昨日の雨中走行の疲れを癒し、今日はヴォス(Voss)の宿を朝9時のゆっくりスタート。
このユースホステルはビュッフェ形式の朝食付きで、オーガニック野菜などビックリするほど充実していました。満足そうなサリーナです。
今朝は、雲の中に青空が覗きはじめています。
まずはヴァングス湖(Vangsvatnet)沿いにヴォスの中心部に向かいます。
湖の対岸の山々にかかる朝もやが少しずつまばらになり、青空が広がってきています。
爽やかな朝、雨の昨日とは景色も気分も全く違います。そして、昨夜壊れたと思ったスマホは一夜明けると回復しており、気分は上々のサリーナ。
ヴォスの中心に近づくと、湖沿いには芝生が広がり、鴨がのんびり歩いています。「おいおい、ちょっとよけてね〜」とサイダー。
今日はウォーキングイベントか何かがあるようで、若者がたくさん集まっていました。
そして、湖に面した広場にはヴォス教会があります。
この教会の歴史はかなり古く、元々あった木造の教会を1270年代に石造として建て替え、20世紀の改修を経て現在に至っているそうです。
教会を過ぎ、ヴォスの中心部を抜けていきます。
小さな町ですがスポーツが盛んなのか、いくつものスポーツ用品店が目につきました。
町を過ぎて川を渡るとr13に入り、基本はこの道をずっと走るのですが、途中に並行する脇道があったのでそちらに入ってみます。やっぱり上り坂。
脇道は1kmほどでr13に再び合流。このr13には車道と分離された自転車帯があり、安心して走れます。
そして、ほどなく今日の最高標高地点270mに到達したようです。
この自転車帯はしばらく行くと独立した自転車専用道となり、谷間を快適に通り抜けていきます。
「いいルートだねえ」とサイダー。
車の通るr13を下に、周囲の景色を楽しみながら走れます。
そのうち、自転車道は森の中に入っていきました。
木々の間からときどき川のせせらぎも見え、「楽しい〜」とサリーナ。
自転車道の途中で、木の橋を発見。車道と川を渡っています。
あれ、この自転車道とつながっている、ということは。。
これは自転車用の橋、ということですね。もちろん、歩行者も渡るのでしょうが。
美しい橋です。自転車道づくりにとても力を入れているということがよくわかりますね。
自転車道は車道沿いになったり、森の中になったりしながら、さらに続いています。
そして、出発から14kmほどのところで長いトンネルに入る車道のr13と離れ、自転車道は進路を北東に変えます。
そのまま1.5kmほど進んでいくと、
駐車場のトイレに出ます(笑)。
ここは見所のシャルヴ滝(Skjervsfossen)の上部にあたり、このオシャレなトイレでは滝の源流となる流れを楽しみながら用を足せるので、ぜひお試しあれ。
トイレの脇の流れを進んでいくと、滝の頂上部分に到着です。
絶え間ない滝の流れが下の道路をくぐり、流れは谷の先までずっと続いているのが見えます。
滝の頂上から少し降りて眺めると、水の流れが2つに分かれた滝になって落ちています。
この滝は、いろいろなところから眺められるのがいいですね。
滝の下には徒歩で降りられるのですが、私たちは車道を自転車で回って下りていきます。
これはまた、谷をぐるっと下りる豪快な下りです。
そして滝の下に着けば、シャルヴ滝の全貌が姿を現します。
2本に分かれた滝は水しぶきをあげ、眩しい太陽の光を浴びて虹をつくっています。
空は快晴。気分も晴れ晴れと、ペダルも軽いサリーナ。
シャルヴ滝から4〜5kmのところに、もう一つの滝スカルヴ滝(Skarvefossen)があります。
道路からは森の中に流れ落ちる滝が見えたので、もう少し近づいてみることにしました。
滝の方向の脇道を上ってみると、数軒の農家があったものの、滝に近づく道は見つかりませんでした。
仕方ないね、と元の道に戻ります。
この道はトンネルで別れたr13と合流するのですが、r13はグランヴィン湖(Granvinsvatnet)の東側を通ります。
