シャブリの宿を出発
今日は、スラン川沿いに小さな町や村を繋ぎながら南下します。見どころとしては、ちょうど中間点あたりに"美しい村"と評判の高いノワイエ=シュル=スランがあります。
宿で朝食とお昼の弁当作りを済ませたら出発。今朝は曇り空ですが、自転車には快適な気候です。
ムーラン通り
シャブリの旧市街を南へ、ムーラン通りを駆け抜けます。
小さな町ですが、1200年前後に建てられた初期ゴシック様式のサン・マルタン教会をはじめとして、歴史を感じられる場所に滞在できました。
ノエル門を通過
ムーラン通りの南端には、2つの円塔のノエル門(Porte Noël)があります。ここで旧市街は終わり。
シャブリでは、15世紀に町を守るため城壁と門がつくられ、このノエル門は1775年に古い塔に代わって建てられたものだそうです。
レストラン前を通過
シャブリの町にはワイナリーはもちろん、レストランもいくつかあります。途中で通ったこの建物もレストラン。雰囲気のある建物ですね。
牧草地の馬
そして、すぐに建物はなくなり周囲には牧草地が広がります。
白、黒、茶色のお馬さんたちがのんびり草を食んでいました。
シシエに入る
シャブリを出てから10分ほどで次の村シシエに入りました。
この村にもワイナリーが並んでいます。
村役場と小さな広場
小さな村の中心には小さな広場がありました。
花で飾られた広場の正面は、村役場のメリーさん。郵便局もあるようです。
サン・マルタン教会
そして、役場の対面側にはサン・マルタン教会。
小さな村ですが、ちゃんと都市機能が備わっていますね。
牧草地を走る
その後、牧草地を15分ほど走ったら、
チュミイ=シュル=スラン
また小さな村に入ります。ここはチュミイ=シュル=スラン。小さな村がほぼ等間隔で次々に現れるのは楽しい。
ここにも、もちろんワイナリーがあります。写真右手も奥がワイナリー。
聖ヨハネ洗礼者教会
そして、この村にも小さな教会があります。
この聖ヨハネ洗礼者教会(Église de la Décollation de Saint-Jean-Baptiste)は、古い部分は12世紀の建築で、大部分は16世紀初頭の再建だそう。小さな村の教会にも、とても長い歴史があって驚かされます。
スラン川
このあたりの村の名前の後ろには、シュル=スラン(sur-Serein)が付いていますが、これは『スラン川上の』という意味。スラン川はヨンヌ川の支流で、全長188kmです。私たちは今日は、50kmほどスラン川に沿って走ります。
そのスラン川を渡ります。自然の川ですが穏やかな雰囲気で、両岸の木々の緑と溶け合っています。
ポワリー=シュル=スラン
川を渡ったところが次の村、ポワリー=シュル=スランです。
まっすぐ進んだら、正面に教会が見えました。教会まで行ってみましょう。ちょっとだけど久しぶりに上り。意外にキツいのでした(笑)
サン=アイニャン教会
教会の前に到着。この教会はサン=アイニャン教会(Eglise paroissiale Saint-Aignan)といって、15~16世紀にかけて建てられました。
右手の塀のところからは、周囲に広がる丘陵地が見えました。
牧草地や畑の間を走る
教会から下って村を出て、牧草地や畑の間を走っていきます。
次第に雲が途切れて青空になり、日差しが出てきました。
サント=ヴェルテュの教会
再びスラン川を渡ると、次の村サント=ヴェルテュに到着しました。そして、教会です。
このサン・ピエール教会(Église Saint-Pierre de Sainte-Vertu)が建てられたのは12世紀に遡るそうですが、鐘楼の塔は18世紀の再建とのこと。中には入れませんでしたが、聖ジャックの美しい石像があるそうです。聖ジャック、つまりサンティアゴの巡礼の道の起点の一つであるヴェズレーに向かう巡礼者が通ったのでしょうか。
白い畑を通るサイダー
スラン川の流れに沿って、私たちは南西向きに進んでいます。あたりの景色は牧草地と畑。
そして、畑の表面が霞んだように白く見えました。何でしょうか。
蕎麦の花
その畑では、白い小さな花が咲いていました。これは蕎麦の花です。
