マッターホルンに別れを告げる
今日はマッターホルンに別れを告げ、ローヌ谷に戻りヴァリス州の州都シオンまでです。 お天気は快晴。 マッターホルンも見事な姿で別れの挨拶してくれました。
ブライトホルンとちびマッターホルンのご挨拶
今日は90kmの行程で今回のツアー中最長のコースですが、すべて下りなので問題ないでしょう。 ツェルマットの街を出るとすぐにマッターホルンは姿を消し、その代わりにブライトホルンとちびマッターホルンが顔を出し、別れの挨拶をしてくれます。
フィスプのローヌ
ツェルマットからフィスプまでは穏やかな下りで、まだ朝なので車も少なく、快調なダウンヒルが楽しめました。
上りには6時間以上かかったこの道を、わずか1時間40分で下ってしまいました。 フィスプまで下るとあのローヌ川に再会です。 東にはこのローヌの源のフルカ峠あたりの高い山が見えています。
サイクリングルート1を行く
ここからは Cycling in Switzerland のルート1を行きます。 草原や畑の中の道はおおむね舗装路で快適です。
山の中腹の教会
依然ローヌの谷は狭く、その両側には山が迫ります。 マッター谷よりはずいぶん低く見えるこれらの山々でも標高は2,000mを越え、3,000mに迫るものばかりなのには驚かされます。 その山の中腹には小さな村があったり古い教会があったりします。
車の道を行く
このあたりのルート1は、ローヌ川に沿うとはいってもあっちに行ったりこっちに行ったりと、かなり複雑で、幹線はほとんど通らないものの、車の道を走ることもあります。 しかしそういった車の道の交通量は非常に少ないので問題なし。
林の中の橋を渡る
道はずっと平坦で、小さな街を通り抜けて進みます。 そういったところに木々は少ないのですが、ローヌ川の周囲にはちょっとした木立が続いています。 そのローヌに架かる橋は木造でいい感じです。
日光浴?
ニーダーガンペルが近づき、左手に見えていた岩の塊のような白い山が大きくなってきました。 すると先に大きなテントが見え、手前の芝生のように青い草原では美女3人が日光浴なのか、ごろっとしています。 その先には無数の人々が。
テントの群れ
いったいこれはなんだ? と思っていると、道の先に簡易な門扉が作られていて、そこにいたガードマンにストップさせられました。 なんでも大きな音楽のイベントが一週間ほどあり、一時的にこのあたりがその会場になっているのだそうです。
こうして、そのイベント会場をぐるっと迂回させられるハメになったのですが、先に進んでまたまたびっくり。 メインの会場の先は方々から集まった観客のテントがびっしり。 この小さな村にどこからやってきたのかと思われるほどのテントの大集合です。
幹線道を行く
イベント会場を抜けたニーダーガンペルのカフェで一休みした後、ズステンからローヌの左岸に移ると、そこからシエルまでは幹線道です。 車道の端に自転車レーンが設けられているので、そこそこ安心ですが、ここは交通量が多かった。 ほどほどの勾配の下りなので、カッ飛んでシエルに入りました。 高架の道路でローヌの右岸に渡るとシエルの街が見渡せます。
ローヌ沿いに復帰
街に入る直前のちょっとした広場のようなところでお弁当ランチをとり、街中をぐるっと回ってローヌ沿いに戻ってきました。 ローヌ沿いは細い専用道で木陰があって走りやすいのですが、この右岸からは川面はあまり見えません。
ローヌとオットマッター
ほどなくローヌを渡り左岸に出ます。 遠くにはこれまで見えなかった新しい山が見えています。 進むにつれて変わる山の表情や、次々に山が現れるところが楽しい。
ぶどうの山
シエル付近から北の山には大きな変化が現れていました。 それまでごつごつとした茶色の岩肌を見せていた山腹は緑に覆われ、そこには幾筋もの細い道が通っています。 この緑はほとんどが、ぶどう畑なんだそうです。 スイスの中でもヴァリス地方はワインの産地として有名で、中でもシオンのワインはとてもポピュラーです。 これらのぶどう畑の中には標高1,000mを超えるところにあるものもあるそうで、これらはヨーロッパで一番標高の高い畑だそうです。
ぶどう畑はシオンが近づくと段々畑のようになり、石垣が幾重にも築かれた山の斜面を上にずっと伸びて行きます。
ローヌ沿いを行く
ここから道はローヌ沿いにシオンまで行きます。 厚い木々に埋もれていたローヌもこのあたりではずっと顔を見せるようになります。
見えた!シオンの城
左手の木々が途切れるとぶどう畑の向こうに小高い山が2つ。 山の上にはなにやらお城のようなものが載っています。 どうやらあれがシオンのトゥルビヨン城のようです。
シオン付近の山々
右手には森林限界を越えた岩山がずっと続いています。 その山に向かってローヌの脇をどんどん行き、大きく左に曲がると、
シオンの山
目の前に大きくシオンのトゥルビヨン城を載せた山が迫ります。 この山の裾野をぐるっと廻り、
シオンに入る
ローヌの橋を渡ると正面の高台にお城のような古い教会が現れ、シオンの街に到着です。
シオンの旧市街グラン・ポン通り
シオンはヴァリス州の州都で、このあたりでは有数の都市です。 しかし旧市街は落ち着いた雰囲気で、私たちはそのメインストリート、グラン・ポン通りの中程にあるB&Bに荷を解きました。
ひとまずビールでもとカフェに入れば、これまでドイツ語だった会話はここではフランス語になっていました。 メニューも様変わり。 これまでのドイツ語圏には数種類あったビールはたったの一種類しかなく、かわりにワインの種類がたくさん、という具合です。 なにはともあれ、やっぱりサイクリングのあとはビールでしょ、とここはビールで乾杯。
礼拝堂からトゥルビヨン城を望む
一休みして街の散策です。 旧市街にあるカテドラルを手始めにグラン・ポン通りの周辺を一回りしたのち、自転車から見えた高台のお城に向かいました。 その道は行き先にふさわしく名をシャトー通りといい、小さな門をくぐると、古い石畳の上り道がずっと続いています。 周囲は古い教会やかつての城壁の門といった歴史あるものばかりです。
その道をどんどん上ると小さな広場に出ました。 左の坂を上ればお城、右の階段を上れば教会です。 お城の方は城壁だけで廃墟のような感じがしたので、教会に向かいました。
小さなオルガン
この教会のオルガンは15世紀のものだそうで、オルガンのコンサートが行なわれていました。 小さなオルガンなので、通常はない扉のようなものが付いていて、そこにはきれいな宗教画が描かれています。
コンサートのあとはどうやら結婚式のようで、美しく着飾った紳士淑女がぞろぞろ上がってきています。
シオンと山並み
この高台からの眺めです。 街の遥か先までローヌ谷が続き、その谷に沿って山々もどんどんと続いて行きます。
ワイン休憩
教会から下に降りた私たちは今度はワイン休憩。 白ワインのヨハニスベルクという品種がとてもおいしい。
夕飯はフランス文化圏らしく、珍しくもクレープ屋があったのでそこでガレット(蕎麦のクレープ)を。 クレープは甘いものだけれどガレットはそうではなく、肉、シャンピニオン、チーズ、アンチョビといったものが入っていて、軽めの食事代わりになり、けっこうおいしい。
今日は下り基調で快適な90kmでした。 明日はローヌ谷最後の日で、ジュネーブ湖近くのエーグルまでぶどう畑を眺めながら走ります。