B&Bのリビング・ダイニング
今朝は曇り。今日は何とか自転車で走れそうだ。
朝食はB&Bのダイニングでいただく。このB&B、部屋は小さいものの、宿泊客が自由に使えるリビング・ダイニングがあってくつろげる。
ポリッジ
今朝はスコットランド伝統のおふくろの味『ポリッジ』にトライしてみた。これは、オートミール(オーツ麦)のお粥で、好みでミルクや蜂蜜、塩などをかけて食べる。
ほんとに『お粥』そのものなので、私たちは『塩』を選択したが、ここに一緒におかずがほしいところ。もちろんこのあとに卵、ベーコン、ハギス、豆などが出てくるいつものスコティッシュ・フルブレックファストなのだが。
トバーモリィの街を港へ
朝食を終え、トバーモリィの街の北はずれにある港に向かう。空には雲が覆いかぶさっているが、幸い雨は落ちてきていない。
トバーモリィ港
トバーモリィ港からは、正面に対岸のアードナマーチャン半島が見える。半島側のキルチョーン港まではフェリーで35分ほど。小ぶりのフェリーには車8台ほどを積み、両側に細い客席がある。
アードナマーチャン半島に近づく
空は雲に覆われているが、ところどころ薄日がさしている。久しぶりに雨がやんで、乗客のほとんどは甲板で景色を楽しんでいる。
キルチョーンの港
フェリーはアードナマーチャン半島のキルチョーンの港に到着。港にはトイレのほかには何もない。『イギリス本島の最も西にある半島へようこそ!』という看板が私たちを迎えてくれる。
港から東へ向かう
この半島は、スコットランドでも最も美しい海岸線の一つと言われ、手つかずの自然が楽しめる場所だという。車で到着した観光客は半島北西の端にある灯台を目指すが、私たちは東へ向かう。
海岸線を走るサリーナ
いきなりの上り。最初に出会った牛たちのほかは誰もおらず、何もなく、1本の道が続いているだけ。海岸線と海、その向こうのマル島を眺め、気分は最高に盛り上がってきた。
丘陵地を進む
そして、荒野の先にはでこぼこの丘陵地が広がっている。これは、イメージしていたスコットランドそのものだ。
丘を上り背後に見えるのはマル島
緩やかな上りが続く。草原の丘を上っていくと、背後には朝出発したマル島の景色が広がる。あたりは見渡す限りの草原だ。
サイダーが上る
これぞスコットランドだねえ、と嬉しそうに上っていくサイダー。
羊の群の間を行く
その周囲の荒野には、ただ羊が草を食んでいるのみ。あまり人も車も自転車も通らないのか、このあたりの羊はあまり逃げずにこちらを興味津々で眺めている。
羊たちが見つめる
顔が黒、体は真っ白な羊が多い。あざみの間から、こちらをじっと見つめていた。
半島の向こうにエッグ島
キルチョーンからしばらくは北東に半島の内陸に向かって進み、150mほどのピークを越えると、半島の北岸、そしてその向こうにエッグ島が見えた。ここから道は右へカーブして、半島の南岸に向かうことになる。
左手にマドル湖
右に曲がると、マドル湖(Loch Mudle)が見えてきた。湖を左下に見ながら、シングルトラックを爽快に進む。本当に、誰もいない。
マドル湖を過ぎて上り
マドル湖を過ぎると小さな上りが始まる。今日は、何度も何度もこんなアップダウンを繰り返すコースのようだ。
上りを終えると前は海
そして175mを上り終えると、荒野の丘陵地を隔てた正面には海(Loch Sunart)が広がっている。さらに向こうには対岸の半島の丘陵地。このあたりは、丘と海、湖が風景を織りなしている。
丘陵地を緩やかに下る
一面がなだらかな傾斜の丘陵地。そこに、丘陵地の地形のままにゆらゆらと伸びていくシングルトラックの道路。楽しすぎるコースだ。
突っ走るサイダー
薄日も差してきて、草原を爽快に突っ走るサイダー。
再び海が見えた
しばらく両側を丘に囲まれていたが、道が左にカーブして再び海が見えた。嬉しくなってまた記念撮影するサリーナ。このところずっと雨だったので、曇り空でも楽しい。
アーズリニッシュ湾
海辺に近づいたところはアーズリニッシュ(Ardslignish)湾。道路はその上の丘を通る。美しい砂浜の入江を丘陵地が囲んでいる風景に、またまた記念撮影。(TOP写真)
ヘザーが咲く
道の脇には、薄紫のヘザーが咲いている。これぞスコットランド!
