実に三年ぶりとなる比企丘陵のつつじと牡丹巡りです。
坂戸駅前の花壇の花はどれもこれも満開でいい気持ち。
このコースは定番化しており時計回りでも反時計回りでも楽しめますが、今回は反時計回りで。
坂戸駅前から高麗川に出てその土手を行きます。快晴で気持ちのよい天気です。しかし風が強いです。天気予報では北西の風で、この地域に限って言えばあまり強くないはずだったのですが、これは外れですね。
高麗川の河川敷には菜の花がいっぱい。
その向こうに見えるとんがり山は小川町駅と芦ヶ久保駅の間あたりにある笠山です。
快調に高麗川の土手を飛ばして4kmほど行くと高麗川は越辺川に合流します。
昨日は夕方から雨でそれが今朝方まで降り続いていたため、高麗川の流れを合わせた越辺川はご覧の通りかなり水量が増しています。
その越辺川には沈下橋の島田橋が架かっています。
このあたりにはこうした河川敷の中に設けられた木造の沈下橋が多くありましたが、いくつかは流失したのち再架されずに失われ、いくつかは鉄筋コンクリートや鉄骨で補強されました。この島田橋も幾度か流失しましたが、その度に架け替えられ、今日も木造のまま生き存えています。
右に見える斜材は流木避けです。木造の沈下橋はこのあたりではもうこの島田橋だけだと思います。長く生き残ってほしい橋です。
島田橋を渡って越辺川左岸の土手に上るとそこからは富士山が見えたのですが、これは残念ながら写真には写らず。越辺川左岸を1kmほど東に行くと九十九川が合流します。九十九川の末端の堰を渡るとその先の土手上は砂利道でした。ここはかつては草茫茫の細いダート道でしたが、この砂利は路盤のようなので近く舗装されるのでしょう。
砕石の砂利道は走り難いのでここは下に降り、アスファルト舗装路で高野橋へ向かいます。
高野橋が架かるのは都幾川で、その都幾川は高野橋の2km下流で越辺川と合流します。
高野橋からは都幾川の左岸を行きます。
正面にはあのとんがり帽子の笠山。そしてR407の新東松山橋が見えてきました。
新東松山橋をアンダーパスして進むとその先は東松山橋と東武東上線の線路橋が並びます。自転車道はここまでなのですが、東武東上線の西側にもそれはあるので、二つの橋をアンダーパスしました。
しかしこのパスは河川敷で砂利道。今朝までの雨で水溜まりができています。ここは北側に迂回してから土手に上った方が良かったかもしれません。
土手下が田んぼから住宅にになったところで一般道に下り、東松山駅前の箭弓稲荷神社を目指します。
すると住宅地の横を流れる側溝の脇にアヤメ科のアイリスが咲いていました。
アイリスは西洋菖蒲とも呼ばれますが、この時期にすでに咲いてしまうとは。ちょっと気が早すぎませんか。
こちらは藤。薄い紫色がなんとも言えません。
埼玉県道41号東松山越生線に出ると、特に古い建物があるわけではありませんがどこか街道の匂いがします。
それもそのはず、東松山は古くから多くの街道が集まる交通の要衝でした。この越生道や川越道が通り、日光脇往還の松山宿がありました。
大きな交差点に出ると、そこには箭弓稲荷神社の一の鳥居が立っています。
この神社は元は野久稲荷神社だったようですが、『野久』を『箭弓(矢弓)』と聞いた源頼信が武門の守護神とあがめ、社殿を奉納して以来、現在の名称になったようです。
『箭弓』を『野球』と聞けば野球の守護神になるのでしょう。ここは近年は野球の神様になっているようで、絵馬には甲子園に出させてとか今度の大会でヒットが打てますようにとか、野球のことがたくさん書かれています。
サリーナはもちろん、ここにはお参りせねば、とやってきたのでした。
ここは牡丹とつつじでも有名です。牡丹は今年は咲くのが早かったようでそろそろ終盤といったところでしょうか。加えて昨日の雨と風でだいぶ花びらを散らしてしまっていましたが、それでもこんなふうに大輪を咲かせているものもあります。
これは夜の女王といったところでしょうか。
定番のピンク色。
清楚な白もいいです。
牡丹園の奥にはつつじが咲いています。
ほぼ満開ですが、こちらは牡丹とは逆に少し早めかもしれません。
もう一つ。ここには大きな藤の木があります。延命(ながらへ)の藤と呼ばれる推定樹齢250年以上のものです。
藤棚はこの延命の藤ともう一本の大きな木からできています。もう一本の木の方の花は房が長いのですが、まだあまり咲いていません。藤は全体としてのピークは一週間ほど後くらいでしょうか。
箭弓稲荷神社を出て東松山のもう一つの牡丹園に向かいます。
市ノ川の土手の菜の花はかなりいい調子。
東松山ぼたん園はかつては野田ぼたん園と呼ばれていたように野田というところにあります。
周囲は田んぼで、ぼちぼち田植えの準備が始めらています。
田んぼの先にこんもりした丘が見えると、そこが東松山ぼたん園です。
牡丹はとても大きな花で見応えがあります。
身近に見られる花の中ではおそらく一番大きいのではないでしょうか。
とにかくゴージャス。
いや〜、ハナミズキも満開!
