パリジャン
サイダーは、今朝も6時過ぎに近所のパン屋へ。どの町でもパン屋さんは早くから開いています。素晴らしい。
今日のパンは『パリジャン』。パリっ子という意味ですが、バゲットよりかなり太く重量感があり、中のクラム(白い部分)がモチモチして食べ応えがあります。
泊まったホテル
朝食と弁当づくりを終えたら、8時過ぎに宿を出発。写真が私たちの泊まったホテルです。
昨日の到着時にはスタッフが誰もいなくてセルフチェックインでしたが、今朝はレストランで朝食の準備をしている人がいたので、挨拶して鍵を返すことができました。
プイイのヴォートに到着
さて、このプイイ=アン=ノーソワでは、まず見ておくべきところがあります。
それがここ、ブルゴーニュ運河の分水嶺を横断する地下トンネルで、プイイのヴォート(Voûte de Pouilly-en-Auxois)と呼ばれています。ヴォートはヴォールトのこと。
プイイのヴォート
このトンネルは、ヨンヌ川側とソーヌ川側の間の分水嶺を横断するために1822年から10年間かけて建設されたもので、プイイ=アン=オーソワからクレアンセ(Créancey)の間、約3.3kmを繋ぐ長いトンネルです。
水辺まで階段を下りてみましょう。
トンネルを覗く
トンネルは細い片側通行。中は真っ暗です。こんなところを3kmも行くのは恐ろしそうですが、観光のクルーズ船も通るとのこと。
観光船ではライトアップや水の演出などを楽しめるようになっているらしい。
細い運河
振り返ってみれば、確かに運河は細いですね。これでは船がすれ違うことはできません。
プロムナード・デュ・カナル
さて、私たちはここから真っ直ぐな道を走ります。道は次第に緩い上り坂に。
この道はプロムナード・デュ・カナル(Prom. du Canal)という名前で、運河のトンネルの上を走っているのです。
プラターヌ通り
そして、プロムナードはプラターヌ通り(All. des Platanes)と名前を変えた並木道になります。
時々、写真右の円形の井戸のようなものを見かけますが、このトンネル建設のために32箇所の垂直シャフトが掘られたそうですから、その1つだと思われます。
羊の牧場
3.3km続くトンネルのほぼ中央あたりの上を高速道路が横切っているので、トンネルの上からは一旦離れ高速道路の下をくぐって横断。
その先の周囲は牧場で、『わあ、羊さんだー』とはしゃぐサリーナ。
森に入る
そして、クレアンセの村を過ぎて森の中の細い道を走っていくと、
トンネルの反対側に到着
ありました~! トンネルのもう一方の入口に到着です。
こちらも階段を下りて水辺に行くことができます。
トンネル入口
トンネルは1830年完成なので、今から200年近くも前ですね。
歴史的に貴重な土木建設遺産であり、今でも使われているのがすごいです。
トンネルの断面図
トンネルの上には説明の看板があって、トンネルの断面図が掲示してありました。この断面図の縦横サイズは同尺ではなさそうですが、いずれにしてもすごい土木工事を実施したものです。
船が通る写真もあり、その船は昨日『キャップ運河案内センター』で見た牽引船でした。
エスコム港が見えた
ここからは、しばらく運河に沿って走っていきます。
すぐに、水路が広がる港が見えてきました。エスコム(Escommes)の港です。
マガモ
静かな港に私たちが近づくと、水辺の草陰から慌てて水鳥が逃げていきました。
中にはのんびり逃げないやつも。これはマガモでしょう。他にオオバンもいました。カモ好きサリーナは大喜び。
S4閘門あたり
さて先ほどのトンネルの分水嶺を越えると、その先のソーヌ川側の閘門はS(ソーヌ/Saône)を付けた番号が振られています。番号1から始まって、ここはS4の閘門。
この閘門の脇には住まいになっているのか、花やさまざまな道具で飾られた小さな建物があります。そして、建物の先の自転車道沿いには古い農機具が飾られていてちょっと楽しい。
ヴァンドゥネス=アン=ノーソワの教会の塔
右手に教会の塔が見えてきました。
そろそろヴァンドゥネス=アン=ノーソワ(Vandenesse-en-Auxois)に着いたようです。
S8閘門からシャトーヌフを眺める
村の中央付近の十字路の手前にS8の閘門があります。
