白馬で一週間涼むという今回の計画は、来る前はずっと雨予報だったのにもかかわらず、なんとか天気が持ちこたえてくれて、無事に全行程を終えることができました。ラッキーでした。
さて、きょうはその白馬に別れを告げて帰京しなければなりません。ユッキーは朝一便のアルピコ・バスで長野へ向かい、サイダーとサリーナは自転車で長野まで走ります。
これが私たちが一週間お世話になった Hakuba West Coast Inn. まずユッキーが白馬駅前へ向かい、そのあとサイダーとサリーナが長野へ向け出発。
長野まではいくつかコースが考えられますが、R406と県道31号線とで挟まれたゾーンのほぼ等高線に沿って通る県道401号線をメインに行くことにしました。このあたりは北アルプスの眺めが良さそうなので、春にやって来た時に走ろうかなと思ったところなのですが、その時は県道31号線の南側の表立屋側にしたのです。
アプローチはR406と県道33号線の二通り考えられますが、今日は暑くなりそうなのでより勾配が緩く難易度が低い県道33号線と31号線を使います。
まずはここ数日お世話になった姫川沿いの快適な道を行きます。
この景色ともお別れです。
晴れていればうしろには白馬三山が、横には五竜岳が見えるはずです。
快適な姫川沿いの道が終わると県道33号線に入ります。
大町市の美麻まではこの道一本道です。
道は穏やかな上り。
先にサンサンパーク白馬が見えてきました。サンサンパーク白馬は巨大な駐車場で、ここで車中泊する方もいるようです。トイレ以外には何もありませんが、白馬三山の眺望ポイントとしても知られています。
美麻に入るとすぐ美麻トンネルが現れますが、これは旧道があるので回避します。
この旧道のピークは『峠』という名の集落で、そこには同名のバス停があります。
『峠』の峠を越えると道は下りとなり、一気に美麻郵便局の向かいにある旧中村家住宅まで下ります。
旧中村家住宅は1698年(元禄11年)の建築。
驚くことにこの建物はなんと今から300年以上も前のものです。
旧中村家住宅から県道31号線に入ると、すぐに『ぽかぽかランド美遊』に到着。
ここは道の駅で、この時はなにやらイベントをやっているようだったので覗いてみました。
どうやら地元の太鼓クラブ人々が演奏しているようで、そのリズムに合わせて高校生の書道部の方が巨大な紙に筆を走らせていました。
若い方の元気な姿に力をもらった気がします。
ぽかぽかランド美遊からも県道31号線の下りは続きます。この線には所々旧道があるので、そうしたところはできるだけ旧道を行きます。
これは境ノ宮というところにあった環状田んぼです。この谷を流れているのは土尻川ですが、かつてその川がうねった跡なのか、それとも地形に沿って作ったらたまたまこの形状になったのかにについては定かではありませんが、ちょっと面白い形をしています。
あれっ、いつの間にかいい天気になっている!
小川村に入りました。先に山並みが見えますが、私たちはこれからあの中腹を等高線に沿って走ります。そこまでのアプローチ道には『小川アルプスライン』という魅力的な名が付けられています。この県道36号線である小川アルプスラインは、県道31号線と北のR406を繋ぎ、さらに戸隠方面まで延びる比較的重要な道のようですがら、ほぼ間違いなく二車線でしょう。
これに平行して瀬戸川沿いにより細い道があります。広い道より細い道の方が楽しいかなぁと思って、信州の猫寺と書かれた看板がある法蔵寺の入口から瀬戸川沿いの道に出ることにしました。
この入口を入ると初っ端から結構な勾配の上りで、そこに剣と紙垂(しで)が載っている特徴的な煙出しがある民家が立っていました。この煙出しの形状はこの地方独特のもののような気がします。
この道は現地で思い付きで入ったので地図をよく読んでおらず、失敗。
上って瀬戸川まで下るだけでした。(笑)
苔むした激坂を下って瀬戸川沿いの道に出たのですが、県道31号線をもう少し走ると直接この道に入れたのです。
さてここからは上りです。瀬戸川に沿ってえっこらよっこら始めると、なんと通行止めの看板が。まあいつもの調子でなんとかなるだろうと無視して上って行きますが、今日は祭日だと言うのに工事用のダンプカーが上って行くではありませんが。これはおかしいと思い、ダンプカーの運転手に訪ねると、かなり大きな崩落があり、完全に通行止めで自転車も通れないといいます。
