紅葉ポタリング崩れの宴会の翌日、今日は午後には晴れるとあって、せっかく栃木県まで出張ってきたのだから、この辺をドライブかハイクでもしようということになりました。昨日の様子からすると尚仁沢(しょうじんざわ)はまだ紅葉に間に合うかもしれないということで、メインは尚仁沢湧水のハイクにし、その近くの八方ヶ原、おしらじの滝、もみじラインを巡るコースにしました。これらは高原山(たかはらやま)の周りにあるので、まず高原山を目指して進みます。
最初にやってきたのは矢板駅近くの塩竈神社。鳥居横のケヤキは前回来た時よりくすんで見えます。
ここは案内によると製塩に関係する神社で、製塩の神様塩土翁命(しおつちのおじのみこと)が製塩を教えた地とのこと。かつてこのあたりでは塩が豊富に産出していたそうなので、遠い昔は海の底だったのでしょう。
塩竈神社のすぐ近くに道の駅があるのでちょっと寄り道しました。
道の駅は大抵繁盛していますが、ここもその例外ではありません。まだ10時だというのに、早、駐車場はかなり埋まっていました。
ここにはトイレ休憩のために立ち寄ったのですが、今日のルート上には飲食店があまりないため、ついでに昼食にできそうなものがあったら買っておきたいと思い見回してみると、ちょうどおいしそうなおこわとサンドイッチがありました。
タキスキーは昨夜シャトーデベネでいただいたご飯がとってもおいしかったので新米を買っていました。ところがその米は玄米で、少し離れたところで別に精米しなければならないことに驚いていました。
道の駅を出たら自転車で走る予定のコースを行きます。高原山へは寺山ダムを経由する県道があるのですが、私たちが選んだのはそれに平行して走るカントリーロードで、これはなかなか気持ちがいいです。
このカントリーロードの先は林道です。自転車ではなんら問題ないのですが、車だと対向車が来たら動けなくなりそうな道です。
林道を抜けて広い道に出ると、その先は『県民の森』。管理事務所の横を通って奥に進めば、誰もいない展望所のようなところに出ました。人気がまったくないのがとても新鮮です。
この展望所からは高原山の山頂近くがちらっと見えます。
これからあの山を反時計回りにぐるりと廻ります。
県民の森を横切って八方道路と呼ばれてる県道を行きます。
この道、車では問題なく上っていきますが、どこもかしこも10%超えで自転車だとかなりきつそうです。
大間々台に展望台があるので行ってみることにしました。
学校平の『山の駅たかはら』の手前で西へ向かう枝道に入ると周囲の木々の様子が変わりました。これまでは葉っぱを付けていたのにそれが見当たりません。このあたりは紅葉はとっくに終わって冬支度を始めたようです。
大間々台の標高は1,280m。駐車場に着いて車から降りると、寒い寒い。周囲を見れば道端には雪が積もり、足元には氷が張っています。気温は2°C! ブルブルッ!!
駐車場の入口にある展望台に上れば、なんと青空が見えるではないですか。ヤッホー! いつのまに晴れたんだ。西に見えるのは、左から西平岳(1,712m)、そして高原山の最高峰の釈迦ヶ岳(1,795m)でしょう。
視線を右へ移せば、前黒山、そのすぐ右に大入道(おおにゅうどう)、 画面の正面は男鹿山塊の日留賀岳から大佐飛山あたり。その右奥にかろうじて見えるのが那須連山でしょうか。
ここはなかなか眺めがいいね〜! とぐるり360°の景色に満足な面々は、左から、爆走男タキスキー、スーパカーに乗るペタッチ、そしてサイダー、カメラはサリーナ。
大間々台はいくつものハイキングや登山ルートのスタート地点になっていて、つつじの名所としても知られています。天気がよければこの駐車場はすぐにいっぱいになってしまうのですが、この日は寒いからかガラガラ。私たちも5分もすると凍えそうになってきたので即退散です。
大間々台からはやってきた道を八方道路まで下り、『おしらじの滝』に向かいます。
おしらじの滝はごく小さな滝ですが、知る人ぞ知る滝。ちょっとした名所になっているようで、その入口には数台分の駐車場が整備されています。
先ほどの大間々台周辺の木々はすっかり葉を落としていましたが、ここはそこよりだいぶ標高が低いので、まだ紅葉が僅かに残っています。
おしらじの滝の小さな標識の横を入っていくと、そのうち擬木の手すりが備わった階段になります。この階段を下るとすぐにおしらじの滝が現れます。
この滝は水量が多い時でないと現れないというのでちょっと心配でしたが、この時は運良く流れていました。滝壺は深くはなさそうですが、エメラルドブルーで神秘的です。
吸い込まれそうな滝壺をうっとりと眺めていると空から何か舞ってきました。えっ、なにこれ。と思ったら霰でした。ひょえ=! おしらじの滝の周辺は他に見るべきものがないので、さっさと駐車場に引き返します。おお寒い!