なんともデリケートな色合いです。
うっすらピンク色もいいし、真っ白もとてもいいです。
牡丹よりきれい。
日影でひっそり咲く。
こちらは太陽に顔を向けて。
これは牡丹ではなく芍薬(シャクヤク)だと思います。
牡丹は木で芍薬は草。茎を見ると違いが良くわかります。
昭和っぽい?
クシャ!
青春の香りがする。
ひらひら〜
おっと〜
コロナに負けじ・・・
東松山ほたん園を堪能したらそろそろお昼です。
そうそう、このあたりには溜池がたくさんあります。
今日はさっぱりがっつりで天ざるうどんを。
このあたりでうどんと言うと武蔵野うどんと言われる歯ごたえのあるものが多いのですが、これはどちらかというと稲庭うどんに近く、あっさり系で、あたし好み。天ぷらはサクサクで料亭の味。森林公園駅の近くにこんなところがあったなんて、ちょっと驚き。
午後の部はまず比企丘陵の中心である物見山に向かいます。
畑の横のシバザクラが凄かった。
都幾川に出るとそこに架かるのは鉄筋コンクリートでできた沈下橋の稲荷橋です。
こうした鉄筋コンクリート製の沈下橋は四国の四万十川が有名ですが、このあたりではあまり見掛けませんね。欄干がないのでちょっと怖いです。
稲荷橋を渡ると正面にこんもりした小山が見えます。この山の名は知らなかったので今回調べてみました。左のピークには高本山とある資料が見つかりました。右のピークには名がないようです。峠は高本山峠と雪見峠の二つの名が出てきましたが、雪見峠はこのさらに先にある、私たちの次の目的地である物見山のことだとする説もあります。
ここは高本山を上らずに迂回するかどうかいつも悩むのですが、今回も上ることにしました。え〜、距離は短いですがちょっときついです。で、写真は撮れず。
高本山を上って下ると真っすぐな岩殿観音の参道です。
この参道の突き当たりで仁王門を眺めたら、その先は激坂上り。ここからは押しです。
ここはカエデの新緑が素晴らしい。
自転車をえっこら押し上げて岩殿観音に辿り着きました。
下の仁王門から続く階段を上ってくると、この鐘突き堂の横に出ます。茅葺きでなかなか味わいがあります。
銅鐘は元亨2年(1322年)に鋳造されたものだそうです。
おっと、魂消た!
