コース紹介
アグリジェントは古代ギリシアの都市アクラガスの神殿が林立する『神殿の谷』が最大の見どころ。コンコルディア神殿、ヘラクレス神殿など、７つのドーリア式神殿が残る。アフリカとシチリアを隔てる蒼いシチリア海峡も美しい。
古代ギリシャの街
神殿の谷
アグリジェントは、紀元前５〜６世紀のギリシア古代都市アクラガスの神殿が林立する『神殿の谷』が最大の見どころ。現在の市街地は丘の上にあり、そこからは神殿の谷の向こうにアフリカとシチリアを隔てるシチリア海峡を臨むことができる。コンコルディア神殿、ヘラクレス神殿などなど、広大なエリアにわたる神殿の谷を古代の人々はどうやって行き来したのだろうか？ 私たちは自転車があったからよかったのですが。
コンコルディア神殿
この神殿群は、黄土色の凝灰岩によるドーリア式。
そのうちの紀元前5世紀に建てられたコンコルディア神殿は、世界のギリシア神殿の中でも最も保存状態がよく、アテネのアクロポリスに立つパルテノンと共にドーリア式建築の完璧な作品の一つ。この姿からはなかなか想像出来ないが、オリジナルは色が付いた漆喰が塗られ、華やかだったことがわかっている。
コンコルディア神殿詳細
コンコルディアはギリシア神話の平和の女神。しかし実は。
この神殿は誰に捧げられたものか分かっていない。
この神殿は紀元6世紀にキリスト教の聖堂に転用されたために柱の間に壁が造られたために地震の被害を免れ、他の遺跡に比べて保存状態が良いとのこと。
ヘラクレス神殿
列柱のみが残るヘラクレス神殿は、アグリジェント最古のもの。
真っ青な空に向かって巨大な列柱が並ぶ姿は大迫力。
オリュンポスのゼウス神殿
オリュンポスのゼウス神殿は紀元前480年にカルタゴに勝利したことを記念して建造された。紀元前406年にそのカルタゴによってシチリアが征服された時にはまだ未完成であった上に、火を放たれて荒廃し、その後の地震により崩壊したという。円柱と円柱の間にはテラモン（Teramone）と呼ばれる巨人像が38体があり、軒を支えていたそうだ。
遠方に見えるのがアグリジェントの街。
ユーノー・ラチニア神殿
ユーノー・ラチニア神殿（ヘラ神殿、ジュノーネ神殿とも）。
ヘラ（Hera）は、ギリシャ神話に出てくる最高位の女神で、ローマ神話ではユーノー（Juno）、イタリア語ではジュノーネ（Giunone）となる。
ユーノー・ラチニア神殿詳細
５世紀建造で、その後はオリュンポスのゼウス神殿とほぼ同じ運命を辿る。4段の基盤の上に立ち、少し後に建てられたコンコルディア神殿との類似性が指摘されている。34本あった柱だが、現在は25本の柱とその上にある桁状の部材が残るのみ。
オリュンポス十二神の一柱であり神々の女王でもあったヘラは天界の女王として絶大な権力を握っていたが、同時に結婚・産児などを守護する女神でもあり、古代ギリシアでは一夫一婦制が重視されていた。
そのためこの神殿は、普段は結婚の祝宴に使われていたという。
ユーノー・ラチニア神殿から南のティレニア海を望む
ユーノー・ラチニア神殿から南を見れば、碧いティレニア海が見える。
サン・ドメニコ教会
アグリジェントの丘の上の市街地は『神殿の谷』とはまた違った魅力がある。道はどこも狭く、迷路のようだ。
坂道の路地の先にサン・ドメニコ教会（Chiesa di San Domenico）の尖塔が見える。
サント・スピリト教会
サント・スピリト教会（Chiesa di Santo Spirito）は13世紀末の創建。
ファサードのバラ窓は創建当時のものとのことだが、入口は14世紀のゴシック様式、上部の鐘楼は17世紀末のバロック様式と改装が著しい。
サント・スピリト教会のポータル
尖頭アーチのポータルは特別な飾りはないが気品がある。
サント・スピリト教会の控え壁
外壁はこの地で産出する石灰岩や砂岩でできており、聖堂の中庭側には下部にアーチを持つ控え壁が付いている。
ジャコモ・セルポッタのスタッコ
内装は18世紀のバロック様式で、ジャコモ・セルポッタのロココ調のスタッコ細工で装飾されている。
サント・スピリト修道院の中庭
サント・スピリト教会には付属の修道院がある。
この修道院はシチリアでは最も古いもので、保存状態も良い。
サンタ・マリア・デイ・グレーチのポータル
12〜13世紀ごろ建てられたサンタ・マリア・デイ・グレーチ教会（Chiesa di Santa Maria dei Greci）の下にはギリシア神殿の基壇が残っている。
それはコンコルディア神殿と同様に、正面に６本、長辺に13本の柱がある寺院だったようで、見学が出来る。
サンタ・マリア・デイ・グレーチの中央ネイヴ
サンタ・マリア・デイ・グレーチ教会の内部には3つのネイヴがあり、中央のものには14世紀の木製トラスが架かる。