東側には自転車通行不可のトンネルがあるのでNGですが、西側には快適な自転車道があるということで、その自転車道に入りました。
すると、自転車道はすぐにグランヴィン湖に出ました。
この湖西側の自転車専用道は、自転車が湖のすぐ脇を走れるすばらしい道でした。「いいところだね〜」とサイダー。
湖の対岸を見れば、空には雲の間から切れ切れの青空が覗き、丘の緑とともに湖に静かに映し出されています。
そんな湖沿いの自転車専用道は、ほとんど誰も通らずジオポタ専用道です。
いいね、いいね〜、とサイダーが行く。
途中から車道と並行することになるのですが、車道より高い位置を走り、景色も上々。
快適、快適〜、とサリーナが行く。
グランヴィン湖のほぼ南端に到着。時刻は昼の12時過ぎ。ちょうど自転車道の脇にピクニックテーブルがあったので、サンドイッチのお昼にしました。
昼食後すぐに自転車専用道は終わり、一般道をグランヴィンのFv7に入ります。
Fv7はしばらく分離された自転車帯があり、車道に沿って走っていきます。
ハルダンゲルフィヨルド(Hardangerfjord)の先端に近づきました。
ここにはスーパーやペンションもありますが、あまり観光客の姿はみられず静かな町です。
そしてFv7は町の山側を通り、前方にフィヨルドが見えてきました。
ハルダンゲルフィヨルドが眼前に広がっています。
少し穏やかな山並みが重なって、静かな景色が輝いていました。
とりあえず少し上りがあります。上るにつれ、後ろにはフィヨルド先端のグランヴィンの町が見えてきました。
この道は、ノルウェイの18の景観ルートの一つでもあります。
フィヨルド沿いの崖を削ってつくった道には、ときどきトンネルも。「これはちっちゃいトンネルだね〜」とサイダー。
対岸には最高1,200mの山並みが続き、岩場が光を受けて輝いています。
フォルケダル(Folkedal)に近づくと、トンネルが現れました。フォルケダルトンネルで、長さは1,370m。2015年開通ということで新しいトンネルです。
事前情報では、トンネル脇のフィヨルド沿いに遊歩道があるようでしたが、少し行ってみるとガレキの山でとても通れそうにありません。
仕方がないのでトンネルを通ることに。
入ってしばらくは自転車歩行者道がかなり広めで照明も明るいのですが、すぐに幅が狭くなり照明もやや暗くなって、ぼんやりしていると落ちそうに。でも交通量は少なく、まあまあ通れるトンネルでした。
無事にトンネルを抜けるとピンクの花の向こうにフォルケダルの集落と、その先のカーブを描くフィヨルドが見えてきました。
美しい景色に向かってがーっと下っていくサリーナ。
ここまではハルダンゲルフィヨルドの支流でしたが、カーブを曲がるといよいよ本流のハルダンゲルフィヨルドが見えてきました。
ざーっと下っていくサイダー。
そして、下ったところでフェリーが停まっているのがクヴァンダル(Kvanndal)です。
ここから私たちもフェリーに乗ります。
空は、ついに快晴です。気持ちいい〜、とサイダー。
支流よりさらに山並みの穏やかなハルダンゲルフィヨルドでした。
私たちは対岸のウトネ(Utne)に泊まるのですが、ウトネにはお店やレストランはなさそうなので、クヴァンダルで買い物をしようと思っていたのでした。「フェリー乗り場だし、スーパーくらいあるよね」
しかし困ったことに、このクヴァンダルにはキャンプ場があるだけです。カフェがあったけれど食材というほどのものはなく、ビールもない!大ピンチ、とあせるサイダー。
でもグランヴィンに戻るわけにもいかず、フェリーも来ているのでとりあえずフェリーに乗ります。
「まあ、何とかなるんじゃない?」とサリーナが乗船。
フェリーはすぐに出発しました。乗客は10人程度と少ない。観光客も少しはいるのでしょうが、フェリーのアナウンスはノルウェイ語オンリーのようでした。
ウトネは、クヴァンダルから5kmほどフィヨルドをまっすぐ南に渡ったところにあります。
