今日は快晴です。本日は旅の最終日ですが、ノルウェイに来て一番の快晴!
自転車なしの徒歩でくりだした路上には、ずらりとレンタサイクルが並んでいます。
まずは宿の近場のスポットから、というわけで大聖堂に向かいます。
大聖堂の前の広場にはテントが張られ、トマト、きゅうり、なす、ねぎなど、いろいろな野菜が並んでいます。
この広場の市場の中心は花でした。広いエリアに色とりどりのさまざまな花が売られていました。
周りをテントに覆われた花々に取り囲まれて、広場に立つ銅像。これは、17世紀に都を現在のオスロに移したクリスチャン4世です。
そしてこちらがオスロ大聖堂。
1694〜1697年にかけて建設された3代目の大聖堂だそうで、その後1841〜1858年に聖堂を取り囲むバザールホールが建てられました。また、20世紀に入ると当初のバロック様式のインテリアに戻す改築が行われ、1950年に完成しています。
大聖堂の後ろに回ると、レンガのバザールホールが聖堂を半円形に取り囲んでアーケードになっています。
当初は肉屋が並んでいたそうですが、1960年に改築され、今はレストランやカフェも入るオシャレな雰囲気です。
アーケードを歩いてみれば、小さな工芸品の店が並んでいます。
まだお店は開店していませんが、アート中心の1坪ショップが集まっている感じかな?
10時になり、大聖堂の扉が開きました。
この銅製の正門扉はDagfin Werenskioldの1938年の作品とのこと。
大聖堂の内部は20世紀に入って復元改修されたバロック様式です。
ノルウェイの画家Hugo Lous Mohrが描いた天井画。そして金色に輝くバロック装飾の中にオルガンが設置されています。
大聖堂の外壁に、とても古そうな石のレリーフがあるのを発見。
人と怪獣のように見えますが、どんな由来があるのでしょうか。
大聖堂を出ると、後ろのバザールホールの端に塔が見えました。この塔(Brannvakten)は消防署の建物だったそうで、1860年から1939年までオスロ消防署として機能していたといいます。
Brannvaktenの反対側を見ると、雰囲気のいい通りにさまざまな店舗が並んでいます。ここはオスロの観光スポットが集まるカールヨハン通り。
私たちは大聖堂をあとに、海に向かって南へをぶらぶらと歩き始めます。
海辺が近くなってきたところにペディメントと列柱の白い建物がありました。1828年に建てられたオスロ証券取引所です。
建物周辺の庭も公開された最初の公共建築物だったそうです。
オスロ湾の浜辺に到着。浜の向こうには大型客船が停泊しています。
オスロも大きなフィヨルドの先端に位置する街なのです。
そして、海に向かって傾斜する真っ白な床に座って陽を浴びる親子。
この傾斜する白い床に続いて海辺に現れた現代建築は、設計事務所スノヘッタの設計によるオスロ・オペラハウス。2008年の完成です。
その大理石とガラスの建物の屋上はスロープとなって、誰もが美しい建物とフィヨルドの景色に触れて楽しめる空間となっています。
というわけでまずスロープを上り始めると、青空、青い海、白い船、その他諸々で感動です。
盛り上がっているサリーナ。
ガラスが青空と海と対岸の景色、そしてサイダーを反射しています。
ここは港の景色を楽しむ絶好のスポット。
かもめの奥に豪華客船が並んでいます。
さらにスロープは続く。この開放的な空間に魅せられて、多くの観光客がのんびりとスロープを上り、たたずんでいます。
建物の中に入ってみましょう。ここはノルウェー国立オペラ・バレエ団の本拠地です。エントランスホールには屋外に張り出したレストランもあり、中を見学することができます。
大きな吹き抜けになったホールには1階にレストラン、その上のガラス面を屋外のスロープが横切っています。
