今日から青森ツアーの後半が始まります。
参加メンバーは左から、遥々関西からやってきたジーク、東京人マージコ、前半から通しで参加のシロスキー、紅一点クッキー、カメラのサイダーです。
今日は青森のすぐ東に位置する、陸奥湾に飛び出した夏泊半島を時計回りに廻り、津軽半島と下北半島を眺めます。
青森の中心部からこの夏泊半島までは15kmほどなのですが、道があまり良くないので列車で移動することにしました。というわけで、まずは宿から青森駅に向かいます。
青森駅はかつては東北本線の終着駅で青函連絡船との乗換駅だったのですが、その青函連絡船はなくなり、東北本線は第三セクターの青い森鉄道線になりました。
私たちはこれからこの青い森鉄道線で夏泊半島の付け根にある浅虫温泉まで移動します。
青森駅から20分ほど青い森鉄道線に揺られると浅虫温泉駅です。途中の車窓からは昨日は雲の中だった八甲田山がよく見えます。
青い森鉄道線のエンブレムはアオイカちゃんかと思ったら、これ、なんと木なんだそうですよ。
浅虫温泉は青森の奥座敷として知られるところで、たくさん旅館やホテルが並んでおり、駅前には足湯もあります。
でもまあ朝からまったりもしていられないので、温泉は帰りにということにして、とりあえず駅前を出発。
しかし今日の天気はかなり問題なのです。どうやら寒気が流れ込んできているようで、かなり不安定だといいます。気温はそこそこのようですが、風が11m/sととんでもない。救いは南西の風なので、前半は追い風、後半は山影で穏やかになるはず。
風の様子を見ながらそろりそろりと進んで行きます。
浅虫海水浴場の沖には赤い鳥居がある『湯の島』が陸奥湾の中に浮かんでいます。この時すでにかなりの強風で、波がザッパンザッパン言っています。
そして空もこの日の天気を象徴すかのように、半分晴れで半分曇り。
湯の島を眺めたら、次は『ほたて広場』に向かいます。
R4から旧道に入れば道は僅かながら内陸を行くので、ちょっとだけ風が弱まります。
ほたて広場はほたて貝や海産物の紹介と展示、そして販売を行っていて、特に活けホタテコーナーが人気です。
私たちはここのWEBペイジで『アツアツほたて貝焼き』があるとの案内を見てやってきたのですが、残念ながらこれはやめてしまったようで食べられませんでした。
ほたて広場を出たらR4に戻って海岸線を北上します。R4はかなりの交通量ですが、ここには広い歩道があるので安心して走れます。
しかし海辺に造られたこの橋の上は当然ながら風の影響をもろに受け、吹き飛ばされそうで怖い怖い。
写真では風の様子がなななか伝えられませんが、この浜辺に押し寄せる白波を見ていただければ、少しはその強さが想像できるでしょうか。ドゥワーッ、バタバタバタ〜、ガンガンガンガン、って感じなんですが。
ちなみにこの橋には可動式の防風スクリーンと思われるものが設置されているのですが、この日それは下げられたままになっています。こんな日に使わなくていったいいつ使うの。それともこれは防風用ではないのかしらん。
ようやく道は海辺から内陸に向かい出しました。ホッ。やはり海辺と内陸部ではまったく風の影響が違います。それでも時々突風があるので注意してね。
宮ノ下でR4を離れ、r9通称『夏泊ほたてライン』に入ります。するとほとんど車がいなくなり快適です。
夏泊ほたてラインはまずは上りから。
最初のこの坂はアネコ坂といい、古狐が若い娘に化けて通行人を騙したという伝説があるようです。この日は風ばかり気にしていてこの坂道のことはあまり覚えていないのですが、比較的おだやかだったと思います。
アネコ坂を下ると茂浦の集落に入ります。ここからは沖合に無数の白波がたっているのが見えます。
そしてその白波の先にはうっすらと津軽半島が見えます。あの津軽半島はこの日の前半は終始見えていたのですが、風のためにゆっくり眺めることはできませんでした。
