今日は八甲田山にアタックし、酸ヶ湯(すかゆ)に浸かります。十和田湖温泉郷の朝は残念ながらどんよりとした曇り。天気予報では一日この調子のようで、夕方から雨マーク。これでは八甲田山からの眺望は諦めざるえないと思いますが、なんとか山を下るまで降らないでほしいものです。
この値段で申し訳ないと思ってしまうほどのおいしい朝ご飯をいただいて、いざ十和田湖温泉郷の宿を出発。
私たちが昨夜お世話になった温泉宿南部屋(なんぶや)は、奥入瀬川の北にある温泉郷からは少し離れていて一軒だけ川の南にあり、周囲にはほとんど何もないので静かそのものでした。
その南部屋の前の道は意外と立派ですが、どういうわけかこの先で突然なくなっていて、かろうじて人が通れるだけの地道に変わっています。
その道を昨日やってきた方面に戻って、奥入瀬川の桂月橋を渡ります。
この橋の袂の桜はちょうど今が満開です。
桂月橋から見る奥入瀬川は広く浅く、ごく普通の川のように見えますが、このすぐ上流は日本でもっとも有名な流れの一つである奥入瀬渓流と呼ばれるものになります。
十和田湖温泉郷から八甲田山方面に向かうルートは二つ。ポピュラーなのは蔦温泉を通るR103を使うものですが、これは車が多いので私たちは『森のホテル』から十和田湖温泉スキー場の北に抜け、県道256号線を行くルートを選択。
ところがこの道、奥入瀬川に別れを告げるといきなり、超激坂上りだったのでした。あへあへ。。
サリーナはなんとかガシガシと上って行きますが、サイダーには早くも押しが!(笑)
2kmほどガシガシすると勾配が落ち着き、なんとかへこへこせずにペダルを漕げるようになってきます。
すると正面に芝生のような草原が現れました。
ここに来て陽もうっすらと差し、いい気持ち。
この草原の先には八甲田山の乗鞍岳(1,450m)が見えるはずなのですが、この時はその裾野がかろうじて見えるだけで、山頂は雲の中。
あ、ちなみに八甲田山という名の峰はありません。八甲田山は18の山からなる火山群で、南北の二群に分かれています。今見えているのは南の群で、通常南八甲田と呼ばれています。
ここに来て寒い青森もだいぶ春めいてきており、あちこちで一気に花々が咲き出しています。
このあたりでは、水仙、芝桜、梅、桜、菜の花といったものがいっしょに咲くのです。フキノトウもこんなに大きくなっています。これはもう食べられませんね。
このあたりの草原は牧草地のようなのですが、家畜の姿は見当たりません。飼われているのは牛でしょうか、それとも馬でしょうか。
お日様が顔を覗かせるとさすがにこの時期は汗ばむ陽気になり、なんと早くもサイダーは半袖に。ここからは緩い勾配の道が続きます。
T字路で道がぶつかると、そこには太陽光発電のパネルがずらりと並んでいます。
広い緑の草原と人工的な太陽光パネルというのがなんともミスマッチな感じですが、電気は必要ですね、原子力発電じゃない。
県道に入るとすぐに牧場が現れました。
奥のフェンスの向こう側にはお馬さんがいます。ここは牛ではなくお馬さんの専用牧場のようです。
この牧場の前からは乗鞍岳などの南八甲田がよく見えます。
先ほどまではほとんど見えなかった山々が徐々に見えるようになってきているので、天気は快復基調のようです。
この牧場を出ると道の勾配が上昇。ちょっとえっこらよっこらが始まります。
それに呼応するかのように、道端には雪が。
道の勾配は緩くなったりきつくなったり。
前方に見えてきたのは黒森(1,023m)という名の山のようです。
徐々に高度は上がってきており、気が付けばこれまで草原だったところが雪原になっています。
ここまでほとんど車の通行はなし。ちょっときついところもありますが、この道を選んで正解でしょう。
いつの間にか道端には雪の壁ができ始めています。
道が穏やかになるとそこは千人平というところのようで、ここまで来ると国道103号線との合流点まではすぐです。
写真のゲートを過ぎると国道に入ります。
このあたりの国道103号線は八甲田・十和田ゴールドラインと呼ばれているようです。
