宿を出発
今日も快晴、暑くなりそうです。
ブドウ畑はカンカン照りで干上がりそうなので遠出はやめて、一日ボーヌの歴史地区の観光をすることにしました。宿が中心部から少し離れているので、自転車に乗って出発します。
ところで写真左の建物が私たちの部屋。独立棟です。
城壁の塔
宿からヴェルダン通りに出て北西へ真っ直ぐ進めば、やがて城壁の塔が見えてきました。この城壁の向こうがボーヌ旧市街の南端に当たります。
ボーヌの歴史は、紀元前のガロ・ローマ時代に遡ります。ボーヌは主要な交通路の交差点に位置しており、重要な町となっていったそうです。4世紀頃の異民族侵入の際に初期の城壁が築かれ、その後13~15世紀に城壁は強化され、16世紀には大砲による攻撃に耐えられるよう頑丈な塔が建てられたとか。
これらの城壁や塔は、現在でも旧市街のほぼ全周に残っています。
観光案内所のある建物
そして、この塔の右手の建物に観光案内所が入っています。
ここでボーヌ旧市街の見どころ3館(オテル・デュー、ワイン博物館、ボザール美術館)の入場チケット€17/人を購入。
城壁の外周を行く
城壁の外周を西へ進みます。しばらく進むと、木々の間から最初の目的地、オテル・デューの屋根らしきものが見えました。
その先で右折し、ルイ・ヴェリー通りを城壁内へと入ります。
マルシェに遭遇
ルイ・ヴェリー通りが突き当たりのフルーリー広場にぶつかると、そこからは通り中が屋台で溢れていました。今日は土曜日。ボーヌでは、毎週土曜の午前中に朝市(Marché de Beaune)が開かれるのです。
まず最初に目についたのが、ローストチキンの屋台。
ローストチキンの店
『ブレス鶏』(Poulet de Bresse)はボーヌの名物だそうで、お店の背後でチキンがぐるぐるローストされています。飴色に焼かれて何とも美味しそう。
1羽で€20くらいとのこと。
屋台が並ぶ
他にも様々な屋台が並んでいます。食材だけでなく衣類や雑貨などもあり、大勢の人たちで賑わっています。
私たちも自転車を押して、しばらくお店を冷やかしながら進みましょう。
乾燥ソーセージ
このお店は乾燥ソーセージを売っています。
ハーブやスパイス入りなど種類も豊富。イチジクやブルーベリーという札もありましたが、どんなお味でしょうか。
賑わうマルシェ
もちろん新鮮な野菜や果物もたくさんです。地元の人たちも大勢買い物に訪れています。
屋内市場の建物
このマルシェの中心はアール広場(Place de la Halle)、つまり市場広場。
広場は屋台で賑わっていますが、右の大きな建物はボーヌ市場(Halle de Beaune)で、屋内の市場です。
オテル・デューの入口
そして、市場の道路を挟んで西向かいにあるのが、オテル・デュー。かつての民間病院で、ボーヌ最大の見どころです。早速中に入ってみましょう。
私たちが3館チケットで入ろうとしたら、受付でオーディオガイドを勧められました。無料で、何と日本語もあります。すごいですね~、それは借りなくては。
オテル・デューの中庭
手前の建物を抜けると中庭に出ました。その前に建つ建物を見てびっくり。色鮮やかなタイルの屋根に切妻の小さな屋根のついた天窓が並ぶ、とても華やかな建物です。
ここは、ブルゴーニュ公フィリップ善良王の宰相であったニコラ・ロランとその妻ギゴーヌ・ド・サランによって1443年に開設した民間病院で、この建物は1452年に完成したもの。15世紀のブルゴーニュの建築として最も素晴らしいものの一つと言われているそうです。
中庭から南西を見る
開設当時はちょうどイギリスとの百年戦争が終結した頃で、略奪と破壊が繰り返されていたそうです。
ボーヌの住民は貧しく、またペストが大流行していたことから、夫妻はここに貧困者のための病院と避難所を建設することにしたのだとか。
中庭から北西を見る
建物の設計はフランドルの建築家と言われており、北方ヨーロッパの木骨造でつくられています。
この建物は、その後1971年まで病院として運営されていたということで、またびっくり。現在は病院の歴史や美術品を展示する美術館として公開されています。
貧困者の部屋
では、建物の中に入ってみましょう。まずはオテル・デューへの入口のある東側の建物に入ります。
ここは『貧困者の部屋』(La Salle des Pôvres)。舟底形の天井の大空間です。
ベッドが並ぶ
そして、部屋の両側に赤いカーテンで区切られたベッドが並んでいます。中央には食事用のベンチとテーブルが設置されていたそう。
病室の奥の礼拝堂
この部屋の最も奥には礼拝堂が設けられています。
寝ている病人もミサに出席できるようにと、この場所につくられたのだそうです。
祭壇画