そこからまっすぐ東を見ると、丘の上に小さく城郭の姿がありました。あれはシャトーヌフ。後ほど訪れます。
ヴァンドゥネス=アン=ノーソワの港
閘門を過ぎると水辺が広がり、船が溜まれる港がありました。
今は9時過ぎ。まだ静かな港で停まってちょっと一息。
シャトーヌフへの道
ヴァンドゥネスを発ってS10閘門を通過したら、運河を離れて進行方向をシャトーヌフへ向けます。
周囲は牧草地。その丘陵の上には城が聳え立っています。そこへ至る道の両脇には緑の低い植栽が連続しており、茶色い牧草地の中を緑の道が城へと斜めに導いています。
牧草地の牛たち
周囲の牧草地では、茶色い牛たちがのどかに草を食んでいます。
しかし、実はこの傾斜が半端ない。途中から12~14%の勾配が続きます。
上り坂を押し
車も人も通らないひっそりとした上り坂。
上も下も見渡せる坂を黙々と上りますが、早々に諦めてひたすら押します。
丘の下の景色
坂の途中で小休止して景色を見渡せば、今通ってきた牧草地の向こうにヴァンドゥネスの村が見えました。
美しいパッチワークの丘と村の景色を眺め、また上りを押し続けます。
シャトーヌフ城の足元
坂道の3/4は押しながらよろよろ上り、ようやくお城の足元にやってきました。近くで見ると、堂々とした城郭が立ちはだかり、その雰囲気に圧倒されます。
ところで、上ってきた間に見えたのはお城だけ。谷を見下ろす丘の端に城が築かれ、村はその背後にあります。
村に入る
城の前を回り込んで村に入ります。石積みの壁に赤茶色の屋根。中世の雰囲気が残る通りです。
シャトーヌフは『フランスの最も美しい村』の一つにも選ばれているのです。
石造りの家々
そして、石造りの家々の間の坂道を上っていくと、
シャトーヌフ城の入口
シャトーヌフ城の入口に着きました。
この城は、地域一帯を支配していたジャン・ド・ショードネ候(Jean de Chaudenay)が次男のため1132年にこの地に築城し、1175年に次男が受け継いだのが始まりだそうです。次男はジャン1世・ド・シャトーヌフと名乗ります。ここから少し離れたところに元々の居城があり、この城が『新しい城』と呼ばれていたことが由来となっているのだとか。
橋を渡って城に入る
では、お城の見学に行きましょう。手前の受付で入場料を払うと、日本語のパンフレットをくれました。
丸い2つの塔の間が入口です。城の周りには堀が巡らされ、城内に入る唯一の入口が今渡っている橋だとか。守りの固い城郭です。
城門をくぐる
城門をくぐると高い塀に囲まれた広場に出ます。広場に面して塔や居館、礼拝堂などの建物が並んでいます。
写真は広場の南側から城門を見たところ。
ゲストハウス
この建物は城門の左手(南側)に位置するゲストハウス。
15世紀の半ばにシャトーヌフ家の統治が終わり、その財産がブルゴーニュ公国に没収された後、国王はこの城塞を側近のフィリップ・ポに贈呈しました。フィリップ・ポはブルゴーニュ公国の様式に合わせて城を改修したそうです。このゲストハウスはフィリップ・ポが建てたもので、ゴシック様式の装飾が施されています。
礼拝堂と住居、塔
一方、こちらは城門の正面の北側にある建物です。
これらの礼拝堂と住居、塔はフィリップ・ポが改修し、宮廷の人々が滞在できるよう豪華にしつらえたのだとか。
村の南端の教会の塔
城壁の間から城の周りを眺めると、南西側は私たちが上ってきたブルゴーニュー運河まで見渡せる丘陵地。
南東側に目を向けると、村の南端にある聖フィリップと聖ジャック教会(Église Saint-Philippe et Saint-Jacques)の塔が見えます。
居城入口
では、城の居室部分に入ってみましょう。
ゴシック様式で飾られた居城入口の横には、古い井戸がありました。
サロン
こちらはサロン、または食堂でしょうか。豪華なタペストリーが飾られ、部屋の突き当たりには大きな暖炉があります。
寝室
そして、こちらはプライベートルーム。くつろぎの中にも、壁のレリーフや天蓋のあるベッドが華やかな雰囲気を醸し出しています。
シャトーヌフ城の模型
これは建物内にあったシャトーヌフ城の模型です。
塔と塀に囲まれ、さらに外側を堀と城壁に囲まれて、堅牢な城塞の中に豪華なゴシック様式の建物を持つ城であったことがわかります。