フランスで蕎麦といえば、ブルターニュ地方の蕎麦粉のガレットが有名です。近年は被覆作物として、または有機農業の転換作目として、他の地域でも栽培が進められているそうです。
モレに入る
またスラン川を渡ると、その先に建物群が見えてきました。次の村、モレです。
サン・ローラン教会
そして、村の中心にはサン・ローラン教会(Église Saint-Laurent)。これまでの村々の教会に比べると、規模が大きく新しい感じ。19世紀に大規模な修復が行われたそうです。
教会前の広場は美しい花が咲く花壇があり、東屋には図書コーナーがあったりと、人々の生活に溶け込んでいるのが伝わってきます。
アネ=シュル=スラン
2kmほど進むと、そこはアネ=シュル=スランの村。
村の教会の前を通って南へ進むと、
スラン川を渡る
スラン川を渡ります。橋を渡った先の左手には村役場のメリーさん。
スラン川の睡蓮
村役場の横からスラン川を覗いてみると、両岸の木々が川に覆い被さり、川面には睡蓮の葉が広がっていました。絵画のような風景にしばらく佇みます。
牛さんたち
さらに南へ。牧草地では、茶色い牛さんたちがかたまってのんびり過ごしています。
ノワイエ=シュル=スランの入口
そんな牧草地の先に建物群が見えてきました。ノワイエ=シュル=スランです。
そして、その村への入口には門があります。雷の門(La porte de Tonnerre)というらしい。
村へ入る
雷の門をくぐり、村へ入ります。この村は、スラン川が大きく蛇行して舌のような形になった場所にあります。
11世紀に築かれたノワイエ=シュル=スラン城を中心に発展したこの村は、15世紀にはワインの生産と商業の街として発展したそうです。
石畳の通りを進む
石畳の通りをまっすぐ進んでいきます。
ノワイエ=シュル=スランは『フランスの最も美しい村』の一つとして同名の協会に認定されており、中世の趣を残す村は多くの映画の舞台にもなってきたそうです。
中心部に近づく
中心部に近づくにつれて、コロンバージュ(木骨造)の家が多くなってきました。カラフルな木組みが漆喰壁に映えて、それぞれの表情がまた楽しい。
通りには、お祭りのようなカラフルな旗が飾り付けられています。今日は土曜日。夏は土曜市が開催され賑わっているのです。
コロンバージュの家並み
小さな広場に面したコロンバージュの家々は一際華やか。破風のあたりの飾りも凝っています。かなり急勾配な屋根ですが、このあたりは冬に雪が降るので積雪を避けるためかもしれません。
この小広場はカフェテラスになっているので、後でお茶しに来ることにして、まずは村を散策しましょう。
オテル・ド・ヴィル広場
オテル・ド・ヴィル広場にはたくさんのお店が出て賑わっていました。いろいろなものがあって楽しい。
陶器やガラスの食器、人形などの置き物、布地、レコードなんかもあります。
市場の商品
このお店はミルク缶や燭台、壺、木臼。籠や小さな椅子、テーブルなども見えますね。
村の南の門
オテル・ド・ヴィル広場から南の門までの一帯が土曜市で最も賑わっているところ。
この南の門を出ると、スラン川を渡って村の外になります。ここはスラン川に沿った城壁に囲まれ、北に位置する城と合わせて要塞として機能していたということです。
土曜位置で賑わう広場
オテル・ド・ヴィル広場の西側にも、コロンバージュの可愛い建物が並んでいます。
では、土曜市で賑わう広場から右回りで村を一周してみましょう。
建物を潜る路地
マルシェ・オー・ブレ広場に入ります。
建物の足元を細い路地が通っているのも楽しい。その先には隠れ家のようなカフェ。
ノートルダム教会
エグリーズ通りに入ると、すぐにノートルダム教会が現れます。
1491年から1515年にかけて建築されたゴシック様式の教会で、村の路地からは全貌が掴めないほどの大きさです。その全長は45m。
ヴィニュロン通り
教会を通り過ぎて右折し、ヴィニュロン通りを北上します。
この静かな通りには、家の前に石の階段があって上階が入口になっている民家がいくつも見られます。これはワインを醸造する民家で、半地下が作業所や貯蔵庫となっているのだとか。
コロンバージュの家並みのカフェで小休止
