モンジュ広場
今日はシャンベリーの街を徒歩で観光します。のんびり休養日も兼ねており、朝食をゆっくり食べて午前10時過ぎに宿をスタート。
シャンベリーはシャルトリューズ山塊とバンジュ山塊に挟まれた小さな町ですが、13世紀末から16世紀にかけてサヴォワ公国の首都だった歴史ある都市でもあります。写真はモンジュ広場(Pl. Monge)。
シャンベリーの街並み
そんな街並みには落ち着いた上品な雰囲気を感じます。
モンジュ広場には数軒のレストランが並んでおり、昼食用にメニューなどを物色しつつ歩いていきます。実は、いろいろ事前調査したサイダーは、サヴォワ地方のソーセージ料理をぜひ食べたいと思っているのです。
サヴォワ公爵城
そして、その名も『シャトー通り』に入ったら、すぐにサヴォワ公爵城(Château des Ducs de Savoie)の前に出ます。
豪華な階段を上ると、お城観光の受付がありました。現在このお城にはサヴォワ県庁が入り、見学はガイドツアーのみ(€7/人)とのこと。次は14:30だと言われ、お城見学は諦めて無料ですぐに入れる博物館を見ることにしました。
博物館に入る
お城の入口を入ると、すぐ右手の建物が博物館です。
博物館の展示はなかなか充実しており、サヴォワ公国とお城の歴史がわかりやすく展示されています。
お城の解説パンフ
展示の解説文はフランス語ですが、英語のパンフレットを貸してくれました。
サヴォワ王朝は11世紀のウンベルト1世から始まったそうです。当初要塞として築かれたこの城は、1416年にアメデーオ8世が公爵となって『サヴォワ公国』が始まり、ゴシック様式のチャペルを築くなど城を充実させていったのだとか。
お城の出口
博物館で歴史を学びお城の雰囲気を多少味わったら、再び街歩きに向かいます。
お城から北東の眺め
お城の階段の上から正面の北東を眺めれば、ピンク色の通りが真っ直ぐ延びて、背景には山並み。上品で涼しげな雰囲気です。
そして後ろ姿ですが、階段上の銅像はシャンベリー出身のド・メーストル兄弟だそうです。
自転車タクシー
階段下では、自転車タクシー営業中。
シャンベリーは、こんな乗り物でのんびり巡るのがピッタリの街です。
シャトー広場
階段の北側にはお城の建物が続き、その前は『シャトー広場』になっています。この広場を進んでいきましょう。
サント・シャペル
広場に張り出したアプスはサント・シャペル(Sainte-Chapelle)。15世紀にアメデーオ8世によって建てられたゴシック様式のこのチャペルには、かつて聖骸布が納められており、そのため『サント・シャペル(聖なる礼拝堂)』と名付けられたそうです。
サイダーの足元には小さな噴水が吹き出して、暑い夏に涼しげな演出の広場です。
バッス・デュ・シャトー通り
さて、ここからはシャンベリーの街歩きのメインイベント、路地の探索に入りましょう。シャンベリーで建物の内部を迷路のように通っていく路地は、"Allée" か "Passage" と表記される歩行者専用のもので、通常の通りの表記 "Rue" とは異なります。
写真はシャトー広場の北端から東に延びるバッス・デュ・シャトー通り(Rue Basse du Château)。こちらは "Rue" ですが、ともかく昔ながらの細い道はワクワクしますね。
通りを進む
通りの両側には1階にアーチ型の開口部を持つ建物が連なります。
そして、上部が繋がって橋になっているところも。通路なのか、部屋を増やしたのか、はたまた両側の建物が倒れないようにするためのつっかい棒?
観光客で賑わう通り
この通りには衣類や小物などのお店も多く、観光客が散策を楽しんで賑わっています。
細い路地に分け入る
そんな通りからさらに細い路地に分け入れば、『誰もいないね~』
ひっそりと佇むこんな路地が大好きな私たち。中世の街にタイムスリップしたような小路を行けば、
ボワヌ通りに出る
いきなりピンク色の華やかな大通りに出ました。お城の前から北東に延びるボワヌ通り(Rue de Boigne)です。
路地の突き当たりの建物
ボワヌ通りを横切り向かいの路地を入っていくと、正面の建物が道を塞いでいました。
フランス窓に屋根裏の窓と煙突。この建物は自体はいい感じですけど、この路地は行き止まり?