村の散策へ出発
お城の見学はこれでおしまい。
お城を出たら、次は『フランスで最も美しい村』の一つであるシャトーヌフ村を北の方へ散策してみましょう。
邸宅が続く
石造の家並みが続きます。塔のある豪邸も。
これらの建物は、14~16世紀の裕福な商人たちの邸宅だそうです。
中世の街並みを進む
すぐ横の路地から騎士や商人が出てきそう。中世の雰囲気に浸れる通りを進んでいきます。
村はこぢんまりとしており、すぐに村の北の門に着きました。
城壁の縁から西の眺望
村の門を出て左手に進んでみるとすぐに城壁の縁に突き当たり、ブルゴーニュ運河方面の眺望が広がっています。
では、ここで記念撮影。広い平原の中、正面に見える村は通過してきたヴァンドゥネス=アン=ノーソワです。
高速道路の下をくぐる
シャトーヌフを出発。丘の上からビューンと飛ばす下りはあっという間。そして高速道路の上を橋梁で横切ったら、無事ブルゴーニュ運河に戻ることができました。
その後運河に沿って走っていたら、すぐ先のクリュジェで高速道路が運河の上を渡っていきました。高速道路は南へと向かいますが、我らがブルゴーニュ運河はこの先でV字に折れて北東へ。
運河沿いの木陰を走る
気持ちのいい水辺をどんどん走っていきます。道沿いに並木があり木陰をつくってくれているのもナイス。
そしてしばらく進むと、
閘室に水が入る
18Sの閘門に着きました。船が通るようなのでしばらく見学。
下流から来た船が閘室に入り、上流側の水門を開けて水を入れています。
水門を開ける
そして、上流側と同じ水位になったら水門を開いて船を通します。
こうして、水位の高い上流側に進んでいくというわけですね。
ヴヴェ=シュル=ウシュ近く
さて、運河はル・ポン・ドゥーシュで方向を変え、北東へ進んでいきます。
写真はそろそろヴヴェ=シュル=ウシュに着くあたり。気分良く走ってきましたが、そろそろ12時近くでお昼時です。
ヴヴェ=シュル=ウシュのピクニックエリア
ヴヴェ=シュル=ウシュは運河の対岸にカフェがあるはず、と行ってみたのですが、何と今日は休み。ああ、残念。
でも、運河沿いに駐車場がありピクニックテーブルがあったので、ここでお弁当タイムにしました。
ラ・フォルジェ
お昼を終えて出発。運河沿いを北上して、次に見えた村はラ・フォルジェ。
この少し先のラ・ビュシエール=シュル=ウシュには12世紀の旧修道院があり、今は高級ホテルになっているそうですが、私たちはまっすぐ運河を進みます。
駐車スペースと自転車道
運河沿いには時々駐車スペースもあり、車でやってきてサイクリングを楽しむ家族連れをよく見かけます。
元気一杯の子どもたちが自転車で通り過ぎていきました。いいね!
サン=ヴィクトル=シュル=ウシュ
引き続き運河を進みます。次に対岸に見えたのは、サン=ヴィクトル=シュル=ウシュの村。聖ヴィクトル教会の塔が見えています。
黄色い畑
30Sの閘門を過ぎたところで、左手の畑が黄色く染まっているのが見えました。
ひまわり畑
そう、それはひまわり畑。
今日は長く続く運河でちょっと疲れてきましたが、ひまわり畑の黄色で元気が湧いてきました。
走り続けるサリーナ
『あと30kmはあるなあ~』と思いつつ、ひたすらペダルをこぐサリーナ。
自転車道でほぼフラットな運河沿いは走りやすいとはいえ、お休み処がほとんどないのでややバテ気味です。
40S閘門
『次の村はカフェがありそうだよ』と言うサイダーに引かれ、運河を離れてポン・ド・パニーの東側に入っていきます。しかし、地図にブラッセリーと書いてあったところは小さな地ビール工場でした。
工場併設のカフェがあるものの、作業していた方が『今日は自分しかいなくて休みなんだ』と言います。でもトイレをお借りしたいと言うと、快く中に入れてくれました。助かった~ 地ビールは味わってみたかったです。
そこからさらに運河沿いを走って、写真は40S閘門。
運河でカヌー
閘門41Sを過ぎて、静かな運河ではカヌーを楽しむ人の姿がありました。
そして、次の町フルーレ=シュル=ウシュが見えてきた。ここは少し大きめの町だから、カフェがあるのでは。。また淡い期待を抱きます。
フルーレ=シュル=ウシュ
