昨日、尾道から生口島まで走って来た私たちですが、今日はいよいよ四国の今治まで走ります。瀬戸田の民宿のおばさんはお土産にと、みかんとレモンをたくさんくださいました。みかんはとっても小さいけれど、とても甘くておいしい。ありがとう。このあたりは柑橘類の産地で、国産のレモンはここが発祥だとか。その上、マーコンが『干し柿もおいしそうですね~』 と言うもんだから、その干し柿も。おいおい、マーコン!
しかしである。出発しようにも我らが隊長、ペタッチの自転車は動かない。昨日の終盤にトラブルが発生した為です。運良く宿のすぐ近くにレンタサイクルのターミナルがあり、そこで交換してもらえました。よかった~。
さて、今日の予定ですが、今治までは標準ルートで50kmです。少し時間がありそうなので寄り道を考えました。大三島一周は気持ちのいいコースで、その南端からは来島海峡大橋の雄大な眺めが得られるといいますが、少し時間をオーバーしそうです。大島の亀老山に上ればこちらも素晴らしい景色が堪能出来そうですが、ちょっと上りが辛そうです。生口島のすぐ隣の高根島(こうねしま)は一周10kmほどなので、距離的にはちょうどよさそう。地元の方にどうかと聞いてみました。
『あ~、高根島ね~、みかんがいっぱいなっとるな。でもみかん買いに行くんなら、こっちの島で買ったほうがいいよ。あそこには販売所はないからね~』 とのこと。どうやら高根島はみかんの島のようです。もう一人は、
『高根島か、なんにもないよ! そこにある三重塔(向上寺)に上った方が何倍もいいよ!』
高根島を廻る
つまり高根島は柑橘類の栽培の地で、そのほかにはほとんど何もないところってことらしい。ってことは最高に自転車向きってことじゃあないかな。ということで、とにかく高根島周遊に向かいます。
黄色いアーチの橋が現れました。高根大橋です。これを渡ると高根島。名前の通りに小高い山の島で、ほぼ海岸に沿って島を一周する道路走っているので、これを時計廻りに廻りだします。車がまったくといっていいほど通らない、のんびりした道です。
高根島のレモン
右手を見上げれば紅葉が始まった山の中腹にみかん畑、左手は朝日を浴びた海に大三島が間近に見え、気分最高! 道端にもちらほらと、みかんやレモンが生っています。
『のんびりしたいいところですね~』 とビジターのマコネー。
『ほんと、ほんと、快適じゃな~』 と自転車を取り替えて快調のペタッチ。
山の中腹から三原方面を望む
島の北側が近づき道が大きくカーブすると、海沿いの道はここでおしまい、山に向かいます。ここからはちょっと上って山を越えなければなりません。高度が増すにつれ、これまでは少ししか見えなかったみかん畑が次々に現れます。なるほどこの島にはなんにもなく、ただあるのはみかんばかりです。それとすばらしい海。
すこしヘ~コラしだした時、みかん畑の脇にちょっとした日だまりを見つけました。三原方面が見えるここでちょっと休憩です。みんなでみかんをおいしく頂きます。って、畑から盗んだわけではありませんよ。民宿のおばさんからもらったやつです。
ところでこの島には収穫したみかんを下ろせるような道はあまりありません。いったいどうやって下ろしているんだろうと思ったら、なんとみかん箱を乗せられるくらいの小さなケーブルカーのようなものがありました。
みかん畑の中を行く
その後も道はどんどん上ります。民家はほとんどなくひっそりしていて、ただただみかん畑が広がるだけです。すばらしい! この上り、昨日の終盤にはやや疲れが見えたマコネーもなんとか上って行きます。しかしどんどん寂しくなる一方の道に、
『おい、サイダー、本当にこの道でいいの?』 とちょっと心配になったのかペタッチが宣います。
『行ってみなきゃあ、わかんない~』 とはいつもいいかげんなサイダーです。
しかし道は一本道、しばらくするとトンネルに行き当たりました。なんとこのトンネル、素堀りなんです。内部はごつごつした岩肌が露になっています。いや~驚いた~。。
一周完了
トンネルを出るとそこからは下り、みかん畑の中をグオ~っと下ります。遠くにきらきら輝くものが見えたと思ったら、まもなく海岸の道になりました。少し行くとあの黄色い高根大橋が見えてきました。どうやらこれで島を一周したようです。
高根島と高根大橋
人が言うにはなんにもない高根島ですが、そこにはみかんと素晴らしい海とのどかななんとも言えない景色がありました。そう、ないといえば車はまったくといっていいほどないのです。自転車にはお勧めですね~
向上寺の三重塔
再び高根大橋を渡ると、すぐ近くに向上寺がありました。例の三重塔があるお寺です。ではではついでにと、こちらにも寄り道。海への眺めが良く、アプローチがいい雰囲気のお寺で、三重塔はなんと国宝です。紅葉も見頃でなかなか良かったです。
高根島をバックに走る
