オロモウツの聖三位一体の碑
南ボヘミア地方のチェスキー・クルムロフから始まったチェコ・サイクリングは、お天気にも恵まれて順調に北モラヴィア地方のオロモウツでまで辿り着きました。 予備日としていた三日間が丸々空くことになったので、東ボヘミア地方のパルドビツェから中央ボヘミア地方のクトナー・ホラまで、ラーベ川沿いを走ってみることにします。
というわけで、7月2日、まずはオロモウツのホルニー広場に建つ聖三位一体の碑に別れを告げ、
オロモウツ旧市街
石畳の旧市街を抜け、
オロモウツ・フラヴニー・ナードラジー駅
中心部から2kmほど離れたオロモウツ・フラヴニー・ナードラジー駅に向かいます。
ここは、現代的でいい感じの駅でした。
駅のプラットフォーム
チェコの列車には自転車持ち込み可能なものとそうでないものがあります。 前者には貨物扱いで事前予約が必要なものなど数タイプあり、これらは皆自転車を折り畳まないで運搬できます。
しかし私たちは折り畳んで乗せてしまうので、自転車持ち込み可能でない列車でも問題ありません。 乗った列車は比較的空いていて、問題なくコンパートメントに自転車を押し込めることができました。
パルドゥビツェ繁華街
一時間半ほど列車に揺られて着いたのは、東ボヘミア地方のパルドゥビツェ州の州都パルドゥビツェです。
トロリーバスが通る少々ガラっとした広い駅前の通りを東に2kmほど行くと、繁華街らしき賑わいのあるところになり、
共和国広場
共和国広場に出ます。
ここが旧市街の入口であり、脇には東ボヘミア劇場が優雅な姿を見せています。
旧市街入口に建つ『緑の塔』
正面には旧市街の入口に建つ16世紀建造の『緑の塔』。
ペルンシュティーン広場
この塔をくぐるとペルンシュティーン広場に到着です。
ペルンシュティーン広場から緑の塔方向を臨む
広場の中央にはここでもお決まりのマリア柱像が建ち、その脇には、窓辺を赤い花で飾られた19世紀建造のネオ・ルネッサンス様式の一際大きな市庁舎があります。
チェコの都市の広場は大抵どこも大きすぎず、小さすぎず、いいプロポーションを持っているように思いますが、ここもその例外ではありません。
18世紀のスタッコのファサード
パルドゥビツェは13世紀ごろからの歴史を持ちますが、現在広場を取り囲む建物の多くは16世紀以降のもののようで、広場の南には外壁にユニークなクジラのレリーフがある建物も。
16世紀の建物
こちらは広場からお城に向かう路地に建つ建物で、やはり16世紀のものだそうです。
聖バーソロメウ教会
聖バーソロメウ教会は13世紀からある教会ですが、現在のものはゴシック様式で16世紀に建て替えられたものだとか。
路地をお城へ向かう
ペルンシュティーン広場周辺を散策したあとはお城に向かいます。
ところが広場からお城へ向かう道は、なぜかとても狭いのです。 敵の侵入を阻むためでしょうか?