運河を離れ、坂を上り町の中に入っていきます。しかし、そこには住宅地が広がるばかりでカフェはなさそう。
運河沿いに戻ってカフェ・レストランの看板を見つけたものの、時間帯のせいか閉まっています。ありゃりゃ。
古い鉄道橋
サイクリングロードに戻り、走り続けます。運河沿いを50km走ってきて、だんだん飽きてきました。
そんな時にちょっとした景色の変化。運河上を通るのは古い鉄道橋で、今は廃線(一部観光用に営業)となっていますが、エピナック(Épinac)で採掘された石炭を運ぶ目的で1837年に最初の区間が開通した鉄道だそう。のちにディジョンとも連結されました。
この年代はブルゴーニュ運河開通の時期と重なります。運河の水運を利用して石炭輸送を行っていたんですね。
運河の水草を除去する船
さらに進んでいくと、運河を遡る船に出会いました。船は後ろで水をかき回しています。
これは、運河に生える水草を取り除くための作業のようです。運河を機能させるためにメンテナンスは欠かせませんね。
プロンビエール=レ=ディジョン
プロンビエール=レ=ディジョンに到着。川幅が広がって港がありました。
目的地のディジョンはもうすぐですが、水辺で一休み。昨日も結構走ったのでやや疲れ気味のサリーナです。運河沿いにカフェがあるといいのになあ。
キール湖
少し元気を回復して走り出すと、しばらくして公園に出てきました。
そして木々の間を進むと、目の前に大きな湖が広がりました。キール湖です。ようやくディジョン郊外に到着。
ディジョン・プラージュ
このキール湖は、市民の憩いの場となるよう1964年につくられた人工湖です。
そして夏の間はディジョン・プラージュ(Dijon Plage)というビーチが設けられます。暑い日には湖水浴とパラソルの下でのんびり過ごし、夜はコンサートを楽しむということです。羨ましい~
ウシュ川のプロムナード
キール湖からは、しばらく運河と並行するウシュ川のプロムナードを走ります。
木々に覆われた遊歩道を走っていくと、
食とワインの国際美食館
いきなり都会。鉄とガラスの現代建築が現れました。
この建物は、『食とワインの国際美食館』(Cité Internationale de la Gastronomie et du Vin)。病院跡地に2022年に建てられたこの施設にはワインや料理の学校、イベント会場・展示場などがあり、バルやレストランもあります。
サン・ジャン教会
私たちの今宵の宿は、旧市街の真ん中あたりにあります。
線路を横切って旧市街エリアに入り、モンジュ通り(Rue Monge)を上っていくと、正面に大きなゴシック教会が現れました。15世紀に建てられたサン・ジャン教会です。
リベルテ通りとの交差点
さらに北へ進むと、主要な商業・観光街のリベルテ通り(Rue de la Liberté)と交差します。
右手のコロンバージュ(木骨造)の建物は、『三つの顔を持つ家』と呼ばれる歴史的建造物。こちらからは三つの顔に見えませんが、リベルテ通り側を見ると切妻屋根が3つ並んでいます。
宿付近の風景
そんなディジョンの観光は明日にして、宿へと急ぎます。私たちの宿は中央市場のすぐ近く。
建物に着いたのは16時過ぎ。ここで、部屋へ入る入口を間違えたり、キーボックスの解錠に苦戦したりと色々ありましたが、住民のおじいさんにも助けられ、なんとか無事にセルフチェックイン。ああ、難しかった。。
フランソワ・リュード広場
宿でしばらくくつろいだら、いつものように夕食の買い物に出かけます。
ここはフランソワ・リュード広場(Place François Rude)。観光写真によく出てくる『ディジョンといえば。。』という広場で、1904年に整備されたもの。歴史ある建物に囲まれた中央の噴水には『ブドウの実を踏むブドウ収穫人』の像。そして、フランスではお馴染みの回転木馬もある可愛くて華やかな広場です。
中央市場前
こちらは宿の近くの中央市場前の通り。市場の周囲にはレストランやバルが軒を連ねて賑わっていますが、市場自体は7時から13時までの営業です。
そんなわけで、今日はミニスーパーでの簡単な買い物にとどめ、明朝は市場で食材を物色しましょう。そして、明日はたっぷりこの歴史ある美しいディジョンの街を観光。とても楽しみです。