小さな路地の入口
いえいえ、この建物の左側を左折すると、ボロン通り(All. Bolon)という路地が始まります。お、ここは "Allée" だから建物内路地です。
まずは入口部分。小さな植物が葉を広げ、4~5階の壁に囲まれた空間の先に、建物の壁に穿たれたような細く四角いトンネルがありました。
中庭空間
薄暗いトンネルを抜けると、小さな中庭空間が現れました。
建物に囲まれた空を望める空間には、明かりと外気を求めるいくつもの窓が面しています。
狭い空の見える通路
さらに狭い通路もあり、見上げると細く狭い空が見えています。その正面はやっぱり壁にトンネル。
サン・レジェール広場に出た
そのトンネルを抜けるとサン・レジェール広場(Pl. Saint-Léger)に出ました。
建物内路地第一弾、面白かった~。
路地入口のサイダー
続いて、その北側に並行して通る路地を探検。パッサージュ・アンリ・プロンシュ(Pass. Henri Planche)という路地です。ここは "Passage"。"Allée" とは何が違うのでしょうね。
入口の上部には『アンリ・プロンシュ(1915-1999)はサヴォワの作家』と書いてあります。
木の梁が続く入口付近
まずは、天井を木の梁が支える入口付近を通過。
交差ヴォールト
すると、歴史を感じさせる石造りの交差ヴォールトが現れました。
まるでロマネスクの地下聖堂にでも迷い込んだようで、ついつい盛り上がってしまいます。
小さな中庭空間
そして、小さな中庭空間が出現。光や外気を求めていろいろなサイズのかわいい窓が並んでいます。
明るい中庭
さらに進むとまた中庭ですが、ここは先ほどより明るい。一部の建物が低く、また門を隔てて別の中庭にもつながっているからです。
セルセ・モーリンの門
その、別の中庭とを隔てる門ですが、アーチ部分の上に球体を嵌め込んだような独特のデザインです。
門の横の解説文によれば、この門はフランス議会顧問だったセルセ・モーリンという方の邸宅のもので、1560年にこの邸宅はサヴォワ元老院の議事堂になったそうです。そして時は流れ、1944年の戦争による爆撃の跡から救い出され、1982年にこの場所に設置されたのだとか。
狭い通路
引き続きパッサージュ・アンリ・プロンシュを進みましょう。
ここからの通路は、何と人1人がやっと通れるほど狭い。
アーチの連なる中庭
狭く暗い通路をすり抜けると、また四角い中庭です。
壁は煤けていますが、アーチが連なるデザインがちょっといい感じ。
建物の外に出た
そして、ようやく建物の外に出ました。この最後の部分の通路も交差ヴォールト天井です。
ドキドキ、ワクワクの路地巡りが続きます。
もう1本の路地入口
この路地のさらに北にも、もう1本の路地があります。写真中央の破風のあるところがその入口。
それにしても、建物の中に迷路のような路地が何本も通っているのはなぜでしょう。近道を作るため?