仕方がないのでこの道は諦め、当初予定の通りの小川アルプスラインにシフト。
このシフト区間も結構な勾配の上りで、最初からアヘアヘです。
小川アルプスラインの上り口の小川村鶴牧田には桑畑があり、養蚕と書かれた工場らしき建物があります。
今でもこの辺りでは養蚕がやられているのでしょうか。
これも桑畑ですね。
ここは少なくともかつては養蚕が盛んな地方だったようで、現在でも少しは行われているのでしょう。
空には青い色が広がり、すっかりいい天気になってしまいました。
夏のサイクリングではいい天気は考えものですが、まあ気持ちはよろしい。でも暑いぞ〜(笑)
小川アルプスラインには何ヶ所か展望所があります。その一つの成就展望所に到着。ちなみに成就って何かな〜って思ったら、これは地名でしたよ〜
今日は北アルプスは見えませんが、緑色の畑にはヒマワリが咲き、その周囲の家々もなかなか味があります。
こうしたところに来るといつも不思議に思うことがあります。集落から外れて一軒だけあさっての方に家があることがありますね。ここにも山をわざわざ切り開いて建てた家が見えます。
人間ってへんな生き物ですね。えっ、動物はみんなそう?
成就展望所から少し上ると、こんな巨大な民家が目に入ります。茅葺き屋根です。
庄屋さんのお宅かなにかでしょうか。
道脇に『スカイツリーと同じ高さ』という標識が。ん〜ん、分かりやすいっちゃあ分かりやすいですかね。
でも建物の高さと土地の高さはリンクしにくいので、富士山何合目の方がピンとくるかも。
えっこらよっこらして徐々に高度を上げて行きます。先ほどの大きな家が下に見えるようになりました。それにしても大きいね。
上から見るとこの村は山に囲まれた集落であることがよく分かります。
次の展望所を目指して上ります。
う〜、暑いぜぇ〜〜
成就下村集落がだいぶ下に見えるようになりました。それに連れて遠景の山並みも。
桑畑はここまで続いています。
アルプス展望広場に到着。
晴れていれば中央に五竜岳、そして爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳、唐松岳、白馬三山と見事な山々が見えるようです。
『ここにはまた来なくちゃね。』とサリーナ。
ここにはこのルート上では貴重な公衆トイレがあります。これはきちんと整備清掃されているものでした。
アルプス展望広場からちょっと上ると高山寺という集落です。
古くはその地の有力者や寺院の名がそのまま集落名になることがありましたが、ここもそうなのでしょう。
そしてこちらがその名の元になった高山寺。
小さいながらも三重塔がある立派なお寺です。
高山寺を出るとアルプス展望デッキに到着。
『なんとかここまで上って来たわい。』 のサイダー。
ここに北アルプスがあったらさぞかし感動的な景色でしょうね。それでなくとも幾重にも連なる山並みが見事です。
小川アルプスラインは勾配はきつくはないのですが、広いので木蔭があまりないのが難点ですね。
しかしアルプス展望デッキを出ると、ほどなく県道401号小川長野線との分岐に到着します。
ここはなんと長野県上水内郡小川村稲丘日本記というところ。地名に『日本』が付いている! しかもそのあとが『記』。ここはいったい何でしょう? これはあとで調べてみましたがWEB上にはまったく情報なしでした。
ともかくここには自動販売機があって大助かり。冷たい飲み物で喉を潤しました。
ここはバス停の名も『日本記』。このT字路の左からやって来る道が最初入った瀬戸川沿いを上って来る道です。
先に見える白い建物はアルペンドームで、その前に続く穏やかなカーブの道が小川アルプスラインですが、私たちはここから右向きの矢印の県道401号小川長野線に入ります。
県道401号小川長野線は小さな集落を繋ぐようにして標高900m付近からほぼ等高線に沿って、より正確には徐々に高度を下げながら、長野方面の東へ延びています。
まずは南東へ向かって行きます。この向きは北アルプス方面ではないのですが、さすがに信州だけあり、どちらを向いても山ばかりです。
