今日は麗しき街並みのホイアンへ!
ダナンのミーケービーチのコテージ風ホテルは海が見えるステキなテラス付きです。朝ごはんはここで、と隣のレストランからフォー(ベトナムうどん)とコーヒーを運んできた私たち。
これぞリゾート!
ライムを絞ったフォーはほんとにおいしい。パクチー、もやし、とんがらしはお好みでどうぞ。
今日こそは『晴れ』か? 快晴とはいきませんが、空には所々に青い色が見え、うっすら陽が射しています。爽やかないい気候なので、自転車で世界遺産の街並み『ホイアン』を訪ねます。
ダナンの町を離れれば、交通量は少なくなり、のどかな一本道が続きます。道端の子どもたちは目ざとくて、遠くから私たちを見つけては『ハロー!ハロー!』と声をかけてきます。
『わたし、昨日たくさん坂を上ったから、今日は動けなくなるかと思ったけど、そうでもあらへんわ〜』 と、今日も元気なナオボー。
私たちが昨夜泊まったダナンのミーケービーチからホイアンの旧市街までは25kmほどなのですが、いつものようにゆっくり行きます。
途中、気持ちのよさそうな木立の奥に池があったので、その畔で小休止。
池ではガチョウが群れをなして泳いでいました。
とってものどかな風景に心も休まります。
向こうから小学生がたくさんやってきました。
今日は月曜日で時刻は11時です。通学にしては少し遅いように思いますが、どうなんでしょうか。
道端に藁ボッチのようなものがたくさん並んでいます。
今は1月ですが、南国のベトナムでは二期作あるいは三期作がされているでしょうから、藁ボッチはいつでもできますね。
ホイアンまでのこのルートは走りやすく、快適です。
時々モーターバイクが横にピッタリくっついて、『変わった自転車だね〜』としばらく眺めていきます。前を見て運転してよね〜。
道の周りの景色は、水田や畑、村の学校などが出てきて、いろいろ楽しいです。
『ダナンはモーターバイクが凄かったけれど、この道はのんびりでいいわね〜』と、このルートが気に入ったらしいサリーナ。
『このへんの家はみんなちっちゃいね〜 家族は何人ぐらいおるんやろ〜』 と、家々の造りに興味津々のナオボー。
街から少し離れた道端では時々妙なものを見掛けます。
サリーナのうしろの道端に、一升瓶のようなものが置かれた小さな台が出されています。これはガソリンスタンドです。私たちには用はありませんが、そこら中を走っているモーターバイクはガス欠になりそうな時、こんなところでガソリンを補給するのです。
ホイアンの旧市街は海沿いを走る道路から少し内陸に入ったところにあります。どうやらその入口に着いたようです。
海沿いの道から直角に曲がると、写真のような道が続きます。しばらく行くと少し交通量が多くなりだして、旧市街が近づいて来たと感じます。欧米人観光客の姿もちらほらしてきます。
曲がってから4〜5kmほでホイアンの旧市街に到着。
トゥボン川が南シナ海に流れ出す三角州にあるホイアンの旧市街は、チャンパ王国時代からの古い港町で、その後は広南国の外港として、日本・明・ポルトガルなどとの貿易で栄えた都市でした。
ということでまずトゥボン川の畔に出てみました。川縁には漁船がたくさん停泊しています。中には観光客を乗せてクルーズしてくれる船もあるようです。
川沿いの建物は平屋か2階建ほどで、一般の民家の中に食堂がちらほら。
時はお昼の少し前で、まずは昼食をとガイドブックをチェック。どうやら行き先が決まったようです。
目的の食堂があるのは少し離れたホイアンのメインストリートらしいので、そこまで自転車で移動。
ここでオーストラリアからやって来たという人から声をかけられました。
"ベトナムで自転車って大変じゃない? 日本と比べてどう?"
『日本の方が少しだけ安全かも。』
なんて答えましたが、どうでしょう?
ナオボーとサリーナが選んだレストランは、200年前の中国式の家屋を改装したという『イエローリバー』
その前ではノンラーという傘を被った女の子がお土産を売っていました。サリーナは彼女からハガキを見せてもらい、気に入った数枚を買いました。
イエローリバーは外装も内装もなかなかセンスが良く、料理にも期待が持てそうです。
パパイヤ・サラダと蒸しワンタン。
この蒸しワンタンはホワイトローズと呼ばれており、ホイアンのある一ヶ所の井戸から採取された水からでないと作れないそう。中にはエビのすり身が入っていて、食感はプニッっと、他にはあまりないものです。
ぱりっとした食感が良い揚げワンタン。
トマトや木耳、玉葱などが入っていて、優しい甘みのある餡が掛かっています。
カニのグリル炒め。これはいけません。みんな無口になってしまいます!