ぐるっと一周して戻ってきたら、コロンバージュの家並みのカフェで小休止。この小広場は周りの複数のレストランやカフェがテーブルを出しています。私たちはお昼は弁当なので、カフェとして向かいのコンビニが出すテーブルにつきました。
うん、眺めと雰囲気よし! ゆっくりコーヒーを味わいます。
南の門へ向かう
コーヒータイムのあとは、お弁当を食べる場所を探します。
スラン川沿いにベンチでもあるかな~ということで、南の門の外に出てみることにしました。
スラン川の眺め
門を出てさらに南へ進めば、スラン川にかかる石橋がありました。
静かな流れの川は、その岸辺の赤い屋根の建物を水面に映していい雰囲気です。
川沿いの木陰で昼食
そして石橋を渡ったところに小広場があり、ベンチもありました。いい雰囲気でピクニックしたい、という期待を裏切らない場所が必ずあるのはさすがフランス、素晴らしい。
木陰のベンチに陣取り、お弁当のサンドイッチをいただきま~す。
フランスで最も美しい村を出発
サンドイッチを食べ終えたら、フランスで最も美しい村を出発です。
『本当に可愛い村だったね~』と笑顔のサリーナが石橋の上で出発ポーズ。
道端の石造の建物
出発して150mも進まない道端に、石造のアーチの建物があったのでストップ。
これは何かな、と中に入ってみると、
洗濯場
建物の中央には細長い水槽があり、その両側が通路になっています。
これは、村の洗濯場。19世紀のものだそうです。ここで並んでおしゃべりしながら洗濯していたんでしょうね。
牧草地の中を走る
改めて出発。しばらくは牧草地の広がる中を走ります。
マッサンジ
そして、次に着いた村はマッサンジ。
ここにも村の中央には村役場のメリーさんと教会があります。
サン・シンフォリアン教会
これはサン・シンフォリアン教会(Église Saint Symphorien)といって、2世紀のオータンの殉教者サン・シンフォリアンに捧げられたものだそう。
ところで、昔はこの辺りを鉄道が通り、採石場から石材を運んだり、ワインや木材を運んだりしてミジャンヌ(オーセールの北約20km)まで走っていたそうです。マッサンジから、そのルートの一部を往復5km辿る観光列車があります。
リスル=シュル=スラン
マッサンジを出て7kmほど、少し大きめの町リスル=シュル=スランに着きました。
通りにはお店が並び、レストランやカフェもあります。
サン・マルタン教会
そして、町の中央にはサン・マルタン教会(Église Saint-Martin)。15世紀の教会の跡地に1834年に建てられたものだそう。
そこで、サイダーに異変が。『なんかメチャ眠い~』 快適な気候の上お昼のサンドイッチでお腹が満たされ、睡魔が襲ってきたらしい。
キャンプ場のベンチで休憩
『町の南にキャンプ場があるから、そこで休憩できるんじゃない?』とサリーナが地図を見て案内します。
そして、広い公園の中のキャンプ場の近くにテーブルとベンチを見つけ、サイダーは横になり沈没。ともかく、ちょうどいい所にキャンプ場があって助かりました。
疾走するサイダー
15分寝たら意識を取り戻し、元気回復のサイダー。牧草地の間を疾走します。
さて、私たちはここまでスラン川に沿って南下してきましたが、そろそろスラン川とはお別れです。スラン川は南東へ、私たちは南西のアヴァロンへと向かいます。
羊さん
お、羊さん発見。走り去る私たちを珍しそうに見ていました。
アティー
そしてアティーに到着。ここは村の中央の交差点。
とても小さな村ですが、中央の交差点にあるサリーナの後ろの建物は、フランス国旗が飾られているから公共の建物ですね。役場のメリーさんとは書いていなかったけど、何かな。
ソヴィニー=ル=ボワ
アティーからも広い空の下、牧草地の中をどんどん進みます。そして、とんがり屋根の建物が見えたらそこはソヴィニー=ル=ボワ。
とんがり屋根の塔はサン・ヴァンサン教会(Église Saint Vincent)で、12世紀に建てられたロマネスク様式。入口や窓の意匠はゴシック。16世紀に改修が行われたとのことです。
ロマネスク教会には大変興味がある私たちですが、もう50km以上走り目的地のアヴァロンも近いのでそのままどんどん進みます。
アヴァロンに入る
ソヴィニー=ル=ボワを過ぎるともうアヴァロンの郊外。工場などが並ぶ幹線道路を走っていきます。