お城から緑の塔を臨む
城壁で囲まれたお城の周辺は木々で覆われ、振り返ればその向こうに『緑の塔』や古そうな家々が並んでいるのが見えます。
お城
パルドゥビツェのお城は初期ルネサンス様式で、外壁の下の方はスグラフィット技法の石模様。
パルドゥビツェの旧市街の門を出る
翌7月3日、いよいよチェコ・サイクリングの走行最終日です。
パルドゥビツェの旧市街からお城に続く門をくぐり抜けて、クトナー・ホラへ向かいます。
ラベ川
お城のすぐ先にはラベ(エルベ)川が流れています。 今日はまずこの川に沿って西に向かいます。
畑の中を行く
パルドゥビツェは州都だけあり周辺の道はそれなりに立派で、車道の脇に自転車歩行者道が設えてありました。
30分ほど走り、その幹線道から枝道に入れば、そこはいつものチェコのカントリーロードで、車はほとんど通らなくなります。
森の中を行く
その枝道からさらに細い道に入るとそこはサイクリングにぴったりの道で、地図を見ないで走っていたら曲がり角を曲がり損ねて畑の中で行き止まり! ちょっと戻ってやり直しです。
でもその先も素敵な森の中となりました。
333号線
森の先はちょっと広い333号線ですが、ここにも自転車道があって問題なく進みます。
再び森の中を
すぐに333号線を離れると、道は再び森の中へ。
池の畔を行く
森の先には大きな池が待っていました。
ひまわり畑
池からは気持ちのいい並木道が続き、その先には満開のひまわり畑。
セミンのカフェにて
2時間ほど走ってセミンの集落に入ったところで、空からザザッと雨が降ってきました。
ちょうど道脇にあったカフェに入りしばし雨宿り。 私たちのすぐあとからも6人組のサイクリストが飛び込んできました。
雨上がりの道を行く
一時間ほどでこの雨は上がったので、走行開始です。
ここの右手は牧場で、馬が雨上がりの草を食んでいます。
ラベ川へ向かう
今日のルートはずっとラベ川に沿って走ってはいるのですが、川岸に道はないようで、ここまでその姿はほとんど見られませんでした。
僅かな区間ですが、地図には破線(ダート)ながらラベ川沿いを行くルートが記されているので、これを行ってみることにします。
ラベ川沿いを行く
道はいきなり野原の中の地道になり、かつての川の流れが作った三日月湖のようなところでは釣り人が糸を垂らしている姿に出合います。
その先でようやくラベ川の流れに出合いました。
ラベ川沿いを行くその2
この川は日本ではエルベ川と呼ばれており、ポーランドとの国境近くのステーティ山地に源を発し、チェコ北部を通って、ドイツのハンブルク付近で北海に注いでいます。
穏やかな流れを眺めながら、ゆっくりその脇を進みます。
ティーナツ・ナト・ラベム
川の流れはまだまだ続きますが、ティーナツ・ナト・ラベムでこの川沿いの道は終わります。
この村で昼食をとり、さて出発という段になると、空はにわかに黒くなりジャジャ降りの雨が振り出しました。 遠くからは雷鳴も聞こえてきます。 ここはしばらく退避と、出てきたレストランに舞い戻ります。 すると次から次へとサイクリストたちが雨宿りにやってきます。 このあたりにはサイクリストが結構いるようです。
ラベ川
レストランでは偶然隣になったトラックの運転手をしているというおじさんに、一杯ごちそうになりました。 このおじさんとチェコ語と日本語とパフォーマンスでおしゃべりして、テレビのサッカー中継を眺めながら雨が止むのを待ちます。
一時間ほどで雨はほぼ上がったようなので出発します。 ここからはラベ川を離れ、南西に向かいます。 まず村の南でラベ川を渡ります。
何度目かの森
チェコはいつでもどこでも畑と森ばかり。 ここは今日幾度目の森だったかな。
ノヴェー・ドヴォリ
晴れていたらより素晴らしいだろう景色の中を走り、ノヴェー・ドヴォリに辿り着きました。
ここから幹線道で西へ向かえば目的地のクトナー・ホラはもうすぐです。 しかしお天気はなんとか持ちそうだと、カントリーロードを辿って南に向かったのが後で仇となります。
田舎のカントリーロードを行く
どんよりとたれ込めた空の下に広がる麦畑。 その先に森。 そして時たま小さな村。 ここには素晴らしい農村の風景があるのですが、ついに雨が降り出しました。
雨の彼方のクトナー・ホラ
チェコ・サイクリングの走行最終日の、それも最後の最後になって、カッパを着て走ることになりました。 残り距離はあと7km。 この30分の行程は濡れ鼠ですね。
けぶる雨の先にぼーっとクトナー・ホラの街が見えてきました。 左手の高い建物が聖バルバラ教会でしょう。
クトナー・ホラに入る
クトナー・ホラのホラはあちこちの地名に現れますが、これはチェコ語で山を意味します。 ということで、雨に加え最後はちょっと上りというおまけが付いて、ヨタヨタとクトナー・ホラに到着。
聖ヤコブ教会
脇目を振らず、目当てのペンジオンが近くにある聖ヤコブ教会を目指します。 しかし、なんとか辿り着いたペンジオンは宿主が不在でハズレ。 パラツキー広場にある観光案内所で別の宿を紹介してもらいました。
明日からはここクトナー・ホラと隣村セドレツのユネスコの世界遺産を巡ります。