ついつい居心地のよい、高根島と向上寺でだいぶ時間を費やした私たち、よく考えればまだ宿から数kmしか離れていないのでした。ここから生口島の西海岸を南下すると、先ほどまでいた高根島が背後に全容を表しました。気持ちのよい海岸をのんびり行きます。
快調に飛ばすの図
サンセットビーチからはひょうたん島を眺め、さらにどんどん南下すると、多々良大橋が見えてきました。快適な気候に輝く瀬戸内の海。そんな中を快調、快調とどんどん飛ばすはマコネーとペタッチ。
多々良大橋
生口島と大三島を結ぶこの橋は世界最大(たぶん、まだ)の斜張橋です。さすがに世界最大だけあり迫力満点、その上にこの橋の姿はとても美しい。
多々良大橋への上りはいのししに注意
その橋へはまたまた上りです。こちらにもみかん畑は多く、そんな中をゆっくり上るとこんな標識が。
『ありゃ~、ここにはウリボーがいるんだって!』 と言ったのは先頭のマーコンだったかな。
『ウリボーなら今晩はいのしし鍋かな~』 などとわいわいしながら上ります。
多々良大橋は最高~
遠くから見ても素晴らしい形のこの橋は、走っても快適です。自転車通行帯の外側には簡単な手すりがあるだけで、ほかはなんにもありません。昨日通った生口橋も斜張橋ですがケーブルが外側にあったのに対し、ここでは内側にあるので外の景色を遮るものがないんですね。ほんのちょっとした違いですが、通ってみると快適度が違います。
このすばらしい多々良大橋を渡り終えると紅葉が始まっている美しい公園に向かって下ります。橋もすばらしいけれど、ここの全体の計画もすばらしいものです。快適快適!
大三島橋
前回はこの大三島をゆっくり楽しみましたが今回は設定されている標準ルートを急ぎます。もうすでにお昼を過ぎてしまいましたからね。しかし、対岸に伯方島が見えるこのあたりの風景は素晴らしいので、ついつい足が止まってしまいます。
大三島橋への上り
今までの橋は上りだす前からその姿を現していたのですが、今度の大三島橋は橋のずっと手前から上りが始まるも、なかなかその容姿を現しません。こんもりした山道という雰囲気の自転車道をゆっくり上って行きます。
『昨日はちょっとへばったけど、今日は走れば走るほど調子が出て来た~』 とガシガシ行くはマコネーでした。
大三島橋を行く
あれ、川に橋が架かっていると思ったら、それが大三島橋でした。ここはほんとうに川なのか海なのかわからないようなところです。この橋はしまなみ海道に架かる橋の中ではかなり地味な、一般的なアーチ橋です。しかしそれでもアーチ橋としては東洋一だそうです。
『おなかすいたー』
ハンガーノック体質のサリーナが叫びます。ではでは伯方島でお昼にしようということでガイドブックで探すとそこは、標準ルートからはだいぶ離れなければならなさそうなので却下、次の大島に向かいました。
大島大橋
空腹でよたよたしながら渡ったのはこちらの大島大橋です。手前に連続して架かる伯方橋があるので、一般には伯方・大島大橋と呼ばれているようです。
大島に到着すると鵜島の近くでは今までに見られなかったような急な流れが現れ、豪快な渦潮が見られました。これにはちょっとびっくりです。その先のちょっとした町になったところでやっと昼食にありつきました。
昼食の後は標準ルートで大島の内陸を行きます。国道で民家などが連なりますがあまり面白みはない道なので、余裕があれば海側のルートを取った方が楽しいのではないかと思いました。
前回、サイダーとサリーナがバスに乗り込んだ吉海の役場前を過ぎ、亀老山への分岐を横目に見やりながら、どんどん進みます。夕暮れが迫っているからです。
夕陽の来島海峡大橋
そしてついに来島海峡大橋に到達しました。かつてペタッチが直前でダウンし、渡れなかった橋です。この世界初の三連の吊り橋は総長4kmを超える長大なもので、今治側に架かる第3大橋は『しまなみ海道』のなかで最長の1,570m。雄大なスケールにとにかく圧倒されます。ここは急流として名高いところだそうで、渦潮も見られるんだそうです。よく見ると確かに流れが複雑で、夕陽が潮の加減で複雑に反射していました。
さて、最後はやっぱり昨日と同じく夕陽と追いかけっこです。まずは橋までの上りがちょっと面白いく、ループ橋をぐるぐると廻って上って行きます。橋のたもとに小さな広場があったのでそこで一休みしつつ、そこから景色を堪能しました。
いよいよ橋に突入すると、真っ正面に夕陽がどんどん落ちて行きます。逆光で橋は色を失い、主塔から吊られたケーブルがどこまでものびて行く姿は不思議な感じです。遠くを見れば、なるほどあそこからならこの橋への眺望は最高だろうと思える大三島の南端や、他の島々が夕陽を受けて輝いています。下の海峡には渦潮こそ見られないものの、潮のざわめきが。