茂浦からは再び上りが始まります。
この上りの途中で振り返ると、海の中に浅虫の湯の島が浮かんでいるのが見えます。
先に『夏泊ほたて海道トンネル』が見えます。このトンネルは753mとちょっと長いのですが、広い歩道あって安心して通れます。
このトンネルに向かう途中、風に煽られて一番軽量なクッキーが転倒。ほとんど停止する直前だったので怪我がなかったのが幸いでした。防風スクリーンがなくなったのに気付くのが遅れ、ほんのちょっとブレーキのタイミングが遅れたようです。風が強い日は、遮蔽物があるところからないところに出る際にはよっぽど気をつけないと、吹き飛ばされてしまいます。
トンネルをくぐって観音崎まで下ると、その先に見えるのは浦田の集落です。
ここは南西に小さな半島が突き出ているため風の影響を受けにくい地形になっており、このあたりだけは白波がほとんど立っていません。
私たちの隊列は風が強いとすぐにバラバラになってしまうのですが、ここではきれいに並んでいますね。
浦田の港には漁船がたくさん並んでいます。
こう風が強くては操業できないのか、それとも連休中は漁師さんも休業なのでしょうか。
どこの港でもその周辺には40〜50cm角ほどの青い網篭がぎっしり積まれています。
これはホタテの養殖に使うパールネットやあんどん篭でしょう。この道はなんたって『ほたて』ラインですからね。
浦田を出て次の集落の稲生へ向かいます。
ここはもうあの小さな半島では波風を防ぎきれないようで、ビュービュー、ジャバジャバです。
前方に稲生の先にある油目崎が見えてきました。ここの海は波というより海面そのものがうねっていて、海を見ているだけで酔いそう。
そして空の雲は厚く鈍い色をしています。雨は降らない予報でしたが、ちょっと怪しそう。
稲生の集落を抜け、坂道をちょっとぎこぎこしたところで休憩です。
ここでジークが現在地の風速を調べると、なんと17m/sもあるそうな。ということはおそらく、最大瞬間風速は30m/sを越えているに違いありません。どうりで何回も吹き飛ばされそうになったわけです。
ぎゃーとか、お=とか言いながらも慎重に自転車を進めて行くと、ぽっこりした大島が見えてきました。
ここまで来れば夏泊半島の先端にある夏泊崎まではもうすぐです。大島は夏泊崎のすぐ沖にあるのです。
最後まで慎重にぎこぎこして、なんとか夏泊崎に到着です。ここまで怪我人が出なくて良かった〜
夏泊崎には数軒の食堂がありますがだいぶうらぶれており、すでに廃業した店が何軒かあります。
残った数軒も経営的には芳しくないと思いますが、ここがなくなるとこの半島の中では補給ができなくなるので、ぜひがんばってほしいと思います。
ここには小魚やホタテ貝などの釣り堀があります。小さな子から大人まで、それぞれに楽しんでいるようです。
夏泊崎の先端からそのすぐ沖に浮かぶ大島までは橋が掛けられており、渡ることができます。しかしこの日は暴風。橋の上を10m進むのもやっとというありさまで、大島に渡るのは断念しました。
大島の突端にある弁天宮からは、津軽半島と下北半島が陸奥湾を挟んで両側に見えるので行ってみたかったのですが。
時は正午少し前。気温は12〜13°Cといったところでしょうか。とにかく風がびゅんびゅんで寒いので、ここで昼食をとり暖まることにします。
ほたてラーメンは小粒ながらほたてがたくさん入っていて、なかなか結構でした。
ほたてラーメンで暖まったら午後の部開始です。午後は夏泊半島の東半分を廻ります。今日は南西の風ですから、半島の北東側は風の影響が小さいはずです。
で、さっそく走り出すと、よしよし、想像の通りに風がぐんと穏やかになりました。海の表情を見てください。さっきまではあんなに白波が立っていたのに、ここではまったくといっていいほど見当たりません。
陸奥湾のすぐ北には下北半島が見えています。