この道は普段どの程度の交通量があるのかはわかりませんが、ゴールデンウィークのこの時はバスを含めてかなりのものでした。
合流地点付近の雪の深さは1mほどですが、切り通しにでもなっているのかその何倍もの高さがあるところもあります。(上の写真)
周りはきれいなブナ林。これがどもまでも続いています。
雪の壁はすっかり汚れてしまっていますが、このブナ林の中を走るのはかなり気持ちいいです。
八甲田・十和田ゴールドラインはずっと上りですが、国道だけあり激坂はなく、なんとか押さずに上り続けて谷地温泉の入口に到着。
ここまでちょっと遅れ気味のシロスキーも無事に到着しました。路面が濡れているいるのでバスの待ち合い小屋で一休みします。
この隣に立つ谷地温泉の案内板には、開湯400年、日本三秘湯とあります。三秘湯のあとの二つはいったいどこなのでしょう。(笑)
ここに来てお日様は雲の中に隠れてしまい、高度も上がってきたので気温が低下しています。先ほどまでは20°C以上あったのに、一気に12°Cまで下がっています。半袖だったサイダーは上着を羽織って再出発。
谷地温泉の入口から先へ進むと、なんだか急に道端の雪壁が高くなったようです。これまでは1mほどだったのがあっという間に2m以上になっています。
そしてこの先で道の勾配はかなりきつくなり、雪の壁から解け出た水が滝のように流れるようになります。
ここの雪壁は3m以上あるでしょう。どんどん高くなってきます。
この道は毎年4月1日に開通し、その前の2日間は八甲田ウォークと称する歩行者だけが通れるイベントがあるそうです。その時の雪の回廊は高さ6mにもなるといいますから、さぞ盛観でしょうね。
猿倉温泉の入口までやってきました。
火山である八甲田山の周辺にはさすがに温泉がたくさんありますね。
ここの雪の回廊は、その側面から真横に新しい芽を付けた木の枝が突き出ています。
こんなに雪が残っているのに、ここにはやっぱり春がやってきているのです。
猿倉温泉の入口を過ぎると道はいくつものカーブを描いて上って行きます。ここは10%を超す激坂で、水がジャージャー。
その激坂をなんとかこなして進んで行くと、車がたくさん駐車しているところにやってきました。睡蓮沼の入口に着いたようです。
ここの雪の回廊は4m以上ありそうです。その前に立つサイダーとサリーナ。
睡蓮沼は道路から少し入ったところにあるようで、階段を上って雪原に出てみました。
もちろんこの時期は沼は雪に埋もれていてどこにあるのかまったく分かりません。小さい木の看板に『睡蓮沼』とあるので、このうしろあたりがきっとそうなのでしょう。
周りは真っ黒な針葉樹と白い雪だけ。この雪は自身の重みで潰れそうに見えます。
見えない睡蓮沼を眺めたら傘松峠に向かいます。
するとすぐに峠に立つ道路標識とその向こうの石倉岳が見えてきます。
ここが傘松峠、標高1,040m。
本日の最高標高地点ですが、カーブの上に路肩がないのでスルー。
さて、いよいよここからは待ちに待った下りです。
路面が濡れていて不安定なので慎重に下り始めます。
ぐわ〜んと下って行くと観光客が数人うろうろしているところがあります。地獄沼でしょう。地獄沼は98°Cもある温泉沼なので、もしかしたら雪の中の沼が見られるかもしれません。そしてそのすぐ近くには『まんじゅうふかし』という湯治小屋で木箱に腰掛けて尻を温める場所があるのですが、ここは一刻も早く温泉に浸かりたいと地獄沼には寄らずに先を急ぐことにしました。
すぐに酸ヶ湯温泉に到着です。
酸ヶ湯温泉は『千人風呂』で有名です。千人風呂は混浴だと聞いたのでどんなか楽しみでしたが、内部は空間的には一体ですが浴槽は男女が別のゾーンに入浴するようになっていて、完全な混浴ではありませんでした。浴槽は大小二つあり、合わせればかなりの人数が入れますが、それでも千人はちょっと無理でしょう。湯はその名から推測できるように強烈な酸性で、肌がひりひりするくらいです。いいお湯ですが長湯はできそうにありません。
ここには千人風呂の他に完全に男女別の『玉の湯』があります。こちらは千人風呂より酸性が低いという方がいましたが、私は入らなかったのでよくわかりません。