劇場部分は木材を使って何層にも重なる円形の通路が見えます。
1階のホワイエの真っ白のカウンタ−は荷物預かりか、バーカウンターか。背景はCGのような菱形が連なる白い壁です。
オペラハウスは、外部のスロープの屋上も内部のホールも(劇場には入っていませんが)、とても開放的で気持ちのよい空間でした。
オペラハウスの全景を埠頭越しに見れば、陽光と海の光を反射して白く輝いています。
この海辺からオスロ中央駅周辺の地域は今まさに再開発の真っ最中で、背景にはタワークレーンが何本も立ち上がって忙しく働いていました。
そんな対岸で見つけたのはユルい感じの施設、いかだの上のサウナです。
そういえば、お隣のフィンランドでは至る所にサウナがありましたが、ノルウェイではほとんど見かけませんね。
海辺から少し東に入っていくと、レンガの塀を巡らせた建物が見えました。これは、ノルウェイ国防省です。
そしてさらに進むと、このあたりはオスロで古くから賑わう下町です。
そんな街の中で、銅像と低層の建物や屋外テラスで目を引くのはエンゲブレット・カフェ。1700年代から続く歴史あるこのレストランには、画家ムンクや劇作家イプセン、作曲家グリーグなどの著名人も通ったといいます。
この先を左に折れ南に向かうと、右手に石垣と尖塔が見えてきます。アーケシュフース城砦です。
城砦には、階段を上って向かいの駐車場・広場から歩道橋を渡って入ります。
この門をくぐるとアーケシュフース城が姿を現します。門のすぐ前は衛兵の詰め所でしょうか、3人の衛兵が行進してきました。子どもたちがその後をくっついて行進しています。
アーケシュフース城の建設が始まったのは1290年代のこと。17世紀初期にはクリスチャン4世により城塞の改築が行われ、ルネサンス様式の城が完成したそうです。
城壁に囲まれたエリアには、お城の他にも17〜19世紀にかけて建てられた建物が残っています。
敷地の南端の城壁に行ってみると、公園のような芝生の広場の縁に、土塁に沿って大砲が並んでいます。
そして、その大砲の間からはフィヨルドの海の景色が楽しめます。
港のある湾を隔てて対岸には、再開発地区のアーケル・ブリッゲとアストルップ・ファーンリ現代美術館が見えます。
広場のベンチでサンドイッチの昼食を済ませたら、お城の周りを散策。城の入口を守る衛兵さんもいました。
今度は西側の城壁からの眺めを楽しみます。観光船が行き交う港の先には、レンガのオスロ市庁舎が見えます。
お城を下りて、港の方へ歩いていくことにしました。
港に下りてきました。帆船風の観光船や、島とを結ぶフェリーが埠頭に横付けされています。
その港の反対側には、広場を介してオスロ市庁舎がでんと構えています。ここはまさにオスロの真ん真ん中。
埠頭の一角で魚屋さんを発見。フィヨルドでとれた新鮮な魚だよ!と威勢がよい。
いろいろ魚の種類を教えてもらいました。すぐには覚えられないけど。。
そしてフェリーターミナルのすぐそばには、シーフードレストランがありました。
ガラスケースには新鮮な魚介類が並んでいます。これは牡蠣ですね。
カニ爪の前には、まんまるのウニ。ウニを食べるの?どうやって?と聞いてみたら「ソテーにするよ」とお店のお兄さん。
「生で出さないの」と聞いたら「食べられるのならいいよ」と。生がおいしいんだよ〜
こちらの埠頭の対面にある建物は、ノーベル平和センターです。ノーベル平和賞に関する常設展示があるほか、企画展も行われています。
私たちは展示スペースには入らず、手前にあるショップを見歩いていましたが、エントランスホールで面白いもの発見。私たちの自転車BD-1(今はBirdy)をつくったR&Mの荷物運搬自転車。どうしてここにあるんだろう?