礼拝堂の祭壇画は『最後の審判』ですが、これはレプリカで、ここにあった祭壇画は博物館に収蔵されており、後ほど見ることができます。
中央中庭に出る
病室を出て中庭へ出ます。そして、今度は美しいタイル屋根の建物に入りましょう。
まずは短い北側の棟へ。
サン・アンの部屋
ここは『サン・アンの部屋』。ここは個室に近い病室で、身分の高い人のための部屋だとか。
サン・ユーグの部屋
こちらは『サン・ユーグの部屋』。ここも病室としてベッドが置かれており、壁は宗教的な壁画で飾られています。
北棟を出て中庭へ
北棟を出て、中庭を経由して今度は西棟へ。あの見事な屋根の建物です。
サン・ニコラの部屋
まず入ったのは『サン・ニコラの部屋』。
ここには、この病院に関する歴史的な資料が展示されています。
オテル・デューの模型
これは、木で作ったオテル・デューの模型です。
模型の後ろにあるのはブドウ畑ですが、この病院は15世紀以来、貴族等から寄進を受けたブドウ畑からワインを生産し、毎年11月のオークションで売却して病院の運営費や維持費に充ててきたのだそうです。
屋根のタイル
こちらは屋根に使われている、あの鮮やかなタイル。
赤、黄、緑、白などのカラフルな釉薬瓦が使われています。これらを幾何学的に組み合わせ、あの美しい屋根を構成しているのです。
キッチン
次の部屋はキッチン。修道女たちの作業や食材など、当時の様子が再現されています。
中庭側の通路を行く
キッチンを出て中庭側の通路を通り、棟の北側の部屋へ移動します。木の柱がいいリズム感です。
そして、通路は見応えのある施設の見学でちょっと疲れた人たちの休憩の場にもなっていました。
東棟を見る
この写真は、その通路側から東棟の施設入口付近を見たところ。
こちらはゴシックの尖塔が聳え、屋根は黒灰色で落ち着いた雰囲気です。
薬剤を作る部屋
次の部屋は薬剤を作るところ。何となく醸造所のような雰囲気ですね。
薬局
その隣は薬局です。カウンターの後ろの棚にはたくさんの薬びんが並べられています。
最後の審判
そして、最後に北側の棟に入ります。『サン・ルイの部屋』の奥に、かつて礼拝堂に飾られていた祭壇画がありました。
この祭壇画『最後の審判』は、フランドルの画家ロヒール・ファン・デル・ウェイデンが15世紀前半に描いたもので、鮮やかな色彩と緻密な絵に驚きます。中央の高いところにキリスト、その下は魂の公正さを量る大天使ミカエルなんだそう。
美しい屋根の建物
これでオテル・デューの見学は終了です。15世紀の民間の病院がこんなに美しい建物で、しかも現在まできちんと維持されているのは感動ですね。
その運営・維持管理費をブドウ畑のワインで賄っている、というのもブルゴーニュらしくてとても素敵です。
タイル屋根と天窓
最後に、美しいタイル屋根と天窓のアップを。
賑わうマルシェ1
オテル・デューを出たのは11時過ぎ。広場のマルシェはまだまだ賑わっています。
野菜や果物が、どれも美味しそう。
賑わうマルシェ2
ある屋台に提灯がぶら下がっているのが目に止まりました。覗いてみたら、店主は日本人の女性です。しばらく話が弾みます。
この方はジュラで豆腐屋さんをやっているそうで、このマルシェではおにぎりやおからのケーキなどを販売していました。豆腐は結構人気なんだそうですよ。
屋内の市場
屋内の市場に入ってみましょう。
こちらも色々なお店がありますが、肉類や惣菜、チーズなど冷蔵設備が必要なものが多く並んでいるようです。
ブルゴーニュワイン博物館入口
続いて、ブルゴーニュワイン博物館に行ってみましょう。
市場のアール広場から1本北の通り沿いにあります。カーブを描く石畳の通りがいい雰囲気。
ワイン博物館の中庭
門を入ってみると、石造の塔と木骨造の建物が組み合わさって、とても立派な建物です。
ここは14~16世紀のブルゴーニュ公の居城だった建物だそうで、なるほど~と納得。展示は屋内と外にもあるようですが、まずは建物内部へ。
古代ギリシャのワインの壺
ワインづくりの歴史や工程、そしてブルゴーニュ地方のブドウとワインの説明などが展示されています。
これは古代ギリシャのワインの壺。紀元前450年だそうです。
レストランを探す
屋内展示を見ているうちに、時刻は12時を過ぎました。お腹が空いてきた。ワイン博物館は一時中断して、レストラン探しに向かいます。
この辺りにはレストランが多いけれど、観光客も多い。最初に行ったレストランは満席で入れず。
ビーフ・タタキ
そして、入ったレストランはビストロ・ブルギニョン。カジュアルな内装でイタリア系のようです。
フランスに来て二度目のレストラン食です。手前は牛肉のカルパッチョ。メニューには『ビーフ・タタキ』と書いてありました。バルサミコソースのサラダ風で、とても美味しい。