リヨンの『トラブール』(traboules)も建物内の路地で、トラブールは川の水への近道のため作られたのが起源と言われ、絹産業が発展した16~19世紀には、高価な絹織物を雨に濡らさずに川まで運ぶのに役立ったそうですが。。
カフェの脇に路地の入口
細長い住宅や路地、中庭といえば、日本の町家にも似たようなものがありますね。これは、通り沿いにはみせを多く並べて密度高く賑わいを見せ、奥は居住空間としたわけですが、江戸時代には間口の長さで税金が決められたので奥に細長くなったとも。
さて、シャンベリーの次の路地は、シャトー広場のちょっと奥まった感じの良いカフェテラスの脇に入口があります。
シロン通り
これはシロン通り(All. Chiron)。どうやら中にはカフェもあるらしい。
では路地に入っていきましょう。
広めの中庭とカフェ
すぐに広めの中庭に出ました。2階の住居への階段があり、下の1階部分がカフェ。
カフェは通路兼用
そのカフェは、通路も兼用。まあ、さっきの超狭い路地に比べれば余裕があるとも言えますね(笑)
モラン通りの入口
シロン通りを出て最初に通ったバッス・デュ・シャトー通りを横切ると、さらに建物内路地は先へと続いています。
これがそのモラン通り(All. Morand)の入口。
ジュイヴリ通り
モラン通りは、小さな中庭を挟んで黄色く塗られたヴォールトの短いトンネルが2回、すぐに賑やかなジュイヴリ通り(Rue Juiverie)に出てきます。
シャンベリー市役所
この通りを東へと進めば、オテル・ド・ヴィル広場(Pl. de l'Hôtel de ville)。そして正面の建物はオテル・ド・ヴィル、つまり市役所です。
巨大なクッキー
広場に面したカフェ&お菓子屋さんのショーウインドウで巨大クッキー発見。『私の手のひらより大きい!』と驚くサリーナ。
日本のクッキー10個分はありそう。。
パッサージュ・ジャン・プロンシェ入口
そのカフェの横に、パッサージュ・ジャン・プロンシェ(Passge Jean Planche)の入口がありました。これまでの通路よりやや広いですね。
では、パッサージュに入っていきましょう。
中庭に出た
すぐに中庭に出ました。
中庭に面した片側の建物にはバルコニーが廻らされています。
バルコニー
そんなに広い中庭ではありませんが、バルコニーに少し生活感が出ていていい感じ。
外気に触れるスペースが多くなり、生活もより快適そうです。
便器?
その中庭の片隅にこんなものを発見。"URITROTTOIR"と書いてあり、翻訳アプリは『便器』と回答。まさかと思ったけど、イラストがまさにそれ。
え、一応公共の場ですよね。ほんとに使われているのでしょうか。。
ボワヌ通りに出た
もう一つ中庭を通ったらパッサージュはおしまい。ボワヌ通り(Rue de Boigne)に出ました。
見覚えのあるピンク色の街並み。お城からまっすぐ北東に延びていた通りです。
高級ブティック街
通りの1階は両側がポルティコになっており、高級そうなブティックなどが並んでいます。表の通りはすこぶるエレガント。
ビュルダン通り
そんなボワヌ通りを横切り、ビュルダン通り(All. Burdin)に入っていきます。
この路地は途中の中庭から直角に折れ、屋根はないもののかなり狭い通路を進みます。
キュール通り
そして途中からキュール通り(All. de la Cure)へ。迷路のように入り組んだ道は、建物の下のトンネルを抜けてサン=レアル通り(Rue Saint-Réal)へ抜けました。どこをどう巡ったのか自分でも頭がゴチャゴチャです。
そんな路地巡りの途中では、おじいさん・おばあさんがよく声をかけてくれました。フランス語だからよく分かりませんが、歴史ある自分の街の路地をとても誇りに思っているようでした。
シャンベリーの秘密の路地はまだまだあるようですが、これにて私たちの路地巡り終了。
ボワヌ通りを北東へ
サン=レアル通りを北へ向かえば、先ほど通過した高級ブティック街のボワヌ通りにぶつかります。
ボワヌ通りを北東へ進み、道端のベンチでちょっと休憩。すると、通りの先の道の真ん中に塔のようなものが見えます。これぞシャンベリー観光の目玉の一つ、『象の泉(La Fontaine des Éléphants)』です。
象の泉とサリーナ
このフランス・アルプスの山間の街になぜ『象』なのか。なんでも、シャンベリー出身の軍人で、インドで軍事顧問として活躍したブノワ・ド・ボワーニュ将軍の功績を称えるため、1838年に建てられたものだとか。インドといえば象、というわかりやすい発想ですね。