私たちが千人風呂に浸かっているころ、ツアー後半に参加のクッキーとマージコは青森に入り、『ねぶたの家ワ・ラッセ』にいました。
時間の関係で無料ゾーンだけの見学だったそうですが、有料ゾーンから響いてくるねぶたの音もあり、なかなか楽しめたそうです。
酸ヶ湯の千人風呂を堪能したらさらに下り、八甲田ロープウェーに向かいます。
天気は相変わらずですが標高が下がって気温が少し高くなったのか、周囲の雪から湯気のようなものが立ち上ってきています。
どんどこ下って八甲田ロープウェーに到着です。
予定ではロープウェーに乗りお山の上から周囲を眺めるつもりでしたが、この天気では眺望は望めないのでこれはパスすることにしました。
こんな天気ですから、ロープウェー乗り場の前に広がる八甲田スキー場にもほとんど人影がありません。
ここで、ツアー後半に参加のジークがレンタカーでこのあたりにやってきているはずなので連絡をしてみますが、運転中なのか酸ヶ湯にでも浸かっているのか生憎連絡が取れなかったので、これは断念し、ロープウェー乗り場を出ます。
ずんずん下っていくとあっという間に道端の雪壁がなくなりました。
だいぶ高度を下げたようです。
道の周辺から木々が退き広い平原が現れると、そこは萱野高原(かやのこうげん)です。
ここには茶店が数軒あり、『1杯飲むと3年長生きし、2杯飲むと6年、3杯飲むと死ぬまで生きる』という『三杯茶』といわれるお茶が無料でいただけます。
各茶屋によってお茶に付けられた名前が違うのですが、我らがシロスキーは迷うことなく『長生きの茶』を選択。(笑)
せいぜい長生きしてくだされ、シロスキーさん!
ところで、死ぬまで生きるって当たり前だよねぇ〜
シロスキーがうんと長生きしようとお茶を頂いているころ、クッキーとマージコは弘前に移動していました。
弘前城にはなんと巨大な『令和』のお習字が。そういえば今日から令和になったんですね。
弘前のソメイヨシノは一週間ほど前がピークで、この時はすでにだいぶ散ってしまっていたそうですが、赤みが強い桜がきれいだったそうです。
さて、一方の八甲田組は長生き茶をすすったあとさらに下り、岩木山展望所までやってきていました。
岩木山(いわきさん)は津軽富士とも呼ばれる青森県の最高峰で、とてもきれいな形をしていますが、この時は残念。まったく影も形も見えませんでした。
仕方がないのでこれにて本日のミッションは終了とし、青森市内に下ります。
R103をどんどん下って行くと、そろそろ青森の街というところで道の両側が桜並木になりました。赤みの強いこの桜は、満開〜
さらにどんどこ行くと、ついに青森のまちが見えてきました。
ここまでなんとか雨に降られずに済んだね〜と思った次の瞬間、シロスキーの自転車にトラブル発生。なんと後輪のブレーキワイヤーがプッチン。下りの途中だったら危なかったぜよ。しかしここは青森。すぐ近くのホームセンターでワイヤーを入手できたのでした。
そんなんでちょっと時間が経ってしまい、ホームセンターを出たら空からポツポツポツ。。あわてて青森の宿に駆け込んだのでした。
弘前に行っていたクッキー&マージコ組とレンタカーで八甲田山に登っていたジークも無事に宿に辿り着き、全員集合。今宵は津軽三味線を聴きながら杯を傾けます。
今日は天気が今ひとつでしたが、まあなんとか八甲田山を越えて青森まで辿り着けたので良しとしましょう。明日からは天気はいいらしいのですが、風が強くなるらしい。どうなるかな。。
◆ひとこと by シロスキー
十和田湖温泉郷の南部屋からはバスかタクシーで行く予定が、サリーナが走るとの事で連れられて走ることとなった。登り始めの森のホテル付近は急勾配なのは知っていたので、やはり後から押して遅れながらついて行きました。
急坂は終わり周りの景色も見渡せると気分も良く何とか走れた。雪壁付近では休み休み走れたし、寒さも感じなかった。サイダー、サリーナには何度もお待たせしました。4時間で酸ケ湯温泉までたどり付いた。 千人風呂にも入ったがデカイな! しかし熱い。シュンシュンお勧めの“甘草湯”を朝飲んでいたので、足がつる事もなかった。