さて、フェリーターミナルを過ぎて西側の海沿いを歩くと、レンガ造のレトロな建物の足下にカフェやシーフードレストランが並び、大勢の人たちで賑わっています。
ここはアーケル・ブリッゲという再開発地区です。
かつては造船や石油関係の工場が建ち並んでいたといいますが、今や60以上のレストランや店舗などが並ぶ海辺の一大観光地となっています。
写真の建物は1948年のものでしょう。この地域にはお店だけではなく上階には事務所や住宅もつくられ、様々な人たちが行き交います。
そして海側を見渡せば、正面にはアーケシュフース城がそびえています。
ヨットの係留されたマリーナ。そんな海辺に続いているアーケル・ブリッゲ地区です。
海辺のプロムナードに導かれウッドデッキの橋を渡りその先端まで来ると、透明なシェルターに覆われた木造壁の建物群が現れます。
これは、2012年に完成した建築家レンゾ・ピアノの設計によるTjuvholmen Icon Complexで、その一角にアストルップ・ファーンリ現代美術館があります。
縦横に繋がる運河にかかるウッドデッキ、軽快な屋根に導かれると、左手にアストルップ・ファーンリ現代美術館の入口があります。
その建物の海側は気持ちのよい芝生の公園になっていて、彫刻が置かれています。
また、美術館のカフェの南には小さなビーチがつくられています。空気は冷たいけれど、何人かが水浴びしていました。
そんな気持ちのいいカフェでしばらく休憩。
サイダーはいつものビール。サリーナは「そういえばしばらく飲んでいないなあ」とワイン。ちょっと贅沢な午後です。
1時間近くまったりと過ごしたあと、テューブホルメン地区の中を歩いて戻ります。
海側から1本入ったここはオフィス街ですが、道には小さな水の流れがあり、人と自転車が行き交っています。
そしてヨットが係留されている運河にかかる橋を渡れば、アーケル・ブリッゲ地区に入ります。
ここは、広場に面してレストランのテラス席が設けられ、商業施設も多く賑わっています。
ガラスの輝く現代建築の前の広場を自転車の人々がさっそうと走っていきます。
その先には、古い工場か何かをリノベーションしたレンガの建物が雰囲気をつくっています。
地域の歴史と最先端の新しさとが融合した魅力ある地区でした。
そしてフェリー乗り場の近くに戻ったところで、自転車が人気の街オスロならではの面白いものを発見。
奥では自転車のタイヤの空気を入れるポンプがあり、その手前の緑のポールにはレンチなど自転車用の工具がぶら下がっています。誰でも使えてタダ。拍手!
その横にいたのは綿飴売り。日本以外にもあるんですね。自転車で引っ張って移動します。
ぶらぶら歩いて、オスロ市庁舎にたどり着きました。ノーベル平和賞の授賞式はここで行われます。
2つの四角い塔が立つ市庁舎の海側は裏口になっていて、正門は北側にあります。
こちらが正面入口です。
この市庁舎の建設は1931年に開始され、第二次大戦により中断した後、1950年に完成したといいます。
ノーベル平和賞の授賞式が行われる大ホールの壁は、大きな壁画で飾られています。
北側の壁画は、アルフ・ロルフセン(Alf Rolfsen)によるもの。
大ホールの南側の壁画。ヘンリク・ソーレンセン(Henrik Sørensen)によるこの『働き楽しむ人々』は24m×12.6mで、ヨーロッパ最大級の油絵と言われているそうです。
2階の『ムンクの間』には、ムンクの描いた『人生』があるはずですが、この日は残念ながら閉まっているとのことでした。
市庁舎からは、南の埠頭と海、そして島の浮かぶフィヨルドの景観が広がっていました。
市庁舎を出て北に向かうと、すぐに国立劇場に着きます。ちょうど、自転車ガイドツアーの人たちも到着したところです。
ここでは、ノルウェーが生んだ「近代演劇の父」ヘンリック・イプセンの作品を主に上演しているそうで、劇場の前に立つ銅像は、左がイプセン。右は文学者のビョーンシャーネ・ビョーンソンだとか。
国立劇場の面する北側は、観光客で賑わうカールヨハン通り。そこに公園に面して建つ白い優雅な建物はグランドホテルです。
1874年のオープンし、多くの著名人に愛され、そして12月にはノーベル平和賞受賞者が宿泊し、バルコニーから手を振るのが習わしとなっているそうです。
カールヨハン通りの1本北側の通りに入ると、東の先にオスロ大聖堂の尖塔が姿を現しました。
これで今日のスタート地点に戻ったわけで、本日のオスロ散策は終了です。青空の下、のんびり散策にうってつけな日でした。
ホテルの部屋でしばらく休憩したら、最後の晩餐の出発。今日は最後だしノルウェイ料理をと思ったのですが、いくつか訪ねたレストランは満席で、ようやく宿の近くのシーフードレストランに落ち着きました。
シーフードスープとバカラオ(干しタラ)のトマト煮込みに白ワイン。予定していたトナカイではありませんが、これもノルウェイ料理です。
フィヨルドの美しさに感嘆し、日々の自転車行程の険しさに愕然とし、物価の高さに驚愕したノルウェイ西部の旅、終わってみればすばらしく楽しかった。でもフィヨルド坂は大変なので、自転車の行程づくりにはご注意を!