『象の泉』の塔の高さは約18m。塔の上にはボワーニュ将軍の像。そしてその足元には、四方の通りにそれぞれ頭を向ける4頭の象。
泉の象さん
象は鼻から水を吹き出しています。結構リアルな象さんたちですね。
地元の人たちには『お尻のない4頭(Les quatre sans cul)』と呼ばれて親しまれているんだとか。
象の泉を南東から見る
象の泉の北西にはコロンヌ通り、南東にはテアトル通りが通り、どちらも中央に広い並木道の遊歩道が設けられています。
その遊歩道を南東に向かってみると、
メリーゴーランド
メリーゴーランドがあって、親子連れが楽しんでいます。
メリーゴーランドは今回の旅の色々なところで見かけました。フランス人はメリーゴーランドが大好きですね。
教会の塔
メリーゴーランドの先へと進んでいくと、右手の緑の芝生の先に教会の塔が見えます。サン・フランソワ・ド・サール大聖堂(Cathédrale Saint-François-de-Sales)の塔です。
正面入口は反対側。しかし、今の時刻は12時半。教会は12時に一旦閉まり、14時再開とのことで、今は閉まっているので近くでお昼を食べることにしました。
クロワ・ドール通り
サイダーは、サヴォワ名物の『ディオ・オー・ヴァン・ブラン(Diots au vin blanc)』を食べたいと言う。地元産の白ワインで煮込んだサヴォワのソーセージなんだとか。
大聖堂の南、レストランがいくつかありそうなクロワ・ドール通り(Rue Croix d'Or)を探します。
レストラン『ル・スポーティング』
何軒かウロウロしてこのレストラン『ル・スポーティング(Le Sporting)』で尋ねると、『白ワイン煮じゃなくて、赤ワイン煮ならあります』とのことで、『じゃあいいね!』と中へ。
レストランの中は落ち着いたいい雰囲気です。
昼食は地元の名物
きたきた~ 手前が赤ワイン煮のサヴォワ・ソーセージ(Diots au vin rouge)。しっかりした味のソーセージがワイン風味に煮込まれており、付け合わせはポレンタ、ポテト、いんげんのベーコン巻き。
もう一皿はサラダを、とお店の名前がついたサラダを注文したら、レタス、ベーコンの上にチーズの乗った大きなパンが2切れのサラダ。ちょっとイメージが違いましたが、どちらも美味しくいただきました。
それにしても、レストランでの食事はかなり久しぶりだよ~(笑)
サン・フランソワ・ド・サール大聖堂
昼食を終えたら、改めてサン・フランソワ・ド・サール大聖堂へ。
この建物は1418年に建設が始まり、1587年に完成。そして1779年に大聖堂になったそうです。ゴシック様式ですが、外観は少し地味な印象を受けます。
大聖堂の内部
大聖堂の中に入ってみると、壁や天井が落ち着いた色彩ながら派手な装飾で埋め尽くされています。
この装飾をよく見ると、何と全て描いたもの。騙し絵(トロンプ・ルイユ)なのです。
身廊の天井
この内部の絵は1834年に描かれたそうで、ヨーロッパで最大の絵画装飾面積と言われているとか。
天井の模様も繊細ですが、まるで石を彫ってつくられたよう。
側廊
こちらは側廊。交差ヴォールト天井のそれぞれに異なる模様が描かれていて、ともかく圧倒され続けます。
ステンドグラス
そして、南側の壁面とアプスは美しいステンドグラスで飾られています。
これまでに見てきた有名な大聖堂とは趣きの異なる、意外な面白さ・美しさの大聖堂でした。
シャルル・デュラン劇場
大聖堂を出て、すぐ東にあるのはシャルル・デュラン劇場(Théâtre Charles Dullin)。
広場に面したファサードは2階にテラス、上部にはペディメントと、なかなか華やかな雰囲気です。私たちは中に入りませんでしたが、内部はミラノのオペラハウスにインスピレーションを得た豪華な内装が施され、『プチ・スカラ座』と呼ばれているそうです。
イタリー通り
さて、街歩きはそろそろ切り上げ、ホテルへの帰路につきましょう。
ここはシャルル・デュラン劇場から東へ向かうイタリー通り(Rue d'Italie)。この名前は『プチ・スカラ座』から来ているのかな?
本日の夕食
細い路地を通りながら、ホテル到着したのは15時前。しばらくウダウダ過ごしていたら、夕方雷雨になってビックリ。まあ今日はゆっくり過ごせてよかったです。
そして夕食。今日の献立は、チーズ、パンチェッタ入りサラダ、シャンピニオンのガーリック炒め、チョウチョパスタとポテト、インゲンのマヨネーズあえ。このホテルのキッチンは本当に簡易版の小さいものですが、よくできました~
さて、明日はラルプ・デュエズの麓の町に移動。いよいよ本格的なアルプスステージの始まりです。