そして、一路アヴァロンの中心部へ。
アヴァロンの中心部
アヴァロンの中心部に到着しました。ここは、通ってきたリヨン通りが北からのパリ通りと交差するところ。
ホテルやレストランが並んでいる表通りから、ほんの50mほど路地を入っていきます。
アヴァロンの宿
そこに、私たちが2泊するアヴァロンの宿がありました。キーボックスを解錠して扉を開けると、オーナーの女性が出てきて迎えてくれました。キーボックスによる非接触でのやりとりは便利ですが、やはりオーナーの顔が見えるとホッとしますね。
私たちの部屋はこちら。居間・食事室と寝室が別で、キッチンの他に洗濯機が置いてあるサービスルームもあり、とにかく広くて設備が充実しています。中庭の眺めも良く、言うことなし。
マルシェ通りの肉屋さん
シャワーを浴びて少し休憩したら、買い出しと散策に出かけます。
旧市街の広場に出ました。ここから写真の通りの奥へ進めば、教会や城門などの見所があります。
マルシェ通りの肉屋さん
私たちがまず向かったのは、広場の西のマルシェ通りにある肉屋さん。単なる肉屋ではなく、お店のオーニングには『Boucherie/ブシュリー(肉屋)・Charcuterie/シャルクトリー(総菜屋)・Traiteur/トリッター(仕出し屋)』と書いてあります。
オシャレな店構えに期待が膨らみます。
ハム、ソーセージなど
店内に入ると、ショーケースにずらりと並んだハム、チーズ、ソーセージ、そしてお惣菜。
こんなに様々な種類のハムやソーセージを一度に見ることはなかなかない体験です。詰め物をしたハムとかゼリー寄せもあります。どれも美味しそう。
お惣菜
さらにその横にはお惣菜がずらり。テリーヌ、コールスロー、にんじんのラペ、オリーブ、イワシの酢漬け、アーティチョーク、などなど。
かなり迷いつつ、3品ほどを購入。いい買い物したなあ~と満足感いっぱいです。
時計塔
さて、買い物後はぶらりと旧市街を散策。
この通りは車の進入禁止になっていて、レストランのテラス席が道いっぱいに出ています。正面は、15世紀に建てられたという時計塔(La Tour de l'Horloge)。
サン・ラザール教会
時計塔を潜ってさらに進むと、サン・ラザール教会(Église Collégiale Saint-Lazare)があります。
この教会は1080年に再建されたものでロマネスク様式。ファサードの扉部分は12世紀に建造され、浮彫の彫像と、まっすぐな柱とねじれた柱が並ぶアーキヴォルトが見事です。
教会の内陣
教会の中へ入ってみましょう。この入口の上部にはパイプオルガンが設置されています。
内陣に並ぶ柱は初期ゴシック様式のように見えます。
半ドーム天井の後陣
そして、奥には半ドーム型の天井を持つ後陣があります。これは12世紀のブルゴーニュ派、あるいはクリュニー派に特有の様式だそうですが、壁面を飾るフレスコ画は19世紀のもの。ステンドグラスの光を受けて、静かで幻想的な雰囲気です。
この教会の中の様々な時代の積層を感じつつ、教会をあとにしました。
西の城壁
このアヴァロンは古代ローマ時代からの歴史を持つ都市です。中世からは軍事・宗教の要衝であり、城壁や城塔が築かれました。三方が谷を形成している地形は、軍事要衝としての守りやすさもあったでしょう。
西側の城壁に沿って帰路につきます。アップダウンしながら、時々現れる見張り塔を眺めながら、幅の狭い道を通って宿へ。
宿で前菜をいただく
宿に帰ったら早速夕食を準備。まずはサラダ、チーズ(ロックフォールとウォッシュ)、パセリ入り肉のテリーヌを赤ワインで。ああ、どれも美味しく幸せです。
エスカルゴ
そして、本日の主役はエスカルゴ。にんにく、パセリとバターでオーブン焼きしてあり、コリコリして香ばしい。以前、スペインの田舎で食べたちびエスカルゴとは、サイズも味も全く違いますね(笑)
今日は、スラン川沿いの小さな町や村を訪れ、街並みも楽しみながら気持ちよく走りました。明日は、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の道の起点であり世界遺産の丘と教会の町、ヴェズレーを訪ねます。