真ん中あたりに見える尖った山がおそらく釜伏山で、そうすると霊場恐山はその向こう側にあるはずです。
夏泊崎のすぐ東にはツバキ自生北限地帯の椿山があります。
このお山を覆うヤブツバキの数は一万数千本にのぼるそうです。
ちょうどこの時期はそのヤブツバキが真っ赤な花を付けていて、なかなかきれいです。
その横の海岸は椿山海岸と呼ばれ『日本の渚百選』に選定されています。
この渚の静かなこと。今朝の西海岸に押し寄せていた荒波を見たあとではちょっと信じられない光景です。
『風が治まってすごく走りやすくなりました〜』 と、ここに来て快調のクッキー。
一方、そのうしろのジークは午前中の風で体力を使い果たしたのか、少々遅れ気味です。
半島の北東の出っ張り部分にやってきました。ここは白砂海岸です。白砂海岸といえば一般的には真っ白な砂のビーチを連想すると思いますが、ここは白い砂ではなく小石の海岸です。
この海岸でクッキーはしゃがみ込んでなにかやりはじめたと思ったら、こんなものを作っていました。
ここにはホタテの貝殻がたくさんあるのです。
ホタテ以外にもいろいろな種類の貝やヒトデの死骸がころがっています。
ここでジオポタ恒例のジャンプ! って、全然合っていないね。バラバラ。
白砂海岸を出ると道は南に向かうので、下北半島のまさかりの頭が徐々に遠ざかって行きます。
今日の午前中はちょっとしたアップダウンがありましたが、夏泊半島の東半分にはごく小さなアップダウンしかありません。
こんな程度の。
この上りのピークを越えると立岩というちょっとした奇岩があるのですが、うっかり失念していて見逃してしまいました。まあいいか。
海岸に降りて見上げるとそれなりの高さになり、洞窟があるそうです。
立岩から下ると安井崎で、ここからちょっとした上り返しがあり、その頂部に『白鳥ドリームパーキング』があります。ここからは陸奥湾の東方面にすばらしい眺望があります。北には下北半島のまさかり部分、東の正面に低くその柄の部分、そして南には烏帽子岳あたりが見えます。
これが烏帽子岳方面。
天気はすっかり良くなって、見事な色の陸奥湾と下北半島。
この素晴らしい眺めを楽しみながら後続を待ちますが、マージコとシロスキーはいつまでたってもやってきません。連絡してみると二人はどうやら下の道を行ったらしく、すでにこの先の松島に着いているといいます。
クッキー、ジークそしてサイダーの三人はこの先で夏泊ほたてラインを降り、下の道で松島へと急ぎ、浅所海岸にやってきました。先に見える橋の向こうに見えるのが松島です。
この浅所海岸から松島にかけては白鳥の渡来地なのですが、それらしい姿はまったくありません。数日前に訪れた小川原湖にはたくさんいたのですが、ここの白鳥はもうシベリアに渡ってしまったのでしょう。
ここで無事マージコとシロスキーに合流し、松島に渡りました。
松島はとても小さな島ですが、そこに松の木があることによって、ちょっとした情景を作り出してくれます。
松島から僅かに南下すると小湊です。マージコ、シロスキーそしてジークの三人は、今日の風にはこれ以上耐えられないとここから列車で、クッキーとサイダーは自転車で山越えをして、それぞれ浅虫温泉に入ることにしました。
というわけで、クッキーとサイダーは小湊川を遡りだします。
この小湊川沿いの道は川が近くて気分はいいのですが、すぐにダートになります。
ダートに激弱のクッキーは歯を食いしばってしばらく耐えるのですが、ここは山が少し遠いので風がかなり強い。
しかも向かい風で即あへあへモードに。これはかなわんとダートを脱出し田んぼの中の舗装路にシフトしました。
すると先にへんてこりんな山が見え出します。この山、大きな岩の固まりのようで、どうやってできたのか引っ掻き傷のような岩肌がむき出しになっています。