ひと~つ、ふた~つ、と橋が過ぎて行きます。そしてとうとう、みっつ~! 来島海峡の3つの橋を渡り切り、ついに四国に上陸です。
日はもう向こうの山に落ちかけています。しかしなんとか日が沈む前に四国に渡ることができました。橋からはグワ~と下ると、すぐに本日のサイクリングの終着点、サンライズ糸山です。このサンライズ糸山はサイクリングターミナルで、ここで貸自転車を返却しました。施設もきれいで整っていて、ここからの来島海峡大橋への眺めは最高です。
自転車を返してほっとしているところへ、宿のお迎え車が到着。今日もバッチシのスケジューリング、すごいぞペタッチ。
宿の車は湯ノ浦温泉へと向かいます。温泉にのんびり浸かって、その後は『しまなみ海道』完走を祝って、今日は鯛ずくしで、かんぱい~~
おまけ 2007.11.25(日)晴れ
坊ちゃん列車(道後温泉駅にて)
翌日、私たちは松山まで足を延ばしました。松山といえば道後温泉、漱石に『坊ちゃん』でしょうか。松山駅に到着した後、道後温泉行きの電車乗り場へ向かうと、なんとそこにやってきたのはこんな蒸気機関車の形をした『坊ちゃん列車』です。
坊ちゃん列車の内部
『お~~、なんだ、あれは~』 と叫びつつ、急いで乗車しようとします。するとなんと、車掌さんがいて、ドアを開けてくれるのです。いや~、びっくり。そしてその内部にもびっくり。内装は木の板張りで、窓も木製、ベンチも木製の上、壁に貼ってある名産物案内のポスターは、それらしく雰囲気を合わせてありました。
しかも、な、なんと車掌さんの顔つきもそれらしいじゃあありませんか。
道後温泉
この『坊ちゃん列車』、2台あるそうですが走っているのは1台とのこと、偶然にも乗れたのはラッキーでした。そんな列車で20分ほど揺られて行くと道後温泉に到着です。
風呂上がりに休憩の図
私たちはもちろん特上コース、個室でお団子とお茶付きです。(笑) ゆっくりお湯に浸かった後は浴衣に着替え、3階の個室での~んびり。まったりいい気分です。
松山城
お次ぎは松山城。下からケーブルカーで上り、そこからさらに歩いた高台に、江戸時代初期に創建された立派なお城がありました。天守閣からの松山市街の眺望がすばらしい!
ひとこと by マーコン
一期一会は、旅の楽しみでしょうか?
しまなみでは、実にたくさんの出会いがありました。
まずは、レンタサイクルでのポンコツ自転車との出会い。
ぺタッチは、自分の足が疲れて、皆より遅れるんだと思っていたらしいけど、実はブレーキがかかった状態の自転車に乗っていた。
松山は、坊ちゃん電車の車掌さんとの出会いーーー
実はご一緒にお写真なんかも撮らせてもらったのですが、何故に胸がときめいたのか、後でじっくり、写真を見て、初めてわかりました。若い頃、憧れたグループサウンズの沢田研二のルックスにそっくりなのでした。
はしゃぎまわる三人の美女に当惑気味で、照れたところが、また初々しくてステキだったなあぁ~。
民宿一休の優しいご主人は、「満月がきれいですよ!」と教えてくれた。それで「どれどれ、」と腹ごなしもかねて、外に出たのでしたが、私達のために、テーブルと椅子を持ち出してくれた。
寒い、さむ~い海辺に。そして、寒いのに色々、話してくださった。
きっと、あの方は、ロマンチストだったのでしょうね!
お土産に袋いっぱいのみかんと、干し柿も頂きました。
松山駅に急ぐタクシーの中で、信号や踏み切りで待たされ、「いやー、間に合うかしら?」と心配する私達に、「あっ、パンクしたかも、、、」と驚かせた運転手さん。
料金40円をおまけしてくれましたね。
今治で泊ったホテルアジュールの送迎運転手さん、到着して、「わぁ~、ゴージャス!」と感嘆した私達に、「いや~、そうでもないです。」と正直に答えてくれた。あの方も、四十分の乗車時間、ず~と多方面に渡る話題を、話し続けてくれましたっけ。
しまなみは、気の長~い、優しい人が多かったように思います。
やはり、気候、風土によるものでしょうかしら?
同じ瀬戸内の海で育った私には、潮の香りとともに、のんびりと母の懐にいるような、人の話ぶりも響きも、心地よく、なつかしいものでした。
次は、勿論、食べ物との出会い!
さすが、海の幸には、文句のつけようがありません。タコしゃぶに来島海峡の波に育まれた鯛。刺身ではアコウ、カサゴが最高でした。そうそう、ミカンは限りなく甘かった。太陽の日差しをいっぱい受けて育ったのでしょうね。
そして、美しい景色との出会い。
青い空、紅葉の島々、みかん畑、瑠璃色の海、光る海、架かる橋。
ひときわ大きく、海に沈む太陽。追いかけて、走らせて、島をまわり、その太陽とであった時の感動は忘れる事ができません。
とにかく、すばらしかった!!
自転車で走る、しまなみが良かった!
しまなみに行きたいと言っていた マリー、ムカエル、ごめん!!
急に決まり、お先に失礼してしまいました、、、。