェジーシュに直行です。
ひまわり畑の脇を行く
しかしその前に、キヨフのすぐ近くの村に風車があるというので、そこに寄ってみることにします。
キヨフから北に向かうと足元にはオレンジのひなげしが咲き、先には昨日見たような黄色の絨毯が。
ひまわり畑
ひまわり畑です。
みんな東を向いて、大きな花を広げています。
ひまわりの花
満開の初々しい花々。
このひまわり畑の後ろには小高い丘が見えます。 その先端にはポツンと飛び出したものが見えます。 あれがキヨフの街で聞いた風車でしょう。
ブコヴァニからの上り
その風車を目掛けて緩い坂道を上ります。
この坂道はブコヴァニの街を通り抜けるとちょっと急勾配になり、その先に目当ての風車が見えてきました。
ブコヴァニの風車
風車はブコヴァニの街を出てすぐの丘の先っちょにあり、ここからはキヨフ方面への見晴らしもあります。
廻りはホテルとレストランの庭になっていて、ここのカフェテラスで一休み。
先にシュィビィの丘
風車からはブコヴァニの街に戻り、ボフスラヴィツェに下ります。 先にボフスラヴィツェの街とシュィビィの丘が見えてきました。 シュィビィの丘はボフスラヴィツェからコリチャニに抜けるルートが谷になっているので、これからこの最も労力が少なくて済むルートで丘を超えます。
ボフスラヴィツェへの道は一応舗装はされているのですが、だいぶ痛んでおり、半分はダート状態。 その荒れた舗装もついになくなり、完全に地道になります。
ボフスラヴィツェから丘を越える
地道を下った先のボフスラヴィツェで432号線に出ます。
ここからは穏やかな上りとなり、シュィビィの丘を越えます。
イェストジャヴィツェからの上り
この上りは大したことはなく、イェストジャヴィツェでほぼ丘を超え終えます。
後ろにシュィビィの丘の稜線が見えるようになってきました。
麦畑から続くシュィビィの丘
シュィビィの丘がくびれて谷状になっているここは周囲は麦畑で、その畑が波打ちながら徐々に高くなり、シュィビィの丘の森へと続いて行きます。
穏やかな起伏の道
イェストジャヴィツェでピークに達したかと思われた道は、その後下ったあと上り返し、コリチャニへは再び緩い下りとなります。
コリチャニ
コリチャニからは丘の裾野に沿って走ります。
オレンジのひなげしの咲く坂を上る
丘の裾野にアップダウンは付きもの。 というわけでコリチャニからも上りです。
まあ、チェコは丘の裾野にかかわらず、たいていどこでもこんな調子なのですが。
432号線(自転車ルート5012)を行く
ストジールキの集落を越えE50にぶつかると、その先の432号線(自転車ルート5012)には道路工事で通行止めの標識が。 しかし大した工事ではないようなので、おそらく通り抜けられるだろうと、直進します。
道はトップコートのやりかえをするのか、すぐに表層が浅く剥ぎ取られたようになります。 ここは抵抗が大きく、しかもしばらく上りとあってちょっときつかった。 側溝を作っている作業車が停車していましたが作業員はおらず、通行できないようなところにはなさそうです。
ひまわり畑とぶどう畑のある風景
3kmほど進み、上りが終わるころにはようやく道路工事区間も終わったようで、普通の路面に戻りました。
ツェテホヴィツェの先では再びひまわり畑が現れ、その先に村の教会が見えます。
小さな教会
そして道の反対側にも小さな教会がポツンと建っています。
このあたりは、チェコならどこにでもありそうな景色が広がっています。
ズドウンキからラタイェへ
正午過ぎにズドウンキの村に着いたので、レストランを探します。 通りにそれほど大きくない『レストラン』の看板を見つけましたが、肝心のレストランがどこにあるのかちょっときょろきょろしてしまいます。 それは道から少し奥まったところにひっそりとありました。
中に入ると意外に客が多くてびっくり。 チェコでは通りの顔はさほど立派ではないのに、内部はとても広かったり、素敵な中庭があったりと、いい意味で裏切られることが良くあります。
後ろにシュィビィの丘
ズドウンキからは432号線を逸れ、自転車ルート5012に導かれてラタイェに向かいます。 見知らぬ土地にこのように自転車にふさわしいルートが設定されているのは、とても助かります。
道脇にはつややかなとうもろこしの畑、そして後ろにはあのシュィビィの丘が横たわっているのが見えます。
ラタイェ
相変わらずのアップダウンを繰り返しながら、クロムニェジーシュの一つ手前の村ラタイェに到着。
クロムニェジーシュへ下る
ラタイェからクロムニェジーシュへは穏やかな下りとなります。
もっこりとした街路樹が続く道を下って行くと、どうやらクロムニェジーシュの街に入ったようで、まずは比較的新しい住宅地が現れ、次になんだか良くわからない長い白壁の前(あとでフラワーガーデンと判明)を通り抜けます。
ここからは翌日以降の写真も交えて紹介します。
クロムニェジーシュの古い家並み
白壁を過ぎると歴史的なゾーンに入ったらしく、アールデコを始めとするちょっと古い家々が建ち並ぶようになります。
左に洗礼者ヨハネ教会
この家並みを眺めながら進むと大きな交差点に出、そこからは大きな立派な建物が現れるようになります。
左は18世紀建造の洗礼者聖ヨハネ教会で、内部には見事なバロック様式の祭壇と有名なフレスコ画の天井画があります。
クロムニェジーシュの広場へ