どれも見た目といい味付けといい、洗練されたすばらしいものでした
さて、おいしい昼食をいただいて幸せな気持ちになったら、さっそく街歩きに出かけましょう。ここの見どころは狭い範囲に集中しているので、イエローリバーの前に駐輪させてもらい、徒歩で散策開始。
ホイアン旧市街のメインストリートはこのチャンフー通りです。
チャンフー通りに面したホイアン市場の北には、屋根が付いた吹きさらしの井戸があります。これはどうやら共同の水場のようで、何人もの女性が洗い物をしていました。
こうした井戸はチャンパ王国時代の8〜10世紀に掘られたものと考えられており、現在でも何十ヶ所も残っているそうです。かつては神様に供える食べ物を作るときや、新生児の沐浴のために使われたようです。先ほど食べたホワイトローズを作る水を汲む井戸もこうしたものの一つです。
メインストリートのチャンフー通りは後にして、ホイアン市場からはグエン・フエ通りを北へ向かい、チャンフー通りに平行して走るファン・チュー・チン通りに入りました。
すると、街角にシクロが。さっそくこれに乗ってみるサイダー。
すごく高い位置で漕ぐんだね。サドルに腰掛けるのに一苦労です。ペダルは分厚い木の板でした。ちょっと客引きしてみようかな〜。
その横では、路上自転車店がオープン。
お客の自転車をひっくり返して、なにやら始めました。パンク修理かな。
お母さんが天秤棒にぶら下げて持って来た鍋の中は肉まんでしょうか、それともちまきかな。
見知らぬ外国人に驚いたのか、赤ちゃんが急にぐずり始めました。脅かしてごめんよ〜
ホイアンには立派なお寺がいくつもありますが、このひっそりしたところもお寺のようです。
街の中央を南北に貫くのはレ・ロイ通り。
この通りはチャンフー通りに比べると、地元の人々に密着した商店などが多いようです。
ある伝統工芸の店に入ってみました。ここではお土産を売ると同時に工房を公開していて、作っているところが見学できます。
この部屋では木の彫刻やレリーフが作られています。
女の子はビーズ飾りや宝飾品のようなものを。
硝子玉のビーズではなく、もっと高価なものなのかな。
ゴザです。
日本でも少し前までは農家でゴザを織っていましたが、今はもうそんな景色を見ることもなくなりましたね。
木工は男、ビーズ飾りは女でしたが、この部屋には男女ともにいます。
ミシンでガタガタと衣装を縫っているようです。ミシンはなつかしい足踏み!
ここではショッピングもなかなか楽しく、思わずおみやげを買ってしまうチューボーとサリーナでした。
さて、外廻りから先に見てきましたが、いよいよホイアン観光の中心部です。チャンフー通りに出て、廣肇会館前より来遠橋方面へ向かいます。
前を行く荷車にはもの凄い量の野菜や果物が積まれています。一番上に見える緑色のものはバナナです。荷車は日本では自転車の後ろに付けて引っ張りますが、ベトナムでは前に付けます。こんなに積んじゃうと荷物で前が見えないから、押すしかないですね。
チャンフー通りの西の端にあるのが来遠橋です。
来遠橋は1593年に日本人によって架けられたとされ、日本橋とも呼ばれます。長さ18m、幅3mの屋根付きの重厚な太鼓橋で、中央部に祠があります。
現在の橋は1817年に再建されたもので、その後何度かの改修で徐々に日本的な要素が失われ、ベトナムと中国的な要素が強いものになっています。
17世紀ごろ、このあたりには朱印船貿易によって移り住んだ日本人の街があったとされ、反対側にあった中華街とをこの橋が結んでいたと言われています。
この橋は現在も通行可能で、たくさんの観光客が渡っていますが、時々現地の方で自転車で渡る人もいるのに驚き。
この来遠橋から東が観光の中心ですが、西にも少しだけ見どころがあるので橋を渡って行ってみます。
この建物は200年ほど前の木造建築の『フーンフンの家(馮興家)』 オーナーは貿易商だったそうです。3ヵ国の建築様式が交差するといわれる歴史的建造物で、土壁にはベトナム、柱や扉には中国、屋根には日本の様式が取り入れられているそうです。
フーンフンの家の前の通りでは農民が野菜や果物を売り、その横では犬がベタリ。
向こうからは外国人観光客がやってきます。ホイアンは今でも国際的ですね。
フーンフンの家から戻ってチャンフー通りの一本南のグエンタイホック通りに入ります。
家と家の間の隙間のような路地。
こんな狭いところもちょいと覗いてみると、自転車で家へ急ぐ子供たちがいたり、路上の洋服屋が店を出していたりと、それなり楽しいです。
グエンタイホック通りには200年ほど前の漁師の家『タンキーの家』があります。
この家の漁師は中国の広東出身だったそうで、中国風であり日本風のところもあるなかなか素敵な家です。間口は狭いですが奥に長い、日本風にいえば町屋です。当時こんな家を建てられた漁師って、何を穫っていたんでしょうね。ヌクマムでも作って輸出して儲けたとか?