漢字だけ見ては発音できない『松尾(まとう)』、
縁起がよさそうな『富吉』と過ぎて、
飯縄山と虫倉山の間の支尾根状の部分を廻るようにして進んで行きます。下に『上奈良井』の集落が僅かに見えるところまでやってきました。
遠方の山は、長野県と群馬県の境にある横手山から四阿山あたりが見えているようです。
それにしてもこの山深さはどうでしょう。山ひだが幾重にも重なり、どちらが高くてどちらが低いのかまったく分かりません。上奈良井は尾根状の部分にあり、この奥にはほぼ同じ高度で『峰奈良井』そして『須坂』という集落があります。
時は正午を少しまわったところなので、ここでお昼にしました。本日は今朝握ったおむすび弁当なり。
おむすびをいただいたあとも等高線に沿って進みます。
下の畑の間に地図には載っていない道が見えます。
集落と集落を繋ぐフットパスのようなものでしょう。軽トラックくらいは走れるでしょうか。
『高福寺』を過ぎると『太田』です。
ここには『虫倉山道しるべ』と書かれた三角屋根の小屋が立っていました。
中にはちょっとした休憩スペースとトイレが設えられていたので、私たちもここで小休憩。
そのすぐ先は棚田になっています。『栃倉の棚田』と呼ぶようです。
棚田は田んぼの有効面積を広げるために一般的には畔を垂直に近い角度で立ち上げますが、ここはそこが法面になっており、緑に覆われています。この棚田は段差が大きく、一般的に田んぼの有効面積を広げるために垂直近い角度で石積みされるそこは法面で、緑に覆われています。
日本記で県道401号小川長野線に入ってからは下りの写真ばかりでしたが、実際には細かいアップダウンがあります。
そして栃倉の棚田のあとはちょっとした上りになりました。先の集落『小手屋』へ向かい、えっこらよっこらのサリーナ。
ピークに達したかなと思うも、先を見るとまだ少し道は上っているようです。
そう思うと一気に足が重くなります。
しかし『倉本』からはこの景色です。先ほどからあまり変わらないようにも見えますが、谷の中腹に家が現れたり、三次元の微妙な変化が面白いです。
とにかくこのあたりはただ『凄い!』と思わせるものがあります。
『姥久保』に入ると道は明らかな下りに。
そしてここで県道401号小川長野線から市道中条姥久保線が分岐します。
県道401号小川長野線はさらに東へ続いているのですが、ここからはいったん上りで、この先もアップダウンが予想されちょっときつそうに思えます。今日は暑くそろそろどこかで涼みたい気分なので無理をせず、ここは市道中条姥久保線を下ることにしました。
中条姥久保線はセンターラインこそありませんが充分に広く、快適に下って行きます。
真正面にあの山が連続する景色。いいです、ここは。
中条姥久保線をこのまま下ると中条に出ますが、長野側である少し東にシフトできる道があったので、その入口に向かいます。
それは下り坂が上りに転じた上り口にありました。
入った道は谷に向かって下って行きます。
先には谷向こうの山の『下下条』にポツンポツンと家が立っているのが見えます。
中条姥久保線から入った『大潮』へ下る道はこのようなものです。
そしてこれが大潮の集落。
ゆっくりのんびり走るにはいいところです。
南には例の山々が並んでいます。
手前のすぐ右は谷ですが、その先に家が見えるのが面白いです。ここがかなり複雑な地形であることがわかります。
大潮の集落は小さな沢を挟んで南北に分かれているようです。これは南側の一軒。
上の写真の家の前のヘアピンカーブを廻ったサイダー。
この大潮の集落を抜ける道はそう長くはないのですが、ちょっと楽しいです。
県道31号長野大町線に出てしまいました。
ここから長野駅までは17km。一時間少々で着くでしょうから、ここで休憩せずに一気に行ってしまうことに。
明治橋と小笹橋で犀川を渡りどんどこ。
春に来た時は犀川の右岸を行ったので、今回は左岸を使ってみました。
信越本線をくぐったところからはきれいな土手道が整備されていました。
裾花川沿いに入り、裾花あやとり橋を渡ると長野駅はもうすぐ。
長野駅の東口へ続く大通りに出ました。先の薄茶色のビルが駅ビルです。
一週間おつかれさま〜