骨付き豚肉
そしてもう一品は、大きな骨付き豚肉。野菜を煮込んだソースが美味。
飲み物はイタリアのモレッティビール。ブルゴーニュに来たのにねえ、と言いながら美味しくいただきます。サラミの小皿をサービスで出してくれました。
ワイン博物館に戻る
食事を終えたら、ワイン博物館に戻ります。
時刻は14時ちょっと前。実はワイン博物館は13~14時の間は休館なのですが、中庭側の1階の展示は見ることができます。
中庭を介して建物が並ぶ
中庭を介して幾つかの建物があります。奥の1階や手前の左の倉庫に展示がありました。
巨大なブドウ圧搾機
倉庫の中には、中世の巨大なブドウ圧搾機など、ワインづくりの道具があります。
ノートルダム教会の脇を通る
ワイン博物館を出て次の目的地へ向かう途中、ノートルダム教会の脇を通りました。写真中央奥の左側が教会。
ボーヌのノートルダム教会は12~13世紀にロマネスク様式で建てられ、大火災の後の13~14世紀にゴシック様式で様々な修復工事が行われたそうです。
中央ファロの正面
私たちは城壁の外に出ます。次の目的地はここ、マスタード屋さんのファロ(Fallot)です。
間口は3間ほどの建物ですが、奥は深いです。町屋のようですね。
ファロの敷地に入る
入口を入ると細長い建物があり、奥にマスタード色のクラシックカー。
写真左の建物が販売店、右はベンチと駐輪スペースです。
ファロの奥の建物
クラシックカーの先の建物は工場でしょうか。予約すれば工場見学できるようです。
私たちは販売店に入ります。そういえば、ファロの直営店はディジョンにもありましたね。
ファロ店内
この直営店は鉄骨とガラスでとても明るい雰囲気です。
細長い店内には多くの種類のマスタードの他に、ビネガーやピクルスもあります。
工場見学写真?
では、工場見学へ向かいましょう。嘘です(笑)
この工場見学写真、実は店内に設置されたモニター画面をタッチすると、工場見学シーンに自分の顔を入れた写真をメールで送ってもらえるのです。ナイスサービス!
多様なマスタード
マスタードの種類は本当に豊富です。定番のものからハーブ入り、蜂蜜入り、カシス入りなどさまざま。
どれを選ぶか迷いますね~
味見コーナー
というわけで、味見コーナー。何と10種類ものマスタードの味見ができるのです。
もちろん、全部味見。でもやっぱり迷っちゃう。
ボザール美術館入口
お土産のマスタードを数種類購入して、ファロを出発。
ボーヌの旧市街散策の最後は、ボザール美術館です。ボザール美術館は、観光案内所があった建物の中にあります。何があるのかわかりませんでしたが、購入した3箇所チケットのうちの1箇所なので訪れてみました。
ポール・デイのレリーフ
そこでは、ブルゴーニュ在住のイギリス人彫刻家ポール・デイの展覧会が開かれていました。
多くの作品は、日常生活や社会的な出来事の情景の一瞬を表現しています。この遠近感のデフォルメが面白い、飛び出す絵本のようなレリーフが特徴的です。
オテル・デューの前に戻る
さて、ボーヌ旧市街の観光もそろそろおしまい。最後にまたオテル・デューの前に戻ってきました。
ワインショップ
それは、ブルゴーニュワインを購入するためです。この向かいにあるワインショップに入ります。
ブルゴーニュワインはなかなかに高額でこれまでほとんど味わっていませんが、ブルゴーニュ最後の夜くらいは楽しみましょう。悩みに悩んだ末、これだ、と1本購入。
ボーヌ駅
ワインを抱えて宿に帰ったら、しばらく休憩。今日は移動距離はほとんどないものの、最高気温36度の暑い中を観光してやはり少々疲れました。
そして元気を回復したら鉄道駅へ、明日のリヨン行きのチケット購入に走ります。
窓口でチケット購入
駅の窓口で、明日朝の列車チケットを無事購入。自転車を乗せることについて聞くと、無料ですよ、と窓口に貼ってあるチラシを指差します。
『あ、無料なのね』とチラシは気にしませんでしたが、ここに書いてあることは翌日の乗車後に判明します。
ブルゴーニュワイン
駅からスーパーに寄って買い出しを終えたら、宿で夕食です。
夕食のお供はこちら。これが、私たちが買ったブルゴーニュワインで、生産者は昨日の午前中に通ったモレ=サン=ドニ(Morey-Saint-Denis)にあるドメーヌ・ジェラール・ペイラゾー(Domaine Gerard Peirazeau)。
ワインショップで購入時に、『日本人ですか? このドメーヌのマダムは日本が好きなんですよ!』と伝えてくれました。生産者の顔がわかっているワインショップ、いいですね。ありがたく、美味しくいただきました。
さて、明日はブルゴーニュを離れ、鉄道を使って大都市リヨンへ。