進行方向左手、フィヨルドの東側を見ると、フィヨルドが枝のように入り組んで、山並みが連なっています。
右手のフィヨルド西側奥には雪を頂く山も見えます。
後ろは出発したクヴァンダルで、写真ではよく見えませんが、右手方面に走ってきたグランヴィンからのフィヨルドの支流があるはずです。
空いっぱいの晴れ!ノルウェイに来てから最高の晴れに、サリーナも大満足の笑顔です。
そうしているうちに、対岸のウトネが近づいてきました。
小さな集落ですが、歴史あるホテルもあるようです。
ウトネの北端にはハルダンゲル民族博物館があり、フェリーからは海辺の倉庫の屋外展示も見えます。
そして横の斜面には住宅と果樹園が広がる美しい集落です。
フェリーは20分でウトネに到着。小さな港です。
車交通は山側にあるr550を通っていて、港の近辺はとてものんびりした雰囲気。
といっても、ウトネにはクヴァンダルとを結ぶフェリーと、シンサルヴィーク(Kinsarvik)とを結ぶフェリーとがあり、フェリーの行き来はかなり頻繁なようです。お客さんはそんなにいないと思うのだけど。。
港を海沿いに歩くと、すぐにミニスーパーがありました。「よかった〜!ビールが買える」と大感激のサイダーです。
私たちのゲストハウスは、スーパーからさらに数軒先の海沿いにありました。しばらくくつろいだあと、ウトネの散歩に出かけました。
港のすぐ前には、1772年からの歴史を持つウトネホテルがあります。白い下見板張りの壁に赤い屋根のかわいい建物です。
ホテルの中に入ってみると、こぢんまりして気持ちのいいサロンが続いていました。
歴史を感じさせるピアノや家具などが置かれて、とてもいい雰囲気です。この建物は、ホテルを始めたときから変わらないものなのだそう。
丘を上りr550に入ると、白いウトネ教会がありました。
r550からはフィヨルドがよく見えます。
ウトネ村の赤や灰色の屋根の向こうのフィヨルドでは、船が行き交っています。
一方、山側には洋梨やりんごなどの果樹園が広がっています。
しばらくr550を北西に進んで、集落が途切れてきたところでUtneheimenという建物の脇の小道を下ると、古民家が並んでいるのが見えました。
ハルダンゲル民族博物館の野外展示です。
野外展示には、13世紀から20世紀までの20の建物があります。
ここには機織り機がありますね。それぞれの建物の中に、そこでの生活の様子が展示されています。
この建物はかなり古く、明かりとりは天井の煙出ししかありません。
丸太の壁の素朴な建物ですが、丸太の一つに描かれた白い模様が美しい。
いろいろ面白くて古民家に入っていたら、係の人が鍵をかけにやってきました。気がついたらもう17時です。
野外展示エリアを下っていくと、博物館の建物の前に出ました。ハルダンゲルの伝統的な刺繍や衣装、楽器などが展示されているそうです。
その下の海辺の倉庫も、博物館の野外展示の一つのようです。その先には我らの宿、そして港が見えます。
倉庫の前の海を覗いてみると、小石の上に海藻と、それにくっついたたくさんの紫の貝がありました。ムール貝かな。
海辺にはこんなお宝がいっぱいありそうですが、ノルウェイの人は食べないのかなあ。もったいない。
ぐるっと村の散歩を終えて、ここが私たちのゲストハウスです。
ここは、実は最近まで銀行の建物だったようで、部屋のつくりも普通のホテルとはちょっと違った感じですが、1階にはカフェバーもあり、部屋も広くて感じのよいところでした。夕食は、部屋でいつものサンドイッチとビール。
さて、明日はフィヨルド南側からノールハイムスン(Norheimsund)まで50kmほど走った後、バスに乗ってベルゲン(Bergen)に向かう計画でしたが、あまり天気予報もよくないので、サリーナはゆっくりしてフェリーでクヴァンダルまで戻り、そこからバスでベルゲンに向かうことにしました。ノルウェイで初の別行動です。