おしらじの滝からは奥塩原へ向かいます。この途中に独特の色をしたスッカン沢という流れがあり、それに沿って遊歩道が塩原まで続いているのですが、この時その遊歩道は工事中で進入禁止となっていました。
温泉地として有名な塩原には11の地区があり、奥塩原は新湯(あらゆ)温泉と呼ばれ、白濁した硫黄泉が特徴です。その中には『むじなの湯』『寺の湯』『中の湯』の三つの共同浴場があるので、どれか覗いてみようと思います。
奥塩原にやってきました。ここの標高は950mで、先ほどのおしらじの滝とあまり変わりません。私のイメージとしては奥塩原の方がうんと低いように思っていたのですが、ここは塩原の中心部からはだいぶ上っているのです。それで周囲を見回しても紅葉はまったくといっていいほど残っていませんでした。
共同浴場はペタッチが大好きな中の湯を覗いてみましたが、この時は男女どちらとも使用中で入れず、残念。
奥塩原からは鬼怒川の龍王峡に抜ける『もみじライン』に入ります。
もみじラインの紅葉は今月の始めにはピークだったのでこの時はもう残っていないだろうなと思ったのですが、龍王峡側は標高が低いので少し見られるかもしれないと思い、行ってみることにしました。奥塩原から標高1,270mのピークまで上り、そこから少し下ると『白滝』があります。この滝は小さいものの道のすぐ横にあってアクセスが良い上、プロポーションもなかなかいいと思いますが、潰れたみすぼらしい峠の茶屋が向かいにあることがマイナスです。紅葉が残っていればこのマイナスポイントも帳消しとなったのですが、ちょっとだけ残念です。
白滝から先、龍王峡までの間は少しだけ紅葉が残っていました。ドライブした甲斐があります。
標高900mを切ったあたりからは日光連山が見えました。
標高700mの紅葉。
もみじラインを龍王峡まで下ったら、県道63号藤原宇都宮線で本日のメインイベント会場の尚仁沢へ向かいます。尚仁沢はどちらかというと午前中の方が光の具合がよいのですが、晴れている方が魅力的なので天気予報を見て午後にしたのです。予報のとおりに青空がだいぶ広がってきました。
山の一部が開き、妙な景色が目に飛び込んできました。一瞬お墓かなと思ったのですが、これは木を切ったあとに苗木を植えたもののようです。
尚仁沢の入口にやってきました。尚仁沢は高原山の釈迦ケ岳の山腹にあり、那珂川の源流の一つである東荒川の水源となっている流れで、清冽な湧水群があることで知られています。これからその尚仁沢を歩いて湧水群まで行きます。
車道からはまずアスファルト舗装された遊歩道が続きます。その遊歩道が最初に尚仁沢を横切るところに紅葉が残っていました。
東屋の先に取水堰が現れるとアスファルト舗装は終わり、本格的な上りが始まります。
山男のペタッチはこういう道になると元気一杯。先頭をどんどん行きます。
鉄骨製の急な階段を下るとその先は吊り橋。ここでようやく湧水があるらしいと感じられる尚仁沢の流れを見ることができます。下の駐車場から取水堰までの流れも尚仁沢ではあるのですが、そのあたりはあちこちコンクリートで固められていて、清流の雰囲気が丸でありません。
吊り橋を渡るといよいよ尚仁沢を間近に見ながら歩き出します。
でも陽の光が届かないなと思ったら、あれ、いつの間にか青空がなくなっている! え〜〜、残念!
でもこの清冽な流れ!
尚仁沢は古くは精進沢とも伝えられていたようで、山岳仏教が盛んだった奈良時代には、信者たちが高原山に登拝する際、この湧水で身を清めたと伝えられているそうです。
うねっています
心が洗い流されていくような
遊歩道にはいくつか木製の橋が架けられています。
太い蔓が伸びています。
湧水源に近づいてきました。
ここにはいくつもの湧水からなる小さな流れがたくさんあり、それらが集まってより大きな流れになり、尚仁沢の本流に注いでいます。
橋の中にはこんな太鼓橋も。
ただ板切れを渡しただけの橋も。
駐車場から30分ほど歩いて、尚仁沢湧水のメインの湧水口に到着。
尚仁沢そのものはこの横を流れているのですが、伏流水がここから大量に湧き出ているのです。
この周囲はブナの原生林だそうで、とてもきれい。
尚仁沢の本流は湧水口から上にもずっと続いているのですが、遊歩道として整備されているのはここまでのようなので引き返します。
帰りはやってきた遊歩道を戻るだけですが、方向が異なると来た時とはまた違った景色に見えます。
ここにはまだ青い葉の木々もあるのですが、期待していた紅葉は全体として見ればすでに終わっているようでした。しかし、ここはいつ来ても素晴らしいところです。
取水堰まで下ってきました。
今回は自転車なしの宴会とドライブという私たちとしてはイレギュラーな企画となりましたが、それはそれでまた楽しいものでした。でも来年は自転車で来ましょうね。