へんてこ山の横で小湊川は二手に分かれています。本流は南西から流れてきていて、私たちが目指す峠はこの流れの上流方向にあります。
『ここからこの川に沿って行くんですか〜 それってもろ向かい風じゃあないですかぁ。』と、この先の状況を理解したらしいクッキーでした。
川の流れ同様に道の勾配もまだ穏やかで、坂自体は問題ないのですが、やはり突然ブオ〜ッという音とともにもの凄い風がやってきて、自転車に乗っていられなくなるのでした。
そんな時は道端に避難してこんなものを眺めます。
ホタテの貝殻がもの凄い数連結され、それが堆く積まれています。これは牡蠣の養殖に使われるものでしょう。
道は相変わらず穏やかな上りですが、田んぼの両側から山が迫ってきて、そろそろ本格的な上りが始まりそうです。
ここに来てようやく強風時の走り方をマスターしたクッキー。
『風が強いときは無理して漕がなければいいんですね〜 風が過ぎ去るのを待って、風が治まっている時に漕ぐんだ〜』
道脇の田んぼが完全になくなると、森に突入。ここからいよいよ山越えです。
両側が木々に覆われているので風はほとんどなくなったのですが、その分勾配がきつくなりました。えっこらよっこらとゆっくり上り詰めて行きます。
最後、ちょっと押しが入ったけれど、なんとか峠に到着。
ここまで予定より20分遅れなので三人組に連絡しようと思ったら、圏外。まあこれくらいの遅れならあとは下るだけなのでなんとかなるだろう、とこの時は思っていたのですが。。。
峠でひと呼吸ついたらさっさと下り出します。
下りは快調。ビューンと下って下って、ちょうど分かれ道に到着した時三人組から連絡が。ようやく電波があるゾーンになったらしい。この分ならちょっとの遅れで浅虫温泉に到着できるはずと、その旨連絡して先に進もうとすると、あれれ。。。
予定していたルート(写真右手の道)にはでかでかとした工事中の看板が。
ここは短いけれどダートで、僅かな上りのあと激坂下りなのです。上りゾーンはまだしも激坂下りから引き返すことは考えられません。様子を伺うも手がかりがないのでここは別ルートに変更するしかありません。三人組に連絡をし、先に温泉に浸かってもらうことにして再スタートです。
この別ルートは計画ルートよりだいぶ距離がある上、最終的に交通量の多いR4に出なければならないので使いたくなかったのですが仕方ありません。それに今日に限っていえば、海岸線を行くR4は風の心配大です。
ともかくも代替路は、まずは快適な森の中を進んで行きます。
そしてその森を抜ければ、道端に水仙がずっと続く田んぼ道でこれも素敵。
水仙ロードと笑顔のクッキー! 事はこれで終わればハッピーというものですが、そうは問屋が卸さなかったのです。
案の定、この先出たR4は車だらけで走りにくく、挙げ句の果てが暴風の向かい風! 海はザップンザップンで、グォ==、ヴゥWoooーooという唸り声を上げています。自転車は押し、押し、そしてまた押し! 車間が空いてしまったクッキーとサイダーは身振り手振りで意思疎通を計らざるえないありさまでした。
クッキー曰く 『これは雨がない台風ですよぉ〜〜』
◆ひとこと by マージコ
今回のGW企画、後半から参加しました。後半初日は夏泊半島一周です。 朝から雲行きが怪しかったのですが、一日中天気に翻弄されました。ここまでの悪条件で走ったのは初めてですが、うなりを上げて吹き荒れる南西の強風にめげず、黙々と進むジオポタの面々は感動モノでしたよ。
そんな中で食べたほたてラーメンは美味しかったなー。 夏泊埼を過ぎて南東に進路が変わるとようやく晴れ間も覗き風も少し落ち、 景色を楽しむ余裕が出てきました。白鳥飛来地の松島に行くと風は強いですが晴天に変わり、白鳥はもういませんでしたがとてもきれいな海が広がってました。
想定外もありましたがジオポタの強さを再認識したポタでした。またいつか機会があれば走ってみたいです。