このあたりの海岸線は複雑で崖になっているところも多く、道は丘の上部につくられている。そんなわけで、海が見えたり見えなかったりしながら東へ進む。
Ardnamurchan Natural History Visitor Centre
道路沿いには建物などは全く見当たらなかったが、グレンモア川を渡るグレンベッグ(Glenbeg)にいくつかの施設がある。ここで昼食にしないと、食べられるところはしばらくなさそうだ。
アードナマーチャン・ナチュラル・ヒストリー・ビジターセンター(Ardnamurchan Natural History Visitor Centre)には海を眺められるティールームとギフトショップがあり、また野生の動物が住処にしている 'The Living Building' がつくられている。
昼食のサンドイッチ
昼食は、海老入りとハム&チーズのバゲットのサンドイッチでサラダとポテトチップ付き。お客さんは私たちのほかに2組ほど。ご主人一人で切り盛りし、サービスしてくれた。
Ardnamurchan Distillery
このすぐ近くには、ウイスキー蒸留所もある。これがそのArdnamurchan Distillery。2014年に始まったまだ新しい蒸留所だそうだ。
海辺を走る
このあたりで道はLoch Sunartの海辺に近づき、グレンモア湾沿いを走る。荒野ではなく森が現れ、木々の緑に覆われている。
Glenborrodale Castle入口
森の中に現れたのは、グレンボローデール城(Glenborrodale Castle)の入口だ。
お城と前庭
石と煉瓦でつくられた静かなお城はホテルになっており、食事もできる。結婚式などのパーティも行われるという。
森の中をゆく
お城を過ぎるとしばらくは木々に囲まれ森の様相になる。細かいアップダウンを繰り返す。
グレンボローデール湾
南側にはグレンボローデール湾が現れた。景色の美しいこのあたりには、コテージなど宿泊施設もいくつか見られる。
森を抜ける
うっそうと繁る森の中を抜けていく。
海岸を走る
今度は海岸。サンアート湖(Loch Sunart)に沿って東へと進む
サレンに到着
サレン(Salen)の集落にたどり着いた。ここからはサンアート湖と別れ、北上する。
シングルトラックになった
内陸側に向かっているので、やっぱり上りだ。しかも、走り始めは2車線で幹線のように見えたのだが、しばらくすると例のシングルトラックになる。
Loch Shiel Hotel
丘を上って下りると、シエイ湖(Loch Shiel)の手前に集落があった。ちょうどいいタイミングで休憩できそうだ。シエイ湖ホテル(Loch Shiel Hotel)で一休みして、エールをいただく。
ところで、'Shiel'は日本語版の地図に「シエイ」と書いてあったのだが、そういう発音なのだろうか。残念ながら現地で確認していません。
アカラクルあたりを走る
エネルギー補給して元気に走り出す。このあたりはアカラクル(Acharacle)というところで、まだ今日の行程の半分程度なのだが、ともかく雨にも降られず快調だ。
シエイ川にかかる橋
ロッホから流れるシエイ川にかかる石橋は、絵のような風景だ。橋を渡ると右折し、しばらくは東へ向かって進む。
しばらく荒野
そして、今度は荒野の広がる景色の中を進む。
ガチョウがいた
といっても、このあたりはところどころに家もあり、周囲は牧場になっている。珍しくガチョウもいた。
林の中を走る
集落を離れると、しばらく林の中を上っていく。
背後にシエイ湖
そして上りの中を振り返ってみれば、背後に細長いシエイ湖が姿を現す。
丘を上る
左にカーブして再び北上。上りが続く。
下りに入る
今回のピークはここのようだ。とにかく何度も上る。何度も下る。
モイダート川
丘を越えてモイダート川(River Moidart)に到着。蛇行する川が広い湿地帯をつくっている。
広い河川敷
荒川河川敷といった雰囲気の広々とした湿地を走る。ここも季節によっては道路沿いまで水が来たりするのだろうか。
モイダートの7人の木
ここには歴史的な遺構『モイダートの7人』(Seven Men of Moidart)がある。1745年、ジェームズ2世(7世)の孫であるチャールズ・エドワード・スチュアート(ボニー・プリンス・チャーリー)が7人の男たちと共に、ここモイダートに上陸したという。
その記念として、19世紀にこの地に7本のブナの木が植えられたそうだが、嵐に会うなどで何度か植え替えられ、ともかく元の場所にブナの木が見られるという。遠方の川岸にある木がそれのようだ。
川が近づく
『モイダートの7人』を過ぎると、川幅が広がり水辺が近づいてきた。
モイダート湖
川はロッホとなり、ここはモイダート湖(Loch Moidart)だ。細長く陸地を裂いているような湖が海まで続いている。
カヌーがいた
湖ではカヌーを楽しむ人たちがいた。
しかし、空には次第に薄暗い雲が広がってきた。
雨の中の丘越え
ついに、ポツポツとやってきた。また今日も雨に遭遇だ。道路はモイダート湖を離れ、再び丘を越えなければならない。
Glenuig Inn
アップダウンの繰り返しで走行距離は50kmを越え、少々ヨロヨロしてきた。
そんなところにグッドタイミング、枝道に入ったところに小さなホテルGlenuig Innがあった。
ケーキで一休み
よかった〜、と一休み。入ると感じのよいバー・カフェがあり、エールもあるが紅茶とケーキもたくさんの種類がある。大型のフルーツケーキと紅茶で補給をとり、大満足のサリーナだった。
羊遊ぶ道を行く
補給で元気は出たものの、外に出てみると先ほどより雨が強くなっている。今日のゴールまではあと10kmほどの道のりだ。
エイラー湖沿いを走る
しばらくは海辺を走り、海は連続して細長いエイラー湖(Loch Ailort)となる。
珍しく平坦な道が続く。
湖には小島
湖には小さな島がいくつも浮かんでいる。晴れていれば景色を楽しみたいところだが、あいにくの雨だ。どんどん進む。
A830に合流
そして湖が終わり、川を越え、小さな坂を上ったところで幹線道路A830に合流した。
Lochailort Inn
今日の宿はその合流地点のすぐ横にある。そのホテルLochailort Innは、ぽつんと1軒あるだけで回りには何もない。ともかく無事に到着してよかった〜。最後は雨に降られたけど、特に前半のアードナマーチャン半島はスコットランドの雰囲気満載でいいコースだった。
この道路A830は、フォートウイリアムとマレーグをつなぎ、有名な蒸気機関車ジャコバイトが走る鉄道路線と並行している。蒸気機関車は後日の楽しみとして、明日はマレーグを目指す。