岩殿山正法寺観音堂。奥には岩壁が迫り、そこに多くの石仏が彫られています。
観音堂の横には推定樹齢300年以上という大イチョウがありますが、この根っこがすごいです。
まるで生き物のようにうねっています。
岩殿観音で一息付いたら物見山に登ります。この物見山もつつじで有名です。
物見山の名は坂上田村麻呂がこの山に登って四国を眺めたという伝説に由来するそうです。標高は135mで比企丘陵の最高峰です。あれ、前回訪れた二ノ宮山が標高131.8mで比企丘陵の最高峰とお伝えしましたが、この物見山の方が高いですね。
上のオレンジ色はヤマツツジだと思いますが、ここはこれが多いです。
ヤマツツジかな。
久留米ツツジかな。
琉球ツツジかな。
この時期はシャガもいっぱい。
ここが物見山の山頂のようです。
つつじは蕾のものもたくさんあったので、最盛期は一週間ほど後かもしれません。
物見山のつつじを楽しんだあとは、市民の森に入ります。ここは自転車走行禁止なので押し歩きです。
きれいな雑木林が続きます。
市民の森はJAXA地球観測センターまでで、その先は自転車に乗って林の中を行きます。
先ほど訪れた岩殿観音は坂東三十三箇所の十番札所で、そこから同九番の慈光寺観音へ続く道は巡礼街道と呼ばれていたそうですから、この道がそれでしょう。
小さな黒石川の谷戸に入ると、正面にまたあのとんがり帽子の笠山が。あの山があると方向が分かってとても便利です。
ここからは谷戸から谷戸へと、谷戸を渡って越生に向かいます。
竹本の田んぼはすっかり耕されており、いつでも水を入れることができそうです。
このまま西へ向かうと明覚駅に出るのですが、今日はその手前で方向転換し、高野倉に抜けることにしました。
ひと丘越えて鳩川の谷戸に入りました。笠山はうしろになりました。
このあと東松山の箭弓稲荷神社の前を通っていた埼玉県道41号東松山越生線に入りましたが、それは狭くそれなりの交通量がありちょっと走り難いです。
谷戸が開け前方にこんもりした山が見えると、そこが越生で、山の中腹に五大尊があります。五大尊は、本堂に鎌倉時代に造られた不動・降三世・軍荼利・大威徳・金剛夜叉の五つの明王像が祀られていることからこう呼ばれています。
この五大尊の周囲はつつじで覆われていて山全体が真っ赤。
境内には樹齢300年を超えるというつつじが何本もあるそうです。表示にあっちとあったのでそっちに行ってみると巨大なつつじがありました。これがたぶんその中の一本でしょう。
写真ではちょっと大きさがわからないかもしれませんが、幹が何本にも枝分かれしていて、その一本一本の幹もかなり太いです。
レンゲツツジかな。
蕾もあるので咲き始めなのか、花に皺が寄っています。
ドウダンツツジは普通のつつじとは丸で趣を異にしますがこれもツツジ科です。まあドウダンツツジ属でツツジ属ではありませんが。
ちょっと変わったモミジを紹介しましょう。午前中に訪れた岩殿観音のモミジは美しい新緑でしたがこのノムラモミジは生まれたときから一生赤いんです。新緑になりたくないのかな。。
五大尊の境内は社がある北側に古木が多いのですが、南側には様々な種類のつつじが植えられていて、こちらはまた別の楽しみがあります。
お目目チカチカのビビッドカラーの連続です。
ここはまだ蕾が多いです。
手前は久留米ツツジの麒麟かな。
まあ、あとは絵をお楽しみください。
つつじよりきれい。
五月かな。
五大尊で頭がクラクラしたら、越辺川に出て頭を冷やしましょう。
この河川敷には素敵な遊歩道があります。
河川敷から上がると今度は桜並木が続きます。
毛呂山までやってきました。ここにはかつて鎌倉街道の上道(かみつみち)が通っていました。久しぶりにその遺構を覗いてみることにしましょう。
大類グラウンドの西側の細道がかつての鎌倉街道なのですが、そこには八重桜の花びらがびっしり敷き詰められていました。
この先でちょっとした畑に出ると、その土は真っ黒で気持ちがいいほど。
そこには植えられたばかりの植物がたくさん芽を出しています。これ、なにかな。
この畑の先に鎌倉街道を示す標柱が立っており、その向こうに掘割らしきものが見えます。
この掘割らしきものがかつての鎌倉街道の遺構です。まあ、見ても特に面白いものでもありませんが、やっぱり何百年も前のものがほぼその当時の姿で残っているということはちょっと興味を引かれます。ここは道幅は4mほどで、その両端に1.5mほどの高まりが見られます。
鎌倉街道の遺構を眺めたら、本日のポタリングは終了。葛川に沿って出発地の坂戸駅に向かいます。
この道はほとんど人通りがないので、私たちがやって来るとは思いもしなかったのか、白鷺がびっくりして慌てて飛び立って行きました。
白鷺って目、細〜
高麗川の沈下橋若宮橋を渡って、
高麗川右岸の土手上の自転車道を行き、本日終了。
いや〜、こんなに一日中花を見て廻ったのは久しぶりです。今日はこの季節の輝かしい陽の光もばっちりで、とてもよかったです。