洗礼者聖ヨハネ教会の脇を進むと、お店やレストランのある雰囲気のいい通りとなり、先に16世紀ルネッサンス様式の市庁舎の高い塔が見え出します。
フェルケー広場から市庁舎の塔を臨む
その塔を目指して進めば、すぐにクロムニェジーシュのメインスクエア、フェルケー広場に到着。
広場の真ん中にはお決まりの噴水と記念柱があり、その廻りを仮設のお店が取り巻いています。
お城の塔
広場を挟んで市庁舎の丁度反対側には、一際高いお城の塔が聳えます。
ここに最初にゴシック様式の城が築かれたのは13世紀のことで、オロモウツ大司教の住居として使われ、16世紀にルネッサンス様式で再建、17世紀の三十年戦争の後にバロック様式の宮殿となったようです。 建物の外観は写真でちらっと見えるように、あまり特徴的ではないような気がしますが、このお城とその背後に広がる庭園、そしてフラワーガーデンを合わせたものが、ユネスコの世界遺産として登録されています。
フェルケー広場を囲む建物
広場を取り囲む建物は一見あまり古さを感じさせません。 それはゴテゴテした装飾を持つ建物が多くないからだと思いますが、これらの起源はお城同様に中世まで遡るようです。
建物のファサード
しかし現在残る建物の多くは、チェコの歴史ではかならず登場する17世紀前半に起こった神聖ローマ帝国を舞台とした三十年戦争後の、17〜18世紀に建てられたもののようで、ファサードを一つずつ観察すれば、写真のようにかなり凝った装飾のものもあります。
アーケード
広場を取り囲む建物の一階部分は多くの歴史的な都市に見られるのと同様、アーケードを成しています。 ここはそこをレストランとして使用していますが、もちろん通路状になっているところが多いです。
アーケードの柱は下部が広い台形状で外部に張り出したものが多く、こうした構造の建物はかなり古くからあるものだそうです。
リーエグロヴォ広場の柱像
10日間自転車で走り詰めだった私たちはこの街に連泊と決定。 フェルケー広場が大広場なら、小広場とも言うべきリーエグロヴォ広場の奥にある聖母教会の前の、比較的静かなロケーションに宿をとりました。
リーエグロヴォ広場はその昔は馬市場または野菜市場と呼ばれたところで、この周辺の村からもたくさん人々が集まったところのようですが、現在はその面影はなく、駐車場として使われています。
ヴォドニー通りからフェルケー広場を通してお城の門を見る
この通りはフェルケー広場の東の隅から南東に延びる通りで、ここを北西に向かうと広場を通ってお城の門に突き当たります。
正面に小さく見える門は英語ではMill Gateとなっていますが、いったい元はなんだったのでしょう? お城で小麦でも挽いていたのでしょうか。
ミル・ゲートと聖モジツ教会
このミル・ゲートはお城に入る門ではなく、街の外と内を分ける位置にあるようです。古い町は防御のためにその周囲を囲い、こうした門を設けることが少なくありませんが、クロムニェジーシュの門はここ以外にはないようです。
お城の塔に上ればそのミル・ゲートと聖モジツ教会が間近に見えます。
フェルケー広場
視点を左にずらすとフェルケー広場で、広場の対角の位置に市庁舎の白い塔が見えます。
聖モジツ教会
13世紀建造のゴシック様式の聖モジツ教会は、クロムニェジーシュでもっとも古い建物の一つで、19世紀の中頃に改修されています。
聖モジツ教会内部
正面に16世紀ルネッサンス様式の祭壇が置かれ、天井にはリブボールトが架かります。 リブボールトは場所によりその構成が少し違うのが面白い。
フラワーガーデンのコロネード
クロムニェジーシュの世界遺産登録の構成要素の一つであるフラワーガーデンは、街の中心から500mほど西にあります。 この庭園が造られた17世紀当時はお城と中心部以外に建物はなく、ここは少し街から離れた感じの所だったと思われますが、街の拡大を予想してここに造ったのでしょうか。
園内に建物は少ないものの、イタリア人建築家によるコロネードやロトゥンダ、そして噴水などがあります。
初期バロック様式の庭園とロトゥンダ
庭そのものは幾何学形態で、現在はほぼ二つのゾーンに分れ、その一つは写真手前に見るような低い樹木で構成されたゾーン、そしてもう一つはその向こうに見える高い樹木で囲まれたゾーンです。 低い樹木のゾーンは上から見ると植物のような模様が描かれ、きれいな花々で飾られています。
高い樹木のゾーンの内部は幾何学模様の低木が迷路のように配置され、こちらには花は使われていません。 これら二つのゾーン以外に、現在は荒れ地のようになっているゾーンがありますが、かつてそこには規則正しく一定間隔で樹木が植えられていたようです。
お城の後ろの庭園
お城の後ろにある庭園はフラワーガーデンとは対照的に、大木も多く自然な感じのイギリス式庭園と呼べるものです。 小川や池があり、外側にはモラヴァ川が流れ、ロッジアやコロネードなどがその中に配置されています。
ここでお弁当でも広げるのも良さそうですがこの日は大変暑くて、ちょっと散策しただけで引き揚げました。
夕暮れ時のフェルケー広場
暑い時はやっぱりビール。 フェルケー広場のピヴォバル(醸造所)で喉を潤します。 チェコのビールはラガーのピルスナータイプが一般的ですが、ここにはエイルもあり、セミダーク、ダークともとてもおいしかった。
チェコはやっぱりビールだね〜