ホイアンの家は平屋建も多いのですが、このあたりは2階建の家が並んでいます。
その前をノンラーを被って自転車で行く人がいるかと思えば、路上には物売りの姿も見えます。
タンキーの家からグエンタイホック通りを西へ進んで行きます。
ホイアンは古くに作られた街なので道幅は狭いですが、できるだけ緑を作ろうとしているようで、こんなふうにちょっとスペースがあるところには木が植えられています。玄関脇に大きな植木鉢を置いている家も多いです。
レ・ロイ通りとの交差点に出たのでこれを北上し、メインストリートのチャンフー通りへ向かいます。
チャンフー通りはどこから湧いてきたのか、観光客でいっぱいです。
この写真の中央やや左に見える平屋建で草屋根の家は、300年ほど前に建てられた『クアンタンの家』。これも町屋のように奥行きが深い造りです。
貿易陶磁器博物館
『クアンタンの家』の向かいには貿易陶磁器博物館(海のシルクロード博物館)があります。
この建物は比較的新しく19世紀ごろに建てられた民家を改修したものです。陶磁器の他、日本とホイアンとが交流していたことを指し示す資料などが展示されています。江戸幕府が発行した朱印状のうちなんと約1/4は、ここホイアンとの貿易を許可したものだったそうです。
貿易陶磁器博物館の東には福建会館が立っています。
福建会館は200年ほど前に福建省から移り住んだ華僑が建てた集会所で、内部には螺旋線香がぶら下がる寺院もあります。この通りには来遠橋の近くに廣肇会館もあり、どちらも中国趣味なのでとても目立ちます。
福建会館の先が自転車を駐輪させてもらったイエローリバーなので、これでざっとですがホイアンを一回りしました。ここはゆっくりしたい街ですが、残念ながら今日はこれからダナンに戻り、飛行機に乗らなければなりません。
青空が見えてきたダナンへの道を引き返します。
途中、小川の畔で休憩していると、どこからともなくガチョウの赤ちゃんらしきものが流れてきました。
それを追って小さな男の子がトコトコ。
来る時同様、帰りもまたモーターバイクがやってきて、私たちの横に並んで自転車をちら見、そして去って行きます。
行きに紹介できなかったのでここで道脇に広がる田んぼを。
ちょうど今田植えをしている最中でした。
ホイアンとダナンの間には五行山(マーブル・マウンテン)という石灰岩と大理石でできた山があります。
これはそこで採れた石を加工しているところです。奥に女性の像が見えるので石像を作っているようです。
ホイアンからダナンのホテルまでは、行きと同じぴったり2時間で無事に到着。荷物を引き取って、タクシーで空港へ、と自転車を折り畳もうとしていたのはサリーナだけ! ナオボーとチューボーは『7kmくらいなら走りましょう』とな! 元気だよね〜。
ちょうど市内は夕暮れ時の道路満杯状態。慣れたとはいえ、交差点でも停まらないドキドキ走行を続け、何とか空港に。いや〜疲れた。あれれ、10kmも走っているよ!
もう自転車を梱包する手段も時間もない。『このままいってみよう!』とサイダー。4台の Birdy をカウンターに持ち込み、『預ける荷物です』って言ってみた。そしたら係のお兄さんは慌てず騒がず。『空気は抜いてますね』と4台の自転車のタイヤ8個を指でさわって確認。何とそのまま預けることができたのです。ベトナム航空ばんざい!
こうして私たちは無事最後の都市ホーチミン・シティに向かうことができたのでした。